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【無料ひな形付き】株主総会議事録とは?記載事項・作成手順・閲覧謄写請求への対応などを弁護士が解説

株主総会を開催したときは、株主総会議事録を作成する必要があります。

株主総会議事録の記載事項は法令によって定められており、必要な事項を漏れなく記載しなければなりません。また、株主や債権者などから閲覧や謄写を求められることもあり得るので、対応できるようにしておきましょう。

本記事では株主総会議事録について、記載事項・作成手順・閲覧謄写請求への対応などを解説します。

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株主総会議事録とは

「株主総会議事録」とは、株主総会の議事の経過の要領や結果などをまとめた議事録です。会社法318条1項によって作成が義務付けられています。

株主総会議事録は本店に10年間備え置き、株主や債権者などの閲覧に供するものとされています。株主総会の運営を透明化し、株主や債権者などが検証できるようにすることが株主総会議事録の役割です。

株主総会議事録の原則的な記載事項

株主総会議事録には、原則として以下の事項を記載します(会社法施行規則72条3項)。

①開催された日時と場所
②議事の経過の要領と、その結果
③述べられた一定の意見または発言の内容の概要
④出席した役員等の氏名・名称(押印は不要)
⑤議長の氏名
⑥議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

開催された日時と場所

(例)
第1 開催日時
2026年○月○日 午前10時30分第2 開催場所
当会社本店○○室

株主総会が開催された日時と場所を記載します。開催日時については、開始時間まで記載しましょう。

議事の経過の要領と、その結果

(例)
第3 出席株主数及び議決権数
基準日現在の議決権を有する株主総数:○名
基準日現在の総株主の議決権数:○個
議決権を有する本日出席の株主数(議決権行使書面提出者を含む):○名
本日出席の株主の議決権数:○個……上記のとおり、株主の出席により本総会は適法に成立したので、定刻において、代表取締役○○○○は議長席に着き、本株主総会の開会を宣言した後、議事に入った。議長はまず、株主からの質問等の発言は、報告事項及び決議事項の説明がすべて終わった後で一括して受け付ける旨を述べた。次に事務局より、出席株主数及び議決権数について上記のとおり報告がなされた。議長は、本株主総会における各議案の決議に必要な定足数を充足している旨を述べた。続いて、下記の報告事項について報告がなされた。【報告事項】
第1号報告 第○期(2025年○月○日から2026年○月○日まで)に係る事業報告の内容の報告の件
第○期における当会社の事業の状況につき、取締役××××が詳細に報告を行った。引き続き、議長は、本株主総会の目的事項である下記の議案について、大要以下のとおり説明を行った。【決議事項】
第1号議案 第○期に係る計算書類の承認の件
貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表の内容を説明した。第2号議案 取締役3名選任の件
本株主総会終結時をもって取締役3名全員(○○○○、××××、△△△△)が任期満了となることに伴い、その3名全員を再任したい旨を説明した。第3号議案 監査役1名選任の件
本株主総会終結時をもって監査役1名全員(□□□□)が任期満了となることに伴い、□□□□を再任したい旨を説明した。議長は上記各説明の後、株主からの質問、動議その他の発言を受け付けたところ、株主○名から合計○問の質問がなされた。各質問に対しては、議長又は議長の指名を受けた取締役××××が回答した。なお、議事に関する動議はなされなかった。株主からの発言が出尽くしたところで、議長は、十分審議を尽くしたので各議案の採決を行う旨を述べ、採決に入った。第1号議案から第3号議案まで逐次採決を行ったところ、それぞれ出席株主の議決権の過半数の賛成を得たので、いずれも原案どおり承認可決された。以上をもって、報告事項及び決議事項のすべてを終了したので、議長は午後11時30分に閉会を宣言した。

株主総会の議事の経過の要領と、その結果を記載します。株主総会議事録の中で、最も重要かつ分量が多くなる部分です。

株主総会の開始から終了までの議事の内容を、要約しつつ簡潔にまとめましょう。どの程度詳しく書くかは会社の方針によりますが、上記の記載例を参考にしてください。

述べられた一定の意見または発言の内容の概要

以下の事項について意見・発言等が述べられたときは、その内容の概要を記載する必要があります。

意見・発言等の内容 意見・発言等をした者 根拠条文
監査等委員である取締役等の選任、解任、辞任 誰でも 会社法342条の2第1項
監査等委員である取締役を辞任した旨およびその理由 監査等委員である取締役を辞任した者 会社法342条の2第2項
監査等委員である取締役以外の取締役の選任、解任、辞任 監査等委員会 会社法342条の2第4項
会計参与の選任、解任、辞任 会計参与 会社法345条1項
会計参与を辞任した旨およびその理由 会計参与を辞任した者 会社法345条2項
監査等委員である取締役の報酬等 監査等委員である取締役 会社法361条5項
監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等 監査等委員会 会社法361条6項
計算書類等
※その作成につき、会計参与が取締役と意見を異にする場合に限る
会計参与 会社法377条1項
会計参与の報酬等 会計参与 会社法379条3項
取締役が株主総会に提出しようとする議案・書類等の法令違反、
定款違反または著しく不当な事項
監査役
監査等委員
会社法384条
会社法399条の5
監査役の報酬等 監査役 会社法387条3項
会計調査結果
※定款により、監査の範囲が会計に関するものに限定されている場合に限る
監査役 会社法389条3項
計算書類等の法令、定款への適合性
※会計監査人が監査役と意見を異にする場合に限る
会計監査人 会社法398条1項
定時株主総会への会計監査人の出席を求める決議 会計監査人 会社法398条2項

出席した役員等の氏名・名称|押印は不要

(例)
第4 出席役員
取締役 ○○ ○○
取締役 ×× ××
取締役 △△ △△
監査役 □□ □□

株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役または会計監査人の氏名・名称を記載します。押印は不要です。

議長の氏名

(例)
第5 議長
代表取締役 ○○ ○○

議長の氏名を記載します。「代表取締役」などの肩書とともに記載するのが一般的です。

議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

(例)
本株主総会の議事の経過の要領及びその結果を明確にするため、本議事録を作成する。2026年×月×日
議事録の作成に係る職務を行った取締役 ○○ ○○

議事録を作成した取締役の氏名を記載します。実際にドラフトを作成するのは従業員であるケースも多いですが、最終的には取締役がチェックして作成者となる必要があります。

なお、議事録の作成者である取締役についても、押印する必要はありません。ただし、慣例的に押印をするケースも見られます。

特殊なケースにおける株主総会議事録の記載事項

株主総会における決議や取締役の報告は、一定の要件を満たす場合には省略することが認められています。決議や報告を省略した場合は、株主総会議事録に所定の事項を記載しなければなりません。

株主総会決議を省略した場合の記載事項

取締役または株主が提案した議案について、議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録で同意の意思表示をしたときは、採決を省略して株主総会決議があったものとみなされます(会社法319条1項)。

この場合、株主総会議事録に以下の事項を記載しなければなりません(会社法施行規則72条4項1号)。

(a)株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
(b)(a)の事項の提案をした者の氏名または名称
(c)株主総会の決議があったものとみなされた日
(d)議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

取締役による株主総会への報告を省略した場合の記載事項

取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知し、かつ株主総会への報告を要しないことにつき株主全員が書面または電磁的記録で同意の意思表示をしたときは、実際の報告を省略することが認められています(会社法320条)。

この場合、株主総会議事録に以下の事項を記載しなければなりません(会社法施行規則72条4項2号)。

(a)株主総会への報告があったものとみなされた事項の内容
(b)株主総会への報告があったものとみなされた日
(c)議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

株主総会議事録の作成手順

株主総会議事録の作成手順は、以下のとおりです。

①議事録のドラフトを作成する
②取締役が議事録の内容を確認し、承認する
③議事録を本店に10年間備え置く

議事録のドラフトを作成する|記載事項が漏れていないことを要確認

株主総会が終わった後、議事録のドラフト(草案)を作成します。ドラフトの段階では、必ずしも取締役が作成しなくてもよく、従業員などが作成しても構いません。

すでに解説したとおり、株主総会議事録の記載事項は法令によって定められています。必要な記載事項に漏れがないように注意しつつ、慎重にドラフトを作成しましょう。

取締役が議事録の内容を確認し、承認する

株主総会議事録の作成者は、取締役でなければなりません。

したがって、ドラフトを従業員などが作成した場合でも、最後は必ず取締役がその内容を確認し、作成者として承認する必要があります。実際の議事が正しく反映されているか、法令上の記載事項が漏れていないかなどを注意深く確認したうえで、承認を行いましょう。

議事録を本店に10年間備え置く|書面・電子データのどちらでもOK

株主総会議事録は、書面または電磁的記録(電子データ)によって作成するものとされています(会社法施行規則72条2項)。

作成した株主総会議事録は、株主総会の日から10年間、本店に備え置かなければなりません(会社法318条2項)。

支店がある場合は原則として、株主総会の日から5年間、株主総会議事録の写しを支店にも備え置く必要があります。ただし、株主総会議事録を電子データで作成しており、その情報を支店のPC等で閲覧できるようにしていれば、支店への備置きは不要です(会社法318条3項、会社法施行規則227条2号)。

電子契約サービスなどを利用して、株主総会議事録を電子データで作成すると、社内のネットワークなどを通じていつでも閲覧や検索ができるようになります。株主や債権者などから問い合わせがあったときや、何らかの問題が生じて株主総会議事録の確認が必要になったときなどに便利です。

【弁護士監修】株主総会議事録ひな形ダウンロード(無料)

株主総会議事録のひな形は、以下のページからダウンロードできます。実際の議事の状況などに応じて、調整したうえでご利用ください。

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株主総会議事録の閲覧・謄写請求

会社の株主や債権者などは、株主総会議事録の閲覧・謄写を請求できます。閲覧・謄写請求を受けたら、速やかに必要な対応を行いましょう。

閲覧・謄写請求ができる人|株主や債権者など

株主総会議事録の閲覧・謄写請求は、以下の者に認められています(会社法318条4項・5項)。

(a)株主
(b)債権者
(c)親会社の株主その他の社員(権利を行使するため必要があり、裁判所の許可を得た場合に限る)

閲覧・謄写請求を受けた場合の対応

会社が株主総会議事録の閲覧・謄写を請求されたら、まず請求者が上記のいずれかに該当するかどうかを確認しましょう。

閲覧・謄写請求権があると判断した場合は、以下の対応を行います(会社法318条4項、会社法施行規則226条17号)。

(a)株主総会議事録が書面で作成されている場合
その書面または写しの閲覧・謄写をさせます。(b)株主総会議事録が電磁的記録で作成されている場合
その電磁的記録に記録された事項を紙面または映像面に表示し、その閲覧・謄写をさせます。

まとめ

株主総会議事録は、株主総会の開催後に必ず取締役が作成しなければなりません。実際の議事を適切に反映しつつ、法令によって記載が義務付けられた事項に漏れがないよう注意しましょう。

株主総会議事録は、電子データで作成することもできます。株主や債権者の閲覧・謄写請求に対応しやすく、管理もしやすいなどのメリットがあるので、株主総会議事録の電子化をご検討ください。

なお、クラウドサインでは取締役会議事録を電子化する場合の法的規制と電子署名の要件について解説した資料をご用意しております。以下フォームからダウンロード可能ですので、株主総会議事録や取締役会議事録の非効率な「ハンコ集め」から脱却し、電子署名に切り替えたい方は参考にしてみてください。

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この記事の監修者

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阿部 由羅

弁護士

ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。

この記事を書いたライター

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弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部

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