インターネット業

「クラウドサイン AI」で紙の契約書を読み取り、契約期間管理を自動化へ

  • 2021年1月15日(金)

株式会社NTTPCコミュニケーションズ
総務部 法務考査担当 担当課長 横山新様

 

法務的な素養が必要になる、誰でもできるわけではない作業。そこをAIで自動化できたのは大きい。

御社はNTTグループに属する企業になるかと思いますが、そのなかでどのような事業を展開されているのか教えていただけますか。

横山様
グループの他の企業が大手企業様をターゲットにしているのに対して、当社NTTPCコミュニケーションズは、主に中堅・中小企業様向けに「シンプル」「安価」「パートナー企業様が扱いやすい」商品、サービスを展開しています。NTTが民営化した1985年の創業で、インターネットが広まる前のパソコン通信サービスから事業をスタートし、ISP(インターネットサービスプロバイダー)事業も手がけてきました。現在では「Master’sONE®」というブランド名で展開しているネットワークサービスや、ホスティング・データセンターのほか、SD-WANやIoT向けのサービスなども提供しています。

どういった経緯でクラウドサインを導入されたのでしょう。

横山様
会社の経営方針として、効率よく仕事を回していくべき、というのがあります。人間は人間にしか出来ない仕事をすべきであり、それ以外の機械でもできるような仕事は極力、機械化、自動化していくということです。しかし私が所属している総務部では、以前だと押印申請のために社員が総務部まで出向き、場合によっては押印を待つ列ができるほどで、これこそ効率化するべきところでした。

押印するということは、紙書類を出力して製本して、持って来るという手間がかかるだけでなく、電子化も進まないので効率化が止まってしまうことを意味します。ですから押印はなくさないといけない。

ただ、法務担当としては押印なしでも契約として有効に成立していることを証明できる必要があります。単に判子をやめればよいというものでもない。そこには何かしら法的に担保できる手段、つまりクラウドサインのような電子契約のサービスが欠かせないと考えました。

他にもいくつか類似サービスがあるなかで、クラウドサインを選んだ理由はなんだったのでしょうか。

横山様
クラウドサインが国内市場でシェアナンバーワンだったからですね。導入しようとしていた当時で5万社以上もの圧倒的な数のユーザーが利用している状況でしたから。会社の方針には、クラウドサービスを導入するときはシェア1位のものを使うべし、というのもあるんです。

なぜなら、それだけ多くの人が利用しているということは、利用者からのさまざまな要望も受けているだろうと考えられるからです。こちらから開発要望を上げたり、カスタマイズしたりしなくても、自然と利便性の高いサービスにアップデートしていくだろうと。そのあたりもクラウドサインを選んだ理由の1つになりました。


クラウドサインを導入したことによる効果はいかがでしたか。

横山様
主に業務委託契約で月間50件以上使っていますが、なによりスピード感ですね。契約締結まであっという間に終わるということで、社内からも好評を得ています。これまでですと、契約書の締結について社内決裁を取得したら、契約を結ぶ部署の担当者が契約書を製本して、押印をもらうために総務部に出向き、当社の押印をした契約書を契約相手に郵送して、相手が押印した契約書を回収し、写しをとったうえで倉庫に保管するという手順が必要でした。それだと契約締結まで最短でも1週間はかかってしまいます。

契約書の作成は結構手間のかかる面倒な作業ですが、クラウドサインでは、契約書をプリントアウトするところから回収のうえ保管するところまでの作業を丸ごとカットでき、各部署の担当者にとってはかなりの負担減になりました。契約締結の社内決裁が完了すれば自動で法務担当に通知が届くようになっているので、あとはクラウドサインで契約書を送信し、契約相手がボタンを押してくれればものの10分で終わります。そういう手間がかからない点やスピードの部分はやはりメリットとして大きいですね。

2020年9月からは、契約書の内容を自動で読み取って書類情報として抽出する「クラウドサイン AI」の利用も開始しました。これを導入しようと考えたのはなぜですか。

横山様
私どもの会社は設立から35年経っているわけですが、契約毎の契約内容の個別管理がきちんとできていませんでした。紙の契約書の原本は、締結が完了したら倉庫に入れっぱなしにして終わり。契約相手の会社名と管理番号を記録してはおりますが、後で倉庫から取り出して見返すのは内部監査でチェックが必要になったときくらいです。

そこでネックになっていたのが個別の契約期間がわからないことでした。特に自動更新条項のある契約では気づかないうちに契約更新時期を過ぎていて、後から事後決裁という形で社内稟議を取り直す、といったことが発生しかねない状態でした。本来、社内ルールとしては契約期間終了前に更新するのかしないのかを意思決定しなければいけません。契約を更新する場合でも、そのタイミングで契約内容の見直しをしておりますので、契約終了のタイミングを逃してしまうと会社の損害にもなりかねませんので。

そのような中、「クラウドサイン AI」を提供開始するとのニュースリリースを見て、申し込みさせていただきました。これまでに締結した膨大な量の紙の契約書をデータベース化することを目的としました。契約期間を管理しなければならないとの課題認識は長年持ち続けていたものの、手作業で一つひとつ契約書の内容を確認して入力していくのは非常に大きな労力が必要です。そのため作業進捗はおぼつかず、契約書の束が山積みになっている状態でした。

クラウドサイン AIの効果、便利さは実感できていますか。

横山様
導入前に想像していた以上ですね。とにかく認識精度が非常に高い。契約締結日、契約開始日、契約終了日、自動更新の有無や契約相手名、契約金額などを読み取って書類情報に自動入力してくれるわけですが、その内容はほぼ手直ししなくて済むレベルです。

これと同じことを手作業でやるのは簡単なことではありません。契約書を読むのにもある程度法務的な素養が必要ですから、誰でもできるわけではないんです。私たち法務担当のスタッフが直接見なければなりませんが、私も含めて3人しかいないためリソースが全く足りない。そこをクラウドサインAIで自動化できたのは本当に大きいなと思っています。

具体的にどういうところに精度の高さを感じていますか。

横山様
すごいなと感じたのは、契約書によって記載されている金額が税別・税込でバラバラになっていても、きちんと税別に統一してくれること。日付や社名に関する部分は間違っているところを見たことがないですね。元は紙書類で、私たちが勝手に決めた解像度でスキャンしている書類なので、ちょっと曲がっていたりしていることもあれば、あまりきれいな状態ではないこともあります。それでもこれだけの精度で読み取ってくれるんだなと。

クラウドサイン AIについて、何か不満や不都合はありませんか。

横山様
読み取りが完了するまで数日かかる場合もありますが、そこまで早く書類情報が必要になるわけでもありませんから、不満とは思っていません。ただ、ここまで精度高く契約書の内容を読み取れているのであれば、もっといろんな項目を抽出して、新たなサービスとして活かしてもいいのではないか、とも思っています。

たとえば私ども法務担当は日常的に契約審査を行っており、契約書のリスク分析をしています。リスクを軽減するため契約書を修正しますが、その際に過去の契約書の条文を参考にすることもあります。あのとき契約したあの契約書の条文を見たいということもあるのですが、過去の契約書の中から見たい条文を何パターンか自動的にピックアップして提示してくれたりすると便利だと思います。最近ではAIを使った契約審査の支援ツールが登場しておりますが、個人的にはまだ力不足かなと思っています。実際に締結された膨大な量の契約書を読み込み蓄積することになるクラウドサインの方が、よりうまくAI分析できるのではないかと思いますので、クラウドサインでこのような機能をリリースしてほしいなと思います。

また、リスクを完全に排除して契約できることはほとんどありませんので、契約中の契約書のリスク判定を自動的に行ない、リスク値として表示してくれるサービスなどがあるとうれしいですね。

今後、クラウドサインやクラウドサイン AIの活用先を広げていく予定はありますか。

横山様
会社としてはハンコレスを進めています。そのため電子契約の比率は高めていく方向ですが、契約書絡みの部分はクラウドサインに全て一本化したいですね。相手のあることなので、紙による契約書はすぐにはなくならないでしょうけども、紙の契約書も書類インポート機能やクラウドサイン AIを駆使して電子化を引き続き強力に進めていく予定です。

また、今は法務担当がクラウドサインを操作して契約書の送信などを行っていますが、そこも自動化したい。社内決裁システムとAPIで連携させて、決裁が終わったら人の手を介さずに契約締結完了まで自動化できるといいですよね。

最後にクラウドサインやクラウドサイン AIの導入を検討している企業に向けてメッセージをいただければ。

横山様
クラウドサインは決して高価なサービスではないというか、非常にリーズナブルなサービスですから、まず使ってみてほしいですね。「こんなに早く契約締結が終わるんだ」というような実感や利便性の高さは、使ってみないとやはりわかりませんから。

それと、クラウドサインには安心感がありますよね。シェアナンバーワンであるところだけでなく、運営元である弁護士ドットコムが電子署名法などの法令にも適合する形でサービスを開発しているのは、ユーザーとしても、法務を担当する人間としても、信頼感が高いなと思っています。

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