Avvokaが提案する「Word依存の契約業務」からの脱却とその果実

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契約書の作成・交渉・分析まで、Wordを使わず、すべてを自社提供のプラットフォーム上で完結させることにこだわった、契約系リーガルテックサービスのAvvokaを紹介します。

Google DocumentライクなUIでWordファイルを交換せず契約締結

法務担当者同士がお互いにWordファイルに修正履歴を重ね、何度もメールで往復させる契約交渉のスタイルは、いつまで続くのだろうか?

クラウドサインが主催したリーガルe-Sportsイベント「契約書タイムバトル」では、長年続いてきたこの企業法務の慣習に問題提起をすべく、Google Documentを使って、弁護士・法務担当者同士がリアルタイムに契約交渉を行うゲームをお見せしました。

Google Documentを土俵にした第1回契約書タイムバトル

これはあくまでゲームであって、実際には、契約書をWordファイル交換以外の形式で双方が修正しあうような実例は、寡聞にして知りません。

ところが、実際のプロダクトにそのアイデアを実装し、企業法務や法律事務所向けに提供しているスタートアップ企業があります。英国産の契約テックスタートアップのAvvokaです。

レポーティング機能で契約交渉の勝敗パフォーマンスも計測できる

すでに自社が持つWordファイルをアップロードし、選択肢をダイアログ形式で設定していくことで、Avvoka用の契約書フォームを簡単に作成。この辺は、すでに紹介済みの契約テックサービスにも備わっている機能であり、特筆すべきところはありません。

Avvokaはここからが独特です。相手に送信するためのWord契約書を出力するのではなく、Google Documentのように、クラウドスペース上にある契約書ファイルに契約交渉の相手を招待し、Avvoka上の文書エディタを使ってその場でお互いに修正 を加えます。

https://vimeo.com/242070794 より

さらに、相手から提案を受けた修正文案に対しては、【Accept/Reject】を選択しながら契約交渉を進め、条件をまとめていく 仕組みとなっています。こうしてAvvokaのプラットフォーム上で契約交渉を行うことで、交渉過程の履歴がデータとして残っていきます。たとえば、ひな形でしばしば修正が入る条項のヒートマップなども簡単に作ることができます。

このように、クラウド上で相手方との契約書の修正データを積み上げていくことで、「契約交渉において当社はどこで押し負けているのか」といった、企業の法務部門や担当者の頭の中に閉じ込められていた契約リスクを、客観的かつ正確に捉え分析することができるようになる わけです。

https://vimeo.com/242070794 より

契約を作成し、交渉し、締結し、リスクマネジメントのための分析までを一気通貫で行えるという特徴を捉え、同社はこれを“end-to-end contract automation platform”と呼んでいます。

大手法律事務所ベーカー&マッケンジーと提携

Avvokaは、まだ大きな資金調達のニュースもないスタートアップ企業ではあるものの、リーガルテック企業には珍しく、大手法律事務所との提携 を早期に果たしています。

以下は2018年11月20日付ベーカー&マッケンジーのプレスリリースから。

Baker McKenzie Collaborates with Legaltech Startup Avvoka

Speaking about the Programme and the collaboration, Ben Allgrove, Baker McKenzie’s Global R&D Partner, said: “We want to explore new technologies early on, to better serve our clients and solve their complex problems. We want to partner with startups so that we can help nurture innovative legal technology and strong talent, while also giving our associate talent opportunities to play with the art of the possible.

同プレスリリースの後半には、次のフェーズで取引の自動化・大規模複数管轄における契約アドバイス・商標権に関するプロジェクトにも取り組む予定であることも明かされています。

契約業務がWordファイルに依存しなくなる日は来るか?

クラウドサインも連携していただいている文書バージョン管理サービスHubbleは、「契約業務はWordファイルから脱却できない」ことを前提として、バージョン管理を中心としたWordファイルの取扱いに関するペインの解消手段を追求しています。

これに対し、このAvvokaは、契約業務にまつわるペインを「Wordを使うのをやめさせる」という真逆のアプローチで解消 しようとします。このAvvokaのようなクラウドサービスが広まったとき、企業の法務部門は、当該プラットフォーム上で契約書の編集・交渉をすることを選択するのでしょうか?冷静に考えると、かなりハードルの高い挑戦に見えます。

Wordを使うのをやめさせるインセンティブの一つが、Avvokaの契約交渉データマネジメント機能ということになりますが、契約相手方にとってそのプラットフォームに乗るインセンティブとは何か が、まだ見つけられていないように思います。これを発見し提案することが、同社サービスの成長のカギとなるのではないでしょうか。

(橋詰)

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