契約書管理とは?管理方法の比較やリスク、システム導入時のメリットを解説
契約書管理とは契約書をきちんと整理・保管し、内容や期限を把握、リスクなく効率的に活用できるようにすることを指します。契約書は締結して終わりではなく、適切に管理していくことが必要です。
契約書管理は企業にとって重要な業務の一環であり、契約書を適切に管理せず、キャビネット等が整理されていない状態では業務効率の低下や、機密情報の漏えい、トラブルの原因となる可能性も考えられます。さらに、契約書の量が増えるにつれて管理上の課題も増加するため、適切な管理方法や管理システムの導入が求められます。
本記事では、契約書管理の重要性に焦点を当て、効果的な管理のポイントやシステム導入のメリットを詳しく解説していきます。
なお詳しくは記事内で解説しますが、契約書の管理は紙ベース等で保管するよりも電子契約システムを導入することで、リスクの軽減やコスト削減など多くのメリットがあります。
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契約書管理とは
契約書管理とは「契約書の書類本体と、契約書の記載内容(契約内容や期日、禁止事項など)の情報を管理すること」を意味します。
企業が締結する契約書には、秘密保持契約書、売買契約書、業務委託契約書、雇用契約書など多岐にわたる上、契約ごとに取引内容や禁止事項、対応期限などさまざまな項目が定められています。これらの契約書とその内容を適切に把握し、活用・保管するのが契約書管理です。
契約書をずさんに管理していると、情報漏洩や行政からのペナルティを受けるなどのさまざまな弊害が生じ、企業活動の存続が危うくなるリスクがあります。そのため、企業は契約書やその内容を正確に管理・把握することが求められます。
契約書管理は、法令やビジネス上の慣行に沿って、契約書が信頼できるかどうかのチェックやドラフト作成を行うためにも必要な業務と言えるでしょう。
3つの代表的な契約書の管理方法
企業が契約書を管理する方法としては、主に以下の3つが挙げられます。
契約書の管理方法 | メリット | デメリット |
紙媒体で管理する | ・書面文化に慣れた人にも扱いやすい | ・保管スペースが必要で、契約件数が多いと管理が煩雑になる ・契約管理台帳の作成、契約更新や期限管理が手作業となり、ミスや漏れのリスクが高い ・必要な契約書を探すのに時間がかかる ・紛失や劣化、災害などによる消失リスクを伴う |
文書管理システムを 利用して管理する |
・契約書の電子データを一元管理でき、検索性が高い ・バックアップ機能やアクセス制限により、紛失リスクが少ない ・契約関連書類(見積書・発注書など)も一緒に保管できる |
・契約期限のアラートや進捗管理は別途対応が必要 ・検索や分類が手動になることが多く、管理に工数がかかる ・操作に慣れていない社員には運用ルールが定着しにくい ・契約書の内容確認や修正履歴管理には非対応のケースが多い |
電子契約システムを 利用して管理する |
・契約書の作成・締結・管理がすべてオンラインで完結する ・タイムスタンプによって真正性の確保が可能 ・契約更新や期限のアラート機能により、リスクを回避できる ・検索・分類・アクセス制限などの機能が豊富 |
・初期導入コストや月額利用料がかかる ・操作に慣れていない社員には運用ルールが定着しにくい ・ITに不慣れな取引先とは締結が難しいケースもある |
それぞれの方法について、概要やメリットやデメリット、リスク等について解説します。
紙媒体で契約書を管理する場合
紙媒体による契約書管理は、契約書の原本を物理的に保管する方法で、古くから多くの企業で用いられています。ファイリングしてキャビネットに保管したり、契約書ごとに製本して保管庫で管理するケースが多く、現在でも一定数の企業で採用されています。
ただし、契約管理台帳の作成や期限管理、契約更新は手作業で実施する必要があるため、記載漏れやミスが発生する恐れがあります。業務に使う機械のリース契約や、専門家への委託契約など、業務上重要な契約の期限管理が適切に行われないことは、企業にとって大きな損失を生むリスクとなるでしょう。
紙管理は慣れている担当者が多い反面、業務効率やリスク対策の面で限界があります。デジタルへの移行を積極的に検討しましょう。
文書管理システムを利用する場合
書面で締結した契約書を、PDF化し、文書管理システムに登録し、電子ファイルとして一元管理する方法もあります。利用する管理システムの具体例として、Microsoft SharePoint、Box、Dropboxなどが挙げられます。
文書管理システムには、フォルダ分けやアクセス権限の設定、検索機能などがあるため、一定の業務効率化が図れます。
無料でも一定の機能を利用できることが多く、既存の社内インフラを活用しながら契約書の電子管理を進めたい企業にとって、移行コストが低く済むのも特徴です。
一方で、次に紹介するクラウド型の電子契約システムと比較すると、以下のような一定のデメリットが存在します。
- 契約管理台帳の作成や契約期限のアラート、進捗管理は別途対応が必要
- 検索や分類が手動になることが多く、管理に工数がかかる
- 契約書の内容確認や修正履歴管理には非対応のケースが多い
契約件数が多く、期限や契約内容まで含めて一元管理したい場合は、クラウド型の電子契約システムを導入した方が、圧倒的な業務効率化を図れるでしょう。
電子契約システムを利用する場合
電子契約システムを利用すれば、契約書の作成・締結・管理をすべてオンラインで完結することができます。サービスごとに多少機能は異なりますが、基本的には締結した契約書は自動でクラウド上に保存され、契約管理台帳も自動で作成されるケースが多いです。契約期限を担当者のメールアドレスにアラート通知する機能もあるため、更新漏れなどのリスク回避も容易です。
契約書管理においては、紙や文書管理システムを利用するよりも、デメリットの少ないクラウド型の電子契約システムを導入し、契約の締結から保管・管理・検索までを一元化する方法がおすすめです。
電子契約システムといえば、クラウドサイン、GMOサイン、DocuSignなどが代表例で、 ペーパーレス化と業務効率化を同時に実現できる最新の契約管理方法として、近年では導入企業が急増しており、普及が加速しています。
契約件数が多い企業にとっては、大幅な業務効率化に繋がり、契約管理以外のコア業務に割くリソースを確保しやすくなるでしょう。
電子契約システムの導入には一定の初期費用や運用コストがかかりますが、そのデメリットを考慮しても多くの企業にとって十分に導入の価値があるといえるでしょう。
契約書管理が適切にできない場合に起こりうるリスク
契約書の管理が適切にできない場合大きくは以下の4つのリスクが考えられます。
- 機密情報の漏洩
- 業務効率の低下
- 顧客や取引先からの信頼低下
- 法令違反や訴訟の可能性の増加
ここではこれらの代表的な4つのリスクを解説しますので、しっかりとおさえておきましょう。
機密情報の漏洩
契約書にアクセスできる人物を制限し管理するいわゆる「閲覧管理」の機能や、ドキュメントの盗難を防止するセキュリティ対策が不十分な場合、契約書に含まれる機密情報が漏洩するリスクが高まります。
契約書には、取引条件や機密情報が詳細に記載されており、不正アクセスや盗難が発生すると企業や個人に深刻な影響を及ぼす可能性があります。従って、契約書を紙で管理する場合には、倉庫やキャビネットの利用者を制限したり、電子化する場合にはアクセス権の厳格な制限や二要素認証などのセキュリティ対策を施したりといった対応が重要です。
また、契約書管理にクラウドストレージやデータベースを利用する際には、信頼できるサービスを選択し、適切なアクセス権限を設定する必要があります。適切なセキュリティ対策を講じることで情報漏洩リスクを最小限に抑えるように留意しましょう。
こちらの記事では、契約書の電子化について、わかりやすく解説しています。紙の契約書の電子化を検討している方は参考にしてみてください。
業務効率の低下
契約書が一元管理されていなかったり、契約管理台帳の更新が滞っていたりと管理体制がずさんな場合には業務効率が低下してしまう可能性があります。
また、契約書がバラバラに管理されていると、必要な情報を素早く見つけるのが難しく、取引先とのコミュニケーションや業務の円滑な進行が妨げられる可能性があります。
一方、契約書を一元管理し、わかりやすく一覧化された台帳を作成することで、必要な契約書や情報を簡単に把握し、迅速に対応することが可能です。一覧性があることで全体像を把握しやすくなるため、業務の効率化だけでなく、ヒューマンエラーのリスク低減も期待できるでしょう。
契約書管理台帳が重要な理由や、作成手順、運用上のポイントについて詳しくはこちらの記事もご一読ください。
顧客や取引先からの信頼低下
契約書管理がずさんな場合、書類の保管場所を迅速に把握できず、必要な情報を確認するのにも時間がかかります。顧客や取引先からの書類に関する問い合わせ対応にも遅れが生じるため、信頼を損なう恐れもあるでしょう。
このような事態に陥らないためには、例えばデジタル化されたシステムを活用することで、必要な契約書類を瞬時に検索して確認できるようにするのも選択肢のひとつです。これにより、顧客や取引先からの問い合わせに即座に対応することができ、信頼関係を築くことができます。
つまり、適切な契約書管理は業務効率を向上させるだけでなく、企業としての信頼性を高める上でも重要な要素となります。そのため、企業は契約書管理の充実に努めることが不可欠と言えるでしょう。
契約書管理システム導入のメリットやシステムの選び方について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
法令違反や訴訟の可能性の増加
契約書の管理がずさんな場合、契約書の保管場所や内容を把握できないため、法令遵守や訴訟等のリスク管理が困難になります。例えば、契約の更新や解約期限を見逃してしまい、企業としての法的義務を怠ることもあり得るでしょう。
適切な契約書管理は、企業としての信頼性やビジネスの安定性に直結します。契約書は、取引先との約束事を明示する重要な文書であり、しっかり管理することで紛争やトラブルを未然に防ぐことができます。
契約書を管理・保存する際に押さえておきたいポイント
ここでは、契約書を管理・保存する際に押さえておきたいポイントを2点ご紹介します。社内の契約書管理方法を見直したい方は確認しておきましょう。
企業には契約書を7年間保存する義務が課せられている
法人税法により、企業が契約書を保存する義務のある期間は7年間に定められています(当該事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から起算)。注文書や見積書、請求書など、契約に付随して発生した証憑類も同様です。税務調査での提出に備えて、確実に保存するようにしましょう。
なお、国税庁の公式サイトによると、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、保存期間は10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。
契約書管理に関する法律上の義務について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
「契約書管理」には複数の観点がある
一口に「契約書管理」と言っても、管理する上での観点は複数あります。以下では契約書管理をする上で押さえておきたい代表的な観点を解説します。
保管場所の管理
契約書ごとに、どのキャビネットやフォルダに保管すべきかを決め、必要な際に簡単に取り出せるように書類を整理する必要があります。
また、契約書を電子化して管理する場合には、電子帳簿保存法で定められた要件を満たす必要があります。この法律では、例えば「検索機能の確保」として以下3つの検索機能を備えたシステムを利用することが義務付けられています。
- 取引年月日その他の日付・取引金額・取引先が検索条件として設定できる
- 日付と金額については範囲指定して検索できる
- 2つ以上の項目を任意に組み合わせて検索できる
契約書の「データ保存」の要件を詳しく知りたい方は「電子帳簿保存法で定められた契約書の「データ保存」要件とは 適法な保管・保存方法を解説」も参考にしてみてください。
また、散在している紙の契約と電子の契約をどのように管理すればいいのか悩んでいる方、契約書を一元管理したい方には、こちらの記事もおすすめです。
更新や解約時期の管理
更新や解約時期を適切に管理する必要もあります。更新対応の抜けや自動更新の放置といった問題を回避するためには、社内に存在する契約書の更新日を把握していることが欠かせません。更新や解約時期の管理を怠ると、必要な時に適切な条件や金額での取引ができなくなったり、支払い漏れが起きたりするなど何らかのリスクが高まることも考えられます。
契約書の更新日を把握するためには、更新日や解約時期のリマインド機能を備えた契約書管理システムを導入するのも選択肢のひとつになるでしょう。
アクセス権限の管理
契約書を保管する際、紙の場合は管理者が倉庫やキャビネットの鍵を管理し、電子データの場合は関係者のみが閲覧や編集可能となるようアクセス権限を設定する必要があります。契約書に関係のない人からの不必要なアクセスを防ぐため、厳重な管理が欠かせません。
また、組織の中で契約書管理の責任者となる部門や人物を選定し、契約書管理に関する体制構築を進めていくのも有効です。
電子契約システムで契約書管理をするメリット
契約書の管理に電子契約システムを導入すると、以下のようなメリットがあります。
・契約更新漏れなどのリスクを防げる
・契約書管理にかかるコストを削減できる
・内部統制を強化できる
それぞれについて、具体例を挙げながら詳しく解説します。
契約更新漏れなどのリスクを防げる
電子契約システムを導入することで、契約書の更新漏れや期限管理ミスといった人的なミスによるリスクを大幅に軽減できます。
クラウド型の電子契約システムには、多くの場合「契約終了日」「自動更新日」「通知希望日」などを登録する機能があり、更新日が近づくと自動でリマインド通知が送られる仕組みが備わっています。これにより、契約更新の意思確認を失念して不本意に契約が自動延長されたり、重要な契約が失効したりするという事態を防げます。
従来の紙ベースやExcel台帳による管理では、記入漏れや期限の見落としが発生しやすく、特に担当者の異動や引き継ぎの際にリスクが高まります。電子契約システムを使うことで、契約管理フローの多くが自動化され、誰が担当しても、適切な状態で契約書を保存し、状況が把握できる状態を作れるでしょう。
契約書管理にかかるコストを削減できる
電子契約システムは、契約書の作成から締結・保管・検索までをすべてデジタルで完結させることができるため、契約書の管理にかかるあらゆるコストを削減できます。
まず、紙での印刷や製本、郵送にかかっていた印刷代・封筒代・郵送費などの直接的なコストがゼロになります。契約書を保管するためのキャビネットや保管スペースの確保などの物理的コストも不要になります。
人的コスト面でも、管理台帳作成や検索、取り出しが容易となる上、契約書を保管したり、探したりするために出社する必要もなくなります。加えて、業務フローが標準化されることで、属人化を避けながら契約管理を効率的に運用できます。
内部統制を強化できる
電子契約システムの活用は、内部統制の強化につながるというメリットもあります。
契約書の作成・確認・承認・締結といった各プロセスに対して、ユーザーごとの操作履歴が記録されるため、「誰が」「いつ」「どの文書に」「どのような操作をしたか」を明確に把握できます。これにより、不正な改ざんや未承認での締結などを防止でき、監査対応やコンプライアンス強化の観点でも有効です。
アクセス権限の設定によって、部署や役職ごとに契約書の閲覧・編集範囲を制限することも可能で、情報漏えいリスクの軽減にもつながります。
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これまで契約書の管理について解説してきましたが、電子契約サービスを利用することで従来の紙ベースでは実現が難しかった、正確かつ一貫性のある契約書管理体制を構築できることが大きなメリットです。
電子契約サービスには、スキャナでPDF化した契約書の電子データを取り込み、システム内に保管できる機能を備えたものもあるため、紙と電子の一元管理を検討している企業にとっても電子契約サービスは最適な選択肢と言えるでしょう。
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