グレーゾーン解消制度を活用して、クラウドサインによる契約の適法性を確認しました

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書面による契約締結が原則として法律に規定されている、建設工事の請負契約。

弊社では、クラウドサインによる電子契約でも問題ないと考えておりましたが、改めて、グレーゾーン解消制度を利用してその適法性を確認することができました。本日付、経済産業省からも正式に発表されましたので、その詳細について、ご報告をさせていただきます。

まず、本日付の経済産業省ニュースリリースがこちら。

▼電子契約サービスに係る建設業法の取扱いが明確になりました~産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」の活用~
http://www.meti.go.jp/press/2017/01/20180129001/20180129001.html

日本の商習慣として定着する「紙と印鑑」による契約の締結をクラウド上で電子的に行うことができるサービスを提供する照会者より、今般、建設業法上義務付けられている建設工事請負契約に関する書面の交付を代替するサービスを検討するに当たり、当該サービスが建設業法施行規則第13条の2第2項の技術的基準に適合するかについて照会がありました。
(中略)
関係省庁が検討を行った結果、照会者が提供するサービスにおいては、(1)契約成立後に照会者から契約当事者に送信されるデータを電磁的記録として保存及び印刷を行うことは可能であること、(2)照会者により公開鍵暗号方式による電子署名及び電子的な証明書の添付の手続が行われることから、当該サービスは、建設業法施行規則第13条の2第2項に規定される技術的基準(建設業法第十九条第三項に規定する情報通信の技術を利用する措置に係る技術的基準)を満たすことが明らかとなりました。

“「紙と印鑑」による契約の締結をクラウド上で電子的に行うことができるサービスを提供する照会者”は弁護士ドットコム、”照会者が提供するサービス”はクラウドサインのことです。グレーゾーン解消制度では、照会した事業者の名前を経産省が配慮により公開しないこととしているため、このような表記となっています。

照会者が弊社である証拠として、以下世耕弘成経済産業大臣と石井啓一国土交通大臣のお名前入りの回答書の画像を貼付します(経産省ご了解済み)。この回答書自体は1月12日にいただいていたのですが、省庁の都合もあり、発表が本日となったものです。

建設業法の条文は「原則は紙で契約」「ただし情報通信技術の利用も可」

前提として、ご存知ない方も多いかと思いますので、建設業法における契約締結に関する規定部分を確認してみます。

○建設業法
(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない
(略)
3 建設工事の請負契約の当事者は、前二項の規定による措置に代えて、政令で定めるところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて、当該各項の規定による措置に準ずるものとして国土交通省令で定めるものを講ずることができる。この場合において、当該国土交通省令で定める措置を講じた者は、当該各項の規定による措置を講じたものとみなす。

19条をはじめ(第1項)から読むと、書面にサインかハンコを押して相互に交付と書いてあるのがわかりますね。つまりこれが原則とされているわけです。しかし、その下の3(第3項)とあるところに、ややわかりにくい日本語で、相手方の承諾があれば「情報通信の技術を利用する方法」かつ「国土交通省令で定めるもの」であれば代替手段として認めますよ、ということが書いてあるのが確認できるでしょうか。

クラウドサインは、まさにこの「情報通信の技術を利用する方法」にあたります。とすると次に問題となるのが、条文からリンク先として指定されている「国土交通省令」にどんなことが書いてあるんだろう?という点。これは、「建設業法施行規則」という名前で検索していただくと、出てきます。こちらも一部抜粋します。

○建設業法施行規則
(建設工事の請負契約に係る情報通信の技術を利用する方法)
第十三条の二 法第十九条第三項の国土交通省令で定める措置は、次に掲げる措置とする。
一 電子情報処理組織を使用する措置のうちイ又はロに掲げるもの
イ 建設工事の請負契約の当事者の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と当該契約の相手方の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する措置
ロ 建設工事の請負契約の当事者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された法第十九条第一項に掲げる事項又は請負契約の内容で同項に掲げる事項に該当するものの変更の内容(以下「契約事項等」という。)を電気通信回線を通じて当該契約の相手方の閲覧に供し、当該契約の相手方の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該契約事項等を記録する措置
二 磁気ディスク等をもつて調製するファイルに契約事項等を記録したものを交付する措置
2 前項に掲げる措置は、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならない
一 当該契約の相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものであること
二 ファイルに記録された契約事項等について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること
3 第一項第一号の「電子情報処理組織」とは、建設工事の請負契約の当事者の使用に係る電子計算機と、当該契約の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。

ポイントとなる要件は太字にした2項1号と2号で、

この2点について、法の求める水準にあるかどうかを、経産省と国交省に確認していただいた、というものになります。

これまで、他の電子契約サービスとの比較において「クラウドサインは建設工事には使えないから・・・」という誤解が一部であったと耳にしたこともあります。そこで今回、グレーゾーン解消制度(法令適用事前確認手続き)制度を利用させていただき、クラウドサインの技術的仕様を詳細に説明した上で、問題ないですよね?という確認を申請したのが、今回の手続きでした。

弁護士ドットコムとして初めてのグレーゾーン解消制度活用

クラウドサインとしては、今回が初のグレーゾーン解消制度の利用となります。また、1月26日の経産省プレスリリースを見ますと、経産省ご担当者のご尽力もあってか、本制度の活用が進みはじめている様子も伺えます。

▼「企業単位」の規制改革が進んでいます!~グレーゾーン解消制度及び企業実証特例制度の活用結果~(平成29年10月~12月)
http://www.meti.go.jp/press/2017/01/20180126001/20180126001.html

実際に各府省になされた過去の照会及び回答内容は、電子政府の総合窓口「e-Gov」のこちらのページから一覧することができます。

この制度で事業者がホワイトだと思っていたことがブラック認定されてしまう事例も過去実際にありましたので、制度を利用して白黒はっきりつける以上、きちんとしたサービス設計&理論武装も必要ですが。

何はともあれ、引き続き安心してクラウドサインをご利用ください。

画像提供:
barman / PIXTA(ピクスタ)

(橋詰)