反社チェックツール5選を比較|企業リスク対策と導入のポイント解説
近年は法令遵守やリスク管理の観点から、取引先に反社会的勢力との関係がないかを確認する「反社チェック」が欠かせません。反社チェックを効率的に実施するためのツールも登場している一方、ツールを適切に活用するためには、押さえておくべきポイントも少なくありません。
この記事では、法務・コンプライアンス・リスク管理などのご担当者様に向け、主要な反社チェックツール5製品を比較し、それぞれの特徴や選定時のポイント、導入時の注意点を解説します。
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反社チェックツールの必要性と基本情報
反社チェックツールは、取引先企業や個人に関するネガティブ情報を迅速に洗い出し、反社会的勢力との取引リスクを低減するために欠かせません。近年はコンプライアンス強化の観点から、多くの企業で導入が進んでいます。
ここでは反社チェックツールとは何かという基本から、その必要性について解説していきます。
反社チェックツールとはなにか
反社チェックツールとは、企業との取引開始前や採用時に、取引相手が暴力団をはじめとする反社会的勢力(フロント企業なども含む)と関わっていないかを確認するためのツールです。(コンプライアンスチェックとも呼ばれます)
新聞やウェブ記事、SNS投稿や口コミサイトなどから情報を収集し、組織や個人に関する過去の事件・不祥事、行政処分歴といったネガティブ情報を効率的に洗い出します。
反社チェックツールが求められる社会的背景
2007年には政府が反社会的勢力排除を目的とする指針を示し、2011年には全国の都道府県で暴力団排除条例が制定されました。以降、全企業で反社排除が重要課題となり、特に上場企業や金融業では反社排除が義務化されています。
万一、取引先などに反社会的勢力との関与が発覚した場合、企業のブランドイメージや社会的信用は大きく損なわれ、取引停止や法的リスクに直結しかねません。
しかし巧妙に実態を隠している反社会的勢力も多く、各社は独自にチェック方法を工夫する必要があります。
こうした背景があるため、企業が反社チェックを効率的かつ確実に行うためには、専門ツールの導入する必要があるのです。
反社チェックツールを選ぶ際の比較ポイント
反社チェックツールを比較検討する際は、調査範囲・情報源の信頼性、チェック対象の網羅性、検索機能とスクリーニング精度、料金体系、業務効率化・システム連携の5つの観点が重要です。以下、それぞれについて解説します。
調査範囲と情報源の信頼性
多くの反社チェックツールは、新聞記事やWeb上の記事、SNS投稿など幅広い情報源を独自にデータベース化して活用しています。しかしWeb上の情報だけでは信頼性に限界があるため、新聞記事など信頼度の高い情報源をカバーしているかに注目しましょう。
また、中には1960年以降の反社情報を蓄積した独自データベースや、海外の制裁リストまで網羅したツールも存在するため、自社のリスク基準に応じた選定が重要です。
チェック対象の網羅性
チェックする対象(反社会的勢力)が限定されていないかも大切なポイントになります。暴力団との関係有無だけでなく、犯罪関与や重大な不祥事、訴訟・行政処分歴など、リスクとなりうる事項全般を調査できるツールが望ましいでしょう。また、企業だけでなく役員個人名の情報をチェック対象にできるかもポイントです。
検索機能とスクリーニングの精度
一般的なキーワード検索では無関係な情報(ノイズ)が多数ヒットし、必要な情報を見極めるのに手間がかかります。AIによる記事の自動選別や、データソース段階で不要情報を除去する仕組みがあるツールなら、重要なネガティブ情報を効率良く抽出可能です。
料金体系
コスト面も重要な比較ポイントです。各ツールは、「検索1件ごとの従量課金制」や「月額固定の定額プラン」など、料金体系が異なります。大量にチェックする場合は定額プランが割安になる一方、件数が少ない企業であれば、初期費用無料で1件から利用できる従量課金型がコストパフォーマンスに優れているでしょう。
業務効率化・システム連携
ツール導入により、反社チェック業務の効率化や既存システムとの連携が図れるかも確認しましょう。たとえば、取引先リストをまとめて一括検索できる機能や、自社の顧客管理システムとAPI連携して自動チェックできるサービスがあります。その際は、専門知識がない社員でも操作しやすいUI/UX設計かも重要ポイントです。
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ダウンロード(無料)反社チェックツール5選の徹底比較
ここからは、おすすめの反社チェックツールを5つご紹介します。
【反社チェックツール5選の比較表】
製品名 | 料金体系 | 特徴 |
---|---|---|
RoboRoboコンプライアンスチェック | 月額制 | 国内外のWebニュース・新聞・海外DB を同時検索。AIで重要情報を抽出し、 反社情報から法令違反まで幅広く網羅 |
RISK EYES | 月額利用型 (利用規模により変動) |
ニュース・新聞・制裁リスト・独自DBな ど5種の情報源を検索。ノイズ除去によ り反社・犯罪・不祥事情報を正確に把握 |
DQコンプライアンスチェック | 初期費・月額無料で完全従量課金 1件500円~ |
国内最大級のメディアDBとWebで反社 ・犯罪・訴訟・破産情報を調査。 必要に応じ専門調査員による深掘り調 査も可能で網羅性抜群 |
アラームボックスパワーサーチ | 1件500円~の従量課金制 月額3,000円など低価格プランあり |
非公開の反社データ、新聞記事、Web情 報を組み合わせ、多角的に検索。事件化 前の風評情報まで取得可能でリスク情 報を幅広くカバー |
Sansan(リスクチェック) | Sansan契約企業向け追加機能 (Sansan料金プランにより異なる) |
世界的なリスクDB「World-Check」と 国内公知情報DBに照合し、反社・金融 犯罪・制裁リストなど多様なリスクを 自動検知 |
RoboRoboコンプライアンスチェック
オープン株式会社が提供するクラウド型の反社チェックツールです。取引先の法令違反や社会規範に反する活動がないかを自動でチェックできるサービスで、担当者の意思決定を支援します。多数の取引先をExcelで一括登録し、1クリックでまとめて検索可能です。
生成AI/LLMを活用した独自の「AI注目度判定」機能により、関連性の高い記事を自動選別して重要なリスク情報を見逃さず確認できます。また、インターネット記事と新聞記事を1クリックで同時検索が可能です。
世界190ヵ国・約570万件の法人・個人データを持つWorld-Checkデータベースとも連携しており、公的情報以外のネガティブ情報も含め国内外のリスクを幅広く網羅します。検索結果はCSVデータ出力やWEBページ画面キャプチャのPDF取得が可能で、証跡(エビデンス)を効率良く保存・管理できます。
RISK EYES

画像引用元:RISK EYES公式サイト
ソーシャルワイヤー株式会社が提供する反社チェック専用ツールです。法人名や代表者名とネガティブなキーワードを組み合わせ、Web・新聞記事データベースから取引先のリスク情報を検索します。複数の企業・個人をリストで一括検索でき、検索後すぐに結果を画面表示可能です。
Salesforceなど社内システムとの連携にも対応しており、自社のシステム上でも結果を確認できます。AIによる記事のネガティブ度判定で重要度の高いリスク情報を優先表示できるため、無関係なノイズを大幅に削減可能です。さらに、掲示板やブログ上の風評も検索でき、反社勢力以外の不正や疑惑情報まで幅広く把握できます。
DQG反社チェック

画像引用元:ディー・クエストグループ公式サイト
ディー・クエストグループ(DQG)が提供する反社チェックサービスです。20年以上の企業調査実績があり、専門調査員がノイズを除去した高精度な報告書を提供します。初期費用不要・従量課金制で、大量件数の一括調査にも対応可能です。
日本最大級のメディアデータベースから反社会的勢力や犯罪・訴訟履歴といった情報を徹底調査し、信頼性の高い結果を得られます。また、必要に応じて覆面インタビューによる深度調査も可能です。加えて、100ヵ国以上を調査可能なグローバル体制も備えています。専用Web画面で依頼でき、比較的リーズナブルなLiteプランも用意されています。
アラームボックス パワーサーチ

画像引用元:アラームボックスパワーサーチ公式サイト
アラームボックス株式会社が提供する与信管理クラウドの反社チェック機能です。専門調査会社のデータに加え、新聞記事やWeb上の風評情報を組み合わせて検索し、取引先の反社勢力関与や過去の不正を広範囲にチェックできます。
独自の「本人確率」機能でヒット情報が対象に該当する可能性を表示し、同姓同名による誤判定を減らします。企業名や人名を入力するだけで申し込め、最短数秒で結果が得られるケースもあり迅速です。料金は1件500円から(全情報源調査は1件1,500円)の従量課金制で、必要なときに1件から利用できます。
Sansan(リスクチェック機能)

画像引用元:Sansan公式サイト
Sansan株式会社が提供する名刺管理サービス「Sansan」のオプションであるリスクチェック機能は、名刺やメールから顧客情報をSansanに取り込み、World-CheckおよびKYCC社のリスクデータベースと自動照合します。スクリーニングの結果、取引先の反社勢力や金融犯罪などのリスクを自動検知した場合は、担当者に通知される仕組みです。
既存の取引先も最新データで一括再チェックできるほか、新規の取引候補を調べる「リスク検索」機能も備えています。社内の顧客管理と連動し、継続的なチェックができるため、確認作業の負担を大幅に軽減できます。
反社チェックツール導入時の注意点
便利な反社チェックツールも過信は禁物です。信頼性の高い取引をするためには、ツールに頼りきりにせず、定期的なチェックや情報管理上の配慮が不可欠です。最後に、反社チェックツール導入時に特に注意したいポイントを確認しておきましょう。
ツールだけに依存しない
反社チェックツールは便利ですが、判定結果に依存しすぎないようにしましょう。ツールの精度やデータ更新頻度には限界があるため、誤検知や見逃しも起こり得ます。
また、ツールでは検出できない情報も存在するため、ツールチェックと同時に、複数の情報源を照らし合わせつつ、人の目で最終確認を行うことが重要です。特に、取引先や採用候補の審査を行う際は、ツールだけに頼らず、裏付け情報も確認しながら、総合的に判断しましょう。
定期的なチェックによる継続的な状況確認をする
取引先のリスクは時間とともに変化しえるため、取引開始後も定期的に実施する必要があります。定期的なチェックを実施していれば、取引中でも新たなリスク要因を早期に発見でき、迅速に対応できるでしょう。一部のツールには、対象を継続モニタリングし、リスク情報発生時に自動通知する機能もあります。
情報漏洩のリスクとプライバシー保護の対策をする
反社チェックツールの利用には、情報漏洩のリスクとプライバシーの保護に注意が必要です。ツールのセキュリティ対策が不十分だと収集した個人情報が漏洩・不正利用される可能性もあるため、必要以上の情報収集やずさんな管理はプライバシー侵害につながります。
検索結果には機密性の高い個人情報が含まれるため、厳重な管理が欠かせません。万が一情報の漏洩が発覚すれば、法的責任を問われる可能性もあるため、アクセス制限や暗号化など漏洩防止策を徹底しましょう。
まとめ 反社チェックツールで企業リスクを低減するために知っておきたいポイント
反社チェックツールを活用すれば、取引先や関係者が反社会的勢力と無関係であることを効率的に確認できます。一方、ツールで発見された重大な案件については、専門の調査機関に追加調査を依頼するなど、ツールに依存しないようにも注意が必要です。
自社の規模や取引状況に合ったツールを選び、定期的なチェックと適切な運用を行い、企業の信用と、信頼性の高いビジネスを維持できるしょう。
なお、反社チェックツールと合わせて検討したいデジタルツールの一つに、「電子契約サービス」も挙げられます。
電子契約とは、従来の「紙と印鑑」の契約業務を電⼦化することで、作業時間とコストを⼤幅に削減することができる仕組みのことです。業務委託契約や請負契約など取引先との契約は電子契約で締結できます。
【電子契約のイメージ図】
契約書のデジタル化は、以下の4つの理由から企業管理業務効率化の第一歩としておすすめされます。
- 操作が簡単(メールを使えれば大丈夫)
- 既存の業務フローに対して「追加・変更」が少なくて済む
- 収入印紙代や郵送費、管理保管場所の削減などコスト削減効果が大きく成果が短期的にも見えやすい
- 不正文書作成リスク・契約書類の紛失リスクを防ぐなどガバナンス強化、BPC対策に直結する
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ダウンロード(無料)この記事を書いたライター

橋爪兼続
ライトハウスコンサルタント代表
2013年海上保安大学校本科第Ⅲ群(情報通信課程)卒業。巡視船主任通信士を歴任し、退職後、大手私鉄の鉄道運行の基幹システムの保守に従事。一般社団法人情報処理安全確保支援士会の前身団体である情報処理安全確保支援士会の発起人。情報処理安全確保支援士(第000049号)。
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