これからの100年、新しい契約のかたち。

インタビュー

なぜ今「書類管理」なのか?「クラウドサイン 書類管理」開発者が明かすサービスに込めた想い

「クラウドサイン」を提供する弁護士ドットコム株式会社では、契約締結にとどまらず、取引業務全体の効率化を目指す新たなサービス「クラウドサイン 書類管理」を2026年8月末にリリースしました。

本記事では、プロダクトマネージャー(製品企画)の佐藤健太さんにインタビューを実施。サービス立ち上げの背景や顧客ヒアリングで見えた現場の課題、開発時のこだわり、そして契約書を起点に取引業務全体をスマートにしていく今後の展望について詳しくお話を伺いました。

契約書の管理や更新漏れに悩む総務・管理部門の方必見の内容です。

佐藤 健太さん

弁護士ドットコム株式会社クラウドサイン事業本部PdM・Design部
決済領域や飲食業界のDX推進において、ITプロダクトによるお客様の支援に従事。現在はクラウドサインにて、書類管理に関する製品企画を担当。取引業務・書類管理業務に関するお客様へのインタビューを通してニーズを深堀りし、運用実態や法令要件を踏まえた製品設計に落とし込む役割を担っている。

サービス立ち上げの背景と「書類の一元管理」への思い

ーー 「クラウドサイン 書類管理」立ち上げの背景やきっかけについて教えていただけますか?

クラウドサインはこれまで、契約の「締結」業務を効率化することで、多くのお客様に価値をお届けしてきました。紙と印鑑による締結から電子契約へ切り替えていただくことで、締結にかかる時間やコストは大きく削減できたと考えています。

ただ、締結は契約業務の一部にすぎず、契約業務もまた取引業務全体の一部です。実際の現場では、契約書の作成や審査、締結後の保管や期限管理といった業務が、それぞれ別のツールや担当者のもとで進められていることが少なくありません。「締結」という一点が効率化されても、その前後の業務とのあいだは分断されたままです。書類を探す手間や情報の転記、更新期限の見落としなど、お客様が抱える手間やミスの多くは、まさにこの業務と業務の"つなぎ目"で生まれています。

こうした課題を解消するには、まず契約書をはじめとする書類が一箇所に集まり、その中身がデータとして活用できる状態をつくることが欠かせません。そのための手段として立ち上げたのが「クラウドサイン 書類管理」です。

単に書類をPDFで保存するだけでなく、OCR(Optical Character Recognition/文字を読み取りテキストデータにする技術)を活用して取引先・金額・期間などをデータ化し、活用できる状態にすることが重要だと考えています。

「クラウドサイン シリーズ」では、従来の「紙と印鑑」による契約業務をデジタル化するだけでなく、契約書の作成・審査(レビュー)から、締結、そして締結後のデータ管理に至るまで、法務やバックオフィスの業務を一気通貫でサポートします

ーー 取引に関わる書類をデータ化し、活用できる状態になることで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

たとえば請求書を受領した際、承認金額とのズレがないか、契約書の条件と一致しているかを目視で突き合わせる作業があるかと思います。

現状ではクラウドサインとPDFファイルを2つの画面で開いて確認する必要があるので、手間やミスの原因になっています。書類が一元管理されデータ化されていれば、こうした手作業の手間を軽くできます。

また、覚書や契約書など、請求書に関連する書類を数珠繋ぎで追えるようにすることで、取引の確認作業を円滑にし、安心・安全な取引を実現できます。

さらに、契約更新時に過去の利用実績を踏まえて交渉を行なえるようになるなど、自社にとってより有利でスマートな取引を可能にすることもできるかもしれません。

「クラウドサイン 書類管理」の開発背景について語る佐藤さん

顧客ヒアリングで浮かび上がった現場の課題

ーー 企画段階では、実際に中小企業の総務や管理部門の方へヒアリングを行なったそうですね。どのようなお悩みや課題が多く聞かれましたか?

社内外含めて約20社にヒアリングを実施しました。そこで強く実感したのが「書類の一元管理」と「管理台帳作成」の負担です。

現在、中小企業では紙のキャビネットに加え、複数の電子署名サービスやクラウドストレージに書類が分散しており、全体を把握するためにExcelで手作業の管理台帳を作っている企業が多く見られます。手作業による転記漏れや入力ミスの発生、ポチポチと手入力する負担が大きな問題になっています。

中小企業における契約業務の課題とその背景にある現状(調査出典:2026年1月弁護士ドットコム調べ、回答者=2976名)

ーー 業務を行っている方々の心理としては、どのような思いがあるのでしょうか?

「ミスなく確実に業務を遂行したい」という強い思いがあるのではないか、と思います。契約書の更新漏れによってサービスが停止したり、解約予定だったものが自動更新されて不要な費用が発生したりすると、事業上の損失に直結します。

管理部門の方々は会社の守り手として責任を果たしたいという強い思いをお持ちだと感じました。

また、人事書類など閲覧権限を制限したいニーズも大きく、一元管理を行う上ではアクセス管理が必須であることも明確になりました。

競合サービスとの差別化とポジショニング

ーー 競合サービスと比較した際の一番の差別化ポイントやポジショニングについて教えてください。

現時点では、クラウドサイン シリーズとのスムーズな連携や、導入しやすい価格設定が大きな強みです。ポジショニングとしては、請求書など取引の後に発生する書類を保管するサービスは多く存在しますが、「契約書を起点としてそこから派生する書類を一元管理する」という立ち位置を取っているプロダクトは少なく、大きな特長になり得ると考えています。

ーー ターゲット層や製品の方向性はどのように決定されたのでしょうか?

さまざまな議論がありましたが、最終的には早期にサービスを市場へ投入し、ユーザーからのフィードバックを得ながらプロダクトを育てていく方が良いと考え、まずは中小・中堅企業向けにシンプルな機能構成でリリースすることに決定しました。

開発におけるこだわりと苦労した点

ーー 使いやすさを実現する上で、特にこだわった点や苦労したポイントは何ですか?

もっとも重要視したのは、「書類を探す体験」です。検索UIのプロトタイプを作成して6月頃にユーザーテストを実施しました。その結果、検索条件を入力したまま検索結果を確認・修正できる画面設計へと変更しました。

また、開発に苦労したのはアクセス権限の仕様設計です。シンプルに設計したいという思いはある一方で、お客様の多様なニーズを満たすためにはどうしても複雑な機能が必要です。

フォルダ間で書類を移動した際の権限変化など、ユーザーが直感的に挙動を予測できるようにUIやルールを徹底的に議論しました。

ーー OCRの精度向上やパフォーマンス面での取り組みはいかがでしたか?

台帳作成の手間を減らすうえで、まず欠かせないのがOCRの精度です。読み取り結果に誤りが多ければ、結局お客様が一つひとつ確認・修正することになり、手間は減りません。そこで、さまざまな契約書の型を用いてOCR解析を行い、QA(品質保証)チームが1項目ずつ手作業で期待値と照合するという、徹底した検証を行いました。

あわせて、大量の書類をアップロードした場合でも安定して処理できるよう、パフォーマンス試験(負荷試験)も実施し、問題がないことを確認しました。

また、クラウドサインとの連携においても、雇用契約書やM&Aに関する契約書など、本人以外の開封を避けるべき「親展書類」のアクセス制御や、運用上のイレギュラーケースへの対応など細部まで調整を重ねました。

今後の展望と目指す世界観

ーー リリースを経て、今後このプロダクトをどのように育てていきたいですか?

まずは契約管理ツールとしての完成度を高め、使いやすいプロダクトへ磨き上げます。その上で、契約管理にとどまらず書類管理全般へと領域を広げていきます。

契約書はあらゆる取引の起点であり、すべての業務の根拠となる重要情報です。契約書をお預かりしている当社だからこそ、そのデータを資産として昇華し、取引の無駄やリスクを減らす基盤を提供する社会的責任があると感じています。

無駄な手作業を減らし、企業がより攻めの業務に集中できる環境を作ることで、経済全体の発展に貢献したいと考えています。

クラウドサイン 書類管理をおすすめしたいユーザーとメッセージ

ーー 最後に、どのような方におすすめしたいか、ユーザーへのメッセージをお願いします。

契約書を一箇所で漏れなく保管・期限管理したい方や、そのための台帳作成・転記作業を効率化したい方にぜひ使っていただきたいです。

個々の業務のIT化は進んでいても、業務間のつながりや書類管理にはまだまだストレスが残っています。そうした課題を解消し、取引業務全体をより良くするために全力で開発に取り組んでまいります。

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この記事の監修者

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佐藤 健太

弁護士ドットコム株式会社クラウドサイン事業本部PdM・Design部

決済領域や飲食業界のDX推進において、ITプロダクトによるお客様の支援に従事。現在はクラウドサインにて、電子帳簿保存法に対応した書類管理に関する製品企画を担当。取引業務・書類管理業務に関するお客様へのインタビューを通してニーズを深堀りし、運用実態や法令要件を踏まえた製品設計に落とし込む役割を担っている。

この記事を書いたライター

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業務改善プラスジャーナル編集部

業務改善は難しそう、大変そうという不安を乗り越え、明日のシゴトをプラスに変えるサポートをします。単なる業務改善に止まらず、組織全体を変え、デジタル化を促進することを目指し、情報発信していきます。契約管理プラットフォーム「クラウドサイン」が運営。

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