これからの100年、新しい契約のかたち。

契約実務

【無料ひな形付き】合併契約書とは?主な記載事項や注意点などを弁護士が解説

複数の企業が合併する際には「合併契約書」を締結します。会社法所定の事項を漏れなく定めることや、実行前提条件・表明保証などの重要な条項を適切に定めることが大切です。

本記事では合併契約書について、主な記載事項や注意点などを弁護士が解説します。

なお、クラウドサインでは弁護士監修の「吸収合併契約書」ひな形をご用意しています。無料でダウンロード可能ですので、これから代理店契約を締結する方はぜひ入手ください。

「吸収合併契約書のひな形」
無料ダウンロード
無料ダウンロード無料ダウンロード

クラウドサインでは弁護士監修の「吸収合併契約書」のひな形をご用意しました。ひな形(テンプレート)をお探しの方はダウンロードしてご活用ください。

ダウンロード(無料)

合併契約書とは

「合併契約」とは、複数の企業が合併する際に締結する契約書です。「合併契約書」は、合併契約の内容を記載した文書に当たります。

数の企業が合併する際は「合併契約書」を締結する

「合併」は法律上、「吸収合併」と「新設合併」の2種類に分類されています。

①吸収合併
ある会社が別の会社を吸収する形で行われる合併です。
(例)A社がB社を吸収し、A社だけが残る
②新設合併
新しく会社を設立し、その会社に当事者全員の権利義務を承継させる形で行われる合併です。
(例)A社とB社が合併するため、新たにC社を設立する(A社とB社は消滅する)

吸収合併と新設合併については、それぞれ会社法によって記載すべき事項が定められています。合併の種類に応じて、記載事項を適切に検討してください。

吸収合併契約書の主な記載事項|例文も紹介

合併の中でも多く見られる吸収合併の契約書につき、主な記載事項を条文例とともに解説します。

吸収合併契約書における主な記載事項は、以下のとおりです。

①吸収合併をする旨
②合併の対価に関する事項
③増加する資本金及び準備金等に関する事項
④消滅会社の新株予約権の取り扱い
⑤吸収合併の効力発生日
⑥合併承認総会
⑦実行前提条件
⑧表明保証
⑨遵守事項
⑩その他

吸収合併をする旨

(例)
第1条 (吸収合併)
甲及び乙は、甲を吸収合併存続会社、乙を吸収合併消滅会社として合併する(以下「本合併」という。)

吸収合併をする旨、および吸収する側と吸収される側の当事者をそれぞれ明記します。吸収する側は「吸収合併存続会社」、吸収される側は「吸収合併消滅会社」といいます。

合併の対価に関する事項

(例)
第2条 (本合併の対価として交付する金銭等に係る事項)

  1. 甲は、本合併に際して普通株式〇株を発行し、合併期日(第5条で定義する。以下同じ。)の前日における最終の乙の株主名簿に記載された株主に対し、その所有する乙の株式1株につき、甲の株式〇株の割合をもって割当交付する。
  2. 甲は、合併登記の完了後遅滞なく、合併期日の前日における最終の乙の株主名簿に記載された株主に対し、その所有する乙の株式1株につき○円の金銭を支払う。

吸収される側の株主に対しては、吸収合併の対価として、吸収する側の株式や金銭などを交付するのが一般的です。
上記の例では、1項で株式の交付、2項で金銭の支払いについて定めています。合併の対価を株式のみ、または金銭のみとしても構いません。

なお、すでに資本関係がある企業間で吸収合併を行う場合や、債務超過の会社を吸収する場合などには、合併の対価を定めないこともあります(=無対価合併)。その場合は、合併の対価を交付しない旨を明記しましょう。

増加する資本金及び準備金等に関する事項

(例)
第3条 (増加する資本金及び準備金等に関する事項)
本合併により増加する甲の資本金、資本準備金、利益準備金及び任意積立金その他の留保利益の額は、次のとおりとする。
① 資本金
○円
② 資本準備金
○円
③ 利益準備金
○円
④ 任意積立金その他留保利益
○円

合併によって増加する吸収合併存続会社(吸収する側)の資本金・資本準備金・利益準備金・任意積立金その他留保利益の額を記載します。会計上の検討が必要になるので、公認会計士または税理士のサポートを受けましょう。

消滅会社の新株予約権の取り扱い

(例)
第4条 (乙の新株予約権の取り扱い)
【甲の新株予約権を交付する場合】
甲は、本合併に際して新株予約権〇個を発行し、合併期日の前日における最終の乙の新株予約権原簿に記載された新株予約権者に対し、その所有する乙の新株予約権1個につき、甲の新株予約権〇個の割合をもって割当交付する。なお、当該新株予約権の内容は別紙2新株予約権要項によって定める。
【金銭を支払う場合】
甲は、合併登記の完了後遅滞なく、合併期日の前日における最終の乙の新株予約権原簿に記載された新株予約権者に対し、その所有する乙の新株予約権1個につき○円の金銭を支払う。

吸収される側の会社が新株予約権を発行している場合には、新株予約権者に対して吸収する側の新株予約権を交付するか、または金銭を支払うのが一般的です。

吸収する側の新株予約権を交付する場合はその内容、数または算定方法および割当に関する事項を定めます。金銭を支払う場合は、金額または算定方法を定めます。

吸収合併の効力発生日

(例)
第5条 (合併期日)
本合併が効力を生ずる日は、○年○月○日とする(以下「合併期日」という。)。ただし、合併手続きの進行に関する必要性その他の事由によりやむを得ないときは、甲乙協議のうえで合併期日を変更することができる。

吸収合併が効力を生ずる日を明記します。効力発生日までに合併に関する手続きを完了する必要があるので、余裕のあるスケジュールを定めましょう。

合併承認総会

(例)
第6条 (合併承認総会)
甲及び乙は、○年○月○日にそれぞれ臨時株主総会(以下「合併承認総会」という。)を招集し、本契約の承認その他の合併に必要な一切の事項に係る決議を求めるものとする。ただし、合併手続きの進行に関する必要性その他の事由によりやむを得ないときは、甲乙協議のうえで合併承認総会の招集日を変更することができる。

吸収合併を行う際には、原則としてすべての当事者において株主総会の特別決議が必要です。スケジュールを明確化するため、合併契約書において株主総会の招集日を明記しておきましょう。

実行前提条件

(例)
第7条 (実行前提条件)
本合併の効力は、合併期日までに、次に掲げる条件すべて成就していることを停止条件として生じるものとする。
① 次条第1項に基づく甲の表明及び保証に係る事実が、重要な点においてすべて真実かつ正確であること。ただし、乙は自らの裁量により、当該表明及び保証の全部又は一部を免除することができる。
② 次条第2項に基づく乙の表明及び保証に係る事実が、重要な点においてすべて真実かつ正確であること。ただし、甲は自らの裁量により、当該表明及び保証の全部又は一部を免除することができる。
③ 甲の合併承認総会において、本契約の承認その他の合併に必要な一切の事項に係る決議がなされており、当該決議が記載された議事録の写しを乙が受領していること。
④ 乙の合併承認総会において、本契約の承認その他の合併に必要な一切の事項に係る決議がなされており、当該決議が記載された議事録の写しを甲が受領していること。
⑤ 前各号に掲げるもののほか、本合併に必要な一切の手続きが完了していること。
⑥ 前各号に掲げるもののほか、甲及び乙が相手方に関する重要な書類をすべて受領していること。
⑦ ……

実行前提条件の条項では、主に吸収合併の効力発生日までに整えるべき準備について記載します。

具体的には、表明保証が真実かつ正確であること、吸収合併に必要な手続きの完了、重要な書類の交付などを定めます。契約締結前に行われたデューデリジェンスにおいて問題が判明したときは、その是正を実行前提条件とするケースもあります。

表明保証

(例)
第8条 (表明及び保証)

  1. 甲は乙に対し、本契約締結日及び合併期日時点において(ただし、別途時点が明示されているときは当該時点において)、以下の事項が真実かつ正確であることを表明し、保証する。
    ① 甲は日本法に準拠して設立された株式会社であり、本契約を締結及び履行するために必要な能力を有している。
    ② 合併期日時点において、本合併に必要な一切の手続きのうち、甲において履践すべきものがすべて完了している。
    ③ 甲による本契約の締結及び本契約に基づく義務の履行は、甲を当事者とする契約及びいかなる法令等にも違反せず、必要な一切の許認可等の取得が完了しており、かつ甲を拘束する判決、命令、裁定その他の処分に違反しない。
    ④ 甲は、本契約を締結し、又は本契約上の義務を履行することにより、甲の債権者を害する意図その他の不当又は不法な意図を有していない。
    ⑤ 甲は、破産、民事再生その他類似の倒産手続の開始を申し立てておらず、かつ、第三者によるかかる手続きの申立ても行われていない。甲は、支払不能若しくは支払停止又は債務超過の状態に陥っておらず、本契約上の義務の履行によってこれらの状態に陥ることもない。
    ⑥ 甲の株主は、甲が乙に対して別途交付する株主名簿のとおりである。当該株主には、名義株主、他人名義の株主又は暴力団員等(第16条で定義する。以下同じ。)が含まれていない。
    ⑦ 甲が乙に対して交付した甲の財務諸表の内容は真実かつ適正であり、貸借対照表に計上されていない簿外債務は存在せず、その他の不適切な会計処理も行われていない。
    ⑧ ……
  2. 乙は甲に対し、本契約締結日及び合併期日時点において(ただし、別途時点が明示されているときは当該時点において)、以下の事項が真実かつ正確であることを表明し、保証する。
    ① 乙は日本法に準拠して設立された株式会社であり、本契約を締結及び履行するために必要な能力を有している。
    ② 合併期日時点において、本合併に必要な一切の手続きのうち、乙において履践すべきものがすべて完了している。
    ③ 乙による本契約の締結及び本契約に基づく義務の履行は、乙を当事者とする契約及びいかなる法令等にも違反せず、必要な一切の許認可等の取得が完了しており、かつ甲を拘束する判決、命令、裁定その他の処分に違反しない。
    ④ 乙は、本契約を締結し、又は本契約上の義務を履行することにより、乙の債権者を害する意図その他の不当又は不法な意図を有していない。
    ⑤ 乙は、破産、民事再生その他類似の倒産手続の開始を申し立てておらず、かつ、第三者によるかかる手続きの申立ても行われていない。乙は、支払不能若しくは支払停止又は債務超過の状態に陥っておらず、本契約上の義務の履行によってこれらの状態に陥ることもない。
    ⑥ 甲の株主は、甲が乙に対して別途交付する株主名簿のとおりである。当該株主には、名義株主、他人名義の株主又は暴力団員等(第16条第1項で定義する。以下同じ。)が含まれていない。
    ⑦ 甲が乙に対して交付した甲の財務諸表の内容は真実かつ適正であり、貸借対照表に計上されていない簿外債務は存在せず、その他の不適切な会計処理も行われていない。
    ⑧ ……

表明保証は、吸収合併の当事者が他の当事者に対し、自社の財務や経営等に問題がないことを保証するものです。

具体的には、契約締結能力や財務諸表などについて表明保証を行います。契約締結前に行われたデューデリジェンスにおいて問題が判明したときは、その内容が表明保証に反映されることもあります。

遵守事項

(例)
第9条 (遵守事項)
甲及び乙は、本契約締結日から合併期日までの間、相互に以下の事項を遵守するものとする。ただし、事前に相手方の書面による承諾を得た場合は、この限りでない。
① 善良なる管理者の注意をもって、自らの業務の執行並びに財産の管理及び運営を行う。
② 重要な財産を流出させるなど、自らの財務に重大な悪影響を及ぼす行為をしない。
③ 役員を交代するなど、自らの経営に重大な影響を及ぼす行為をしない。
④ ……

遵守事項の条項では、吸収合併の当事者が契約締結日から合併期日までの間に遵守すべき事項を定めます。具体的には、財務や経営に悪影響を及ぼすような行為をしない旨などを明記しておきましょう。

その他

吸収合併契約書には上記のほか、以下の事項などを定めます。

・従業員の処遇
→吸収される側の従業員をどのように処遇するのかを定めます。・合併後の役員および任期
→合併後の吸収する側の役員として活動する者につき、氏名・選任の手続き・任期などを定めます。・役員の退職慰労金
→合併に伴って退職する役員に対して支給する退職慰労金の取り扱いを定めます。・合併条件の変更および契約の解除
→契約上の合併条件を変更できるケース、および吸収合併契約を解除できるケース、ならびに条件変更や解除に要する手続きを定めます。・解除条件
→株主総会や関係官庁等の承認を得られなかった場合には、吸収合併契約が無効となる旨を定めます。・損害賠償
→合併が失敗した場合に、その責任がある側が相手方に対して支払う損害賠償の範囲などを定めます。・反社会的勢力の排除
→暴力団員等に該当しないことや、暴力的な要求行為をしないことなどを定めます。

・合意管轄
→吸収合併契約に関してトラブルが生じた場合に、訴訟を提起する裁判所を定めます。

【弁護士監修】吸収合併契約書のひな形ダウンロード(無料)

弁護士監修による吸収合併契約書のひな形は、下記のページからダウンロードできます。合併の具体的な条件を反映し、適宜調整したうえでご利用ください。

「吸収合併契約書のひな形」
無料ダウンロード
無料ダウンロード無料ダウンロード

クラウドサインでは弁護士監修の「吸収合併契約書」のひな形をご用意しました。ひな形(テンプレート)をお探しの方はダウンロードしてご活用ください。

ダウンロード(無料)

合併契約書を締結する際のチェックポイント

合併契約書を締結する際には、特に以下のポイントに注意してください。

①法定記載事項がすべて定められているか
②実行前提条件・表明保証の内容は適切か

法定記載事項がすべて定められているか

合併契約では、会社法の以下の条文に掲げられている法定記載事項をすべて定めなければなりません。

株式会社が存続する吸収合併契約:会社法749条
持分会社が存続する吸収合併契約:会社法751条
株式会社を設立する新設合併契約:会社法753条
持分会社を設立する新設合併契約:会社法757条

合併の種類等に応じて、法定記載事項が漏れていないかどうかを慎重に確認してください。

実行前提条件・表明保証の内容は適切か

合併契約書の中でも、合併の実質的な条件に関わる実行前提条件や表明保証の規定は特に重要です。自社として対応できない事項が含まれていないか、相手方に求めるべき事項はすべて明記されているかなどを注意深く確認しましょう。

合併契約書に収入印紙は必要?

合併契約書を紙で作成する場合は、収入印紙を貼る必要があります。これに対して、電子契約で合併契約書を締結する場合は、収入印紙の貼付は不要です。

紙で締結する場合は収入印紙が必要(第5号文書)

紙で作成する合併契約書は、印紙税法に基づく課税文書(第5号文書)に当たるため、収入印紙を貼らなければなりません。

収入印紙の額は1通当たり4万円です。文書と印紙の彩紋にまたがるように消印を押すか、または署名をして印紙を消す必要があります(印紙税法8条2項、印紙税法施行規則5条)。

電子契約なら収入印紙は不要

合併契約書を電子契約の方式で締結する場合は、収入印紙を貼る必要がありません。電子契約のファイルは、印紙税法上の課税文書に当たらないと解されているためです。

印紙税の削減のほか、検索や管理がしやすくなるというメリットもあるので、未導入の企業は電子契約の導入をご検討ください。

まとめ

合併契約書には会社法所定の事項を漏れなく定める必要があるほか、実行前提条件や表明保証などを適切に定めることが大切です。大規模な取引であるため、内容を慎重に確認したうえで合併契約書を締結してください。

合併契約書は、電子契約によって締結することもできます。電子契約には収入印紙を貼る必要がなく、検索や管理がしやすいため業務の効率化にも繋がるので、積極的に導入をご検討ください。

なお、電子契約は、業務効率化とコスト削減を実現する強力な選択肢のひとつですが、「導入の具体的なステップがわからない」「法的に有効な契約方法を知りたい」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。当社では電子契約の導入から運用までを網羅した「電子契約の始め方完全ガイド」をご用意しております。以下のリンクから無料でダウンロードが可能ですので、ご活用ください。

「電子契約の始め方完全ガイド」
無料ダウンロード
無料ダウンロード無料ダウンロード

クラウドサインではこれから電子契約サービスを検討する方に向けた「電子契約の始め方完全ガイド」をご用意しました。電子契約サービスの導入を検討している方はダウンロードしてご活用ください。

ダウンロードする(無料)

icon book

機能や料金体系がわかる

資料ダウンロード(無料)
icon book

詳しいプラン説明はこちら

今すぐ相談

この記事を書いたライター

アバター画像

阿部 由羅

弁護士

ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。

こちらも合わせて読む

クラウドサインに関して、
ご不明な点がございましたら
お気軽にお問い合わせください

icon book

お役立ち資料

「3分でわかるクラウドサイン」の資料を
お読みいただけます
資料ダウンロード(無料)
icon mail

お問い合わせ

クラウドサインに関するご不明点や
ご質問にお答えします
問い合わせる
icon pc

お見積もり

お客さまの状況に合わせ、
最適な料金プランをご案内いたします
見積もりを依頼する
icon pc

フリープラン

基本的な機能をお試しいただけます
無料ではじめる