グループチャットとは？Slack/Teamsなど主要5ツールを徹底比較｜業務効率が上がる選び方

「メールが埋もれて重要な連絡を見逃した」「会議を開くほどでもない相談ごとなのに時間がかかる」といったお悩みはありませんか。グループチャットは、メールや電話などのコミュニケーションの課題を解決し、業務効率を劇的に向上させるツールとして注目を集めています。

この記事では、グループチャットの基本概念から、Slack、Microsoft Teams、Chatworkなどの主要5ツールの徹底比較、そして自社に最適なツールの選び方と具体的な導入手順までを解説します。

なお、社内のコミュニケーション活性化を促進する「社内SNSツール」についてはこちらの記事で解説しているので、気になる方は合わせて参考にしてみてください。

• 社内SNSツールのおすすめ5選 導入メリットや注意点も徹底解説

グループチャットとは何か

グループチャットは、複数のメンバーが同時にメッセージをやり取りできるコミュニケーションツールです。単なる「チャット機能」と混同されがちなグループチャットには、ビジネス用途に特化した独自の機能や設計意図があります。

チャットとグループチャットの違い

一般的な「チャット」とビジネス向けの「グループチャット」は大きく異なります。チャットはリアルタイムでの会話を重視し、過去のメッセージは流れていくのに対し、グループチャットは会話履歴を永続的に保存し、後から検索・参照できる仕組みを持つという違いがあります。

また、グループチャットはビジネス利用を前提としているため、権限管理、セキュリティ機能、外部サービスとの連携といった機能が標準装備されています。たとえば、特定のメンバーだけが編集できる情報を共有したり、重要なファイルへのアクセス権限を細かく設定したりできます。

主な機能と特徴

グループチャットの主な機能としては、次のようなものが挙げられます。

グループチャットの主な機能

カテゴリ	機能名	説明
基本機能	マルチチャネル機能	プロジェクトや部署ごとに独立したチャットルームを作成し、 話題を整理できます。必要な人だけが必要な情報にアクセス できる環境が整います。
	ファイル共有機能	チャット上で直接ファイルをアップロードし、メンバー全員が リアルタイムで最新版を確認できます。情報の一元管理が実現 します。
コミュニケーション機能	メンション機能	特定のメンバーに確実に通知を届ける手段として欠かせません。 「誰に対する発言なのか」が明確になります。
	一斉通知機能	「@all」や「@channel」といった機能により、全員に通知した い場合に活用できます。
	リアクション機能	メッセージに対して絵文字での反応が可能です。「確認しました」 「了解です」といった簡単な返信を省略でき、チャットが不要な メッセージで溢れるのを防ぎます。

このように、グループチャットは単なるメッセージ交換ツールではなく、情報共有、意思決定、業務推進を統合的に支援するビジネスプラットフォームとして機能します。次のセクションでは、こうした機能がビジネスにどのような具体的なメリットをもたらすのかを詳しく見ていきます。

グループチャットをビジネスで利用するメリット

グループチャットの導入は、単なるコミュニケーション手段の変更にとどまらず、組織全体の働き方を根本から変える可能性を持っています。ここでは、実際のビジネス現場で得られる具体的なメリットを下記4つの視点から解説します。

• 情報伝達のスピードが劇的に向上する
• 業務効率化できる
• コミュニケーションの質が向上する
• 社内の情報共有が促進される

情報伝達のスピードが劇的に向上する

グループチャットがもたらす最大のメリットは、情報伝達のスピードが劇的に向上することです。従来のメールでは、件名を考え、宛先を選び、本文を丁寧に書いて送信するという一連の作業に時間がかかります。一方、グループチャットではメッセージを短文で簡潔に送ることが前提とされており、「お疲れ様です」といった定型的な挨拶も省略可能です。

業務効率化できる

日本ビジネスメール協会のビジネスメール実態調査2025によると、ビジネスパーソンは1日平均で2時間26分をメール処理に費やしているそうです。グループチャット導入により、この時間を大幅に短縮できます。

たとえば、Chatwork活用支援ナビによると、ある製造業の事例では、社内の問い合わせに対する平均回答時間が2時間から30分に短縮されたという報告があります。

キーワード検索で瞬時に過去の会話を見つけ出せるため、新しく参加したメンバーが過去の経緯を素早く把握できるのもメリットでしょう。

コミュニケーションの質が向上する

グループチャットは、単にコミュニケーションを速くするだけでなく、コミュニケーションの質そのものを向上させる効果があります。

メールでは上司やほかの部署の責任者に質問するのに躊躇しがちですが、チャットの短文でカジュアルなスタイルは、階層や部署の壁を低くします。また、各自が都合のよいタイミングで確認・返信できる非同期コミュニケーションは、在宅勤務やフレックスタイム制を導入している企業にとって重要です。

時差のある海外拠点とのやり取りでも、チャット履歴を残しながら非同期で情報共有できるため、グローバル展開している企業にとっても有効です。

社内の情報共有が促進される

グループチャットの活用が進むと、社内の情報共有も促進されます。オープンなチャネルでのやり取りは、当事者以外のメンバーも閲覧できるため、ほかの人の質問と回答から学ぶことができます。これは、従来の個別メールでは決して得られなかった副次的効果です。

このように、グループチャットは業務効率を上げるだけでなく、組織文化そのものを変革する力を持っているのです。

主要なグループチャットツール5選

グループチャット市場には多数のツールが存在しますが、ビジネス用途で実績があり、多くの企業に採用されているのは限られています。ここでは、Slack、Microsoft Teams、LINE WORKS、Chatwork、Zoom Team Chatという国内企業でよく利用されている5つの主要ツールについて、機能、セキュリティ、導入のしやすさといった観点から詳しく比較します。

なお、各ツールの機能や料金（年額契約の場合を想定）は執筆時点の情報です。最新情報は公式サイトをご参照ください。

主要グループチャットツールの基本比較表

ツール名	最大の強み	想定ユーザー	無料プラン
Slack	外部連携の豊富さ、 ワークフロー自動化	IT企業、スタートアップ、 開発チーム	あり （メッセージとファイル履歴が90日に制限）
Microsoft Teams	Officeツールとの 完全統合	大企業 Microsoft 365利用企業	一部あり ※有料プランを1か月試用可能
LINE WORKS	シンプルさ、 LINE連携	IT化が難しい企業	あり （はじめてビジネスチャットを利用する会社かつ30人以内限定）
Chatwork	日本語サポート、 タスク管理	中小企業 BtoB取引が多い企業	あり （メッセージ閲覧が直近40日以内に制限）
Zoom Team Chat	ビデオ会議との統合	Zoom既存ユーザー リモート中心の企業	あり

※2025年12月11日時点、最新情報は公式サイトにてご確認ください

Slack

Slackは2013年に誕生し、現在では世界中で1,000万人以上が利用するグローバルスタンダードのグループチャットツールです。大きな特徴は、外部サービスとの連携の豊富さにあります。Google Drive、Dropboxなど、2,600以上のアプリと連携でき、チャット画面から離れずにさまざまな業務を完結できます。

機能面では、ワークフロービルダーという独自機能が注目されています。これは、定型的な業務プロセスを自動化できる仕組みです。たとえば、「休暇申請」ボタンを押すと、自動的にフォームが表示され、入力内容が上司に通知され、承認後にカレンダーに登録される、といった一連の流れを設定できます。

料金体系は、無料プラン（「メッセージ履歴90日間」「外部連携10個まで」などの機能制限あり）のほか、プロプラン（月額925円/ユーザー）、ビジネスプラン（月額1,920円/ユーザー）、Enterprise+プラン（価格設定は営業担当者に問い合わせ）があります。

Microsoft Teams

Microsoft Teamsは、Microsoft 365（Office 365プランを含む）と緊密に連携するグループチャットツールで、Officeツールとの完全な統合が最大の強みです。

Word、Excel、PowerPointなどのファイルをチャット上で直接編集でき、複数人での同時編集も可能です。また、SharePointと連携したファイル管理、Outlookと統合されたスケジュール管理など、Microsoft製品を使っている企業にとっては追加コストなしで高度な連携が実現します。

ビデオ会議機能も強力で、一般法人向けのBusinessプランは300人、大企業向けのEnterpriseプランは1,000人まで参加可能な大規模ミーティングに対応しています。会議中の背景ぼかし機能、AIによる自動文字起こし、リアルタイム翻訳機能など、リモートワーク時代に必要な機能が充実しています。

料金体系は、個人向けの無料プラン（最大100人まで60分間のグループ通話が可能）や有料プラン（年額2万1,300円）のほか、一般法人向けにはTeams単体のTeams Essentials（月額599円/ユーザー）、Microsoft 365と統合されたBusiness Basic（月額899円/ユーザー）、Business Standard（月額1,874円/ユーザー）があります。大企業向けのプランとしてはEnterprise（月額1,281円/ユーザー）やMicrosoft 365 E3（月額5,397円/ユーザー）、E5（月額8,545円/ユーザー）もあります。

LINE WORKS

LINE WORKSは、LINEのビジネス版として開発されたツールです。特徴は、誰でも使えるシンプルさとLINEとの連携です。個人向けLINEと同じインターフェース（画面レイアウト）のため、デジタルツールに不慣れな従業員でも抵抗なく使い始められます。実際、IT化を進めにくい業界でも高い導入実績を持っています。

LINE WORKSの独自機能として、個人向けLINEのユーザーと直接トーク（チャット）できる「外部LINE連携」があります。たとえば、不動産業では営業担当が顧客とLINEで連絡を取り、その内容を社内のLINE WORKSに転送して情報共有するといった運用が可能です。この機能を使うことで、個人スマートフォンで顧客対応をしつつ、情報は会社で管理するという運用ができます。

また、カレンダーやアドレス帳、掲示板、アンケート、タスク管理などが標準装備されています。

料金はフリープラン（会社で30人まで、ストレージ5GB）のほか、ユーザー数無制限のスタンダードプラン（月額450円/ユーザー、ストレージ1TB）、アドバンストプラン（月額800円/ユーザー、ストレージ100TB）があります。ただし、外部サービス連携はSlackほど豊富ではなく、高度な業務自動化には向いていません。

Chatwork

Chatworkは日本発のビジネスチャットツールで、国内で最も多くの中小企業に採用されています。装備されているタスク管理機能は、自分用に作成したタスク、または相手から割り振られたタスクを完了させると、チャットに通知され、相手に知らせることができます。

また、タスク管理画面を開くと、自分が担当しているタスク、または自分が依頼したタスクを期限ごとに確認することも可能です。

Chatworkは、社外ユーザーとのやり取りにも強みがあります。取引先や協力会社を簡単にグループチャットに招待でき、プロジェクトごとに外部メンバーを含めたチームを作れます。メールよりも素早く、LINEよりも業務的なコミュニケーションが可能なため、BtoB取引が多い企業に適しているでしょう。

料金は、ユーザー数が1組織あたり100人までのフリープラン（メッセージ閲覧が直近40日以内、10GB）、ユーザー数無制限のビジネスプラン（月額700円/ユーザー、10GB）、エンタープライズプラン（月額1,200円/ユーザー、10GB/ユーザー）があります。フリープランでも基本機能は十分使えるため、はじめてグループチャットを試す企業にも適しています。

Zoom Team Chat

Zoom Team Chatは、ビデオ会議ツールのZoomに統合されたグループチャット機能です。強みは、ビデオ会議とチャットのシームレスな連携です。チャット中に「今すぐビデオで話したい」と思ったら、ワンクリックでZoomミーティングを開始できます。

また、Zoom会議中のチャットログが自動的に保存され、会議後も参照できるため、議事録作成の手間が省けます。

Zoom Team Chatは、すでにZoomを使っている企業にとって追加費用なしで利用できる点が魅力です。Zoomアカウントさえあれば、別途チャットツールを契約する必要がありません。リモートワークが定着し、Zoom会議が日常化した企業では、コミュニケーションツールを一本化できるメリットがあります。

ただし、Zoom Team Chatはほかの4ツールに比べて機能が限定的です。外部サービス連携や高度なワークフロー機能は弱く、純粋なチャットとビデオ通話の組み合わせと考えるべきです。そのため、ビデオ会議中心のコミュニケーションを行なう企業や、すでにZoomに投資している企業に向いています。

グループチャットツール選定のポイント

グループチャットツールの選定では、自社の業務特性、既存システム、従業員のITリテラシー、予算、セキュリティ要件など、さまざま視点から評価する必要があります。

ここでは、とくに重要な以下の5つのポイントについて解説します。

• 自社の業務に必要な機能がそろっているか
• セキュリティ基準を満たしているか
• 管理機能は十分か
• 総所有コストはいくらか
• 導入しやすいか

自社の業務に必要な機能がそろっているか

まず確認すべきは、自社の業務に必要な機能が揃っているかです。基本的なチャット機能はどのツールにも備わっていますが、高度な機能には大きな差があります。

たとえば、開発チームが中心の組織ではGitHubやJiraなど、外部ツール連携性がより重要です。一方、外出が多い営業が中心のチームでは、スマホでの使いやすさが大切です。

外部連携を評価する際は、単に連携できるかどうかだけでなく、どの程度深く統合されているかも確認しましょう。表面的な連携(通知が届くだけ)と、深い統合(チャット画面から直接編集できる)では、業務効率への影響が大きく異なります。

また、リモートワーク中心ならビデオ通話機能もあった方が良いですが、対面勤務中心なら優先度は下がります。規模の大きな組織では、さまざまなグループを作成できることや、それぞれのグループを管理しやすいことも重要です。

• 自社の業務システム(会計、勤怠、営業支援など)と連携できるか
• ファイル共有時のストレージ容量と保存期間は十分か
• ビデオ通話の同時接続人数と時間制限は十分か
• モバイルアプリの使いやすさ(外出が多い場合は特に重要)
• 日本語の全文検索に対応しているか
• ワークフロー自動化やBot機能は必要か

セキュリティ基準を満たしているか

グループチャットには機密情報が流れるため、セキュリティは重要事項です。とくに、金融機関、医療機関、官公庁など、コンプライアンス要件が厳しい業界では、セキュリティ基準を満たしていないツールは選択肢から外れます。

確認すべき主なセキュリティ機能は、データの暗号化(通信時・保存時)、二段階認証、IPアドレス制限、シングルサインオン(SSO)対応などです。

また、データの所有権とバックアップも重要です。ツール提供会社がサービスを終了した場合や、契約解除時に、自社のデータを完全にエクスポートできるかを確認してください。また、万が一のシステム障害に備えて、定期的なバックアップが行われているか、データの復旧が可能かも確認すべきです。

管理機能は十分か

管理機能も見落とせません。管理者が、誰がどのチャネルにアクセスできるかを細かく制御できるか、退職者のアカウントを適切に削除・無効化できるか、監査ログを保存できるかといった点を確認しましょう。企業で使用する場合は、組織変更に柔軟に対応できる管理機能が必須です。

たとえば、部署異動時に自動的にチャネルのメンバーを入れ替える機能があれば、管理負担が大幅に軽減されます。

総所有コストはいくらか

料金体系は、単純な月額費用だけで判断してはいけません。大事なのは、総所有コスト(TCO)です。初期費用、月額費用、ユーザー数による段階的な値上がり、ストレージの追加費用、外部連携のための追加契約費用などを含めて計算しましょう。また、既存システムとの統合にかかる開発費用や、従業員への教育コストも考慮が必要です。

無料プランの有無も判断材料になります。無料プランがあるツールは、小規模から試験的に導入し、効果を確認してから有料プランに移行できます。とくに、はじめてグループチャットを導入する企業にとって、無料プランでの試用は重要です。

導入しやすいか

導入のしやすさも重要な評価基準です。ITリテラシーが高くない従業員が多い企業では、直感的に使えるインターフェースと充実した日本語サポートが必須です。逆に、IT企業では多少複雑でも、カスタマイズ性が高いツールの方が適しています。また、既存のメールやファイルサーバーからデータを移行する際の手順が簡単か、移行支援サービスがあるかも確認してください。

以下は、ツール選定時のフローチャートです。各ツールの強みと自社のニーズを照らしあわせることで、最適な選択が可能になります。ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

この記事では、グループチャットの基本概念から、主要5ツールの徹底比較、そして自社に最適なツールの選び方までを解説しました。

グループチャットは単なるメッセージツールではなく、情報共有、意思決定、業務推進を統合的に支援するビジネスプラットフォームです。適切なツール選定と運用ルールの設定により、業務効率化、コミュニケーション改善、組織文化の変革が実現できます。この記事で紹介した選定基準、導入手順、運用のポイントを参考に、ぜひ一歩を踏み出してください。あなたの会社のDX推進を心から応援しています。

なお、グループチャットに限らず、社内業務全体のペーパーレス化を推進したい方は、まずはペーパーレス化診断を受けてから紙業務のデジタル化に着手するのもおすすめです。気になる方はぜひこちらからダウンロードしてみてください。