【独自調査】物流業界の87%が「事務作業増加」ー物流業界における法改正対応・契約業務に関する実態調査レポート

2024〜2026年にかけて相次いで施行された3つの物流関連法改正。現場では対応が進む一方で、契約業務を中心とした事務負担の急増という深刻な課題が生じています。
弁護士ドットコム株式会社が2026年5月に実施した実態調査(n=208)から、物流業界のリアルな課題やその課題を放置するリスクに、課題の解決策をご紹介します。なお、本記事は原千広弁護士に監修・コメントいただいています。
<この記事のポイント>
- 物流関連の3つの法改正により、担当者の87.0%が事務作業の増加を実感。4人に1人は負担が「2倍以上」に
- なかでも契約業務が最大の課題で、締結の長期化やバックデート契約など、法改正以前の商慣習も根強く残る
- 紙・押印・郵送を前提とした業務フローの見直しが、法改正対応と効率化を両立する鍵になる
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物流業界に従事する担当者208名を対象に「物流業界における法改正対応・契約業務に関する実態調査」を実施しました。物流業界の方々が法改正にどの程度対応できているか、その対応に際してどのような課題が発生しているのかを明らかにします。
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3つの法改正が物流業界に与えた影響
2024〜2026年にかけて、物流業界では以下の3法が相次いで施行されました。
- 物流総合効率化法(物流の効率化・環境負荷低減を促進)
- 貨物自動車運送事業法(トラック新法)(5年ごとの事業許可更新制・適正原価に基づく運賃設定の義務化など)
- 取適法(中小受託取引適正化法)(書面交付義務の強化・価格協議の義務化など)
いずれも「書面化」と「適正取引」を軸とした改正であり、荷主・運送事業者・倉庫業者を問わず、契約業務の抜本的な見直しを迫るものです。
法改正の詳細な内容については、以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひ参考にしてください。
【独自調査】法改正影響で企業の87%が事務作業増加を実感——4人に1人は「2倍以上」の負担感に
今回の調査では、3つの法改正によって事務作業量が「増えた」と回答した担当者は全体の87.0%にのぼりました。さらに注目すべきは、そのうち25.5%が「大幅に増えた(2倍以上)」と回答している点です。4人に1人が、法改正以前と比べて倍以上の事務負荷を抱えているという実態が明らかになりました。

こうした事務作業の増加は、本来業務への影響にも直結しています。「事務負担が原因で本来業務が遅れた経験がある」と回答したのは80.7%。法改正対応という避けられない業務が、現場の生産性を着実に圧迫しています。

業種別に見る「負担の重心」の違い
事務負担が増えた業務について業種別に分析すると、その傾向が異なることが分かります。

- 荷主・貨物利用運送・倉庫業者:「発注書・契約書のフォーマット見直しと締結・保存」(36.3%)が最多
- 貨物自動車運送事業者:「適正原価への対応・価格協議」(29.8%)が1位
法改正の影響が同じ業界内でも役割によって異なる形で現れており、それぞれの立場に応じた対応が求められています。
対応の遅れは企業規模に比例——中小規模の企業で課題が顕著という結果に
法改正への対応状況を企業規模別に見ると、大企業と中小企業で明確な差が浮かび上がります。

従業員1,000名以上の大企業では、3法すべてで「一部しか対応できていない/ほとんど未対応」の合算が最大でも18.2%にとどまります。一方、999名以下の企業では20〜37%と高い水準となっており、とくに中小規模の事業者での対応遅れが顕著です。
法改正対応の最大の課題として最も多く挙げられたのは、「社内体制・担当者リソースの不足」(23.1%)。次いで「取引先との合意・交渉」(19.7%)「契約者・書面の整備」(17.3%)と続きます。

企業規模の小さい事業者ほど専任担当者を置きにくく、法改正への対応が後手に回りやすい構造的な問題があることが示唆されます。
「小規模だから行政も見逃してくれるのではないか」といった発想は危険です。書面交付義務への違反が発覚した場合、行政指導や勧告、公表や停止命令といった処分の対象となりえます。また、書面化されていない口頭合意は、取引先とのトラブル発生時に自社を守る証拠になりません。「対応できていない」という状態は、法的リスクをそのまま抱え続けているということを、経営者・担当者ともに認識する必要があります。
契約書まわりが最大の課題——書面化・管理・締結プロセスのすべてに支障を感じている
法改正への対応の中で、とくに「自社の対応が十分でない」と感じている業務として「契約内容の書面への明記」が58.7%で1位。書面化・保管・管理など、契約書周辺の業務が上位を占める結果となりました。

契約業務の課題としては、「書面交付義務への対応が追いつかない」(55.3%)が突出した1位となり、法務チェックの遅れや押印・郵送プロセスの非効率も課題として挙がっています。

実際、契約締結(押印・郵送往復含む)にかかる時間が平均1週間を上回るケースが合計79.8%にのぼっています。紙・押印・郵送を前提とした業務フローが締結リードタイムの長期化に直結していることが確認されました。

半数以上が「契約のバックデート」経験あり——法改正以前の商慣習の影響が残っている
法改正によって書面化が求められる中、現場ではいまだ旧来の商慣習が根強く残っていることも今回の調査で明らかになりました。
契約・発注業務の実態について尋ねると、「契約書を後付け(バックデート)で締結することがある」が52.9%で最多。「契約なしで取引継続」が38.9%、「契約書の保管場所がすぐに確認できない」が35.1%と続きます。

業種別に見ると、貨物利用運送事業者では契約書の後付け(バックデート)が68.6%と全業種で最多。荷主企業も口頭発注40.6%・バックデート契約54.7%と高水準で、発注側・受注側の双方で慣習が定着している実態がうかがえます。

こうした商慣習に対して「リスクや問題を感じている」と回答したのは84.5%にのぼります。問題意識はあっても、個人の意識だけでは変えられない構造的な課題であることが示唆されています。

契約書の日付を実際の合意日より前にさかのぼらせる「バックデート契約」では契約締結時の書面交付義務を果たしたことにはなりません。「ずっとこうやってきた」「相手方も了承している」という認識は法的には通用せず、今回の法改正でむしろそのリスクは高まっており、早急に対策する必要があります。
物流の事務負担を大きく軽減させる「電子契約」のメリットとは?——法改正対応とコンプライアンス強化を両立できる理由
こうした課題の解決策として、電子契約の活用が注目されています。電子契約を導入済みの企業では過半数が「契約締結スピードの向上」を実感しており、書類の即日送付・クラウド保管・更新アラートなど、紙業務に伴う非効率を一括して解消できる点が評価されています。

未導入企業においても「郵送・押印業務の削減」「コスト削減」への期待が高く、業界全体で電子契約への需要が高まっていることが分かります。
ただし、現状では電子契約の普及にも規模格差があります。導入状況を従業員規模別に見ると、大企業では導入が進んでいる一方、中小規模の事業者では未導入の割合が高い傾向があります。法改正対応の遅れと電子契約の未普及が重なっているのが、特に中小規模事業者が直面している現実です。

今回の法改正が要求しているのは、突き詰めれば「取引の実態を正確に記録・保存し、いつでも証明できる状態にすること」です。電子契約はまさにこの要件を構造的に満たすことのできるツールの一つです。締結日時が記録され、改ざんが困難な電子署名とタイムスタンプが付与される電子契約は、バックデートや口頭合意といった旧来の商慣習を物理的に排除する仕組みでもあります。「法改正に対応するためにやむをえず導入する」のではなく、「法改正を機に、より安全で効率的な取引インフラに切り替える」という前向きな意味づけで電子契約のような仕組みの活用を検討してほしいと思います。
まとめ——電子契約でコンプライアンス対応と生産性向上を同時に実現を
今回の調査から見えてきたのは、「法改正への対応は進んでいるが、書面化・契約業務の実務負担が現場を圧迫している」という物流業界の構造的な課題です。特に以下の3点は、業界全体で早急に取り組むべき課題といえます。
- 契約書の書面化・管理の効率化:書面交付義務への対応が最大課題となっている現状を踏まえ、デジタルによる契約業務の標準化が急務
- 締結リードタイムの短縮:4人に1人が締結に1ヶ月近くを要している実態の改善
- 法改正以前の商慣習からの脱却:バックデート契約・口頭発注が横行する背景にある、業務フロー・ツールの見直し
法改正が求める「適正な取引の書面化」と、現場が求める「業務効率化」は、本来両立できるものです。契約プロセスのデジタル化は、コンプライアンス対応と生産性向上を同時に前に進める一歩なります。
法改正が相次いだ物流業に迫る課題を解決したいとお考えの方はぜひ電子契約の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
電子契約サービス「クラウドサイン」で、法改正対応と業務効率化を同時に対応
弁護士ドットコムが運営する電子契約サービス「クラウドサイン」は、契約締結日時の記録・タイムスタンプの付与から、締結後の書類のクラウド一元管理までをワンストップでカバーします。
本記事で課題としてあがった「書面交付義務への対応」「押印・郵送による締結リードタイムの長期化」「バックデート契約の防止」を、ひとつの仕組みでまとめて解決できるのが特長です。

紙・押印・郵送を前提とした業務フローを見直すことは、法改正への対応であると同時に、現場の負担を根本から軽くする取り組みでもあります。法改正をきっかけに、より安全で効率的な契約業務へと切り替えていきましょう。
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| 本調査について | |
| 調査名 | 物流業界における法改正対応・契約業務に関する実態調査 |
| プレスリリース | <物流業界における法改正対応・契約業務の実態調査> 法改正で87%が事務作業量増加、4人に1人は倍増傾向 |
| 調査対象 | 物流業界(荷主企業・貨物利用運送事業者・貨物自動車運送事業者・ 倉庫業者等)に勤務し、契約業務に関わる担当者 |
| 有効回答数 | 208名 |
| 調査期間 | 2026年5月20日〜5月27日 |
| 調査企画・実施 | 弁護士ドットコム株式会社 |
| 調査レポート | 詳細なレポートはこちらからダウンロードし、ご活用ください。 |
この記事の監修者
原千広
弁護士
東京都出身。東京大学法科大学院を修了後、新司法試験合格。司法修習を経て都内の法律事務所に勤務。国内外の企業・私人に対する紛争から国際家族紛争まで国を跨ぐ案件に幅広く携わる。ロシア語能力検定1級。趣味はお酒に合う缶詰収集。
この記事を書いたライター
弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部