採用管理システムとは?導入のメリットと国内で人気のおすすめツール8選

採用管理システム(ATS:Applicant Tracking System)は、求人から内定までの採用活動を一元管理・効率化できるツールです。導入することで応募者情報や選考状況を一元管理でき、採用担当者にかかる業務負担を大幅に削減可能です。
この記事では、採用管理システムの基本や導入のメリット・デメリットに加え、システムの選び方と2025年版の人気ツール8選を紹介します。採用DXの第一歩として、採用管理システムの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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採用管理システムとは?基本をわかりやすく解説
まずは、採用管理システムとはなにか、その基本から解説していきます。
採用管理システムの意味と目的
採用管理システムは、求人掲載から応募者管理、面接調整、内定までの採用業務を一元的に管理するツールです。英語ではApplicant Tracking Systemとなり、この頭文字をとってATSとも呼ばれています。
ジョブズコミュニティーレポートによると、2021年時点での国内における採用管理システム導入率は36.6%と、40%に達していない状況ですが、DXの波とともに、今後さらに普及していくとみられています。(株式会社リクルートの採用担当者向けサイト「人材インフォ」のメールマガジン会員へのアンケート結果)
出典:ジョブズコミュニティーレポート 2021年7月号 ―採用管理システムの導入が進む 2018年より約6pt増加―|ジョブリサーチセンター(JBRC)
どんな業務を効率化できるのか
採用管理システムにはさまざまなタイプが存在しますが、主に以下のような業務を効率化できます。
- 求人票の作成・求人媒体への掲載
- 応募者情報の管理
- 書類選考
- 面接の日程調整
- 選考ステータス管理
- エージェント管理
採用業務は煩雑になりがちですが、定型業務を自動化したり、関係者の間で複数担当者で情報を共有したりすることで、よりスムーズに進めることができます。
さらに、より高機能なサービスであれば、以下のような採用データを可視化したり、分析したりする機能が提供されていることもあります。
- 採用経路・求人媒体ごとの歩留り
- 採用目標進捗
- 応募数の推移
- 採用コスト
- 面接官ごとの評価実績
このような機能を使って採用活動の全体像を可視化し、PDCAを回すことで、より採用目標の達成率を改善し、採用コストを最適化できる可能性があります。
Excel管理との違いと限界
採用情報の管理はExcelでも可能ですが、データ更新や共有に手間がかかり、ヒューマンエラーが起こりやすい一面もあります。
採用管理システムであれば、リアルタイムで情報を共有でき、データの抜け漏れを防げます。
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(※本動画は2024年4月開催セミナーのアーカイブです。セミナー内容は開催時点のものであり、最新とは限りません)
採用管理システムを導入するメリット
ここからは、採用管理システムを導入するメリットについて解説していきます。
業務効率化とスピードアップ
採用管理システムを導入することで、求人作成、応募者管理、面接調整など、繰り返し発生する作業を標準化・省力化でき、作業時間を大幅に短縮できます。また、応募者情報の自動取り込みや面接日程の自動調整機能、メールの一括送信など、手作業では時間のかかる工程を効率化できるため、採用スピード向上にも寄与します。
応募者体験(CX)の向上
候補者への対応スピードが上がれば、応募者体験(CX:Candidate Experience)の改善にもつながります。CXとは、求職者が企業を認知してから入社するまでの一連のプロセスにおける体験を指します。
レスポンスが遅い企業は、「社内の意思決定が遅いのでは」「入社後の働き方が不安」と感じさせ、スキルの高い人材が他社へ流れる可能性も否定できません。選考プロセスをスピーディーかつストレスの少ない環境に整えることで、優秀人材の離脱防止効果が期待できるでしょう。
データに基づいた戦略的な意思決定
システムを活用することで、応募経路や選考通過率などのデータ分析により、戦略的に意思決定ができるようになり、採用コストの最適化や施策改善が可能になります。客観的なデータ分析による採用基準があれば、経験やカンに基づく採用業務の属人化を防ぎ、採用DXの実現にも直結するでしょう。
採用管理システムを導入するデメリット
採用管理システムは、求人から採用までの業務効率化が期待できる一方、注意したいデメリットもあります。
導入・運用にコストがかかる
採用管理システムは、多くのツールが月額制となっており、初期費用やカスタマイズ費用が発生します。システムを導入する際は、必要な最低限の機能を見極め、導入と運用のコスト負担を慎重に検討する必要があるでしょう。
新たな入力作業が発生する
システムを導入すると、応募者情報の入力など新たな業務が発生します。もちろん、システムの取り扱いに慣れれば、作業の手間は確実に軽減されますが、一つひとつの作業工程・作業の目的・スケジュールに関して、計画を立てつつ進めていく必要があるでしょう。
情報漏洩のリスクがある
採用業務は個人情報を扱うため、セキュリティ体制の整備が不可欠です。導入時はSSL暗号化やアクセス制限などの安全対策を確認しましょう。特に、現在主流となっているクラウド型の場合は、データの暗号化やモニタリング、サイバー攻撃対策といった、セキュリティ体制のチェックが不可欠です。
採用管理システムの主な機能とできること
ここでは、採用管理システムで、主にどのようなことができるかを紹介します。
応募者情報の一元管理
採用管理システムを使えば、氏名・経歴・応募媒体などの情報を、システム上で一元管理できます。リアルタイムで複数の人事担当者に情報共有できるため、採用進捗の可視化が容易です。加えて、採用基準の統一もしやすいため、自社にとって必要な人材を見極めやすくなるでしょう。
選考状況のステータス管理
「書類選考中」「面接中」「内定」といったステータスを自動更新できるため、どの候補者がどの段階にいるか直感的に把握できます。候補者のステータスが把握しやすい分、一人ひとりの見極めに時間や労力を割くことができます。優秀な人材を見極める、精度の向上が期待できるでしょう。
面接スケジュールの自動調整
候補者と面接官の予定を自動照合し、空き時間を提案する機能を搭載しているツールもあります。メールで調整を行っているのであれば、その負担を大幅に軽減できるでしょう。また、面接スケジュールの調整がスムーズになれば、より多くの面接時間を確保できもしれません。
求人媒体との連携・分析
採用管理システムは、「リクナビ」や「マイナビ」といった主要大手求人サイトとの連携も可能です。応募経路別の効果測定により、媒体費用の最適化も可能なため、採用業務における費用対効果も向上するでしょう。
応募者とのコミュニケーション
採用管理システムでは、メールやチャット機能を通じて、候補者とのやり取りをシステム上で一元管理可能です。送信履歴や返信状況も可視化されるため、一人ひとりの応募者とコミュニケーションがとりやすく、逃したくない優秀な人材との信頼関係も築きやすくなります。
採用活動の分析・レポート化
採用数や離脱率、選考スピードなどを自動レポート化する機能も備わっています。客観的なデータをもとに、採用戦略の立案が可能です。「思うような人材がなかなか見つからない」「優秀な人材の定着率を向上させたい」といった課題に対しても、採用活動レポートが役立つでしょう。
採用管理システムの選び方のポイント
ここからは、採用管理システムの選び方について解説します。
機能
まずは、自社の採用フローに必要な機能を明確にしましょう。その上で、採用管理システムに備わっている基本機能をチェックし、媒体連携やレポート分析などの拡張性を確認していきます。必要な機能に優先順位を付け、副次的な機能の有無が、業務効率化や採用の質にどう影響するかも分析してみましょう。
使いやすさ
操作画面のわかりやすさ(インターフェース)や使いやすさも重要です。社内の誰もが使いやすいものであるかも、確認しておきましょう。本格導入の前に、無料トライアルを活用すれば、自社にあったツールを見つけやすくなります。採用担当者が直接、操作性を確認することが理想的です。
料金体系
初期費用・月額費用・ユーザー数課金など、料金形態はツールによって異なります。採用管理システムの導入には、多くの費用がかかるため、コストパフォーマンスも大切な比較要素のひとつです。
既存システムとの連携性
既存の人事労務・給与・評価システムと、データの連携が可能かも確認しましょう。連携性が高いほど、採用DXの効果を最大化できます。ツールによって連携できるシステムが異なる場合は、採用担当者をはじめとする、現場の意見を確認することも重要です。
サポート体制とセキュリティ
導入後のサポート対応やマニュアル整備、セキュリティ基準(ISMS認証など)の有無をチェックしてください。豊富な機能や拡張性があるツールでも、サポート体制が不十分だと、その価値を発揮できないかもしれません。安心して長期利用できる体制が大切です。
国内で人気の採用管理システム8選【2025年版】
以下は、導入実績が多く、比較サイトでの評価も高い国内ツールです。
| サービス名 | 特徴(おすすめポイント) | おすすめ規模 |
| ジョブカン採用管理 | コスパ抜群。求人媒体連携が豊富で中小企業に人気 | 中小企業 |
| HRMOS採用 | データ分析が強力。人材可視化に優れる | 中〜大企業 |
| SmartHRタレントマネジメント | 労務システムと統合し、採用後の人材管理まで一括対応 | 中〜大企業 |
| リクナビHR Tech採用管理 | リクナビ・Indeedとの強力な連携機能が特徴 | 大企業 |
| sonar ATS | カスタマイズ性が高く、複数職種採用に対応 | 中〜大企業 |
| i-web | 大手企業の新卒採用に強み。エントリー集計が容易 | 大企業 |
| HERP Hire | スタートアップやIT企業に人気。スピード採用に最適 | ベンチャー〜中企業 |
| タレントパレット | 採用から人材育成まで一元化。人材データ分析に強い | 中〜大企業 |
ジョブカン採用管理
リーズナブルな価格設定とシンプルな操作性が魅力です。求人媒体との自動連携機能が充実しており、IndeedやGoogle しごと検索など、複数チャネルの応募情報を一括管理できます。求人媒体連携・ステータス管理・分析機能を標準搭載しており、初めての採用管理システム導入にも最適です。
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HRMOS採用
株式会社ビズリーチが開発した採用管理システムです。応募経路別の効果測定、面接評価シートの共有、採用進捗の可視化など、チーム全体で採用を推進できる設計が特徴となっています。人材データの蓄積により、採用課題を定量的に把握できる点も強みです。
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SmartHRタレントマネジメント
採用だけでなく、入社後の人事データ管理や育成、評価までを一元化できる統合型システムです。従業員情報と採用データを連携させることで、採用後の定着率向上や人材配置の最適化を実現します。労務・給与・人事評価など、SmartHR全体と連動できる点が大きな特徴です。
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リクナビHR Tech採用管理
株式会社インディードリクルートパートナーズが提供する採用管理ツールで、中途採用に特化した採用管理システムです。複数の人材紹介会社(エージェント)から送られる候補者情報を自動登録し、一元管理できるのが最大の特徴となっています。リクルートサービスを活用する企業との親和性が高いシステムです。
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sonar ATS
採用フローを柔軟に設計できるカスタマイズ性が特徴的です。複数職種や拠点をまたぐ採用プロセスを自在に設定でき、担当者ごとの権限管理も細かく調整できます。外部ツールとの連携も豊富で、大手・中堅企業の複雑な採用体制にも対応できる拡張性が魅力です。
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i-web
株式会社ヒューマネージが提供する新卒採用特化型の採用管理システムです。大手企業の新卒採用で広く導入されており、学生とのコミュニケーションを円滑にする専用機能も搭載しています。企業ブランド体験を重視したUI設計で、応募者の満足度向上にも貢献するでしょう。
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HERP Hire
スタートアップやIT企業を中心に支持される、クラウド型採用管理システムです。Slack連携やタスク管理機能を備え、採用担当以外の社員も巻き込む「オープン採用」を実現します。候補者対応の効率化はもちろん、レポート分析機能で採用経路や面接通過率を可視化できるため、スピードと透明性を重視する企業に最適です。
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タレントパレット
AIによる人材データ分析を活用し、「科学的採用」を実現したタレントマネジメントシステムです。採用段階のスキルデータと、入社後の評価・離職傾向を紐づけて分析できるため、定着率向上や人材配置の最適化に効果を発揮します。採用DXと人材戦略を同時に進めたい中〜大企業におすすめです。
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導入後に注意すべきポイントと運用のコツ
採用管理システムは、導入すればそれで終わりではありません。ここでは、導入後に注意したい点や、安定した運用をしていくためのコツを解説していきます。
運用ルールの明確化と社内浸透がカギ
ツールを導入しても、運用ルールが曖昧だとよい効果が得られません。役割分担を明確にし、社内研修を実施して浸透を図りましょう。
データ活用による採用戦略の最適化
蓄積データをもとに、媒体効果や面接通過率を分析することも欠かせません。データをただ蓄積していくだけでなく、テーマを絞って分析し、戦略的な採用計画に活かすことが重要です。効果的に活かすことで、より採用管理システムの価値を感じられるでしょう。
他システムとの連携で効果を最大化
労務・評価システムや契約管理システムと連携すれば、入社後のデータ活用まで一貫して管理することが可能です。異なるシステムの連携が実現すれば、採用DXの基盤となり、長期的な運用が見込めるでしょう。
まとめ|採用管理システムで採用DXを推進しよう
採用管理システムは、採用業務を効率化するだけでなく、データ分析による戦略的な意思決定を支える重要なツールです。システムの導入を検討するときは、自社の採用規模や目的に合わせて比較検討し、最適なツールを選ぶことが欠かせません。採用DXを進める第一歩として、ぜひ採用管理システムの導入を検討してみてください。
また、採用管理システムと併せて導入を検討したいサービスのひとつに「電子契約」が挙げられます。
内定後、デジタルな形式で雇用契約書や労働条件通知書を送付することで、内定後の業務もスムーズになり、内定者の満足度も向上することが期待できるためです。
なお、クラウドサインはさまざまな採用管理システムと連携することもできるので、業務フローを大きく変えることなく導入することも可能です。
詳しく知りたい方は、ぜひこちらの資料もご覧ください。
この記事を書いたライター
川上雅哉
ライター/編集者
個人事業主としての経験と確かなエビデンスを元に、ビジネス・IT・美容・健康と、多くのジャンルの記事を執筆するフリーランスライター。難しい内容や専門用語を多く使うものを幅広い視野で読み解き、わかりやすい言葉に変えてみなさまにお届けしています。
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