ドキュメント管理は「複利」で効果が現れる長期投資 中小企業が成功させるためのポイントを紹介
契約書や見積書など取引業務全般のドキュメント管理(書類管理)は直接利益を生み出すものではないため、後回しにされる傾向があります。
一方で、電子帳簿保存法(電帳法)の施行によって、2024年1月から電子取引のデータ保存が義務化され、違反者には罰則も適用されるようになりました。中小企業にとっても適切なドキュメント管理は必須かつ急務といえるでしょう。
「ドキュメント管理方法の改善は、長期的に複利効果が現れる『投資』です。」こう語るのは、契約管理プラットフォーム「クラウドサイン」の製品企画を担当する佐藤健太さん。
今回は、佐藤さんにインタビューし、中小企業におけるドキュメント管理の課題や管理ツールを選ぶ際のポイント、ツールを導入するステップなどを紹介してもらいました。ドキュメント管理に二の足を踏んでいる担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
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弁護士ドットコム株式会社クラウドサイン事業本部PdM・Design部
決済領域や飲食業界のDX推進において、ITプロダクトによるお客様の支援に従事。現在はクラウドサインにて、電子帳簿保存法に対応した書類管理に関する製品企画を担当。取引業務・書類管理業務に関するお客様へのインタビューを通してニーズを深堀りし、運用実態や法令要件を踏まえた製品設計に落とし込む役割を担っている。
目次
中小企業では、ドキュメント管理の属人化や非効率化が課題に
ーー中小企業のドキュメント管理の課題について、佐藤さんは現場の声も聞いているそうですね。実際にどのような課題がありますか。
中小企業でよく聞く課題としては、書類が担当者ごと・部署ごとに別々の場所に保管され情報が散在しているという点が挙げられます。担当や部署を横断して見たいときに見られなかったり、必要な書類を探す手間がかかり、業務の非効率化につながります。
また、ドキュメント管理が属人化すると、担当者の異動や退職によって書類が見つからなくなるリスクもあります。
ーーなぜ、そのようなことが起きてしまうのでしょうか。
ドキュメントが散在する原因は、組織全体での管理体制が整っておらず、担当者が目的意識を持たずに作業してしまうことにあります。
担当者が「誰が、何のために、いつ、どうやって使うのか」といった俯瞰した視点を持たずに作業を行なうと、「自分がもっともやりやすい方法」で書類を保存・管理してしまいます。個人にとっては最適な方法でも、組織全体でみた時には不適切な保管であることが往々にしてあるのです。
部署によって異なるツールを使い、異なるルールで保管している企業も多いですね。ツールやルールが違うと、他部署の書類を探すのに手間がかかってしまいます。
ーー組織全体で管理体制を整えるのが難しくなっている背景として、どのような要因が考えられるでしょうか。
ドキュメント管理のようなバックオフィス業務は直接利益を生み出すものではないため、優先順位が低くなりがちです。
予算をかけず、Excelなどの既存ツールのみでドキュメント管理を乗り切ろうとする企業の場合、Excelの上級者がマクロ関数を組んでなんとかやりくりしているケースもありますが、その人が辞めてしまうとまた振り出しに戻り、属人化や非効率化に陥ってしまいます。
ーーそもそも、電子データでドキュメント管理をしている企業と、紙ベースで管理している企業だと、実態としてどちらが多いのでしょうか。
私の印象としては、紙で保管されている企業の方が多い印象です。
中小企業では、データの形態は取引先に依存することが多いです。大口取引先が紙の書類を希望すると、紙で対応します。紙の書類の場合、捨てどきがわからず、本来であれば捨ててもいい書類まで保管し続けてしまい、保管スペースを圧迫するという課題や、セキュリティリスク、紛失などのコンプライアンス面での課題もあります。
ドキュメント管理ツール導入のポイントは、電子帳簿保存法への対応
ーー紙からデジタルでのドキュメント管理へ移行するにあたって、ツールを選ぶ際に重要なポイントがあれば教えてください。
ドキュメント管理については考えるべきポイントが多いので、重点ポイントを絞ってツール選定を進めることが大切なのではないかと考えます。
たとえば、近年では電子帳簿保存法に準拠した形式で、適切にドキュメントを保存できるかどうかを起点に考えてみるのがおすすめです。
法人税や所得税などに関わる帳簿や書類を、紙ではなく電子データで保存することを認める法律。ペーパーレス化による業務効率化やコスト削減を目的としています。特に重要なのが、2024年1月1日から電子取引で受け取ったデータは、電子データのまま保存することが全ての事業者で義務化された点です。紙に出力しての保存は原則として認められなくなりました。
参考:国税庁「電子帳簿等保存制度 特設サイト」
ーー電子帳簿保存法の対応ポイントがあれば教えてください。
取引先から PDF などの電子データで請求書や契約書などが送られてきた場合、2024年1月以降は電子データのまま保存することが義務付けられており、紙での保存は認められていません。
具体的には、「取引年月日・取引先名・取引金額」の3項目で検索できること(検索機能の確保)や、タイムスタンプなどによってデータが改ざんされていないことの証明(データの真実性を担保する措置)などが、データ保存の要件となります。(参考:中小企業庁ミラサポplus「どうすればいいの?「電子帳簿保存法」)
ーー電子帳簿保存法への対応という観点以外でも、ドキュメント管理ツール選定における重要なポイントがあれば教えてください。
書類の検索性は、電子帳簿保存法対応という観点だけでなく実用面でも重要です。散在している書類の中から必要なものを見つけ出すためには、簡単に、より正確にドキュメントを検索できることが望ましいでしょう。
ほかにも、ITに詳しい人材がいなくても導入しやすく、誰でも直感的に操作できる画面であることも非常に重要です。
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この資料では、電子帳簿保存法改正のポイントや法遵守のコツをまとめています。2022年1月の改正は、企業のデジタルトランスフォーメーションを後押しする規制緩和要素が強い反面、規制強化要素もあり、対応には注意が必要です。気になる方はぜひダウンロードのうえ、ご活用ください。
ダウンロード(無料)対象を絞って始めることが、ドキュメント管理成功への近道
ーードキュメント管理ツールの導入をどのように進めたらよいでしょうか。また、今後ドキュメント管理に着手する中小企業へのアドバイスがあればお願いします。
全社のドキュメント管理を一気に進めるのではなく、電子帳簿保存法などの法令で定められている重要な書類など、範囲を決めて取り組むことが成功への近道となります。
まずは、電子帳簿保存法の罰則の対象になる書類から手をつけると、始めやすいのではないでしょうか。
ドキュメント管理は企業への長期投資、「複利」で効果が現れる
ーー最後に、紙と電子データの両方でドキュメントを管理している中小企業が業務改善を進めるうえでアドバイスがありましたらお願いします。
導入したツールを社内に定着させるには、プロジェクトを推進する担当者や社長の「鶴の一声」のようなトップダウンの意思決定が大変重要です。大企業にはDX推進チームのような専門部署がありますが、中小企業でバックオフィスの改革を進めるためには、強いリーダーシップが求められます。
IT人材が不足している企業なら、外部コンサルタントやツールの提供会社の導入サポートなどのサービスを積極的に活用しましょう。
中小企業の方々とお話すると、自分たちでは無理だと抱え込んでしまっていることも多いです。外部に頼ると費用は発生しますが、長い目で見ると、コスト削減や生産性の向上などにつながり、企業が成長していくための投資と考えることもできます。
中小企業の多くは、日々の業務に追われ、目の前の短期的な成果に目を向けがちですが、ドキュメント管理の改善は、長期的に複利で効いてくる投資だといえます。時間がたつほどデータや知識が蓄積され、データが再利用できるようになったり、リスク低減したりといったプラスの効果が急激に増えていくものだからです。
管理ツールの導入や外部コンサルタントの活用などに時間やお金を投資し、適切な方法で書類を管理することは、企業が持続的に成長していくためには不可欠になってくるでしょう。
ドキュメント管理の第一歩は「クラウドサイン」から
2024年1月から電子取引データ保存が義務化され、適切なドキュメント管理は企業の急務となっています。クラウドサインは、電子帳簿保存法に対応した書類管理をサポートし、貴社の業務効率化とコンプライアンス強化を支援します。
【クラウドサインでできること】
概要 | |
契約書の作成・締結・保管の一元管理 | 紙の契約書作成にかかる時間や手間を削減し、 契約業務をスムーズにします。 |
電子帳簿保存法に対応したデータ保存 | 検索機能やタイムスタンプ機能により、法令 要件を満たした安全なデータ保存を実現します。 |
高いセキュリティ | 厳重なセキュリティ対策により、重要な契約 データを安全に保護します。 |
直感的な操作性 | ITに詳しくない方でも簡単に使えるシンプルな 操作画面で、導入後すぐに活用できます。 |
クラウドサインでは、契約書のデジタル化を検討する方に向けた資料のセットもご用意しています(無料)。ぜひ、参考資料としてダウンロードしてみてください。
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ダウンロード(無料)この記事を書いたライター

業務改善プラスジャーナル編集部
業務改善は難しそう、大変そうという不安を乗り越え、明日のシゴトをプラスに変えるサポートをします。単なる業務改善に止まらず、組織全体を変え、デジタル化を促進することを目指し、情報発信していきます。契約管理プラットフォーム「クラウドサイン」が運営。
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