手軽に使えるリーガルテック「交通事故過失割合Chatbot」を公開しました

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LegalTech Labによる初のテストサービスリリース

弁護士ドットコムでは、2016年6月より首都大学東京の小町研究室と組み、当社が有する法律に関するビッグデータを活用したリーガルテックサービスの開発に取り組み始めました。これを加速させるべく、私が立ち上げた社内専任組織が「LegalTech Lab(リーガルテック ラボ)」で、ベテランのエンジニアを中心に複数名で構成しています。

LegalTech Lab設立当時のプレスリリース(PDF)にもあるとおり、長期的には、自然言語処理・機械学習をフルに活用したリーガルテック企業ならではのソリューションも開発・提供したいと考えています。

一方で、「専門家をもっと身近に」をミッションとする我々として、もっと短期的な時間軸でも法律問題に困っている方の手助けになるようなサービスを提供できないかと考えていました。そこで、まずはProof of Concept(概念実証)も兼ね、今回の「交通事故過失割合Chatbot」をテスト公開することにしました。

交通事故過失割合Chatbot

相談を躊躇しているのは、意外にも加害者ではなく被害者だった

交通事故における法律問題には、ある特徴があります。被害者こそが弁護士の適切なアドバイスを受けて救済されるべきところ、そこでコストをかけることを躊躇してしまう被害者が、かなりの割合で発生しているという点です。

事故を起こしてしまった加害者は、通常、保険会社が心強い味方となって加害者をバックアップしてくれます。また、大きな事故を起こしてしまった加害者であれば、ほうっておいても自分の身を守ろうとして迷わず弁護士に相談するでしょう。

これに対し、被害者は、加害者側の保険会社による説明内容に疑問を感じなかったり、感じてもよほどの後遺障害が残るような被害がない限り、弁護士に相談することを躊躇する傾向があるようなのです。一生のうち弁護士の先生方にお世話になるケースはそうそうありませんので、どのくらい費用がかかるものかもわからないでしょうし、また相談しただけの効用があるのかという点が、やはり不安なのかもしれませんね。

弁護士の方であればご存知のとおり、交通事故の過失割合については、「赤い本(『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』)」などを時間をかけて理解すれば、一般の方でもある程度の精度で把握できるかもしれません。しかし、被害者にとっては、怪我や物損を直すのが第一で、法律問題を自分で調べることまでは二の次になってしまいがちです。

その割に、弁護士ドットコムにおけるみんなの法律相談投稿やキーワード検索のデータを調べてみると、インターネット取引被害や相続問題と同じぐらいのボリュームで関心が集まっているという実態がありました。ここから、お金はかけたくないが、相手方から示された過失割合の確からしさを自分なりに簡単に検証しておきたい、というニーズはかなりあるのではと考えました。

このような被害者の躊躇の裏に隠された潜在的ニーズとのアンマッチングを、弊社サイトを利用した検索よりももっと手軽な手段が提供することで解消すれば、私たちのミッション「専門家をもっと身近に」を実現する一助になるのではと思いたち、開発を決定しました。

目の前の法律問題を今すぐ解決できる「身近なリーガルテック」をいち早くお届けしたい

試しに一度使ってみていただきたいのですが、技術的にはそれほど高度なものを使っているものではありません。もっとAIっぽい、自由入力式でコンピューターと自然な対話を重ねると答えに導かれるというようなものにしなかったというのが、そう感じさせる一番の理由ではないでしょうか。

もちろん、LegalTech Labでは技術的に高度な自然言語処理も研究していますし、ちょっと背伸びをしてそういうものにしてもよかったかもしれません。しかし、技術的な優位性よりも、ユーザーにとっての心地よさ、UI(ユーザインターフェース)の使いやすさを大切に考え、また、専門知識のない依頼者が適切な入力をするのは難しいという法律業界ならではの事情、さらに、「自分のケースと似た状況での一般的な過失割合の相場を簡単に知りたい」というシンプルなニーズに早く答えられるようにすべきと考えた結果、今回のような、回答選択型の擬似的チャットボットというスタイルで提供するのがベストという結論に達しました。

私たちLegalTech Labは、技術力を自慢するためにテックを語ってデモをする集団ではなく、あくまで、テックを使って適切に問題を解決する集団であるべきだと思っています。これからも、そういった姿勢でリーガルテックサービスの開発に取り組んでいきます。