なぜ対面手続き(対面契約)の電子化は進まないのか?現場の課題やおすすめの対面特化型電子契約サービスを解説

ペーパーレス化の浸透に伴い、多くの企業で電子契約の導入が進んでいます。一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とITRが2024年1月に実施した「企業IT利活用動向調査」によると、回答者(国内企業983社)の77.9%が電子契約を利用しているという結果になりました。
その一方で、店舗での申し込みや訪問営業、工事現場での確認作業などの「対面」で行われる手続きにおいては、いまだに「紙と印鑑が手放せない」「電子化したいがうまく運用できるか不安」という声が多く聞かれます。
具体的には、
- 「対面手続き(対面契約)を電子化したいが、お客様が高齢でスマホ操作が難しい」
- 「メールアドレスを持っていないお客様もいる」
- 「今の紙の帳票レイアウトを変えられない」
このような課題により、対面業務で発生する書類の電子化を諦めてはいないでしょうか。
本記事では、なぜ対面シーンだけアナログな運用が残ってしまうのか、その根深い課題を整理した上で、それらを乗り越えて電子化を実現するメリットと、最新の解決策を解説します。店舗や窓口での契約業務を電子化したい方はぜひご一読ください。
目次
なぜ「対面手続き(対面契約)」の電子化は進まないのか?

対面業務においては紙書類の電子化へ移行する際のハードルがいくつか存在します。ここでは、対面手続きの電子化が進まない理由と、現場における課題感を確認していきましょう。
顧客側がメールアドレスを持っていない可能性がある
通常、企業で契約書類を電子化する際は電子契約サービスを利用しますが、一般的な電子契約サービスは、契約書を送付するために「相手方のメールアドレス」が必須となるケースが大半です。しかし、対面の現場、特に個人顧客(BtoC)を相手にする場合、必ずしも顧客全員がメールアドレスを持っているとは限りません 。
高齢のお客様でメールを利用していなかったり、あるいは「その場で契約したいだけなのに、わざわざメールアドレスを教えるのは手間だ」と断られたりするケースも多いため、メール必須の電子契約は現実的ではないと判断されることが少なくありません。
「現場スタッフが使いこなせないのでは?」という懸念がある
「現場に新しいシステムを導入しても、スタッフが使いこなせるか不安」という声もよく聞かれます。 また、対面営業や店舗のカウンターでは、お客様を待たせないよう、スピード感も求められます。
電子化によって「メール受信確認」や「ログイン操作の案内」といった新たな作業が発生し、かえって時間がかかってしまうようでは本末転倒です。結果的に「紙で書いてもらった方が早い」という現場の感覚が強く、業務フローが変わることによる混乱や業務遅延を恐れ、導入に二の足を踏む企業が多いのが実情です 。
既存フォーマットから変更することへの抵抗がある
長年使い続けてきた申込書や契約書のフォーマット(レイアウト)を変更すること自体が、大きなハードルとなっているケースです。
とくに、基幹システムから帳票を出力している場合、「システムから紙で出力されるフローを変えられない」「出力される帳票のデザインそのままでサインだけが欲しい」という要望が根強くあります。
電子契約を導入するためにフローを変更したり、帳票のフォーマットをWeb用に作り直したりするのはコストも手間もかかるため、結局「紙のまま運用する」という選択になりがちです。
それでも対面手続き(対面契約)を電子化すべき3つの理由・メリット
このように、現場には「紙をやめられない理由」が確かに存在します。しかし、それらの課題に阻まれてアナログ運用を続けることは、企業にとって大きな損失を生み続けているのも事実です。 課題を乗り越えてでも電子化に取り組むべき、3つの大きなメリットがあります。
それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。
1. 業務効率化とコスト削減
紙の書類がなくなれば、現場スタッフを悩ませる「契約締結後のスキャン作業」「原本のファイリング」「本社への郵送作業」といったアナログ作業が一切不要になります。
また、物理的な保管スペースが不要になるだけでなく、電子契約であれば課税文書にかかる「印紙税」も非課税となるため、契約件数が多い企業ほどダイレクトなコスト削減効果が見込めます。
さらに、契約データはクラウド上で一元管理されるため、過去の書類を探す際も検索一つで完了し、監査対応などの工数も大幅に削減されます 。
2. コンプライアンス強化と紛失リスクの低下
紙運用で最もリスクが高いのが、重要書類の持ち運びによる紛失や汚損です。「書類を会社に持ち帰るまでが仕事」というルールにより、訪問先からの直行直帰ができず、無駄な残業が発生しているケースも少なくありません。
書類を電子化すれば、データは即座にクラウド上に保存されるため、紛失リスクをゼロにしながら、現場スタッフの直行直帰やテレワークといった柔軟な働き方を実現できます。
また、主要な電子契約サービスではタイムスタンプ付与などにより改ざん防止対策が施されているため、原本管理としての信頼性も高まります。
3. 顧客体験(CX)の向上
「名前や住所を何度も書かされる」「捺印のために受付で待たされる」といった顧客のストレスを軽減します。 タブレット上で、紙と同じようなレイアウトを見ながら、迷わず直感的にサインができるため、手続きにかかる時間が短縮されます。
この「スムーズで先進的な契約体験」は、顧客に対して「DXが進んでいる信頼できる企業」というポジティブな印象を与え、ブランドイメージの向上にも寄与することが期待できるでしょう。

現場の契約締結を電子化し、ペーパーレスを進める『クラウドサイン for 対面DX』とは
「現場のオペレーションを変えたくない」という課題と「ペーパーレス化したい」という要望。この一見矛盾する2点を同時に解決するために開発されたのが「クラウドサイン for 対面DX」です。
国内シェアNo.1(※)の電子契約サービス「クラウドサイン」が提供するこの対面特化型サービスは、以下の特徴で前述の「3つの課題」をすべてクリアします。
※株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2025年版」(電子契約ツールベンダーシェア、2024年度実績)
特徴1:【メール不要】高齢のお客様でも「タブレットに書くだけ」
最大の特徴は、契約相手方のメールアドレスが不要であることです。店舗や訪問先に用意したタブレットにお客様自身で手書き署名をしていただくだけで契約が締結できます。
これにより、メールアドレスを持っていない高齢者のお客様や、デバイス操作が苦手な方でも、紙と同じ感覚でスムーズに手続きが完了します。
特徴2:【簡単操作】迷わない対面専用UIで、教育コストも不要
「新しいツールは覚えるのが大変」という現場の懸念を払拭するため、対面業務に特化したシンプルで分かりやすい操作画面(UI)を実現しています。

操作は「書類を選んで、タブレットをお客様に渡す」だけ。お客様側も「署名」「テキスト入力」「チェックボックス」など、必要な箇所に入力するだけなので、操作に迷うことがありません。
いつもの「紙を渡して書いてもらう」という手順をそのままタブレットで再現できるため、現場スタッフへの複雑な教育やマニュアル作成も不要で、すぐに運用を開始できます。
特徴3:【そのまま移行】今の帳票フォーマットを変えずに電子化
基幹システムなどで利用している現在の帳票(PDFデータ)をそのままクラウドサインにアップロードして利用できます。
タブレット上では、署名だけでなく、テキスト入力、日付入力、チェックボックス(同意確認など)も配置可能です。これまで使い慣れたフォーマットを変えることなく、入力媒体だけを「紙」から「タブレット」に移行可能です。
ここでも使える対面手続き(対面契約)の電子化:おすすめの活用シーン
「クラウドサイン for 対面DX」は特定の業種に限定されることなく、法人・個人を問わず、お客様との対面シーンで紙から脱却するための強力なツールです。とくに、お客様からの情報入力や同意取得、完了確認が必要なあらゆる場面でその効果を発揮します。
具体的には、以下のような多種多様な帳票・シーンで活用いただけます。
【対面業務で電子化が可能な書類の種類】
| 書類の種類 | 書面の例 | 業界/業務で想定される活用イメージ |
| 同意・承諾系 | サービス同意書、 個人情報同意書、 利用承諾書、 許諾証、 同意確認書 |
サービスの利用開始時、個人情報の取り扱いに関する重要事項の説明と確認、各種規定やポリシーへの合意取得など。 対面での説明後に、タブレット上でサイン(署名)とチェックボックス(同意)を行うことで完結します。 |
| 申込・手続き系 | 申込書、 ヒアリングシート、 アンケート |
新規顧客の獲得や、既存顧客のプラン変更・アップグレード時など、お客様に氏名や住所、その他の情報をタブレット上で直接入力いただく場面。 紙の申込書を後からデータ入力する手間がなくなります。 |
| 確認・受領系 | 受領証、 完了確認書、 引渡書 |
機器の設置完了、サービスの提供完了、物品の受け渡し、重要書類の交付など、現場での作業完了や内容確認の証明としてお客様に確認・サインをいただく場面。 重要書類の紛失リスクの削減にもつながります。 |
なお、上記の表に記載の通り、書類の電子化は契約書だけに留まらず、申込書や同意書、確認書、承諾書といった「契約」という単語を含まない書類でも可能です。「この書類も電子化できるかどうか確認したい」など、電子化に関するご相談がある方はぜひ下記フォームからお問い合わせください。
「クラウドサイン for 対面DX」による対面手続き(対面契約)の流れ
「クラウドサイン for 対面DX」では、3ステップで簡単に対面での契約締結が可能です。具体的な流れを解説します。
【3ステップの操作イメージ】

ステップ1.書類の準備
電子化したい書類をPDF形式にして、電子契約サービス「クラウドサイン」にアップロードします(※)。基幹システムなどから出力された帳票もそのまま利用可能です。このアップロード作業により、既にご利用の書面がそのままタブレットで開ける状態になります。
※「クラウドサイン for 対面DX」のご利用には、電子契約サービス「クラウドサイン」のコーポレートプラン以上の契約が必要になります。
ステップ2.書類の内容に合意
現場にて、タブレットでアップロード済みの書類を選択すると、迷うことなくすぐに契約作業を開始できます。

紙と同様のフォーマットをそのまま利用しながら、タブレット上で各種情報の入力を行います。入力方法は、署名、テキスト、日付、チェックボックスの4種類から選択でき、好きな場所に入力枠を指定して手書きサインを取得できます。
ステップ3.書類の保管
契約が締結されると、書類は汚損や紛失のリスクなく、クラウドサイン上でインポート書類として格納され、一元管理されます。
信頼性を高めるために、契約内容の改ざん防止を目的としたタイムスタンプが付与されます。このプロセスにより、紙の保管コストや印紙代の削減にもつながります。
タブレットで署名されたデータは即座にクラウドサイン上に保管され、一元管理されます。「タイムスタンプ」も付与されるため、契約内容の改ざん防止の面でも安心してご利用いただけます。
まとめ
「対面だから紙の書類でやり取りするしかない」という常識は、過去のものになりつつあります。本記事で紹介したように、顧客のメールアドレス有無や現場のオペレーション変更への懸念といった課題は「クラウドサイン for 対面DX」のような特化型ツールによって解決可能です。
このサービスを導入すれば、お客様には「タブレットでサインするだけ」の負担のないスムーズな手続き体験を提供でき、現場スタッフは膨大な紙の管理業務から解放されます。また、顧客満足度の向上と業務効率化、そしてコンプライアンス強化を同時に実現できることは、企業の競争力を高める大きな一手となるはずです 。
「いつもの帳票をそのまま使いながら、現場に残る紙書類をなくし、安全で効率的な新しい契約業務フローを構築したい」という方はぜひ「クラウドサイン for 対面DX」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
導入に関するお問い合わせは下記のフォームからお気軽にご相談ください。
この記事を書いたライター
弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部
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