インタビュー

中小企業で全体最適を成功させるコツとは?部分最適に陥ってしまう要因と解決策

企業が業務改善をして高いパフォーマンスを発揮できる状態にするためには、企業規模の大小にかかわらず「全体最適」に取り組むことが重要です。

しかし、全体最適の実現は難しく、組織が各部署や個人がそれぞれの最適化に走ってしまい(部分最適)、それが企業全体の利益向上につながらず、むしろ部門間で対立を引き起こしてしまう――。このようなケースはよく聞かれます。

この記事では、年間100社以上の業務改善やDX推進をサポートしてきた「クラウドサイン」のコンサルタント2名にインタビューし、部分最適に陥ってしまう要因や全体最適を推進するためのコツを伺いました。

【この記事に登場する専門家】

武江 倫子さん
弁護士ドットコム株式会社クラウドサイン事業本部カスタマーサクセス部ソリューションコンサルチームチームマネージャー
SIer企業へ入社後、医療機関向け情報システムの営業に従事。その後、弁護士ドットコム株式会社へ入社し、クラウドサインのカスタマーサクセスとして、電子契約サービスの導入や契約締結業務の効率化など、100社以上の電子契約導入・活用促進を支援してきた。現在は、契約業務を含む、取引業務全体の効率化を専門とするコンサルタントとして活動中。

 

蜂須賀 聡さん
弁護士ドットコム株式会社クラウドサイン事業本部カスタマーサクセス部ソリューションコンサルチーム
ITインフラからSaaSのプロダクト開発まで14年以上の経験を積む。現在はクラウドサインと各種システムとの連携支援・導入コンサルティングに従事。技術とビジネス両面の知見を生かし、これまで100社以上の顧客の業務改革とDX推進を支援してきた。

中小企業において全体最適は本当に重要なのか?

--そもそもの前提の確認になってしまうのですが、中小企業でも「全体最適」は重要なのでしょうか。規模が小さい企業においては部分最適から進めるのも一案という考え方もありそうです。

武江さん
重要になってきていると思います。人材不足やAIの台頭などで顧客や市場から求められる業務スピードはどんどん早くなっています。

全体最適ができていないと、このスピードに対応できなくなり、機会損失につながるおそれがあります。

「全体最適の失敗」はなぜ起きる?

--中小企業の業務改善をサポートするなかで、全体最適がうまくいかなかったケースがあれば教えてください。

武江さん
契約管理プラットフォーム「クラウドサイン」を導入された企業様の中には、契約書の電子化という課題は解決できましたが、残念ながらツールを導入したことでかえって業務が増え、不便になってしまった、とご相談を受けたことがありました。

--なぜそのような失敗が起きてしまったのでしょうか。考えられる原因があれば教えてください。

武江さん
仮説ですが、ツール導入時点で部分最適の観点で考えてしまった可能性があります。

「契約書の締結を電子で行なう」という、業務の一部を最適化するためにシステムを対症療法的に導入したものの、契約書の作成や社内稟議といった前後の業務フローをどうするか?を合わせて考えていないと、かえって業務が増えてしまうことがあります。

ITツールは、「それを導入すれば課題が一気に解決される」という魔法のようなシステムはないので、どこにどのように適用すれば最も効果的かを考えたうえで、複数のツールを連携するなどして最適化に導くことも必要です。

蜂須賀さん
予算の取り方に問題があるケースもあります。単に「作業工(=人)を代替する」という考え方で予算を取ってしまうと、割ける予算が少なくなってしまい、本来活用すべきツールやオプションを導入できなくなってしまう可能性があります。

単なる工数削減効果のみで採算を合わせようとすると、ツール導入がうまくいかなくなる印象があります。

全社業務の効率化を考えることで、より多くの予算を確保できるかもしれません。

蜂須賀さん

書くべきは「業務フロー図」。無駄を見つけ、二度手間をなくす方法とは

--全体最適に向けて、中小企業が全社業務を改善させるための重要なポイントがあれば教えてください。

蜂須賀さん
おすすめなのは、業務フローを書くことです。

ほとんどの業務は何かをインプットして、最後にアウトプットすることで終わりますよね。このインプットからアウトプットまでの一連の「業務フロー」として図式化します。

業務フロー図が書けたら、二度手間になっている業務を見つけましょう。そこから、手間を減らすために何をすべきかを考えて業務改善に着手するとよいでしょう。

業務フロー図の一例(契約業務の場合)

--業務フロー図を書くコツはありますか。

蜂須賀さん
まずはA4用紙1枚に書くことをおすすめします。業務フロー図は細かく書けばいくらでも細かくなってしまうので、まずはざっくり書くところからはじめるのがおすすめです。

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全体最適の実現に向けた組織づくりのポイントとは

--社内への周知はどのようにすべきでしょうか。

蜂須賀さん
業務改善の全体像やビジョンができた段階で、社内横断チームを設置して話し合いに移りましょう。その際、何を目指すのかをストーリーで語れるようにしておくことが重要です。

そして全体最適の実現に向けて優先順位をつけ、必要なシステムを選定していくといった流れがベストです。

外部の知見を活用することも重要です。コンサルタントに客観的な視点で分析をしてもらったうえで、今後の方針を決めてもいいでしょう。 社内の反発もあるかもしれませんが、目からうろこが落ちるようなアドバイスをもらえるかもしれません。

--社内コミュニケーションの活発化、横の繋がりを強化することは重要でしょうか。

武江さん
社内コミュニケーションの活発化は「あればいい要素」かなと思います。(社内コミュニケーションを活発化するというのは)どちらかというと、 IT系やホワイトカラーの職種系の発想ですよね。

全体最適の観点で言うと、現場を理解するためにコミュニケーションが必要なのであって、方向性やプロジェクトを押し進めるのに横のコミュニケーションが必須というものではないと思います。

蜂須賀さん
他部署の業務を理解するのが目的なのであれば「一緒に仕事をすること」がもっとも効率的だと思います。結局、同じ釜の飯を食べなければ、お互いのことはわからないということですね。

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社内の反発にはどう対応すべきか

--業務改善を進めるなかで、社内から変化への反発を受けた際はどのような対応をすればよいでしょうか。

武江さん
効果的なのは、「会社の方針」として業務改善を打ち出し、現場がやらざるを得ないようにしていくことです。KPI(重要業績評価指標)や個人目標に含めてもいいでしょう。

もし、業務改善によって、不便が生じたり、負荷が増えたりするので「やりたくない」という話であれば、 まだ全体最適ができていないということなので、あらためて全体最適の観点から業務フローを再設計して、業務的な負荷をなるべく取り除くようにしましょう。

蜂須賀さん
業務改善やDXを進める中で、どうしても「取り残されてしまう人」もいると思うので、上からのアプローチと合わせて、下からのサポートラインもあると理想的です。運用ルールが定まらないまま現場に投げ込むと混乱を招くので、手順書や社内マニュアルを作成するなどのサポートも重要です。

--あらためて、中小企業で全体最適を実現するうえで重要なポイントは何だと思いますか?

蜂須賀さん
改善しようと思っている内容が経営トップ層が目指す方向性とあっているかどうか?がやはり重要だと思います。

さらに、その時間軸も考慮する必要があります。社長が「半年以内で」と思っているなら半年以内で成果が求められます。

経営層とベクトルや時間軸が合致していれば、成功する可能性は高くなると思いますよ。

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この記事を書いたライター

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業務改善プラスジャーナル編集部

業務改善は難しそう、大変そうという不安を乗り越え、明日のシゴトをプラスに変えるサポートをします。単なる業務改善に止まらず、組織全体を変え、デジタル化を促進することを目指し、情報発信していきます。契約管理プラットフォーム「クラウドサイン」が運営。

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