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【2026年版】年金制度改正法とは?バックオフィス担当者が押さえるべき変更点を解説

2025年6月に成立した年金制度改正法は、2026年4月から段階的に施行される予定です。社会保険の適用拡大や扶養認定基準の変更など、バックオフィス担当者の実務に直結する内容が多く含まれています。

今回の改正により、短時間労働者の社会保険加入判定が複雑化するため、労働契約書の作成にもさまざまな影響があるかもしれません。この記事では、2026年の年金制度改正について、バックオフィス担当者が押さえるべき変更点を解説します。労使間で認識の齟齬を起こさないためにも、法改正と労働契約に関する最新状況を把握しておきましょう。

年金制度改正法の概要と制度見直しの背景

2025年6月に成立した年金制度改正法は、2026年4月から段階的に施行されます。多様な働き方への対応と、持続可能な年金制度の構築を目指した重要な改正です。まずは、法改正の目的・変更点・実地スケジュールを確認しておきましょう。

年金制度改正法が目指す社会的な目的

今回の年金制度改正法の目的は、短時間労働者の社会保険適用を拡大し、パートやアルバイトといった働き方でも、社会保険に加入しやすくするためです。また、在職老齢年金制度も見直され、高齢者が働きながら年金を受け取りやすくなっています。

さらに、遺族年金の男女差解消や私的年金制度の拡充など、所得格差の拡大を抑えつつ、高齢期の生活安定を図る内容が盛り込まれました。こうした、年齢や性別に関わらず、社会のセーフティーネットがより広く機能することが、年金制度改正の目的といえるでしょう。

被保険者期間と受給開始時期の選択肢拡大

年金の受給開始時期については、すでに2022年4月の改正で選択肢が大きく広がっています。従来は70歳までだった繰下受給が、最大75歳まで可能になりました。繰下受給とは、年金の受け取り開始を66歳以後に遅らせて、受給額を増やす仕組みです。1カ月繰り下げるごとに0.7%増額され、75歳まで繰り下げた場合は84%の増額となります。

この制度により、65歳以降も元気に働き続けたい方や十分な収入がある方は、年金受給を遅らせることにより、将来の受給額を増やせるでしょう。

2026年までの段階的実施スケジュール

社会保険の適用拡大は、以下のスケジュールで段階的に実施されてきました。

実施時期 対象企業規模(特定適用事業所の要件) 主な変更点
2022年10月 従業員数101人以上 雇用期間要件が「1年以上見込み」から
「2カ月超見込み」に短縮
2024年10月 従業員数51人以上 対象企業規模をさらに拡大

2022年の改正では、雇用期間要件の短縮により、短期契約の更新手続きや社会保険加入判定の事務負担が増加しました。さらに今後は、2027年10月から2035年10月にかけて企業規模要件が段階的に撤廃されます。また、2029年10月には個人事業所の適用業種が全業種に拡大される予定です。

2026年最新情報:社会保険の適用拡大と企業の影響

すでに従業員数51人以上の企業では社会保険の適用が浸透していますが、今後さらに小規模企業への拡大が進みます。中小企業や小規模企業において、人事・労務担当者の実務負荷が増加するでしょう。今後どのような改正が行われているかを含め、必要となる対応を確認していきましょう。

従業員数51人未満の事業所への適用拡大

2024年10月から従業員数51人以上の企業で適用が開始された社会保険の適用拡大は、2027年10月以降、さらに小規模な企業へと段階的に拡大されていきます。

時期 企業規模要件
2027年10月以降 36人以上
2029年10月以降 21人以上
2032年10月以降 11人以上
2035年10月以降 完全撤廃

51人未満の小規模事業所では、社会保険事務の経験やノウハウが不足しているケースが少なくありません。加入手続きや保険料計算、従業員への説明などの実務負荷が発生するため、早めに準備を進めましょう。

短時間労働者の社会保険加入条件の再確認

特定適用事業所に勤務しており、以下の要件をすべて満たす労働者は、社会保険に加入する義務が生じます。

項目 加入条件
企業規模要件 被保険者数51人以上(2026年現在)
週所定労働時間 20時間以上
月額賃金 88,000円以上(年収106万円相当)
雇用期間 2カ月超の見込み

なお、月額賃金の要件は2026年10月に撤廃予定とされています。一般的にいわれている「106万円の壁」が、「週20時間の壁」に置き換わるイメージです。なお、上表の内容に加えて学生でないこと(夜間・定時制などは除く)も、社会保険への要件のひとつとなっています。

労働契約の「実態重視」から「契約重視」への移行

2026年4月から、健康保険の被扶養者認定における年間収入の判定方法が変更されます。従来は、過去の収入実績や現在の収入、将来の見込みなどから、実際の収入状況を総合的に判断して扶養認定を行っていました。

新たな運用では、「労働条件通知書」をはじめとする労働契約書に記載された内容をもとに、年間収入を判定します。具体的には、時給・所定労働時間・勤務日数などから算出される基本給、諸手当、賞与が計算のベースです。労働契約に明記されていない時間外労働(残業代)は、年間収入に含めません。

実務担当者が留意すべき改正後の主要ポイント

年金制度改正は、社会保険の適用拡大だけでなく、高齢者雇用や私的年金制度にも影響を及ぼします。従業員からの相談に適切に対応できるよう、周辺実務の変更点も押さえておきましょう。

在職老齢年金制度の基準緩和に伴う高齢者雇用

2026年4月から、在職老齢年金制度の支給停止基準額が月51万円から月62万円へ引き上げられます。在職老齢年金制度とは、厚生年金に加入しながら働く65歳以上の方が対象となる制度です。

給与と年金の合計額が一定基準を超えると、年金の一部が減額される仕組みです。これにより、高齢者の就労参加が促進されると想定されます。

65歳以上の従業員から「自分の状況では年金が減らされるか」という相談を受けた際、最新の基準額を正しく伝えることが重要です。

確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢と手続き

iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢が、2027年1月から65歳未満から「70歳未満」へ引き上げられる予定です。これにより、定年後も働き続ける方が老後資金の準備を継続できるようになります。

加入条件は、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金をまだ受け取っていないことです。60歳から69歳までの方が、一定の条件を満たせば掛金を拠出し、所得控除を受けながら資産形成を続けられます。

また、拠出限度額も引き上げが予定されており、第1号被保険者(自営業など)は月7.5万円、第2号被保険者(会社員など)は月6.2万円まで積み立てが可能です。

育児休業期間中の免除制度に関する変更点

育児休業期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が事業主負担分・本人負担分ともに免除される制度があります。この制度は引き続き維持されていますが、手続きの漏れには注意が必要です。

免除を受けるには「育児休業等取得者申出書」を年金事務所および健康保険組合へ提出しなければなりません。育児休業の開始時だけでなく、終了時にも「育児休業等取得者終了届」の提出が必要になります。

2022年10月からは、月末時点で育児休業を取得していなくても、「同月内に14日以上の育児休業を取得した場合」は「当該月の保険料が免除」される仕組みに変更されました。また、「賞与に係る保険料」は、「連続して1カ月を超える育児休業を取得した場合」のみ、免除の対象となります。

事業所側で必要となる年金・社会保険の加入手続き

適用拡大により加入対象者が増える2026年以降、事業所では正確かつ迅速な処理が求められます。加入漏れが発覚した場合のリスクも含めて、実務フローを整理しておきましょう。

被保険者資格取得届の提出とマイナンバー紐付け

従業員を新たに雇用した際は「資格取得日から5日以内」に、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所へ提出する必要があります。この5日間は暦日でカウントされるため、土日祝日も含まれる点に注意が必要です。

届出書には従業員のマイナンバー(個人番号)または基礎年金番号の記載が必須です。マイナンバーを記載する場合は、事前に従業員から利用目的を説明したうえで本人確認と番号確認を行い、適切に管理する必要があります。

マイナンバーカードを持っていない従業員がいる場合は、マイナンバーが記載された通知カードや住民票の写しから、番号屋情報を確認しましょう。

報酬月額変更届(随時改定)の正確なタイミング

昇給や降給により従業員の給与が変動した場合、定時決定を待たずに標準報酬月額を見直す「随時改定」が必要です。以下の3つの条件をすべて満たす場合、報酬月額変更届の提出が義務付けられています。

【報酬月額変更届が必要なタイミング】

  • 固定的賃金(基本給、役職手当、住宅手当など)に変動があった
  • 変動月から3カ月間の報酬平均額が、従前の標準報酬月額と2等級以上の差が生じた
  • 3カ月とも支払基礎日数が17日以上(短時間労働者は11日以上)である

随時改定が必要な状態になったら速やかに届出を行い、変動月から4カ月目の保険料から改定後の金額を適用します。届出漏れを防ぐため、昇給・降給があった従業員については、3カ月後に必ず随時改定の要件チェックを行う体制を構築しましょう。

記録漏れを防ぐための社内管理体制の構築

社会保険の加入手続きや随時改定の漏れは、事業所にとって深刻なコンプライアンスリスクとなります。手続きが遅れた場合、遡及して保険料を徴収する必要が生じ、従業員との給与調整も複雑化するため、処理に時間と労力が必要です。

特に、短時間労働者の労働時間や契約内容の変更を見落とし、本来加入すべき従業員が未加入のまま放置されていた場合は、大きな問題となります。この場合、年金事務所による立ち入り調査の対象となり、最大で「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科される可能性があります。

記録漏れを防ぐには、採用時のチェックリスト整備や契約更新時の加入要件確認、給与変動時の随時改定判定などの確認フローを明確化することが重要です。

デジタル化により電子申請や電子契約を活用すれば、手続きの効率化と証跡管理の厳格化を同時に実現できます。特に2026年以降の適用拡大を見据え、リスクヘッジを進めるうえでも、早期のシステム導入が望ましいでしょう。

制度改正に伴う労務管理のデジタル化が急務である理由

2026年の年金制度改正により、バックオフィス業務のデジタル化はほぼ必須の対応となっています。

その理由は、「社会保険の適用拡大」と「扶養認定基準の変更に伴う契約更新事務の増加」です。制度改正により、従業員数51人以上の企業では、短時間労働者ごとに社会保険加入の判定が必要となり、労働条件の変更があれば随時改定の確認も求められます。

さらに2026年4月からは、扶養認定において労働条件通知書の記載内容が重要な判断材料となります。契約書の作成・管理精度が従業員の生活に直結するため、慎重な作成と合意形成が欠かせません。

制度改正に対する事務量の増加には、電子契約システムの導入で対応するのがもっとも効果的です。電子契約は作成から保管までを効率化するだけでなく、タイムスタンプ機能により「いつ、どんな内容で合意したか」が改ざん不可能な証跡を残せるため、年金事務所や健康保険組合の調査時に労働契約の正当性を明確に証明できます。

紙ベースだけでは契約書の紛失リスクや改ざんの疑念が残ります。一方、電子契約なら契約時点の内容を保全でき、遡及請求や罰則のリスクを大幅に軽減可能です。また、電子申請を併用すれば、資格取得届や月額変更届などの提出業務も24時間可能となり、5日以内という厳格な提出期限にも余裕を持って対応できます。

制度改正による実務負荷の増大とコンプライアンスリスクの高まりを踏まえると、電子契約・電子申請への移行は早急に着手すべき経営課題といえるでしょう。

なお、クラウドサインは、日本の法律・商慣習に深く配慮して設計された、弁護士監修の電子契約サービスです。電子契約を受け取った相手方はアカウント登録不要・費用負担ゼロで、届いたメールをクリックするだけで契約内容への同意が完了します。

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まとめ:2026年改正に即した適切な年金実務の遂行を

2026年の年金制度改正は、社会保険の適用拡大や扶養認定基準の変更など、バックオフィス業務に大きな影響を与えます。特に従業員数51人以上の企業では、短時間労働者の加入判定や労働契約書の精度向上が求められる点を押さえておきましょう。

改正内容を正しく理解し、従業員への丁寧な説明と適切な手続きが、企業の信頼性とコンプライアンスの維持につながります。同時に、電子契約や電子申請などのデジタルツールを積極的に活用すれば、事務負荷を軽減しながら証跡管理の厳格化を実現できるでしょう。

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この記事を書いたライター

shibatamitsuki

柴田充輝

社会保険労務士・FP1 級技能士・行政書士・宅建士

FP1 級技能士/社会保険労務士/行政書士/宅建士 厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。多くの家庭に対して、家計・保険見直しやアドバイスを行うほか、各資格を活かした記事監修や、講演などを行っている。

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