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補助金

【2025年版】ものづくり補助金をわかりやすく解説|申請の流れと注意点

「ものづくり補助金」は、中小企業にとって負担の大きい設備の投入や新製品開発を支援する補助金制度です。

この記事では、ものづくり補助金の概要や活用のメリット、申請に必要な準備や基本的な申請の流れを、はじめての方にもわかりやすく解説します。

補助金を上手に活用して、自社の成長につなげたい方はぜひ参考にしてみてください。

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ものづくり補助金とは?基本をわかりやすく解説

ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を目的とした国の補助金制度です。

具体的には、革新的な新製品・新サービス開発や、海外需要開拓を行う事業のために必要な設備投資の経費を、一部国が補助する仕組みとなっています。

ものづくり補助金の目的と概要

この制度の目的は、中小企業者等の生産性向上を促進し経済活性化を実現することです。そのための設備投資やシステム導入を支援することで、企業の競争力強化を強力に後押しします。

制度の特徴は、以下のとおりです。

  • 補助金額が大きい
  • 幅広い業種・業態で利用できる(製造業に限らない)
  • 多様な経費が対象になる

こうした特徴から、とくに新しい挑戦に踏み出す経営者の間で人気が高く、もっとも活用されている支援制度のひとつとなっています。また、付加価値額や賃金の増加などの要件を通じて、経営の効率化と従業員の待遇改善を同時に促す制度設計となっている点も特筆すべきポイントです。

どんな企業・事業が対象になるのか

対象となるのは、中小企業や小規模事業者などです。具体的には、製造業・建設業・サービス業・小売業など、幅広い業種が対象となります。資本金・従業員数の要件は業種ごとに異なりますが、一般的には中小企業基本法に定められた範囲内であれば申請可能です。

項目 製品・サービス高付加価値枠 グローバル枠
対象事業 生産性向上に資する革新的な新製品・新サービス
開発のための設備投資など
海外事業を実施し、国内の生産性を高める
取り組み
補助上限額 最大2,500万円
(従業員数に応じて750万~2,500万円)
最大3,000万円
補助率 中小企業:1/2
小規模事業者:2/3
中小企業:1/2
小規模事業者:2/3
特例措置 ・大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例:
┗従業員数に応じて最大100万~1,000万円補助上限引上げ
・最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例:
┗補助率を2/3に引上げ
対象経費 機械装置・システム構築費、外注費、知財関連費など (左記に加え、輸出に関する事業)
海外旅費、通訳翻訳費など

対象となる事業は、新たな付加価値創出や生産性向上につながる取り組みです。

補助対象となる取り組みの具体例

近年重視されているのは、新製品・新サービスの開発、事業モデルの高度化、社会課題への対応など企業の成長につながる挑戦かという点です。たとえば次のような取り組みが挙げられます。

  • 製造業…新素材を用いた高機能部品の開発、環境負荷を低減する生産プロセスの確立
  • 食品加工業…健康志向やSDGsに対応した新商品の開発、製造ライン改良による品質向上
  • サービス業…顧客体験を高める新サービスの構築、AIを活用した業務最適化

公式サイトには、過年度分ですが全国中小企業団体中央会による中小企業・小規模事業者の成功事例が紹介された「グッドプラクティス集」が掲載されています。ぜひ参考にしてください。

ものづくり補助金の採択率

ものづくり補助金は、申請すれば必ず採択されるものではありません。事業計画書を中心に審査が行われ採択が決まります。以下は、直近の採択率の推移です。

公募回 採択発表日 採択率
第16次 2024年1月19日 48.8%
第17次 2024年5月20日 29.4%
第18次 2024年6月25日 35.8%
第19次 2025年7月28日 31.8%

ものづくり補助金を活用するメリット

ものづくり補助金を活用するメリットとしては、主に3つが挙げられます。

それぞれ詳しく解説します。

返済不要の「高額な資金」を調達できる

最大のメリットは、返済不要の高額な資金を確保できることです。上手に活用すれば、新製品開発やシステム導入などの大型投資がリスクを抑えて実現できます。資金繰りに余裕が生まれることで、企業はより中長期的な視点で事業戦略を描けるようになります。

新製品・新サービス開発の後押しになる

ものづくり補助金は、資金面の制約で着手できなかった新製品や新サービスを大胆に進める後押しになります。公開されている事例集を参考に、新しい事業領域への参入や競争力強化につながる開発を現実的に進められる点は大きなメリットです。

「綿密な事業計画」の策定と企業力の強化

補助金の申請には審査があるため、企業の強みや市場環境、競合との差別化、今後の収益構造まで論理的に整理された「事業計画書」の作成が必須です。事業計画書の作成プロセス自体が、経営戦略を再構築する機会となるため、企業にとって大きなメリットがあるといえるでしょう。

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2025年のスケジュールと申請スキーム

ここでは、2025年版のスケジュールと申請スキームを確認します。なお、スケジュールは随時更新されるため、最新情報については公式サイトをご確認いただくことをおすすめします。

▼ものづくり補助金総合サイト

公募期間・採択発表までの流れ

公募から採択までのおおまかな流れは以下のとおりです。

  1. 公募開始
  2. 公募要領確認・書類準備
  3. 申請受付開始
  4. 申請作業
  5. 申請締切
  6. 採択発表

2025年の公募スケジュールは以下のとおりです。

公募回 項目 日付
第20次 公募開始 4月25日
申請開始 7月1日
申請締切 7月25日
採択発表 10月27日
第21次 公募開始 7月25日
申請開始 10月3日
申請締切 10月24日
採択発表 2026年1月下旬
第22次 公募開始 10月24日
申請開始 12月26日 17時
申請締切 2026年1月30日 17時
採択発表 2026年4月下旬

※2025年11月時点

スケジュール管理のポイント

ものづくり補助金の申請は、公募開始から申請締切まではおおむね2〜3カ月程度しかなく、書類作成・見積取得・社内調整を含めると時間的余裕は限られています。申請直前は、アクセス集中によって電子申請システムにログインできないケースも考えられるため、締切ギリギリの提出は避けたほうが賢明でしょう。

採択後の報告・実績提出の流れ

採択から実績報告までのおおまかな流れは以下のとおりです。

  1. 採択
  2. 交付申請
  3. 交付決定
  4. 補助事業実施
  5. 補助事業完了
  6. 実績報告書の提出
  7. 確定検査
  8. 補助金額の確定
  9. 精算払請求・補助金交付

ものづくり補助金の申請方法をわかりやすく

ここでは、実際の申請方法をステップごとに説明します。

ステップ0:申請に必要な書類と準備項目

申請は、事業計画書をはじめ電子申請システムで入力するもの、また電子ファイルで提出するものがあります。申請する枠組みなどによって異なりますが、直近2年分の決算書と従業員数が確認できる資料は共通して必要となるため事前に準備を進めておくとよいでしょう。

ステップ1:GビズIDの取得

申請は、電子申請システムを通じて行います。ログインするためには「GビズIDプライム」が必要です。法人・個人事業主を問わず、申請者本人がアカウントをもっていなければ申請を進めることができません。発行まで約2~3週間かかる場合もあるため、早めの取得が必須です。

ステップ2:事業計画書の作成

採択を左右するもっとも重要なステップが事業計画書の作成です。定性的・定量的情報を用いて、具体的な理由や根拠を示しながら「なぜこの投資が必要なのか」「どのような効果を生むのか」を論理的に記述し、実現可能性の高い事業計画を策定することが肝要です。

ステップ3:電子申請(応募)

事業計画書や添付書類の準備が整ったら、電子申請システムを通じて応募を行います。

ものづくり補助金はすべてオンラインで申請を受け付けており、郵送やメールでの提出はできません。

ステップ 4:採択結果の確認

事務局による審査が行われ、採択結果は公式サイト上で公表されます。ものづくり補助金では、「採択=補助金の確定」ではなく、「補助金交付候補者」として選定される段階です。

ステップ 5:交付申請

採択結果の公表後、jGrantsシステムから「交付申請」を行います。これは、実際に補助金を交付してもらうための正式な申請であり、交付決定を受けるまでは補助事業に着手できません。

ステップ 6:交付決定

交付申請の内容が審査・確認されると、事務局から「交付決定通知」が発行されます。「交付決定通知」=事業開始のゴーサインという位置づけであり、申請した補助事業を正式に開始できるタイミングです。

ステップ 7:補助事業の実施

いよいよ補助事業の実施フェーズです。この段階では、事業計画書に基づき、設備の発注・納品・検収・支払いなどを順次進めていきます。経費の証拠書類としての証憑はしっかりと整理・保管するようにしましょう。

ステップ 8:実績報告

補助事業が完了後は、jGrantsシステムから「実績報告」が必要です。これは、交付決定時の計画に基づいて、事業が適切に実施されたかを証明するための手続きであり、補助金を受け取るための最終ステップです。

ステップ 9:補助金の入金

事務局による確定検査を経て「補助金確定通知書」が発行されます。精算払請求書を提出したあと、指定口座に補助金が振り込まれます。

申請時に注意すべきポイント

ここからは、申請時に注意すべきポイントを整理します。

に分けてそれぞれ解説します。

事前準備・前提条件に関する注意点

まずは、事前準備・前提条件に関する注意点です。

GビズIDプライム取得に時間がかかる
前項でご紹介したように、GビズIDプライムの発行には、申請から約2~3週間かかる場合があります。補助金の公募期間は限られているため、公募開始を待たずに余裕をもって申請手続きを済ませましょう。

毎回要件が変更される
毎回の公募ごとに制度内容や要件が細かく変更されるのが大きな特徴です。最新の公募要領をしっかりと確認して申請するようにしましょう。

電子申請(Jグランツ利用)のみ
申請は、電子申請システム「Jグランツ(jGrants)」を通じてのみ受け付けられます。
添付ファイルの形式や名称もしっかり確認することが必要です。

事業計画・投資に関する注意点(採択の鍵)

次に、事業計画・投資に関する注意点を説明します。

革新性と独自性
審査で最重要視されるのは、事業の「革新性」と「独自性」です。また、ただ新しいというだけでなく、市場ニーズとの整合性・経営戦略の一貫性を明確に示すことで評価が高まります。

交付決定前の発注・支払いはNG
交付決定前に発注・契約・支払いを行った経費は補助対象外となります。たとえ採択されたとしても、補助金の対象から除外されるため、特に注意が必要です。

抽象的な表現を避ける
事業計画書では、抽象的な表現は評価されにくい傾向があります。単に「生産性を高める」「売上を拡大する」といった曖昧な記述だけでは、審査員に取組内容や成果が具体的に伝わりません。審査員が納得できる、理論的な内容を心がけましょう。

財務状況
事業計画の実現可能性を裏付ける要素として、財務状況が重要視されます。どれほど優れた設備投資計画であっても、財務基盤が不安定だと「実行リスクが高い」と判断される可能性があります。

加点項目の活用
国の重点政策に沿った取り組みを行う企業に対して、審査で「加点」が与えられる仕組みがあります。この加点項目が、採択率を高める最大の戦略です。

採択後・補助金受給に関する注意点

次に、採択後・補助金受給に関する注意点を解説します。

補助金は「後払い」
採択=即入金ではありません。補助事業、つまり投資は自己負担で支払った上で、後払い(精算払い)になるため資金繰り計画は非常に重要です。

「採択」=「交付」ではない
採択通知のあとにあらためて交付申請が必要です。たとえ採択されても、交付決定前に発注等を行った場合全額補助対象外となるため、正しい工程を理解して進めることが必要です。

採択後も事務手続きが必要
採択後にも、交付申請・実績報告・補助金請求といった複数の事務手続きが必要です。このプロセスを正しく理解していないと、補助金が受け取れないといった事態に発展する可能性があります。

不正行為は、補助金の全額返還
ものづくり補助金は、公的資金によって運営される制度です。申請・実施・報告のいずれかの段階で不正が発覚した場合、補助金の全額返還や、今後の補助金申請の停止処分といった厳しい措置が取られます。

まとめ|自社に合った活用方法を見極めよう

ものづくり補助金は、中小企業の生産性向上や新事業開発を後押しする代表的な制度です。自社の経営課題や中期戦略とどう結びつけるかが成功の鍵です。

申請・交付・実績報告と、多くの手続きがあるため、計画性と正確な事務対応が欠かせません。制度の趣旨を理解し、最新の公募要領を確認しながら、自社の成長戦略に合わせて活用していきましょう。

なお、ものづくり補助金の申請において、もっとも重要となるのが「事業計画書」の完成度です。業務改善プラスジャーナルでは、事業計画書の作成に役立つ次のような記事も配信していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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この記事を書いたライター

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高桑清人

中小企業診断士

前職ではBPO企業にて12年間、業務設計・品質管理・人材マネジメントなどの管理業務に従事。独立後は中小企業の経営支援に携わり、新規事業の立ち上げや事業計画策定を伴走型で支援。学習塾講師として16年・1万時間超の授業経験もあり、「聴く・伝える・支える」現場感を大切に活動している。

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