国・地方公共団体ともクラウドサイン可能に—グレーゾーン解消制度による電子署名法・契約事務取扱規則の適法性確認

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昨年から水面下で準備をすすめ、本年1月に正式に申請したグレーゾーン解消制度の回答が2月5日付公表され、行政(国・地方公共団体)との契約においても「クラウドサインする」ことが可能であることを確認しました。

国・地方公共団体との契約書等にもクラウドサイン可能のお墨付きを獲得

弁護士ドットコム株式会社は、産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」により、クラウド型電子契約サービス「クラウドサイン」が国との契約書、請書その他これに準ずる書面、検査調書、見積書等においても問題なく適法に利用できることを、関係4省に確認いただきました

令和3年(2021年)2月5日、経済産業省をはじめとする関係省庁のウェブサイトにおいて、その結果および回答書の内容が公表されています。また同日、関係4省各大臣による当社宛の回答書も受領しています。

これにより、クラウドサインは、国と地方公共団体の行政DXを推進・支援する準備を完全に整えるとともに、民間事業者の皆様にも印鑑と遜色のない法的効力あるサービスとしてご利用いただけることを、あらためて証明 することができました。

国・地方公共団体との契約書等にもクラウドサイン可能のお墨付きを獲得

クラウドサインが法令上の電子署名に該当することを主務官庁連名公式文書で改めて確認

本グレーゾーン回答書の意義は、大きく2点あります。まず第一に、クラウドサインによる電子署名が、電子署名法2条1項に定める「電子署名」に該当することが、主務官庁による公式な文書回答において個別具体的に確認された 点です。

このグレーゾーン解消制度の回答を待たずとも、クラウドサインが電子署名法2条1項の「電子署名」に該当することは、2020年7月17日に発出された電子署名法2条Q&Aで示された要件への当てはめを行うことで自明と言ってよい状態でした(関連記事:「電子契約サービスに関するQ&A」三省連名発表の意義)。

しかしながら、クラウド型の電子契約サービスがこの要件を満たすかを個別に認定する制度は、残念ながら存在していません (∵ 電子署名法4条が定める認定認証制度は、従来のローカル署名型のみを認定対象としているため)。このことが、電子契約の利用を検討されるお客様に不安を生じさせていました。

この不安を解消するための法的手段として、クラウドサインはグレーゾーン解消制度の活用を発案。今回、下記回答書引用のとおり、電子署名に該当する旨を確認することができました。

電子契約サービス「クラウドサイン」を用いた電子署名は、電子署名法第2条第1項に定める電子署名に該当し、同規定を引用する契約事務取扱規則第28条第3項に基づき、国の契約書が電磁的記録で作成されている場合の記名押印に代わるものとして、利用可能と考える。

これを受け、主務官庁である 総務省法務省のウェブサイトにおいても、電子署名法2条1項への該当性が確認された電子契約サービスの第1号案件として掲示 されています。

総務省・法務省のウェブサイトにおいても、電子署名法2条1項への該当性が確認された電子契約サービスの第1号案件として掲示

また、本回答の中で電子署名法2条1項電子署名への該当が確認されたことにより、地方自治法および同法施行規則が要求する電子署名にも該当 することとなります。

東京都および茨城県から規制改革推進会議へ働きかけていただき、それによって地方自治法施行規則がスピード改正されたこととの合わせ技によって、今回のグレーゾーン回答が大きな意味を持つこととなりました(関連記事:地方自治法施行規則の改正と電子署名の規制緩和)。今後の地方行政のDXにも、安心してクラウドサインをご利用いただくことができます。

令和2年12月改正後の契約事務取扱規則にも適合

そしてもう一つの意義が、財務省が国との契約に用いることができる電子署名の要件を定めた「契約事務取扱規則」にも適合することが確認された 点です。

国が民間事業者等と電子契約を行う場合、会計法の下位法令である契約事務取扱規則28条2項が規定する「電磁的記録の作成」に関する要件を満たし、その上で電子署名法2条1項が定める電子署名を施す必要があります。

この点、実は当社が本申請の検討を開始した昨年9月の時点では、下図のとおりクラウド型の電子署名サービスの利用可能性が排除されていました(関連記事:「契約事務取扱規則」の改正によって実現する国と企業のクラウド型電子契約)。その後、グレーゾーン解消制度申請を検討するプロセスと併行して、財務省をはじめとする関係各省のご尽力により迅速な検討がなされ、令和2年12月14日付でこの規制が改正された経緯があります。

令和2年12月改正後の契約事務取扱規則にも適合

これらを総合して、今回の回答では以下回答書引用のとおり、改正後の契約事務取扱規則に定める電磁的記録の作成要件を満たすことが確認され、国による電子契約、そして国を相手にした民間事業者の電子契約に、クラウドサインをご利用いただける こととなりました。

電子契約サービス「クラウドサイン」を通じてPDFファイル形式の書類をアップロードし、 契約当事者が同意することは、契約事務取扱規則第28条第2項に規定する方法による「電磁的記録の作成」に該当し、契約書、請書その他これに準ずる書面、検査調書、見積書等の作成に代わる電磁的記録の作成として、利用可能と考える。

グレーゾーン解消制度の申請要件に潜む「新事業性」の盲点

今回の申請に関する「裏話」になりますが、特に ベンチャー企業がこのグレーゾーン解消制度を利用するにあたっての注意点 についても、述べておきたいと思います。

それは、

という点です。

ベンチャー企業の場合、機動性・スピードこそが競争力の源。プロダクトの開発が完了次第、すぐに販売を開始したくなるのが普通ですが、もしこのグレーゾーン解消制度の利用を考えるのであれば、その回答を得るまでは、当該事業を開始することはできません。どんなに自社事業の適法性について顧問弁護士から見解を得ていたとしても、本制度を利用する以上は回答を得るまでは我慢が必要となります。

クラウドサインも、本申請に対する回答が得られるまでの間、国や地方公共団体に対する新しい行政向けDXサービスについて営業活動を控えてきましたが、本回答をもってようやく本格的な活動を開始 することができます。

グレーゾーン解消制度を利用した適法性確認は、クラウドサインとしては2018年の建設業法案件に続き2度目の利用となりました(関連記事:グレーゾーン解消制度を活用して、クラウドサインによる契約の適法性を確認しました)。事務局として関係各省との調整にご尽力くださいました経済産業政策局 産業創造課 新規事業創造推進室の皆様に、厚く御礼申し上げます。

(橋詰)

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