契約管理の方法とポイント—データで管理すべき20の契約項目

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権利・義務そしてリスク情報が記された契約書。貴重なデータを事業に活かす「契約アナリティクス」の第一歩は、契約書の主要項目をリスト化しデータとして一元管理することから始まります。そこで今回は、管理すべき契約項目をレベル別にセレクトしてみました。

契約管理のポイントは主要項目のリスト化から

契約業務を司り、自社が締結した契約に関する情報を誰よりも把握しているはずの法務・総務部門。本来は その武器を生かし、事業部門や経営者に対してさまざまな提案を行えるはずの存在 です。

しかし現実はといえば、

これらの質問に答えられる担当者はほとんどいないのではないでしょうか。その最大の障壁が、いつまでもデータ化されない紙の契約書問題 です。

Wordで電子的に作成した契約書を紙にプリントアウトし、製本して押印する。それを契約当事者が1通ずつ原本を受け取り、ファイルに綴じ込む。ファイルをダンボールに入れ、書庫に鍵をかけて文字通り永遠に「お蔵入り」させる。そんなことが延々繰り返されています。

法務・総務部門がデータドリブンな課題発見や問題解決のための提案を行うためには、この紙文書のルーティンワークを打破し、「契約データ」という武器に変えていく必要があります。そのためのファーストステップとして必要な作業が、契約書に書かれた「生のデータ」を抽出する主要項目リスト化の作業 です。

「ビジネスロー・ジャーナル」2013年6月号 P39-40 より

契約管理の具体的方法—リスト化すべき契約項目

契約アナリティクスの第一歩として、契約書の中の リスト化すべき契約項目 とはどのようなものがあるのでしょうか。

以下最低限・基本・発展と、3つのレベルにわけ、合計20項目に整理をしてみました。

(1)最低限レベル

契約項目 契約分析の観点 契約文言からの読み取り
1.契約相手の名称 特定の契約相手への販売・仕入れ依存度把握
2.契約類型(タイトル) 契約内容の把握

データドリブンなんてまだまだ…という企業であっても、最低限データ化しておく必要のある契約項目は何か?と問われれば、この2つの項目 がそれに当たるでしょう。

契約書の原本を探そうと思った時に、とりあえず取引先の社名を頼りに探せる状態を最低ラインとして確保しつつ、

といったことが把握できれば、まずはスタートラインといえます。

また、こうした分析を可能にするためにも、日頃から契約書のタイトルを「契約書」「覚書」ですませず、「○○に関する請負契約書」のように、契約類型と内容を端的に表現したものとしておくことがポイントです。

(2)基本レベル

契約項目 契約分析の観点 契約文言からの読み取り
3.契約締結日 締結日の古さ≒信頼関係の把握、バックデート監査
4.契約開始日(有効期間開始日) 開始日の古さ≒信頼関係の把握、バックデート監査
5.契約終了日(有効期間満了日) 更新・再契約忘れの防止
6.自動更新の有無 更新・再契約忘れの防止
7.解約通知・更新拒絶期限 解約・更新拒絶通知忘れの防止
8.取引金額 特定の契約案件への販売・仕入れ依存度把握
9.所管部署 責任部署の把握、部署ごとの偏り・依存度把握 ×
10.管理No. 稟議との紐付け、稟議漏れの防止

最低限レベルの2項目に加え、リスクデータの管理という観点で上記プラス8項目、合計10項目が基本の契約管理項目となります。

特に リスク管理において役立つのが、契約の終了に関する項目5〜7 です。たとえばIPビジネスに携わればあっというまに増えていくライセンス契約において、契約期間満了をデータで把握できないとすれば、それ自体が経営リスクといえます。

リスク管理にとどまらず、法務・総務部門から

「3年前に締結した年間5,000万円のライセンス契約が5ヶ月後に期間満了を迎えますが、お忘れではないですか?」
「前任のご担当者の過去3年の契約実績と比べると、だいぶ契約条件が悪化しているようですが問題ないですか?」

とアクティブにサポートすれば、事業部門から心強いパートナーとして認識されるでしょう。

8の取引金額は、電子帳簿保存法の検索性要件 を満たすためにも、忘れずに管理したい項目です(参考記事:契約書の「データ保存」と電子帳簿保存法—電子契約データ保管の注意点)。

また、項目9,10については、契約書そのものには書き込めない=後で契約書から読み取ることができない情報であるため、日常のこまめなデータ化が必要となります。特定の事案について問題が発生した際の照会先がわかるため、契約項目と紐づけてデータで把握できるようにしておきたい情報です。

(3)発展レベル

契約項目 契約分析の観点 契約文言からの読み取り
11.自社ひな形からの変更有無 リスク概要の把握
12.損害賠償額の予定または上限 マキシマムリスクの把握
13.支払いサイト 貸倒れリスクの把握
14.競業避止義務の有無 競業避止義務違反の防止
15.再委託の可否 再委託禁止義務違反の防止
16.OSS利用の可否 OSS利用禁止義務違反の防止
17.知的財産権共有義務の有無 知的財産権共有義務違反の防止
18.下請取引の該当有無 下請法違反リスクの把握、下請法調査対策
19.準拠法 リスクの把握、外国法調査コストの把握
20.紛争解決手段 リスクの把握、外国法調査コストの把握

以上の最低限〜基本レベルの10項目に加え、データドリブンな組織への発展を目指すために、11〜20の契約項目のうち自社にとって特に必要な項目を把握できれば万全といえます。

クラウドサインをご利用いただくある企業では、12のように契約書の損害賠償条項で「ただし賠償額は○○円を超えない」といった条件を積極的に確保して記録し、契約ごとのマキシマムリスクを積算できるようにしておく ことで、経営に役立てている企業があります。

13の支払いサイトの傾向を把握できるようにするのも、これと同じ発想です。契約時期によって支払いサイトの長期化傾向の推移をチェックできるようにすれば、契約データから資金繰り悪化の原因を特定することも可能に なります。

最近では、オープンソースソフトウェア(OSS)を利用した技術開発案件が増加していますが、契約データからそのリスクを定量的に把握できるようにしておけば、将来の紛争発生可能性を察知しやすく する効果が期待できます。

契約管理でデータドリブン経営を加速する

こうした契約アナリティクスを実現する環境を整えていくためには、1日も早い「紙の契約書管理」からの脱却が必要 になってきます。

過去締結した大量の契約書に加え、日々生まれる大量の契約書をどうやってデータ化していけばよいか。クラウドサインがお手伝いできることについて、ご紹介をしたいと思います。

契約書のスキャンとデータ入力をアウトソーシングする

キャビネットや倉庫に保管された過去の契約書をすべて取り出し、紙の契約書から情報を抽出して入力するのを自社の社員で行うことは、想像するだけでも大変な作業です。

そこで、クラウドサインでは、

といった、紙の契約書のデータ化をまるごとアウトソーシングしていただけるサービス「クラウドサインSCAN をご提供しています。

スキャンセンターでのクラウドサインSCAN作業の様子

文書管理のプロがスキャン作業から入力までを請け負います。お客様は、選択により契約書をセンターまで配送いただくか、常駐して作業を行わせていただく場所をご提供いただくだけで、スピーディに大量の紙の契約書のデータ化を実現することができます。

すでに契約書のスキャン・PDF化は済ませているが、契約管理台帳の作成・更新・メンテナンスに人員コストをかけられないお客様には、機械学習技術により契約内容を自動で読み取りクラウドサインに入力する新サービス「クラウドサインAI をご案内いたします。

電子契約・紙の契約書ともにAIが内容を読み取ってクラウドサインを契約管理台帳に

クラウドサインAIは、契約締結後、

  1. 契約相手の名称
  2. 契約締結日
  3. 契約開始日
  4. 契約終了日
  5. 自動更新の有無
  6. 解約通知期限
  7. 管理番号
  8. 取引金額

の8項目を契約書からAIが自動で判別して入力してくれるので、人間の手をわずらわせることなく、基本レベルの契約管理データベースを作成することができます。

紙の契約書から電子契約への移行を前倒す

紙の契約書を「生産」しつづけ、それをまた人間の目と手でデータに戻して管理するのは、どう考えても非生産的な作業です。

すべての契約書を一気に電子契約化するのではなく、日常的に紙で締結している契約書・覚書・注文書だけでも早めに電子契約に移行させることで、将来のデータ化にかかる負担を最小化 することができます。

クラウドサインでは、電子契約の作成段階で最低限レベル(契約相手の名称と契約内容)をデータベースに紐づける仕組みになっています。あわせて、基本レベルの項目についてもかんたんに「書類情報」欄で入力できるよう、UIを設計しています。

クラウドサインの書類情報入力画面

解約通知期限のさらに2ヶ月前に担当者にアラートする、といった設定も可能となっています。

さらにこれらのデフォルト項目とは別に、お客様が任意に管理項目を追加設定し、発展レベルの項目から必要に応じてデータ化を図っていただくことも可能です。

データドリブン経営を法務・総務部門から実現するために、クラウドサインが提供するサービスをぜひご検討・ご活用ください。

画像: Rawpixel / PIXTA(ピクスタ)

(橋詰)

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