契約マネジメント契約実務

エクセルによる契約書管理—Microsoft Excelを使用した契約書管理台帳の作成方法と注意点

エクセルによる契約書管理台帳の作成方法と注意点

本記事では、エクセル(Microsoft Excel)を使った契約書管理の具体的な方法と、その注意点を解説します。契約書管理の方法にはエクセルによる管理・契約書管理専用システム・契約マネジメントプラットフォームの利用の3つがありますが、どの方法を選ぶのが良いか、メリット・デメリットとともにご紹介します。

なお、クラウドサインでは散在している紙の契約と電子の契約をどのように管理すればいいのか悩んでいる方に向けた資料を無料でご用意しています。改正電帳法の要件へ対応するためのクラウドサインを利用した契約書一元管理の方法を詳しく解説していますので、契約書の管理方法にお悩みの方はダウンロードしてご活用ください。

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1. エクセル台帳による契約書管理の方法と導入手順

1.1 エクセルで契約管理台帳を作成する方法と失敗しないためのポイント

企業における文書管理の「一丁目一番地」といえば、契約書の台帳管理です。かつてのように手書きの台帳で管理をしていた時代は終わり、現代ではエクセル等の表計算ソフトで管理台帳を作成し、管理するのが当たり前になっています。

しかし、いざ自分でエクセルで契約書管理台帳を作成し、契約書の管理を徹底しようと思うと、

  • 契約管理台帳にはどのような項目を記録していけば良いのか?
  • 取引先との間で発生する契約書はすべてを管理対象にすべきなのか?
  • 台帳管理を継続するためのコツやポイントはあるのか?

といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

そこで、以下では、エクセルで契約管理台帳を作成する際に、失敗しないためのポイントを紹介します。

エクセル台帳による契約書管理の方法と導入手順

1.2 管理対象項目は必要最小限の6項目に絞ってスタートする

まずはじめに、エクセルを使った契約書管理で最も重要なポイントは、台帳に入力する契約書の管理対象項目を必要最小限に絞ることです。

契約書には、契約類型・契約期間・契約金額・納期等の期日などなど、取引に関するたくさんの情報が詰まっています。台帳を作ろうと考えると、そのどれもが重要な情報に見えて、すべてを項目化して管理したくなりがちです。

しかし、管理する対象の契約書が年間100通ぐらいならまだしも、数百、千通を超える単位となると、一つ一つの契約書を読んで台帳に必要項目を転記していくのは、相当な負担となります。よって、管理対象項目を必要最小限に絞ることがポイントです。

エクセルで契約書の台帳管理を開始するにあたり、スタート段階では、

  1. 契約書のタイトル(契約類型)
  2. 契約相手の名称
  3. 契約締結日
  4. 契約開始日
  5. 契約終了日
  6. 自動更新の有無

まずは、この6項目だけを最低限管理できれば十分です。

契約管理台帳に記録する入力項目設定には、セオリーがあります。エクセルの契約管理台帳で管理すべき情報項目についてもっと詳しく知りたい方は、本メディアの以下関連記事もご参照ください。

契約管理台帳入力項目「書類情報」の最適解とは
契約管理の方法とポイント—データで管理すべき20の契約項目

1.3 契約書は一元管理が原則

次に、管理対象とする契約書の取捨選択すべきか、それともすべての契約書を管理すべきかが問題となります。原則としては、法務部門がすべての契約書を回収し台帳管理すべきと考えます。

大企業になればなるほど、1日に発生する契約書の量が大量になり、法務部門がセントラル管理することが面倒に感じられ、だんだんと現場任せになっていきがちです。「取引金額○○○万円未満の契約書は担当部門で管理」など、一定の基準で足切りをし、法務部門ではなくフロントが契約書を管理をする企業は、決して少なくありません。

しかし、すべての契約書を法務部門が一元管理することで、自社の法的リスクを内容面にくわえて物理面からも掌握し、内部統制を強力に効かせることができます。

また、データ活用という点でも、一元管理は重要です。金額は小さいが発生件数が多い契約についてももれなく把握してはじめて価値のあるビッグデータになりうるものであり、正しいリスク分析が可能となります。

1.4 スタート時は、これから新たに発生する契約書だけを台帳管理の対象とする

契約書はすべて法務部門が一元管理するとなると、途端に心配になるのが、「これまですでに締結済みの契約書はどうすベカ?遡って全部調べて台帳入力しなければならないか?」という点です。

結論としては、過去締結済みの契約書はいったん台帳には入力せずに置いておき、「これから締結する」未来の契約のみを台帳管理の対象として、台帳入力しはじめることをお勧めします。

いつまでも契約書管理をスタートしないことこそが問題なのであって、スタートから過去の契約情報までをすべて把握している必要はありません。

1.5 契約書管理が軌道に乗ってきたら、過去の契約書も管理対象に追加する

とはいえ、過去から未来までの契約情報が一元管理できれば、早速実際の業務に役立つことも多々あるでしょう。

それまでに締結した過去の契約書の台帳化は、これから新たに発生する契約書の台帳管理が確実にできるようになってからでも遅くはありません。

最初のうちはこれから新たに発生する契約書だけを管理し、それが軌道に乗れば、過去の契約書を直近1年分からスタートしてだんだん遡って入力していくことが、契約書管理をうまくスタートさせるポイントとなります。

2. エクセル台帳式契約書管理のメリットとデメリット

2.1 メリット—低コストで設計変更が自由

では、エクセルで契約書台帳を作成し管理する方法のメリットには、どのようなものがあるでしょうか。

まず第一に、低コストで契約書管理をスタートできる点が挙げられます。業務でPCを使っているのであれば、Microsoft Offceが利用できる環境にある方がほとんどです。特殊なソフトウェアを購入する必要がなく、今日からでも始めれられるのは、最大の利点です。

二つ目が、管理項目の設計・変更の自由度が高いという点です。後でご紹介する契約書管理専用システムを利用する場合、当初の設計で決めた管理項目を、運用開始後においそれと変更することはできません。それに比べて、エクセルならば実際に運用しながら列・行を自分で増減でき、よほどマニアックな関数やマクロを使わない限り、操作をして壊れることがありません。

2.2 デメリット—UI悪くセキュリティ上の問題も

一方で、エクセル台帳式の契約書管理には、デメリットもあります。

一つは、閲覧者にとって見やすい・わかりやすい台帳を作成しにくいという点です。台帳は、入力する人だけでなく、それを閲覧する第三者にとってわかりやすいデザインであることが活用フェーズでは必要です。この点、エクセルは元々が表計算のためのソフトですから、よほどデザインにセンスがある方が作り込まない限り、閲覧者にとっての見やすさやわかりやすさは担保しにくくなります。

また、実務面の大きなデメリットとして、契約期間・自動更新条項の管理がしにくいという点は指摘せざるをえません。関数や条件付き書式などを活用すれば、契約満了日や更新通知日をアラートする(セルの色を変えるなど)こともできなくはないですが、毎日エクセル台帳を開いて確認する担当者でもない限り、気付きようがありません。

最後に、セキュリティ対策が困難という点もあります。特に契約書の一元管理を徹底すると、組織ごとの閲覧権限を設定したくなりますが、エクセルではそのようなセキュリティニーズに対応しきれなくなります。

エクセル台帳式契約書管理のメリットとデメリット

3. エクセルに頼らない契約書管理の方法

3.1 契約書管理専用システムの利用

上記のような、エクセル式台帳による契約書管理のデメリットを解消するためには、契約書管理専用のシステムを利用するという手段があります。

専用のシステムを利用することにより、

  • 入力者と閲覧者の双方が扱いやすいUIが実現できる
  • 契約期間満了や自動更新通知期限のアラートを受け取れるようになる
  • 組織ごとの閲覧制限など、きめ細やかなセキュリティ設定が可能になる

といったメリットがあります。

エクセル台帳を卒業し、契約書管理システムを導入する目安の水準としては、管理対象となる契約書が年間500通を超えるような規模になると、契約書を取り出して法的な措置を検討するような案件への遭遇頻度が高まり、契約書管理システムの必要性は高くなってくるはずです。

3.2 電子契約への一本化

専用の契約管理システムを導入しても、紙の契約書を締結している限り、これをスキャンしてPDFにし、データを取り込むという作業は増えこそすれ減ることはなく、抜本的な解決にはなりません。

そこで検討したいのが、紙の契約書を廃止し、電子契約への一本化を図るという方法です。

クラウドサインをはじめ、一般的な電子契約サービスであれば、契約管理のための機能が付属しているか、オプションで追加できるはずです。これを活用することにより、デジタル情報をデジタルのまま取り扱うことができ、設定・大腸への入力・情報のメンテナンスの必要性から解放されます。

3.3  契約マネジメントプラットフォームの利用

紙の契約書から電子契約への移行を図っても、すべての契約書を明日から電子契約にすることは難しく、過渡期は数年続くことが予想されます。

契約マネジメントプラットフォームであるクラウドサインの書類インポート機能AI契約書管理機能を活用し、できるだけ管理の手間を発生させずに、紙と電子を統合した契約のライフサイクルマネジメントが実現できます。

契約マネジメントプラットフォームの利用

4. 契約マネジメントプラットフォームで紙・電子を統合管理

小規模企業であれば、エクセルで契約書管理台帳を作成し、契約管理を行うのが現実的であり、それで十分とも言えます。一方で、法務担当者を設置し会社の内部統制の強化を図るフェーズでは、エクセル台帳では心もとない場面も多々発生します。

まずは、これから全社で締結する契約書の概要をもれなく把握できる体制を作り、その上で余裕が生まれれば過去の契約書の内容も遡って把握し、全契約のデータ化を図っていくのが良いでしょう。

エクセルによる契約書管理は、はじめの一歩としては適切な方法ではあるものの、一定規模を超えると、後々の管理が大変になります。企業規模・取引件数が拡大する前に、電子契約を積極的に活用し、契約マネジメントプラットフォームとしての活用のフェーズへとステップアップできるインフラが必要です。そのためのツールの一つとして、クラウドサインをご検討ください。

当社の提供する「クラウドサイン」は、電子署名を電子ファイルに施し、スピーディーかつ安全に契約の締結が可能な電子契約サービスです。導入社数250万社以上、累計送信件数 1000万件超の国内シェアNo1の電子契約サービスとして、業界業種問わず多くの方にご利用いただいております。

クラウド型電子署名サービスを用いた電子契約のイメージ図

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この記事を書いたライター

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弁護士ドットコムクラウドサイン事業本部リーガルデザインチーム 橋詰卓司

弁護士ドットコムクラウドサイン事業本部マーケティング部および政策企画室所属。電気通信業、人材サービス業、Webサービス業ベンチャー、スマホエンターテインメントサービス業など上場・非上場問わず大小様々な企業で法務を担当。主要な著書として、『会社議事録・契約書・登記添付書面のデジタル作成実務Q&A』(日本加除出版、2021)、『良いウェブサービスを支える 「利用規約」の作り方』(技術評論社、2019年)などがある。

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