帳票管理とは?失敗しない進め方とおすすめの方法をわかりやすく解説
結論
帳票管理とは、請求書等の作成から活用までを一元管理することです 。中小企業が抱える「属人化」や「ミスの増加」といった課題は、クラウド型システムの導入で解消できます 。システム活用により、業務効率化やコスト削減だけでなく、電子帳簿保存法への確実な対応(真実性・可視性の確保)も実現しやすくなります。まずは自社の現状と課題を整理し、小さな範囲からのスモールスタートをおすすめします。
企業活動において「帳票」は日々の業務を遂行するうえで重要な「情報資産」です。しかし、多くの中小企業ではこの「情報資産」の管理が属人化されていたり、紙やデータが混在していたりと効率的に管理できていません。
この記事では「帳票管理とはなにか」を明確に整理したうえで、帳票管理の進め方や、具体的な改善方法を解説します。中小企業において帳票管理を課題と感じている総務・経理・システムの担当者様はぜひ最後までお読みください。
なお、社内のあらゆる文書に関わる「文書管理」全般についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。

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帳票管理とは
帳票管理とは、帳票を作成・承認・保存・共有・活用まで一元的に管理することを言います。
- 作成:データ入力から帳票の発行
- 承認:作成された帳票の正当性の確認
- 保存:帳票を定められた場所に保管
- 共有:必要な人が必要な時にアクセスする
- 活用:売上分析やコスト分析に活用する
これら5つをバラバラで管理するのではなく、一元管理することが正しい帳票管理のあり方です。
なお、「帳票」とはもともと「帳簿」+「伝票」を縮めた言葉で、狭義では次のようなものを指します。
- 帳簿類(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など)
- 伝票類(入金・出金・振替伝票など)
- 上記に付随する証憑書類(請求書、納品書、領収書、見積書など)
一方、ワークフローや帳票システムでは、「決まった様式で繰り返し作成・処理される社内外の書類」をまとめて広く「帳票」として扱うこともあります。
そこでこの記事では、狭義の帳票だけでなく、下記のような書類を帳票管理の対象として扱います。
- 請求書:取引先に対して代金の支払を請求する帳票
- 納品書:商品やサービスの納品内容を証明する帳票
- 見積書:取引前に価格や条件を提示する帳票
- 発注書:仕入先へ注文内容を伝える帳票
- 契約書:取引条件や権利義務を定める法的文書
- 経費精算書:従業員の立替経費を精算する帳票
- 勤怠記録:従業員の労働時間を記録する帳票
- 売上報告書:売上状況をまとめた帳票
- 在庫一覧表:在庫数量や状況を把握する帳票
帳票管理を整備するメリットは以下2点です。
- 業務効率化(作業時間の短縮)ができる
- 電子帳簿保存法に対応できる
それぞれのメリットの詳細は後ほど記載します。
なぜ今、帳票管理が重要視されているか
帳票管理が重要視される背景のひとつは「電子帳簿保存法の改正」です。電子帳簿保存法では、電子データで受け取った帳票は、電子データでの保存が義務付けられており、印刷して紙だけで保存する方法は認められていません。
加えて、ただ電子データを保管するのではなく、「検索要件の確保」をはじめとする一定の管理体制の整備が求められるようになりました。なお、事業者の規模(基準期間の売上高)などにより検索要件などが緩和される場合もあります。
また、人手不足が進む中、企業において業務効率化は避けては通れない課題です。帳票管理を構築することで、作業効率化が進み作業時間の短縮が可能である点も、帳票管理が重要視されるようになった背景としてあげられます。
なお、電子帳簿保存法についてはこちらの記事でも詳しく解説しているので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
帳票管理ができていない企業に共通する3つの課題
帳票管理がうまくできていない企業には、共通して下記3つの課題があります。
この3つの課題がクリアできていない企業では、企業の信頼を損ねたり、予定外の損失が発生するといった問題が起こり得ます。
1.紙・Excel管理による非効率とミスの増加
紙やExcelで管理されている帳票は、検索や確認作業に時間を要します。紙の管理では、1ページずつめくって目的の帳票を探さなければならず、Excelの管理ではどこのセルに目的の帳票が記載されているかを検索するために多くの時間がかかります。
結果的に、「探す時間」が業務の大半を占めることになるばかりか、紙やExcelでの管理は、手作業であるがゆえに、転記・入力ミスのリスクも避けて通れません。
2.属人化によるブラックボックス化
帳票の管理方法が個人に依存し、標準化されていない「属人化」の状態では、さまざまな問題が発生します。特定の帳票が今すぐ必要な状況となった際、管理している本人が休憩中・休暇中などで不在の場合、すぐに見つけ出すことができません。結果的に、「手待ち(その帳票がないと次の作業に進めない状況)」が発生します。
こういった属人化による業務リスクは、通常業務が忙しく、帳票を整理するルール作りができない中小企業において、頻繁に見られる課題です。
3.法対応(電子帳簿保存法)への不安
帳票管理体制が未整備だと電子帳簿保存法への法対応において不安が残ります。電子帳簿保存法では改ざん防止や履歴管理の徹底における「真実性の確保」と、データをいつでも確認・検索できる「可視性の確保」の2つの要件への対応が必要です。
しかし、ファイル名がバラバラ、紙とExcelが分散されているといった状態では、税務調査が入った際に、「法要件(とくに検索要件)が満たされていない」といった指摘をされる可能性があります。

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帳票管理を改善すると得られる3つのメリット
帳票管理を改善すると以下の3つのメリットがあります。
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきましょう。
1.業務効率が向上し作業時間を削減できる
帳票の管理方法を整備することでもっとも期待できる効果は、業務効率が向上して作業時間を削減できることです。具体的には「この帳票って最新版?」、「この帳票って上長の承認済み?」など、関係各所への確認作業や問い合わせが不要になります。
2.コスト削減(紙・印刷・保管)が実現できる
次にコスト削減が実現できる点も効果として期待できます。特に紙関連のコストは電子化により印刷代・用紙代・郵送費は確実に削減可能です。
特に、請求書・納品書・発注書といった定期的に発行する証票は数も多くなりやすく、電子化するだけで大幅な削減効果となります。さらに紙保管において発生するキャビネット代、倉庫代、外部保管サービス費用をはじめとするコストの削減も期待できるでしょう。
3.検索性が向上し必要な帳票をすぐ見つけられる
検索性が向上することで、必要な帳票を見つけやすくなる点も大きなメリットです。具体的には「探している帳票がどのフォルダにあるかわからない」「探している帳票が紙かデータかわからない」といった状態を無くし、人手を割いて探す時間も削減できます。
帳票管理の方法は3つ
具体的にどのように帳票管理をしていけばよいか。帳票管理の方法は下記の3つとなります。
それぞれの方法におけるメリット・デメリット(リスク)を理解し、自社にとって最適な選択をしましょう。
1.紙で管理する方法の特徴と限界
紙での帳票管理はITリテラシーに依存しないので誰でも簡単にすぐ使えることが特徴です。導入コストもほぼゼロであり、小規模の業務ではシンプルに運用が回る特徴があります。
一方、最大の課題は検索性の低さです。必要な帳票をひとつ探すのにも時間がかかり、人件費のロスにつながります。また、書類の持ち出しや改ざんといった不正や情報漏洩のリスクも高く、セキュリティ面においても課題が残ります。
さらに、取引先から電子データで帳票が送られてきた場合、基本的には紙ベースでの管理しかしていないと電子帳簿保存法の法要件を十分に満たすことができません。
このため、紙ベースのみでの帳票管理には限界があり、デジタルデータの管理方法も検討する必要があります。
2.Excelで管理する方法のメリットとリスク
Excelでの帳票管理は、多くの企業で採用されています。Excel管理は低コストで即導入でき、自社に合わせて柔軟にカスタマイズできる点がメリットです。さらに、並べ替えやフィルタ機能を利用すれば、一定の検索・集計が可能となります。
一方、基本的には手入力となるため、入力ミスや転記ミスといったヒューマンエラーのリスクを抱えており、状況によってはリアルタイムにExcelに反映できず、「帳票が承認されたら即対応したい」という状況においてはタイムラグが生じる可能性もあります。
3.システム(クラウドサービス)で管理する方法の強み
システム(クラウドサービス)で管理すれば、Excel管理のリスクをカバーできます。
もちろん、システム(クラウドサービス)によっては、書類情報を手入力する必要があり、ヒューマンエラーが発生するリスクが残ります。このため、システムを使って管理する場合、必須入力箇所の設定(未入力を許可しない)や取引先などのマスタ化をすれば、手入力を減らしつつ、ミスを減らすことが可能です。
また、システム(クラウドサービス)内で承認を行えば、リアルタイムに状況を確認できます。さらに、Excelよりも質の高い検索機能が使えるため、作業時間の大幅短縮も可能です。
中小企業にはクラウド型のシステムがおすすめ
コスト・人材・運用負担という制約がある中小企業においては、システムの中でもとくに「クラウド型」のシステムがもっとも現実的な帳票管理方法です。
システムの導入形態は、クラウド型とオンプレミス型があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
クラウド型には、初期コストの安さ(月額課金でスタート可能)、IT人材が不要、どこでも使える利便性(在宅でもアクセス可能)、段階的に導入可能、といった点があげられます。
| 項目 | クラウド型(SaaS) | オンプレミス型 |
| サーバー | 不要(ベンダーが提供) | 自社での用意・構築が必要 |
| 初期費用 | 低い、または無料 | 高い(サーバー購入費、構築費) |
| 月額費用 | 利用台数に応じた月額課金 | 比較的低い(保守費用のみ) |
| 導入スピード | 早い(契約後即座に利用開始可能) | 時間を要する(サーバー構築など) |
| 運用・保守 | ベンダー側で実施(アップデートも自動) | 自社で実施(専門知識が必要) |
| カスタマイズ性 | 標準機能の範囲内で限定的 | 高い(自社環境への適合性が高い) |
また、帳票をシステム上で一元管理すれば「誰が・いつ・なにを」処理したかがログとして残ります。加えて、証跡管理が可能となり不正やミスの早期発見が可能となるため、内部統制の強化に役立つでしょう。
セキュリティ面でも、紙やローカルファイルでありがちな紛失・盗難といったリスクを無くせるため、取引先からの信頼という面でもメリットがあります。
さらに、電子帳簿保存法が求める「真実性の確保」「可視性の確保(見読性・検索機能)」といった要件を満たせるのも帳票管理システムを利用する恩恵のひとつです。

きちんと対応できていますか?
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本資料では、改めて「電子帳簿保存法」において緩和された検索要件やタイムスタンプのルールから、仮装・隠蔽に対する厳しい罰則規定まで、企業がおさえるべき重要なポイントを一覧でまとめています 。
失敗しない帳票管理の進め方
いきなりシステムを導入すると高確率で失敗します。帳票管理は「ツール導入」でなく「業務設計」なので順番を間違えないことが重要です。進め方としては以下の通りです。
STEP1:現状の帳票業務を整理する
STEP2:課題と目的を明確にする
STEP3:要件を定義しツールを選定する
STEP4:小さく導入して検証する
STEP5:全社展開と運用ルールを整備する
よく準備しながら、それぞれのステップを踏めば、適切な帳票管理ができるようになります。
STEP1:現状の帳票業務を整理する
帳票管理の改善においてまずはじめに実施することは「見える化」です。具体的には現状の帳票の種類(請求書・納品書・発注書・契約書など)を洗い出し、その帳票を誰が作成して誰が承認しているかフローを確認しましょう。
STEP2:課題と目的を明確にする
次に「課題」と「目的」を明確にします。具体的には「なにに困っていて、なにを達成したいか」の言語化が必要です。ここが曖昧だと、現場の共感と納得が得られず、システムを導入しても定着しないでしょう。
「とりあえずクラウドを導入したい」といった抽象的な目的でないかを見直し、現場を巻き込んだうえで、課題と目的を明確にし、システム導入の検討を進めましょう。
STEP3:要件を定義しツールを選定する
次に、要件を定義してツールを選定します。要件の定義とは「どのような状態を実現したいか」の具体化であり、課題と目的が明確であれば必然的に定義されます。
たとえば、「請求書の電子管理」「承認フローのシステム化」などを実現したいなら、それに合うツールを選びます。この要件の定義をしないと、不必要な機能が多すぎるツールや、逆に必要な機能がついていないツールを選択しかねません。
STEP4:小さく導入して検証する
ツールの選定ができたら、まずは小さな範囲での導入・運用・検証が重要です。具体的には「管理部門に限定した試用」といった小さな部署単位での運用を指します。
こうしたスモールスタートには、失敗リスクの最小化や、実運用でしかわからない課題の発見といったメリットがあります。最初から全社運用した場合、大幅な修正に時間と費用がかかるだけでなく、導入に失敗した場合の損失額も大きくなります。
STEP5:全社展開と運用ルールを整備する
小さく導入して問題がなければ、最終工程として全社展開および運用ルールの整備に移ります。小さく導入して成功した事例を標準化(誰がやっても同じ結果になるように)して、全社で同じルール・同じ仕組みが適用されるようにしましょう。なお、会社の規模に応じては段階的に展開対象を広げていく方法も有効です。

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よくある質問(FAQ)
最後によくある質問をご紹介します。
Q. 帳票管理と文書管理の違いはなんですか?
A. 帳票管理は請求書や納品書など業務取引に直接関わる定型書類を対象とし、作成・発行・承認・保存・検索といった処理効率や法令対応を重視します。
一方、文書管理は契約書、議事録、マニュアルなど非定型文書も含め、情報資産全体の体系的な保管・共有・活用を目的とします。
前者は業務処理と証跡管理に重点があり、後者はナレッジ共有や情報活用の側面が強い点に違いがあります。
Q. 小規模企業でも帳票管理システムは必要ですか?
A. 小規模企業でも帳票管理システムは有効であり、必要となる状況もあります。たとえば、帳票が紙やExcelで分散管理されていると、検索性の低下や属人化、入力ミスが発生しやすくなるため、業務効率に課題が生じ、電子帳簿保存法への対応も難しくなります。
一方、クラウド型であれば低コストで導入でき、検索性向上や履歴管理により効率化と法対応を両立することができます。
Q. 電子帳簿保存法に対応するにはなにが必要ですか?
A. 電子帳簿保存法に対応するには、「真実性の確保」「可視性の確保(見読性・検索機能)」を満たす仕組みが必要です。具体的には、電子取引データを紙ではなく電子のまま保存し、取引日・金額・取引先で検索できる状態を整えることが求められます。
また、タイムスタンプ付与や訂正削除履歴の保存により改ざん防止を図ること、適切な保存期間の管理や閲覧環境の確保も重要です。これらを満たすためにも、運用ルールの整備とクラウドを利用したシステムの活用が推奨されます。
まとめ
帳票管理とは、請求書や納品書などの業務帳票を作成・承認・保存・共有・活用まで一元的に管理することで、業務効率化と電子帳簿保存法対応を実現する重要な仕組みです。
紙やExcelによる分散管理では属人化や入力ミス、検索性低下が生じるため、クラウド型をはじめとするシステムの活用による標準化と一元管理が有効となります。小さく導入し全社展開することで定着を図ることが重要です。
なお、クラウドサインでは電子帳簿保存法の対応方法についてわかりやすくまとめた資料もご用意しています。業務効率化と法対応の両立に悩む方はダウンロードのうえ、ご活用ください。

きちんと対応できていますか?
電子取引における電子帳簿保存法改正対応のポイント
本資料では、改めて「電子帳簿保存法」において緩和された検索要件やタイムスタンプのルールから、仮装・隠蔽に対する厳しい罰則規定まで、企業がおさえるべき重要なポイントを一覧でまとめています 。
この記事を書いたライター
奥田豊
中小企業診断士
都市銀行で融資業務、製造業(プライム企業)で本社経理・工場管理に従事。工場管理業務においては、在庫管理やSOPなどを経験。その後、中小企業診断士を取得し、財務コンサル会社へ転身し、管理部門の経理部門長として管理部門体制強化に貢献し、自社のIPOを実現させる。現在は独立し、経理業務改善等のコンサル業務に従事している。
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