契約実務

契約書のデータベース化とは? メリットや管理における必要項目と手順を解説

契約書のデータベース化は、企業・組織が契約書を効率的に管理し、必要な情報を迅速に検索できるようにするための手法です。この記事では、データベース化の基本的な概念から、そのメリットや管理における必要項目、データベース化を成功させるための手順について詳しく解説します。

契約書をデータベース化することで、どのようにビジネスに貢献するかを理解し、実際の導入に向けた具体的な進め方を学びましょう。

契約書のデータベース化とは

「契約書のデータベース化」とは、紙書類や電子ファイルの契約書を一元的に管理するシステムを構築することを指します。データベース化を進めることで、契約書の検索やアクセスがスピーディーかつ容易になり、契約管理を効率化できます。

また、データベース化する際は、契約書を電子化するだけでなく、契約書に関連するメタデータも含めて管理します。メタデータとは、契約書のタイトル、契約期間、取引金額など、契約書の内容を示す情報のことです。

契約書をデータベース化する詳しいメリットは次項で確認していきましょう。

契約書をデータベース化するメリット

契約書のデータベース化には下記のメリットがあります。前述した情報の検索や共有が容易になることはもちろん、リスク回避やコンプライアンスの強化にもつながります。

契約書をデータベース化する具体的なメリットについて詳しく解説します。

契約書を管理しやすくなる

従来の紙書類の管理では、契約書の紛失やファイリングの誤り・不備が問題になりがちでした。契約書をデータベース化することで、契約書をデジタル形式で一元管理できるようになるため、管理の不備が起こるリスクが大幅に減少します。

また、契約書の更新や修正が必要な場合も、簡単にアクセスすることが可能です。これにより、契約書管理業務の効率が向上し、担当者の負担も軽減されます。

契約書管理業務について詳しく知りたい方は下記記事も参考にしてみてください。

検索性が向上する

従来の紙ベースの管理では、契約書を探す場合に倉庫やキャビネットに移動し、必要な契約書が見つかるまでその場から離れられないというケースもあり得ましたが、契約書のデータベース化により、紙ベースの管理では実現しにくかった迅速な情報取得が可能となります。

データベースに登録された契約書は、契約書名や取引先名などの条件を指定することで迅速に検索できるようになります。緊急時に過去の契約書が必要になった場合にも、即座に必要な契約書を見つけ出すことが可能です。

とくに、管理する契約書の数が多い企業では、検索機能の向上は業務効率を大幅に改善する要因となります。

関係者間での情報共有が容易になる

契約書をデータベース化することで、社内の関係者が必要に応じて契約書にアクセスしやすくなり、情報の透明性が向上します。これにより、各部門間のコミュニケーションがスムーズになり、意思決定の迅速化にも寄与します。

また、クラウドベースの契約書管理システムを利用することで、リモートワーク環境でも円滑な情報共有が可能となり、業務の柔軟性が向上します。

リスク回避・コンプライアンス強化につながる

契約書のデータベース化は、リスク回避やコンプライアンスの強化にもつながります。データベース化により、誰がいつ、どのような操作を行なったかの記録(ログ)がシステム上に残るため、不正アクセスや情報漏洩を防ぐことができます。

また、アクセス権限の設定により、機密性の高い契約情報へのアクセスを制限することもできます。このように、契約書をデータベース化することで企業は法的リスクを軽減し、信頼性の高い契約管理を実現できます。

契約書をデータベース化する際に必要な基本項目

契約書をデータベース化する際には、基本項目を確実に決めておくことが重要です。基本項目を定めることで、データベースが効率的かつ効果的に機能し、管理が容易になります。

主な基本項目は下記の通りです。

各基本項目の詳細を確認しておきましょう。

データベースにおける基本項目を定めておくことで管理業務を標準化できる

書類名・契約内容

書類名は、その契約書をひと目で識別できるようにするためのもので、通常は取引先名や契約の種類を含みます。契約内容については、契約の目的や範囲、義務と権利など、契約の基礎となる情報を詳細に記録する必要があります。

また、契約内容の項目には、契約の履行に関わる具体的な条件や、万が一の際の解決策なども含めるとよいでしょう。これらの情報が明確に整理されていることで、関係者間の誤解を防ぎ、契約の履行をスムーズに進めることが可能です。

契約開始日・終了日

契約開始日と終了日を明確に記載することで、契約の有効期間中における双方の義務や権利が明確になります。契約期間をデータベースに登録しておかなければ、契約の履行において誤解が生じる可能性が高まります。

また、契約期間に関連して更新の有無や延長の条件についても明記しておくとよいでしょう。これにより、契約満了時における手続きがスムーズに行えるようになります。

とくに長期的な契約においては、契約期間の管理が重要な要素となりますので、データベース化の際にはこの項目をしっかりと管理することが求められます。利用するシステムによっては、契約の更新や解約漏れ等を防ぐためのアラート機能を備えている場合もあるため、活用するのも選択肢のひとつです。

取引金額

契約書における取引金額は、契約の財務的な側面を管理するための基本情報です。取引金額を明記することで、契約に基づく支払いのスケジュールや、支払い方法の詳細を確認することができます。これにより、財務管理を効率的に行えるようになります。

また、取引金額には税金や手数料などの付随費用も含めておくことが重要です。これらの情報が正確にデータベース化されていることで、財務上の透明性が保たれ、後々の監査や報告においても役立ちます。

管理番号

社内管理用に契約書に番号を付けている場合には、データベース内に管理番号も記録しておくことで契約書が探しやすくなります。管理番号の付け方は社内ルールに応じて対応するようにしてください。

その他:契約書ごとに特有の必要事項

契約書ごとに特有の必要事項は、契約の種類や内容に応じて異なるため、個別に検討する必要があります。たとえば、ライセンス契約であれば、使用許諾範囲や知的財産権の取り扱いについての詳細が必要です。また、賃貸契約であれば、物件の詳細や賃料の支払い条件が重要となります。

各契約書の特性を理解し、それに応じた情報を正確に記録することで、契約管理の精度が向上するため、データベース化を進める際には管理したい契約書の種類を確認した上で、必要事項を検討するようにしましょう。

契約書のデータベース化には契約書管理システムが適している

契約書のデータベース化を効果的に行なうためには、契約書管理システムの導入が非常に有効です。契約書管理システムとは、契約書の作成から保存、検索、更新、削除に至るまでのプロセスを一元管理するためのツールです。導入により、契約書の管理が効率化され、手作業によるミスを減少させることが可能になります。

契約書管理システムの導入により、欲しい契約書が即座に見つかるようになる

たとえば、契約書に関連する情報を迅速に検索できるようになります。これにより、必要な情報を短時間で取得できるため、業務効率が向上します。また、契約書の変更履歴を自動的に記録するため、過去の変更内容を簡単に追跡することができます。これにより、契約内容の透明性が確保され、コンプライアンスの強化にも寄与します。

さらに、契約書管理システムは、アクセス権限の設定が可能であり、機密性の高い情報を保護することができます。これにより、セキュリティリスクを最小限に抑えつつ、関係者間での情報共有が円滑に行えます。契約書のデータベース化を進める際には、これらの利点を最大限に活用するために、契約書管理システムの導入を検討することが重要です。

なお、当社の提供する「クラウドサイン」は、電子署名を電子ファイルに施し、スピーディーかつ安全に契約の締結が可能な電子契約サービスです。契約書の締結だけでなく、契約書管理システムとしても安心してご利用いただけます。

例えば、クラウドサインの場合「書類情報」として「解約通知期限」又は「契約終了日」を設定することで、それらの日の1か月前に、クラウドサインの管理者宛にメールにて通知が来る機能を備えているため、Excelによる契約書管理台帳よりもより利便性の高い管理が可能になります。

契約書のデータベース化を成功させる手順

これから契約書の管理を効率化したいという方は、どのように進めれば効率的かつ効果的にデータベース化を行えるのかの手順を確認しておきましょう。

現状の契約書管理状況の把握

まず現状の管理状況を正確に把握することが必要です。契約書がどのように保管され、どの程度の頻度で参照されているかや、紙の契約書と電子の契約書が混在しているか、どのような契約書が多いかなどを確認する作業が含まれます。現状の課題を明確にすることで、データベース化の目的と方向性を明確にできます。

また、関係者の意見や要望を聞き出し、実際に利用するユーザーのニーズを反映したデータベースを構築することも重要です。契約書を参照する機会が多い部署(総務部や法務部など)や担当者に、どのような項目をデータベースに登録すると効率化に繋がるかを相談・確認することで、データベース化の成功に繋がります。

契約書管理においてよくある課題を知りたい方は下記記事も参考にしてみてください。

契約書管理システムを選定する

契約書のデータベース化を効果的に行なうためには、契約書管理システムの導入が非常に有効ですが、一口に契約書管理システムと言っても、昨今はさまざまな事業者がサービスを提供しており特徴も異なるため、自社の状況に最適なシステムを選ぶ必要があります。

国内シェアNo.1(※)の電子契約サービスである「クラウドサイン」のように契約締結から管理までを一貫して行えるサービスをはじめとして、さまざまなサービスが存在するため、比較ポイントとしては、以下の基準で比較するのがおすすめです。

  • 必要な管理機能を搭載しているか
  • 現場で使いやすいか
  • 電子契約システムに対応しているか
  • 既存の業務システムとスムーズに連携できるか
  • 充分なセキュリティ対策が施されているか
  • サポート体制が万全か

契約書管理システムの選び方と比較ポイントの具体的な解説は下記記事を参考にしてみてください。

※株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2023年版」(電子契約ツール、2022年度実績)

契約書データの入力・登録を行なう

契約書データの入力・登録は、データベース化の中心的な作業です。データの正確性と一貫性を保つための方法を考慮する必要があります。手作業での入力だけでなく、OCR(光学文字認識)技術を活用することで効率を高めるのも選択肢のひとつです。

なお、近年ではAI技術を活用し、手書き文字などを読み取れるAI-OCRが広まっています。しかし、OCRの精度は100%ではないため、人間の目で確認する必要がある点に注意しましょう。

また、この段階でデータの整合性を保つためのルール作りを進めておくのもよいでしょう。データの入力形式や命名規則を統一することで、後々の運用がスムーズになります。

なお、データベースへの登録時には、メタデータ(データに関する情報)もあわせて入力することが推奨されます。関連する情報をあわせて登録しておくことで検索性が向上し、必要な情報を迅速に取得できるようになります。

運用・管理体制を構築する

データベース化が完了した後は、運用・管理体制を整えることが重要です。まず、データの更新やバックアップの方法を明確に定め、定期的に見直しを行なう体制を構築します。これにより、データの鮮度と安全性を保つことができます。

また、アクセス権限の管理も重要なポイントです。適切な権限設定を行なうことで、情報の漏洩を防ぎつつ、必要な人が迅速に情報にアクセスできる環境を整えます。運用・管理体制をしっかりと構築することで、データベースの長期的な活用が可能になります。

契約書のデータベース化を進めるうえでの注意点

契約書をデータベース化することは、多くのメリットをもたらしますが、下記の点に注意する必要があります。

それぞれの注意点を確認しておきましょう。

セキュリティに関するリスクがある

契約書をデータベース化することで、紙の場合に起こりうる紛失、盗難、災害による消失といった物理的なリスクは大幅に低減されますが、不正アクセスや情報漏洩といったサイバーセキュリティに関する新たなリスクが発生する可能性があります。

契約書には企業の機密情報や個人情報など、非常に重要な情報が含まれるため、これらのリスクを管理するための適切な対策が必要です。不正アクセスによるデータの改ざんや破壊、または外部への持ち出しといった事態が発生すれば、企業の信用失墜、損害賠償、法的責任など、計り知れない損害を被る可能性があるためです。

データベース化を進めるにあたっては、以下のようなセキュリティ対策を徹底することが不可欠です。

  • アクセス制限の設定: 契約書の内容に応じた厳格なアクセス権限を設定し、必要最小限の担当者のみがアクセスできるようにします。役職や部署ごとに閲覧・編集・削除の権限を細かく設定することで、内部からの情報漏洩リスクを抑制できます。
  • セキュリティレベルの高いシステムの活用: 最新の暗号化技術、多要素認証、などを備えた、信頼性の高いデータベースシステムやクラウドサービスを選定することが重要です。
  • 監査ログの取得と監視: 誰が、いつ、どの契約書にアクセスし、どのような操作を行ったかを記録する監査ログを常時取得し、不審な動きがないか定期的に監視することで、万が一の事態に迅速に対応できます。
  • 従業員へのセキュリティ教育: どんなに強固なシステムを導入しても、従業員のセキュリティ意識が低ければ意味がありません。パスワードの適切な管理、フィッシング詐欺への注意、不審なメールの開封禁止など、具体的なセキュリティ対策について定期的な教育を実施し、従業員一人ひとりの意識を高めることが重要です。

バックアップと災害対策: データベースのデータは、定期的にバックアップを取得し、異なる場所に分散して保管することで、システム障害や災害時にもデータを復旧できるように備える必要があります。

これらの対策を講じることで、紛失リスクの低減と業務効率化というメリットを最大限に享受しつつ、情報漏洩という最大のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

導入・運用コストがかかる

新たに契約書管理システムを導入する際には、初期費用や運用コストは避けられない課題となります。これらの費用は、システムの選定から導入後の維持管理まで、長期的にわたる企業の財務計画に影響を及ぼします。

例えば、初期設定費用、データ移行費用、ユーザーライセンス費用、オプション機能の追加費用などが挙げられます。また、利用規模の拡大や機能の充実に応じて費用が増加する従量課金制のサービスも多く、長期的な運用コストを慎重に見積もる必要があります。

契約書管理システムを導入する場合、初期費用だけでなく、長期的な運用コスト、保守費用、アップグレード費用、そしてシステムの陳腐化に伴う再投資の可能性まで見越した総合的なコスト評価が不可欠です。適切なシステムを選定し、コストを最適化するためには自社の事業規模や将来の成長戦略に合致した投資判断が必要になるでしょう。

社内外の理解を得るための取り組みが必要になる

せっかく契約書をデータベース化できても、社内スタッフに利用が浸透しなければ、データベース化が定着せず、管理がおろそかになる可能性があります。社内にデータベース化を浸透させるために、データベース化のメリットや使い方に関する説明会を実施するなどの取り組みが必要です。

また、取引先に対しても、契約書をデータベース化するために紙の書類を電子化している旨を理解頂くために、説明資料を配布したり、利用方法をレクチャーしたり必要もあるでしょう。

契約管理プラットフォーム「クラウドサイン」なら契約締結からデータベース化まで可能

「クラウドサイン」は、契約の締結からデータベース化までを一貫して行える契約管理システムです。電子契約の締結機能に加えて、契約書の締結後にそのままデータベースに登録できるため、契約書の内容や条件を迅速に確認することができます。

契約書の検索性が向上し、必要な情報をすぐに取り出せるため、業務効率の向上を期待できます。また、契約書の情報を関係者間で共有する際も、クラウド上で安全に行えるため、セキュリティ面でも安心です。

契約書のデータベース化を進める際には、クラウドサインのような専門的なプラットフォームを活用することが、成功の鍵となります。契約書管理を効率化し、業務のデジタル化を推進するために、クラウドサインの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いたライター

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弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部

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