契約実務

契約書の製本(袋とじ)の方法と契印割印のルール|写真解説付き

契約書の製本(袋とじ)の方法と契印割印のルール【「契約書の製本(袋とじ)のやり方ガイド」無料DL付】

契約書を作成する際は、差し替えなどの改ざんがないことを証明するため、製本(袋とじ)をし、契印を押します。この記事では、契約書の製本(袋とじ)が必要な理由や方法、契印の押し方、契印と割印との違いについて解説します。契印の準備として必要な契約書の製本方法の具体的なやり方が分からない方に向けて、写真を用いた解説や図解(契約書の製本(袋とじ)のやり方ガイドシート)もご紹介しますので実務の参考にしてみてください。

「契約書の製本(袋とじ)のやり方ガイドシート」
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クラウドサインでは契約書の製本をしたい方に向けた「契約書の製本(袋とじ)のやり方ガイドシート」をご用意しました。製本作業のやり方が分からない方はダウンロードしてご活用ください。

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契約書の製本(袋とじ)とは

契約書の製本(袋とじ)とは、複数枚に及ぶ契約書をひとつの書類としてまとめ、袋とじすることで体裁を整えることです。契約書の製本は法律で義務付けられているわけではなく対応は任意ですが、契約書の枚数が多い場合、1枚1枚に印鑑を押すのは手間がかかってしまうため、袋とじにより製本することで作業の手間を省くことができます。

また、袋とじによる製本をする理由として「改ざんを防ぐため」という点も挙げられます。製本しておくことでページの抜き取りや差し替え、追加が容易にできなくなるため、ビジネスにおいて重要な契約書が改ざんされるリスクを軽減できます。

契約書の製本(袋とじ)の方法

契約書の製本(袋とじ)の方法には、紙で袋部分を作成する方法と製本テープを用いる方法の2つあります。次項でそれぞれの具体的なやり方を写真付きで紹介しますので、実際に作業を進めながら確認してみてください。

紙で袋部分を作成し契約書を袋とじして製本する場合

近年は製本テープによる簡易な袋とじが主流になりつつありますが、正統とされる袋とじの方法は、紙を用いて袋部分を作成し契約書を袋とじ製本する方法 です。

以下、契約書の袋とじの方法を写真で解説します。

① A4サイズの書類より両側が少しだけはみ出すように帯状に紙を切る

はみ出すように帯状に紙を切る
はみ出すように帯状に紙を切る

② 次工程でカットする目印となるよう、書類からはみ出したところをマーキングする

書類からはみ出したところをマーキング
書類からはみ出したところをマーキング

③ (均等にしやすいよう)4等分に折り目を入れ

4等分に折り目を入れ
4等分に折り目を入れ

④ 4等分の中央2つのうちどちらかだけを残してA4サイズの幅に合わせてカットする

4等分の中央2つのうちどちらかだけを残してA4サイズの幅に合わせてカット
4等分の中央2つのうちどちらかだけを残してA4サイズの幅に合わせてカット

⑤ 契約書の表紙の左端に帯の左端を合わせ、4等分したうちの左端の部分だけノリをつけて貼付(このとき、4等分したうちの紙からはみ出している部分は左から2番目にくるように)する

左端の部分だけノリをつけて貼付
左端の部分だけノリをつけて貼付

⑥ 貼付した箇所をステープラーで留め(均等幅に2箇所もしくは3箇所)

ステープラーで留め
ステープラーで留め

⑦ その後、ステープラーで留めた部分を包み込むようにノリをつけ裏返す

ノリを付けて包み込むように裏返す
ノリを付けて包み込むように裏返す

このようにすることで、帯状の紙が契約書の左辺をくるむように袋を構成することとなり、各ページを解体できなくなる という仕組みです。

製本テープを使って契約書を袋綴じして製本する場合

上記でご紹介した紙を使った袋とじの方法は、大変な手間や時間がかかります。

そこで、簡易的な方法として、市販の「製本テープ」を利用して契約書を製本(袋とじ)する方法 があります。

一般的な製本テープを用いた場合は、

① 製本テープを用紙の上下幅より長めに切り取り
② 縦に半分折り目をつけ
③ 契約書の左端からはめ込み
④ 契約書の上下それぞれから製本テープが少しはみ出した状態で位置を定め
⑤ 表紙に面した方のテープを紙からはがし貼り合わせ
⑥ ステープラーを覆い隠すように表裏をしっかり接着し
⑦ 紙からはみ出た余分なテープをはさみで切り取る

といった手順となります。

近年では契印用の製本テープが開発・販売されており、これを用いるほうが位置決めやカット作業の手間も減り、仕上がりもきれいにできます。

袋とじ専用製本テープの例 https://www.kaunet.com/rakuraku/variation/00000410/
袋とじ専用製本テープの例 https://www.kaunet.com/rakuraku/variation/00000410/

契印とは

製本(袋とじ)のやり方を確認した後は、「契印(けいいん)」についても確認しておきましょう。契印とは、製本した契約書の各ページが後で差し替えがされないよう、綴り目に押す印のことです。

2枚以上の複数枚にわたる契約書を作成する場合、ページの差し替えを防止するために、製本(袋とじ)を施して契約当事者がそれぞれ契印を押印します。

袋とじを施し、契約に用いた印鑑で契約書当事者がそれぞれ契印を押印
袋とじを施し、契約に用いた印鑑で契約書当事者がそれぞれ契印を押印

上図のような製本(袋とじ)を行わない場合には、ステープラーで契約書の左辺を綴じた後、契約書の見開き部分内側をまたがるように契印を施します。

袋とじを行わない場合、見開き部分内側をまたがるように契印
袋とじを行わない場合、見開き部分内側をまたがるように契印

この方法は公正証書作成時などに用いられますが、契約書が3枚以上となる場合などにそのすべてのページについて押印作業が発生するため、通常の契約実務では袋とじによる契印が行われます。

契印のルーツ・由来

契印のルーツ・由来をたどると、明治8年に公布された 太政官達(たっし)第77号 に辿りつきます。

この太政官達には、

金銭貸借証書など、証拠として後日必要となり得る文書を作成する際は、後で紛争の原因とならないよう、数字は「二十」ではなく「弐拾」と表記し、綴り目には印を押印するように

といったことが記載されています。

契印のルーツについての詳細は、本メディアの関連記事「契約書の綴り目に押印する「契印(けいいん)」のルーツ」をご参照ください。

契印のルーツ・根拠法令となった明治8年太政官達第77号
契印のルーツ・根拠法令となった明治8年太政官達第77号

契印を義務付ける法令

では、現時点で契印を義務付ける法令はあるのでしょうか?

現行で生きている法令で「契印」の語を検索すると、民法施行法(明治三十一年法律第十一号)という古い法令の第6条に、以下条文があります。

第六条 私署証書ニ確定日附ヲ附スルコトヲ登記所又ハ公証人役場ニ請求スル者アルトキハ登記官又ハ公証人ハ確定日附簿ニ署名者ノ氏名又ハ其一人ノ氏名ニ外何名ト附記シタルモノ及ヒ件名ヲ記載シ其証書ニ登簿番号ヲ記入シ帳簿及ヒ証書ニ日附アル印章ヲ押捺シ且其印章ヲ以テ帳簿ト証書トニ割印ヲ為スコトヲ要ス
2 証書カ数紙ヨリ成レル場合ニ於テハ前項ニ掲ケタル印章ヲ以テ毎紙ノ綴目又ハ継目ニ契印ヲ為スコトヲ要ス

「前項ニ掲ケタル印章ヲ以テ毎紙ノ綴目又ハ継目ニ契印ヲ為スコトヲ要ス」と、かなり具体的な押し方まで規定しており、契印の慣習に一定の影響を与えたと考えられます。

さらに、登記のルールを定めた法令である商業登記規則不動産登記規則に、登記の申請書が複数にまたがる場合には契印を押すよう定めた条文があります。以下、そのうちの商業登記規則第35条3項および4項を引用します。

第三十五条 (1,2項略)
3 申請人又はその代表者若しくは代理人は、申請書が二枚以上であるときは、各用紙のつづり目に契印をしなければならない。
4 前項の契印は、申請人又はその代表者若しくは代理人が二人以上であるときは、その一人がすれば足りる。

ただし、これらの法令は、公証人・登記官に対し提出する文書を作成する際のルールであり、私人同士(民間対民間)で契約書を作成し締結する際の義務までを定めたものではありません。

したがって、ページ差し替え等による改ざん防止を気にしないのであれば、現時点では一般的な契約書において契印を義務付ける法令はなく、契印がなくとも契約は有効に成立するということになります。

契印と割印の違い

なお契印は、「割印」とよく混同されますが、契印と割印は厳密には異なります。

契印は、一つの契約書の枚数が2枚以上にわたる場合、その一部のページが後から差し替えられるのを防ぐために押印されます。一方、割印は2つ以上の契約書を作成する際、これらの契約書の内容が同一であること、または関連性があることを証明するもの となります。

割印の役割についての詳細は、本メディアの関連記事「契約書の割印の役割とルールとは」をご参照ください。

割印は2つ以上の文書・契約書を作成する際の関連性を証するもの
割印は2つ以上の文書・契約書を作成する際の関連性を証するもの

 

契印を押す場所

このように、袋部分と契約書面にまたがるように契印を押す ことで、袋でカバーされたページすべての抜き差しが事実上不可能になります。

契約当事者全員がそれぞれ、袋部分と契約書面にまたがるように契印を押します。

袋部分と契約書面にまたがるように契印を押印
袋部分と契約書面にまたがるように契印を押印

契印を押す面については、①表面のみ、②裏面のみ、③両面と流派が分かれます。従来は表面に押すのが一般的でしたが、近年は裏面に押すケースをよく見かけるようになりました。

製本テープを用いた場合は、厳密な袋とじをしていないということから、両面に押すのが慣習となっているようです。

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本記事でご紹介した、

  • 紙で袋部分を作成し製本(袋とじ)する場合
  • 製本テープを使って製本(袋とじ)する場合

の2パターンの契約書の製本(袋とじ)の方法をわかりやすいイラスト入りで解説した「契約書の製本(袋とじ)のやり方ガイドシート」を作成しました。契約書の製本(袋とじ)の方法が両面印刷で1枚にまとまった資料です。

契約書の製本(袋とじ)をイラストで解説した「契約書の製本(袋とじ)のやり方ガイドシート」無料DLフォーム
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こちらの「契約書の製本(袋とじ)のやり方ガイドシート」は、下記リンク先のダウンロードフォームから無料でダウンロードしていただけます。本シートを印刷し、契約書の製本作業を行なっているスペースに置いておけば、これを参照しながら製本(袋とじ)作業をすることができ便利なため、ご活用ください。

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電子契約を使うと製本(袋とじ)も契印割印も不要

この記事では、契約書の製本(袋とじ)と契印について、解説しました。紙の契約書を作成し、製本(袋とじ)する作業には、想像以上に手間がかかることがお分かりいただけたと思います。

クラウドサインをはじめとする電子署名機能が実装された電子契約サービスを使えば、こうした契約書の製本(袋とじ)の手間は不要になります。紙の契約書面に押印せずに有効な契約書が締結できるだけでなく、改ざんを防止できる電子署名を施すことができるためです。

契約書を紙に印刷して時間をかけて製本(袋とじ)し、契印・割印の押印まで行う時間をすべて削減して生産性を向上することができる電子契約サービス「クラウドサイン」の活用も併せてご検討ください。

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この記事を書いたライター

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弁護士ドットコムクラウドサイン事業本部リーガルデザインチーム 橋詰卓司

弁護士ドットコムクラウドサイン事業本部マーケティング部および政策企画室所属。電気通信業、人材サービス業、Webサービス業ベンチャー、スマホエンターテインメントサービス業など上場・非上場問わず大小様々な企業で法務を担当。主要な著書として、『会社議事録・契約書・登記添付書面のデジタル作成実務Q&A』(日本加除出版、2021)、『良いウェブサービスを支える 「利用規約」の作り方』(技術評論社、2019年)などがある。

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