電子契約の「事業者署名型(立会人型)」と「当事者型」の違いとは?メリット・法的効力・コストを徹底比較

「電子契約を導入したいが、『事業者署名型(立会人型)』と『当事者型』のどちらを選べばいいのか?」
「クラウドサインのような事業者署名型(立会人型)は、法的な証拠力が弱いのではないか?」
電子契約の導入を検討する際、多くの方が疑問に感じたり、直面する壁が、この「署名タイプ(方式)の選択」といえるでしょう。
結論から申し上げますと、現在の日本のビジネスシーンにおいて、標準的な方式と言えるのは「事業者署名型(立会人型)」です。
かつては「当事者型の方が法的効力が強い」と言われた時代もありましたが、2020年の政府見解によりその常識は覆されました。現在は、スピードと法的安全性を両立する現実的な解として、多くの企業が「事業者署名型(立会人型)」を選択しています。
本記事では、両者の決定的な5つの違いを比較し、なぜ今「事業者署名型(立会人型)」が選ばれるのか、その理由を法的な裏付けとともに解説します。記事の中には、どちらにすべきか迷った際のフローチャートもございますので、こちらも確認してみてください。
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事業者署名型(立会人型)と当事者型の比較まとめ
まずは、両者の違いを一目で理解するための比較表をご覧ください。
最大の違いは、「相手方(取引先)に負担をかけるかどうか」という点にあります。
| 比較項目 | 事業者署名型(立会人型) ※クラウドサイン等 |
当事者型 |
| 主な利用者 | 一般的な民間企業、官公庁(一部) | 銀行間取引、極めて高額な契約 |
| 署名の主体 | サービス事業者が指示を受けて署名 | 本人が自身の「電子証明書」で署名 |
| 相手方の負担 | なし(メール受信のみでOK) | 大(専用ソフト導入・ID取得が必要) |
| 導入コスト | 低コスト(月額固定+送信料) | 高コスト(カード発行料等×人数分) |
| 導入スピード | 即日〜数日 | 数週間〜数ヶ月(証明書発行待ち) |
| 法的効力 | 法的効力が認められる(電子署名法3条Q&A準拠) | 非常に高い(実印相当) |
実務上、多くの企業が「事業者署名型(立会人型)」を選んでいるのが実情です。その理由を深掘りしていきましょう。
なお、先に電子契約の基本的なメリット(印紙税削減、業務効率化など)について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
決定的な5つの違い:「実務」で何が変わるのか?
「事業者署名型(立会人型)」と「当事者型」の違いは、単なる技術論ではありません。導入後の「契約締結率」や「リードタイム」に直結する重要な経営課題です。
1. 仕組みの違い:「誰」が署名を行うか
両者の違いは、電子署名を付与する「主体」が異なります。
- 事業者署名型(立会人型)
クラウドサインなどのサービス事業者が、契約当事者の「指示」に基づき、事業者の電子証明書を使って署名します。第三者(立会人)がプロセスを担保することからこう呼ばれます。 - 当事者型
契約当事者(自社・締結依頼側と取引先)が、それぞれの「電子証明書(実印の代わり)」を使って、自らファイルに署名します。
なお、用語についてより深く知りたい方は、「事業者署名型(立会人型)」という名称の由来や、電子契約の歴史的変遷について、以下の記事で解説しています。
2. 相手方の負担(※選定時の影響が大きい部分)
当事者型が普及しづらい大きな理由がここにあります。
当事者型で契約を結ぶ場合、取引先(相手方)にも電子証明書の取得を求める必要があります。
「契約を結びたいので、そちらで費用を負担して電子証明書(ICカード等)を取得し、専用ソフトをインストールしてください」
こうお願いして、すべての取引先が快く応じてくれる可能性はかなり低いといえるでしょう。
一方、事業者署名型(立会人型)であれば、相手方はアカウント登録も不要です。送られてきたメールのリンクをクリックし、内容を確認して同意ボタンを押すだけ。
この「相手への優しさ(負担のなさ)」こそが、事業者署名型(立会人型)がビジネス標準となった大きな要因です。
3. コストと導入スピード
導入コストにおいて最も注意すべき点は、「電子証明書」にかかる費用です。当事者型の場合、利用人数や取引先数に比例してコストが増加する傾向にありますが、立会人型はそのハードルを大幅に下げることができます。
- 事業者署名型(立会人型)
送信側(自社)にサービス利用料(月額固定費+送信ごとの従量課金)は発生しますが、電子証明書などの取得費用は不要です。もちろん、相手方の費用負担はゼロです。 - 当事者型
署名者一人ひとりに対して「電子証明書」の発行手数料(年間数千円〜数万円)がかかります。社内の署名権限者が増えるたび、あるいは取引先が増えるたびにコストと「発行待ち時間(数日)」が発生し、契約スピードを鈍化させます。
4. 本人確認のレベル
「メールだけで本当に本人確認ができるのか?」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、現在のビジネス実務においては、このメール認証が信頼性の基盤となっています。
- 事業者署名型(立会人型)
「メールアドレス認証」により本人性を担保します。当該メールアドレスの所有者しかアクセスできない固有のURLを発行することで、本人以外が署名できない仕組みを構築しています。さらに、必要に応じて「アクセスコード認証」(電話等で別途伝えたパスワードを入力させる仕組み)を併用することで、セキュリティをより強固にすることも可能です。 - 当事者型
認証局が、登記事項証明書や印鑑証明書などを厳格に審査して電子証明書を発行します。
なお、メール認証とアクセスコードの組み合わせによる安全性の仕組みについては、以下の記事で解説しています。
5. 法的効力(政府見解による裏付け)
かつては「当事者型でなければ法的効力(二段の推定)が及ばない」という解釈がありましたが、これは過去のものです。
2020年、総務省・法務省・経済産業省は「電子署名法第3条に関するQ&A」を公開し、メールアドレスの管理などの一定の条件を満たせば、事業者署名型(立会人型)でも法的な推定効(本人が契約したという強力な証拠力)が認められるとの見解を示しました。 これにより、法的リスクを懸念していた大手企業や金融機関でも、事業者署名型(立会人型)の導入が一気に進みました。
※個別の案件における証拠力は、最終的には裁判所の判断となります。
なお、事業者署名型(立会人型)が法的に有効な証拠力を持つ根拠について、法務的な観点から詳しく解説している記事もございますので、こちらもご覧ください。
出典:利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A (電子署名法第3条関係)
なぜ、日本のビジネスでは「事業者署名型(立会人型)(クラウドサイン)」が選ばれるのか?
現在、市場の主流は「事業者署名型(立会人型)」です。 デジタル庁が公開した資料『電子契約の普及状況等について』によれば、電子契約を導入済みの企業のうち、65%以上の企業が『事業者署名型(立会人型)』を利用しており、圧倒的な支持を得ています。(資料P9、電子契約を導入している256社のうち、立会人型システムを導入している社数が167社より算出)
なぜここまで支持されるのでしょうか?
理由1:ビジネスのスピードを止めないから
契約の目的は「合意すること」であり、「電子証明書を取得すること」ではありません。
事業者署名型(立会人型)なら、申し込みから数日程度で導入でき、契約書の送信から締結まで早ければ数分で完了します。月末の「締め」に間に合わせたい請求書や注文書、急ぎの秘密保持契約書(NDA)など、ビジネスのスピード感を損なわない最も合理的な選択肢です。
理由2:規制緩和により「例外」がほぼなくなったたから
以前は「建設業法」や「商業登記」など、特定の法律が絡む契約では当事者型(または書面)が必須とされていました。
しかし、政府の「脱ハンコ」推進により、これらの規制は劇的に緩和されました。
- 建設工事請負契約
グレーゾーン解消制度により、事業者署名型(立会人型)でも適法と確認済み。 - 商業登記
取締役会議事録などを、クラウドサインで署名して法務局へ提出可能に(法務省指定)。
参考:法務省:商業・法人登記のオンライン申請について、商業登記のオンライン申請時のポイント - クラウドサイン ヘルプセンター
このように、特殊な業界・用途であっても事業者署名型(立会人型)が利用できる環境が整っています。
なお、建設業法における「技術的基準」をクリアする条件については、以下の記事で解説しています。
それでも「当事者型」を選ぶべきケースとは?
では、当事者型は不要なのでしょうか?
実際には、そうではありません。以下の限られたケースでは、当事者型の利用が推奨されます。
- 組織の実印(代表者印)と同等の、極めて厳格な本人確認が必須となる場合
例:数億円規模の融資契約、M&A契約など、万が一のなりすましが経営に致命的な影響を及ぼすハイリスクな契約。 - 特定の公的機関との契約で指定がある場合
一部の電子入札システムなど、システム仕様としてICカード(電子証明書)が必須とされている場合。
しかし、これらはビジネス全体から見れば特殊なケースです。通常の売買契約、秘密保持契約(NDA)、雇用契約、発注書・請書といった日常的な企業活動の大部分は、利便性の高い「事業者署名型(立会人型)」で十分にカバー可能です。
また、事業者署名型(立会人型)でも、二要素認証(SMS認証など)を組み合わせることで、実務上のなりすましリスクは十分に低減できるという考え方も一般的になっているため、利用シーンによって適切な電子契約を選ぶのが良いでしょう。
なお、クラウドサインにログインする際に、従来のパスワードに加えてスマートフォンアプリで発行されたワンタイムパスワードを用いた2要素認証をご利用いただけます。万が一パスワードが第三者に悪用されたとしても不正使用を防ぐことができ、セキュリティが大幅に向上します。詳しくはこちらをご覧ください。
電子契約選びに迷ったら「事業者署名型(立会人型)」から
これから電子契約を導入するのであれば、まずは汎用性の高い「事業者署名型(立会人型)」でスモールスタートすることをお勧めします。
いきなり全社で「当事者型」を導入しようとすると、取引先への説明やカード配布などでプロジェクトが長期化しがちです。まずは「相手に負担をかけない」事業者署名型(立会人型)で実績を作り、契約締結のスピードアップを体感することが、電子契約定着への近道です。
最後に、自社がどちらを選ぶべきか迷った際の判断基準を整理しました。 以下のフローチャートに沿って確認してみてください。
30秒でわかる、タイプ別診断チャート
Q1. 契約相手(取引先)に、費用や手間の負担をかけたくないですか?
- はい ➡ Q2へ
- いいえ➡ Q4へ
Q2. 「今日〜明日中」に契約を締結したいですか?
- はい ➡ Q3へ
- いいえ➡ Q4へ
Q3. 取引先は不特定多数(個人事業主や一般消費者含む)ですか?
- はい ➡ 【事業者署名型(立会人型)(クラウドサイン等)】が最適
- いいえ ➡ どちらでも可(コストで比較を)
Q4. 1億円を超える融資契約や、特定の厳格な行政手続き用ですか?
- はい ➡ 【当事者型】の検討が必要です
- いいえ➡ 【事業者署名型(立会人型)(クラウドサイン等)】で問題ありません
クラウドサインは、日本の法律・商慣習に準拠した事業者署名型(立会人型)電子契約サービスのパイオニアとして、法務担当者の皆様が抱える不安を解消し、スムーズな契約DXを支援します。
「事業者署名型(立会人型)のメリットは理解できたが、実際に自社で運用できるかシミュレーションしたい」 「具体的な機能や料金体系、導入までのステップを知りたい」
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弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部

