弁護士白書に見るオンラインサービスの業務利用率

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弁護士白書の2017年版で、弁護士業務のIT活用が特集されています。

書籍情報

2017年版 弁護士白書
  • 著者:日本弁護士連合会
  • 出版社:日本弁護士連合会
  • 出版年月:20171225

弁護士へのアンケートを集計し、グラフに簡単なコメントを添えたもので、質問項目は以下のとおりとなっています。質問1〜7については昨年9月に集められたアンケートを、質問8・9については(なぜか)2013年のアンケート結果を集計したものが掲載されています。

  1. 弁護士業務に導入しているITのツール等
  2. 弁護士業務で導入しているITツールのセキュリティ対策
  3. 弁護士業務で扱っているデータの保管場所
  4. 依頼者との間の紙媒体の資料等のやりとりの方法
  5. 依頼者との間の自身が作成した準備書面や画像データのやりとりの方法
  6. 事務所外の者との電子データのやりとりについてのパスワード設定
  7. 弁護士が利用してみたいサービス
  8. 弁護士業務で使用する機器等でのセキュリティに関するトラブルの経験
  9. 弁護士事務所におけるセキュリティ対策


詳細は同書をご覧いただくとして、特に印象的だったのは質問3の回答です。オンラインストレージを業務利用されている割合は回答者中37%と、事務所内ファイルサーバーの利用割合63%と比較すると、オンラインサービスへの不信感はまだまだ拭えていないようです。

先日、野田隼人先生がtwitterで「無料のgmailを事件のための業務に利用することは,Googleによる知的財産権利用と広告掲載のための通信内容解析が利用規約上許諾されているため、弁護士情報セキュリティガイドラインに抵触する」と注意喚起をされていましたが、オンラインサービスに関しては、そうした自主規制ガイドラインもあり忌避されているものと思います。

一方で、政府としては、昨年12月22日のIT総合戦略本部および本年1月16日のeガバメント閣僚会議で、改めてデジタル改革の断行を確認するとともに、民間のクラウドサービスを行政サービスにも活用する方針を決定しようとしているところです。

▼eガバメント閣僚会議(第4回)議事次第
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/egov/dai4/gijisidai.html


1)行政情報システムのクラウド化(クラウド・バイ・デフォルト)、政府情報 システムの将来像の検討

ア.クラウド利用に関する考え方の整理(◎内閣官房)
投資対効果やサービスレベルの向上、サイバーセキュリティへの対応強化を図るため、政府情報システムの新規開発又は次期の更改、若しくは大幅な改修時期を見据えつつ、システム方式として、クラウドの活用を推進する。 このため、各種クラウド利用に関する考え方や課題等の整理を実施する。 特に、民間クラウドを採用する際に、当該クラウドの技術的、管理的なレベルが政府情報システムを構築するのに十分であるかどうかを判断する材料を提供する。 具体的には、内閣官房は、2017 年度(平成 29 年度)までに、政府情報システムにおけるクラウド・バイ・デフォルトの基本的な考え方、各種クラウド(パブリッククラウド、プライベートクラウド等)の特徴、クラウド利用における留意点等を整理する。あわせて、政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群(平成28年版)(以下「統一基準群」という。)を踏まえた情報セキュリティの考え方について整理を行う。

(デジタル・ガバメント実行計画(案)P32)

このような政府レベルの議論で利用基準が示されることによって、弁護士の先生方にもオンラインサービス・クラウドサービスをご利用いただきやすい状況になることが期待されます。

なお、P13には、最近の電子契約の普及と今後の展望について、業務改革委員会幹事の宮内宏先生によるコラムが掲載されています。宮内先生は電子契約に関する書籍を昨年出版されており、業界の中でも特に電子契約推進派でいらっしゃる方。ぜひお会いさせていただきたいですね。

(橋詰)