2026年に見送られた労働基準法改正 猶予期間に人事担当者が「契約のデジタル化」に取り掛かるべき理由とは?

2026年に予定されていた労働基準法改正案の提出見送り。人事労務担当者の皆様の中には「ひとまず対応を先延ばしにできる」と、肩の荷が下りた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、業務効率化の視点で見れば、この「猶予期間」こそが、長年人事担当者を悩ませてきた「定型業務の負荷」を解消するために有効な期間です。
法律は、時代の働き方の変化に合わせて必ず変わります。その都度「法律が変わるから対応しなくては」と受動的に動くのではなく、「法改正という契機を活かして、アナログな慣習をアップデートする」。そんな攻めの人事への転換について、最新の動向を踏まえながら解説します。
なお、労働基準法とはそもそもどのような法律かを確認したい方は下記記事もご一読ください。
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なぜ2026年の改正は見送られたのか?背景にある「実務の壁」
2026年に予定されていた労働基準法改正案の提出が見送られた背景には、厚生労働省の諮問機関である「労働政策審議会(労働条件分科会)」等における、労使間の慎重な議論があります。
主な論点となったのは、「多様な働き方の推進」と「過重労働の防止」の両立ですが、具体的には以下の3つの「実務の壁」が立ちはだかりました。
① 勤務間インターバル制度の「義務化」に対する業種別の懸念
「勤務間インターバル」制度とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。この制度は2019年4月より事業主の努力義務となっています(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(労働時間等設定改善法)の定めによる)。
政府や労働者側は、休息時間の確保を目的に「勤務間インターバル制度」の義務化を検討してきましたが、使用者側(企業側)からは強い慎重論が出されました。
とくに、交代制勤務を採用する製造現場や、突発的なトラブル対応が不可欠なIT・保守業、季節による変動が激しいサービス業などにおいて、「一律に11時間の休息を義務化すれば、事業継続が困難になる」という懸念が示されました。
この「例外規定」の範囲や運用の詳細を詰めるには至らず、現時点では「努力義務」の枠組みを維持し、導入企業の支援に留める判断となりました。
参考:2025年10月27日 第204回労働政策審議会労働条件分科会 議事録(厚生労働省)
②副業・兼業における「労働時間通算」の事務負担
副業・兼業を促進する上で最大のボトルネックとなっているのが、自社と副業先の労働時間を合算して管理・割増賃金を計算する「労働時間通算」のルールです。
厚生労働省による実態調査や審議会の議論では、企業側から「他社での就業時間を正確かつリアルタイムに把握して管理するのは、事務負担が過大であり、現実的ではない」という指摘が相次ぎました。管理手法の標準化が追いついていないことが、法制化を阻む一因となりました。
参考:2025年11月18日 第205回労働政策審議会労働条件分科会 議事録(厚生労働省)
③ 「柔軟な働き方」と「健康確保」のトレードオフ
裁量労働制の対象拡大や、フレックスタイム制の更なる柔軟化についても議論されましたが、「自律的な働き方を推進したい経営側」と「長時間労働を助長しかねないと懸念する労働者側」の間で合意形成が難航しました。
また、リモートワーク下での「業務」と「私生活」の境界線定義(つながらない権利)についても、法的な強制力を持たせるには議論が未成熟であるとの判断がなされました。
【参考資料】 本改正に関する議論の詳細は、厚生労働省の以下の公開資料よりご確認いただけます。
厚生労働省:労働政策審議会 (労働条件分科会)
このように、改正が見送られた本質的な理由は「法改正そのものが中止になった」からではなく、「複雑化する管理実務に対して、企業側の対応コストやインフラがまだ整っていない」ことにあります。
将来の法改正で、人事が直面する「3つの課題」
2026年度中の労働基準法改正は先送りされたとはいえ、2027年以降にこれらの議論が再浮上することは確実です。その時、アナログ(紙・ハンコ)中心の管理を続けている企業は、以下のような「3つの課題」にぶつかると考えられます。
- 「書類の巻き直し」コストの課題
- 「勤務間インターバル」の証跡管理の課題
- 候補者体験を損なう「アナログ手続き」の課題
ここでは、それぞれの課題を詳しく確認しておきましょう。

今後の労働基準法改正で人事部門が直面する3つの課題を解説
「書類の巻き直し」コストの課題
法改正が行われる際、人事担当者を疲弊させる業務のひとつが「書類の巻き直し」です。
たとえば、副業のルールが変われば、全従業員と「副業に関する合意書」を交わし直す必要があります。数千人規模の企業であれば、郵送費だけで数十万円、封入作業や回収の催促に数百時間が奪われるため、紙の書類を使い続けている場合には金銭的・時間的コストが負担としてかかってくると予想できます。
「勤務間インターバル」の証跡管理の課題
将来的にインターバル規制が義務化・強化された場合、単に「勤怠をつけている」だけでは不十分です。「休息が守られたことへの合意」や「例外的な運用の記録」をセットで保存しなければならず、紙の台帳では労働基準監督署の調査時に即座に対応できない場合も考えられます。
場合によっては是正勧告のリスクが高まる可能性もあるため、アナログ(紙・ハンコ)中心の管理から電子に切り替えるのも選択肢のひとつです。
候補者体験を損なう「アナログ手続き」の課題
法改正を待たずとも、労働市場はすでに「柔軟な働き方」を求めています。
内定通知(オファーレター)や労働条件通知書の交付を「郵送とハンコ」というアナログな手段で行なっている企業は、候補者から「この会社はデジタル化が遅れているのでは?」という不信感を持たれる恐れがあります。
採用活動がデジタルで完結する企業に、優秀な人材を奪われ続けてしまうことで、競合との人材獲得競争に出遅れてしまうリスクがあると考えられるでしょう。
改正見送りを「準備期間」に変えるための、具体的な3ステップ
では、2026年の改正見送りという期間を、人事担当者はどのように活用すべきでしょうか。
現行の契約・通知フローの可視化
現在、紙でやり取りしている書類(雇用契約書、労働条件通知書、入社誓約書など)をリストアップし、それぞれの作成・送付・回収・保管にどれほどの時間とコストを要しているかを把握します。
手作業で一通一通送付している場合、送付先が多くなればなるほど事務作業にかかる負担は少なくないため、今の段階から現状かかっているコストを試算しておきましょう。
優先度の高い書類からの電子化検討
まずは、中途採用のオファーレターや、有期雇用契約の更新など、頻度の高い業務から電子契約の導入を検討します。小規模な範囲から開始することで、社内の運用ルールを無理なく整えることができます。
将来の法改正を想定した雛形の整理
将来的に制度化される可能性が高い「勤務間インターバル」や「副業管理」に関する条項を、あらかじめ雇用契約書や就業規則の雛形に盛り込む準備をしておきます。デジタル化されていれば、法改正が確定した際の文言修正や再配布も、紙に比べて柔軟に対応可能です。
入社手続きに電子契約サービス「クラウドサイン」を導入するメリット
労働基準法に関連する実務の多くは、企業と従業員との「合意」や「通知」に基づいています。将来の法改正への対応をスムーズに進める上で、電子契約サービス「クラウドサイン」を導入する実務的なメリットとして次の3つがあげられます。
- 契約更新・条件変更通知の事務負担を軽減
- 合意の証跡をデジタルで一元管理
- 採用候補者や従業員の利便性向上
それぞれのメリットを確認しておきましょう。
契約更新・条件変更通知の事務負担を軽減
法改正に伴い、既存の従業員に対して労働条件の変更通知や新たな合意書の締結が必要になるケースが考えられます。
クラウドサインを利用すれば、書類をクラウド上で一斉に送信し、オンラインで合意を得ることが可能です(労働者が電子メールや電子契約システムなどの電磁的方法による明示を希望した場合に限る)。

紙の契約書で締結した場合と電子契約サービス「クラウドサイン」で締結した場合のリードタイムの比較イメージ
印刷・封入・郵送という物理的な事務作業がなくなるため、契約締結までの作業時間を削減でき、法改正の施行日に合わせた迅速な対応が検討しやすくなります。また、回収状況が管理画面で一覧化されるため、未締結者への催促漏れを防ぐことにもつながります。
締結・合意の証跡をデジタルで一元管理
雇用契約書や労働条件通知書、あるいは副業に関する申請書など、人事に関わる重要書類をデジタルデータとして保管できます。
「いつ、誰が、どの内容に同意したか」という証跡がシステム上に記録されるため、将来的な法改正で厳格な管理が求められた際も、必要な情報を即座に検索・抽出可能です。これは、労働基準監督署による調査や、万が一の労務トラブルが発生した際のリスク管理としても機能します。
紙書類で交わした契約書も、スキャンしてPDF化すれば一元管理できるため、「紙の書類を見つけるために倉庫から探し出す」という手間も不要になります。
採用候補者や従業員の利便性向上
クラウドサインの導入により、雇用契約書や労働条件通知書などの契約締結や契約更新をスマートフォンやPCで完結できるため、従業員側の利便性向上にもつながります。
とくに、多様な働き方を推進する中で、契約のためだけに出社したり、書類を郵送したりする手間に疑問を感じる採用候補者は少なくありません。クラウドサインによるオンライン完結のフローを整えることは、現代の労働環境に即した適切なコミュニケーションの構築に寄与します。
クラウドサインは採用・労務実務の負担を軽減し、変化に強い組織づくりをご支援します
「電子契約を導入したいが、自社の複雑な雇用形態や入社フローにどう組み込めばいいのか」「現場の担当者が混乱しないか」といった、実務レベルでの懸念をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
クラウドサインは、単なる「法改正に対応するための電子契約サービス」ではありません。人事労務・採用の現場で発生する「書類のやり取り」という停滞を解消し、本来人事部が注力すべき「人に向き合う業務」に集中できる環境づくりをサポートします。
- 内定から入社までのリードタイムを短縮: オファーレター(内定通知)から入社承諾、秘密保持契約の締結までを最短数分で完結。候補者の意欲が高いタイミングを逃さず、採用競合に競り勝つためのスピード感を提供します。
- 貴社の実務に合わせた「最適なフロー」を提案: 既存の勤怠管理・人事管理システムとの連携や、各社固有の承認フローの再現など、貴社の現在の運用を尊重したデジタル化のステップをご提案します。
法改正の猶予期間を、「単なる待ち時間」ではなく「現場の事務負担を減らすための準備期間」として活用しませんか。実務上の課題や、クラウドサインの導入に向けた社内調整の進め方など、まずは下記フォームからお気軽にご相談ください。
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2026年の改正見送りによって得られた「時間」は、単なる先送りの期間ではありません。次に来る法改正に円滑に対応するための、体制づくりを行うための期間です。
法律が実際に変わってから慌ててシステムやフローを導入するのではなく、今のうちに契約実務のデジタル化を進めておくことは、将来のコンプライアンス遵守における確かな備えとなります。
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