Slackワークフロービルダーに学ぶ 法務相談から契約書稟議をシームレス化することの重要性

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法務担当への何気ないチャット相談が、そのまま契約書作成のためのヒアリング記録となり、気がつけば社内決裁・電子契約まで一気通貫で完了する世界。チャットツールとワークフローシステムの統合が、法務と事業部門とのコミュニケーションを変革していく未来を予想します。

「何気ない相談」から契約交渉の端緒をタイムリーに拾える→無意識に記録できる→後で探せるシステムはないか

契約書は、取引先・顧客との合意事項についてもれなく記録し、法的な紛争を予防・解決しやすくするための、企業活動には欠かせない文書です。

これを作成しようとするとき、「模範的」な企業では、

  1. 事業担当者が法務担当部門へ契約書作成依頼を出し
  2. 数日後、割り当てられた法務担当者からヒアリングを受け
  3. さらに数日〜2週間ほど待たされて
  4. 出来上がった契約書を相手方に渡し
  5. 相手方から修正依頼がくればまた1へ戻る

という手続きをお互いの会社で繰り返しています。さらに1については、大企業では、“法務部門の業務効率化”が目的化し、契約類型ごとに詳細な質問項目が定められた申請書を書面で提出させられるケースもあったりします。重要な文書を作成しその過程を記録する上で、こうした「儀式」めいた手続きを設定してしまう気持ちもわからないではないのですが、これが 法務部門への相談の敷居を高くしている諸悪の根源 となっています。

その結果、しかるべきタイミングで契約条件の相談ができず交渉が後手に回ったり、挙句の果てには先に相手方担当者と契約条件を固めてしまってから形式的なチェックだけを求めるようになる、そんな不毛な状態を生んでいるのも事実です。

現場が後手に回ればまわるほど形式的なチェックに終わることになる契約交渉

チャットツールにワークフローシステムを内包することで解決

一定規模に成長するとどこの企業でも抱えるこんな課題。これに対し、チャットツールという切り口から解決策を提示しようとしているのがSlack社です。

2019年10月15日、Slackは「ワークフロービルダー」をリリースしました。これは、普段の社内コミュ二ケーションで用いるチャットツールの中で、シームレスに立ち上がるフォームを作成し、そのフォームに記入した内容を、指定した「チャンネル(チャットスペースの中の個別のチャットルーム)」や個別の担当者に送信したりできる、いわば 「チャット内申請書」をだれでも簡単に作れるようにしたツール です。

Slackワークフロービルダーで契約相談フォームを作成

社内申請を電子化するワークフローシステムは、昔からたくさんの製品が市場に存在します。しかし、「チャットの“中”にワークフローを取り込む」というコンセプトを打ち出したものは、これまでほとんどみかけることはありませんでした。そんな中このツールが誕生したことで、

このように、何気ない相談 → 契約書案作成 → 内容承認 → 契約締結までを、タイムリーかつシームレスにつなぐ ことができるようになります。

チャットの中にワークフローを内包することでシームレスに

オンラインのチャットコミュニケーションが当たり前になりはじめている今、「何気ない会話からはじまる相談」を「正式な業務依頼」へと自然につなげるこの組み合わせが、これまでのワークフローシステムとの大きな違いです。そして、その恩恵をもっとも感じることができるだろう存在が、前述のような「敷居の高さ」を事業部門に感じさせてしまいがちな法務部門ではないかと考えます。

監査ログの記録も万全

「契約書のような、会社にとって重要な文書を作成するプロセスを、チャットのような気軽なコミュニケーションツール上で取り扱うのはいかがなものか?」そんなご心配をされる方もいるかもしれません。

しかし現代のチャットツールは、コミュニケーションのプロセスをつぶさに監査できる仕組みも用意されています。特にSlackの場合、エンタープライズ向けプランを選択すれば、米国のe-Discoveryにも対応できる監査ログ を取得できる仕組みになっています。

e-Discoveryにも対応できる監査ログを出力可能

チャットツールでは、「絵文字」を使ったスタンプコミュニケーションが盛んに交わされていますが、こうした絵文字を誰が・いつ打ったか / 取り消したか、といったレベルでログが出力できます。

契約書作成に厳密な申請書提出を求めても、結局「詳しくは口頭で」と書かれるだけで、肝心のディティールについて相談した・承認したログがないということが起きがちです。コミュニケーションの詳細を文字や画像で記録できるチャットの中にこれを取り込むことで、かえってログとしての価値は高まるというわけです。

事業部のコミュニケーションストレスを少なくする工夫と努力を

契約リスクマネジメントを司る法務部と事業部とのコミュニケーションが適切に行われるかは、企業にとって重要な課題の一つです。しかし、忘れてはならないのは、事業部は法務部のために存在するわけではない、という点です。

法務部の都合で面倒な紙の申請書に記入させる、法務部のための管理システムにわざわざログインと入力をさせる…管理側の都合からするとなんのことはなさそうな一手間ですが、そうした一手間の積み重ねがストレスとなり、法務と現場の心の距離は簡単に離れていきます。

事業部が普段コミュニケーションをしている場の中に法務部が溶け込み、法務目線のリスクマネジメントを自然に浸透させていく。そうしたアプローチが法務部門には求められていると考えます。

画像:Slack, freeangle / PIXTA(ピクスタ)

(橋詰)

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