これからの100年、新しい契約のかたち。

契約専門書籍レビュー

デジタル・ガバメントとはOSである —若林恵『次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方』

「行政のデジタル・トランスフォーメーションなんて言ったところで、また税金の無駄遣いで失敗するに決まっているよ」。そう悲観する前に、目を通しておくべき本があります。

多様化する人々の暮らしに対応可能なOSへアップデートが必要

  • 「小さな政府」によって、「最小コストで(効用を)最大化する」こと
  • 「大きな政府」によって、「個別のニーズに個別に応える」こと

これらは人=公務員を増やしても両立できなかったが、その 両方を得意とするデジタルテクノロジーを活用し、つなぎ合わせることで実現可能である ことを、エストニア・インド・スウェーデン・デンマーク・イギリス等の成功事例を紹介しながら解説する本書。

書籍情報

NEXT GENERATION GOVERNMENT 次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方


  • 著者:若林恵/編集
  • 出版社:黒鳥社
  • 出版年月:20191209

日本の何をデジタル化すればよいのか?ハンコをデジタル化しさえすれば勝手にフォーメーションしてくれるのか?誰もが感じているこの疑問に対し、本書P26は以下のように答えます。

「デジタルトランスフォーメーション」って、ずっとビジネスの領域での話が主体だったわけですけど、ビジネスが変わって民間のサービスが変わっていくと、それにつれてみんなの生活も変わっていきますよね。
—はい。
その結果社会の動き方が変わってくると、それまで社会を形づくっていたシステムと、実際の生活とがずれていってしまうわけです。簡単に言うと、アプリケーションはどんどん新しくなっているのに、OSが古いままなのでアプリそのものがうまく作動しないということになっちゃうんです。
—そのOSが「行政府=ガバメント」ということなわけですね。

人々の暮らしがデジタルで多様化しても、行政インフラというOSが昔のままでは手間は増えるばかり。だからOSのアップデートが今こそ必要である、というわけです。

若林恵『次世代ガバメント 小さくて大きい政府の作り方』P28-29
若林恵『次世代ガバメント 小さくて大きい政府の作り方』P28-29

平井大臣と政府CIOの発言から予想する「日本版インディアスタック」構想

では、その行政という「OS」をアップデートするにあたり、どこから手をつけるべきか?この課題解決に責任を負うデジタル担当相に就任した平井卓也議員が就任直後から再三再四強調しているのが、IDとしてのマイナンバー(カード)の活用と、それを軸にしたシステム間のAPI連携 です。

▼ 平井大臣と語る「日本のデジタル戦略」(YouTube NewsPicks Channel)

デジタルは人と人をつなぐ、人間中心の社会をさらに進化させるもの。今回のコロナ禍では、今までのデジタル投資が全然役に立たず国民を助けられなかった…(中略)。各省でバラバラ、国と地方でバラバラのものをつながるようにする。クラウドに持っていけるものは持っていく。で、マイナンバーカードについては、日本はIDないままデジタル化をすすめた。それは無理なんですよ。おまけに名前の読み方もFIXしてない社会で、いままでよくやってきたんですよ。

国民IDを徹底し、APIで各サービスをつなぐ。まさにこの発想で組み立てられているのが、インドのデジタル化政策「インディアスタック」です。以下本書P63-66より引用します。

インド政府は2009年から国民IDである「Aadhaar(アーダール)」をデジタルインフラの基盤として整備することに着手して、現在までに13億人に対して国民IDを振り終えています。(中略)インド政府がデジタルIDというインフラの次につくったのは、社会を「ペーパーレス」にしていくためのインフラです。
—どういうことですか?
社会の中ではいろんな書類がやりとりされますね?契約書だったり、請求書だったり、領収書だったり。そうした書類には公的なものもたくさん含まれています。それをデジタル上でやりとりしようと思ったら何が必要になりますか?
—公的な書類だったら実印とかが必要になりますね。
そう、社判や実印が必要ですよね。じゃあデジタル空間内で使える実印や社判をつくろうというのがインド政府の考えたことです。
—ははあ。でも実印ってハンコ屋さんに注文してつくってもらうものですよね。
ですからインド政府がやったのは、みんな実印をつくってあげることではなく会社や個人が銘々で「公的なデジタル実印=電子署名」(e-sign)をつくることのできる「規格」を用意してあげるということです。デジタル用語を使うと、誰でも使うことのできる「API」を用意して公開したということです。
—オープンAPIというヤツですね。

Aadhaar相当するマイナンバーの付与が完了している日本がやるべきことは、各省庁・自治体システムと人をAPI(Aplication Proguraming Interface)で横串につないでいく「日本版インディアスタック」の構築です。

若林恵『次世代ガバメント 小さくて大きい政府の作り方』P89
若林恵『次世代ガバメント 小さくて大きい政府の作り方』P89

コロナ禍直前の2020年1月に開催された、Govtechカンファレンス『中央官庁のデジタル化と自治体との連携』@東京ミッドタウン日比谷。ここで私が見た 政府CIO上席補佐官 座間敏如氏によるスライドは、API活用モデルを志向 していることを確信させるものでした。

Govtechカンファレンス『中央官庁のデジタル化と自治体との連携』政府CIO上席補佐官座間敏如氏スライド
Govtechカンファレンス『中央官庁のデジタル化と自治体との連携』政府CIO上席補佐官座間敏如氏スライド

上述の、平井大臣による「バラバラのものをつながるようにする」というコメントからも、日本政府がこれからインドをモデルにデジタル化を進めようとしていることが見て取れます。

クラウドサインも行政のデジタル化を支援

そして2020年10月、クラウドサインに行政デジタル化の専門部隊「デジタル・ガバメント支援室」を新設 したことを、プレスリリースにて発表させていただきました。

▼ クラウドサインにデジタル・ガバメント支援室を新設。官公庁・自治体に向けた行政手続きのデジタル化を推進

このたび当社が新設した「デジタル・ガバメント⽀援室」では、官公庁や地⽅ ⾃治体を対象に、⾏政⼿続きのデジタル化推進の⽀援を⾏ってまいります。 既にクラウドサインのWebAPI の活⽤に向けて検討を開始している⾏政機関もあり、各所で急速な改⾰が求められています。これに対応すべく、これまで当社が取り組んできた、複雑な組織構造における電⼦契約の運⽤コンサルティングの実績を活かし、官公庁・地⽅⾃体向けのプログラムを開始します。 また、電⼦契約の領域における法律やセキュリティ分野の専⾨家による監修によって蓄積されたナレッジを提供し、⾏政の推進するデジタル化を後押ししてまいります。

これまでのITゼネコン的発想に囚われない、WebAPIをベースにした未来志向のインフラづくりを通じて、行政のデジタル化を全力で支援していきます。

(橋詰)

icon book

機能や料金体系がわかる

資料ダウンロード(無料)
icon book

詳しいプラン説明はこちら

今すぐ相談

この記事の監修者

no image

弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部

電子契約サービス「クラウドサイン」を運営する、弁護士ドットコム株式会社の編集部です。電子契約・電子署名法・電子帳簿保存法のほか、契約管理、契約審査・レビュー、AIを活用した法務業務の効率化について解説しています。法令の解釈にかかわる記事で弁護士等の専門家による監修を受けている記事には、記事末に監修者名を表示しています。

こちらも合わせて読む

クラウドサインに関して、
ご不明な点がございましたら
お気軽にお問い合わせください

icon book

お役立ち資料

「3分でわかるクラウドサイン」の資料を
お読みいただけます
資料ダウンロード(無料)
icon mail

お問い合わせ

クラウドサインに関するご不明点や
ご質問にお答えします
問い合わせる
icon pc

お見積もり

お客さまの状況に合わせ、
最適な料金プランをご案内いたします
見積もりを依頼する
icon pc

フリープラン

基本的な機能をお試しいただけます
無料ではじめる