脱「専らガーディアン」法務 — Legal Innovation Conference レポート

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専ら企業の「守り」を固めるための存在だった法務部門に、「攻め」の担い手となることを期待する声。リーガルテックがその変革のお役に立てているかを問うイベントに、300名超の法務パーソンが集まりました。

法務の役割論争を呼んだ経産省「令和報告書」解説からスタート

守りの法務から攻めの法務へ」—近年法務の求人票にしばしば使われるようになったこのフレーズには、法令遵守を軽視するかのようで嫌悪感を感じる法務の方も少なくないようです。一方、経営者が法務部門の領域拡大に大きな期待を寄せている今がチャンスと、こうした動きを前向きに捉える方もいます。

法務の力を事業創造へ向けるためになすべきアクションとは?本イベントは、これを整理した「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書(令和報告書)」を解説する講演からスタートしました。

経済産業省 経済産業政策局 競争環境整備室 室長 桝口 豊様

在り方研究会の整理によれば、経営者から法務部門に寄せられている新たな期待役割は以下の2つ。

そして、現状は専らガーディアン機能に投下されているリソースをこれらの機能に移行する手段の1つとして、リーガルテックがある のではないか。桝口室長からはそんなお話をいただきました。

リーガルテックによっても変わらないもの

そのリーガルテックの担い手として、LAWGUE・Hubble・RICOH・Westlaw・クラウドサインと、おなじみのサービスがブースエリアに勢ぞろい。中でも今回初登場となりTwitterでの反響の声をたくさんいただいたのが、弁護士ドットコムがリリースする法律雑誌・書籍読み放題サービス「BUSINESS LAWYERS LIBRARY」です。

こうした機能で法務パーソンのリサーチ業務をお助けするサービスに、会場からも期待の声が寄せられました。

BUSINESS LAWYERS 編集長 松本 慎一郎

その一方で、こうしたリーガルテックの現在地を冷静な目で見つめていらっしゃったのが、中盤のセッションをご担当いただいた三井不動産の望月法務グループ長です。

大正十三年度の稟議書末尾の言い回しがいまもなお三井グループの中で変わらず受け継がれていることを引き合いにされながら、法務業務において「変わらない本質とは何か」を想像することの重要性 を指摘。Hubble酒井CLOと含蓄に富む対談を展開されました。

三井不動産株式会社 総務部 法務グループ長 望月 治彦様(左)、株式会社Hubble 取締役CLO/弁護士 酒井 智也様(右)

PCが導入されても仕事が無くなるどころかむしろ増えたように、リーガルテックによってアクセスできる情報の範囲と量が拡大すれば、法務が目を配らなければならないことがらも増えるのであって、それに翻弄されず使いこなせるかが重要 と述べられていた点は、印象的でした。

情報とルールを操り事業を生み出すリーガルデザインの時代へ

最後のセッションを締めくくってくださったのが、リーガルテックを隅々まで活用し極端なまでに「令和報告書」型法務を実践 されているサントリー法務部の明司部長です。

BUSINESS LAWYERSとサインのリ・デザインのコラボアンケート企画で浮き彫りになった、「リーガルテックで生まれたリソースを将来どこに振り向けるかが具体的に見えていない」問題。モデレータを務めていただいた三浦法律事務所 尾西先生からは、これを探りあてるべく、次々と質問が繰り出されます。

サントリーホールディングス株式会社 リスクマネジメント本部 法務部部長兼コンプライアンス室部長 明司 雅宏様(左)、弁護士法人三浦法律事務所 尾西 祥平様(右)

それらに淀みなくお答えになりながら、サントリー法務の先進的な取り組みの数々を紹介された明司部長。クラウドサインを決済システムにつなぎこんでご利用いただくといった具体例もご披露くださいました。

法務が社内の情報ハブとなり、取引のルールをデザインし、ビジネスを生み出す存在にもっとなれるはず」との力強いコメントに、セミナー会場の聴講者の体温が高まっていったのを感じましたし、その後に開催された懇親会も大いに盛り上がりました。

内部者の目から見ても、2019年の締めくくりと2020年への橋渡しにふさわしいイベントとなりました。ご協賛いただいたスポンサー各社、そしてご登壇・ご参加くださった皆様に改めて御礼を申し上げます。

(橋詰)

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