反社(反社会的勢力)とは?定義・種類・反社チェックの方法から契約書による対策まで解説

取引先や新規株主、採用候補者などが「反社会的勢力(反社)」に該当しないかを確認することは、企業のコンプライアンス対応として欠かせません。しかし「反社会的勢力」という言葉には、実は法律上の明確な定義がないことをご存じでしょうか。
本記事では、反社会的勢力の定義や種類、見分け方といった基礎知識に加え、契約書でどのように対策すればよいのかを、法務・総務担当者の方向けに解説します。
なお、本記事の内容は、公表されている政府指針・警察庁資料等をもとに一般的な情報を整理したものです。個別の契約書対応や取引可否の判断にあたっては、必ず顧問弁護士や社内法務にご確認ください。
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<この記事のポイントまとめ>
- 法律上の定義がない反社の実態を正しく把握し、暴力団だけでなく暴力団関連企業(フロント企業)や匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)など多様な組織を広く警戒することが重要
- 巧妙な偽装により事前調査だけでは限界があるため、取引開始後も属性の変化を検知する定期的な再チェックを行うことが求められる
- 万が一の事態に備え、発覚時に催告なしで速やかに関係を解消できるよう、契約書に「反社条項」を明記して法的根拠を確保することが不可欠である
目次
反社(反社会的勢力)とは?
反社とは「反社会的勢力」の略語で、社会的な秩序やルールを無視し、暴力・威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人のことを指します。
実は、一口に「反社会的勢力」と言っても、その範囲を定めた単一の法律は存在しません。実務では、政府が示した指針と、各都道府県の条例という複数の枠組みを組み合わせて理解する必要があります。まずは、その全体像を整理します。
「反社会的勢力」に法律上の定義はない
前述の通り、「反社会的勢力」という言葉自体は、特定の法律で定義された用語ではありません。刑法や暴力団対策法(暴対法)にも「反社会的勢力」という文言そのものは登場せず、実務上の定義は主に2007年に政府が公表した指針と、各都道府県が制定した暴力団排除条例(暴排条例)によって形作られています。
そのため、「反社会的勢力」の範囲は、政府・警察庁・地方自治体それぞれの示し方によって多少の幅があります。この点を理解しておくと、後述する契約書対応の考え方も整理しやすくなります。
政府指針による定義
2007年に犯罪対策閣僚会議が公表した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」では、反社会的勢力を「暴力、威力、詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と位置づけています。
この指針のポイントは、反社会的勢力を組織の形態(暴力団かどうか)ではなく、その行動・実態に着目して捉えている点です。つまり、暴力団という肩書きがなくても、暴力的な要求や詐欺的な手法で利益を得ようとする者は、広く反社会的勢力に含まれ得るという考え方です。
警察庁・地方自治体(暴排条例)による定義の違い
警察庁は「暴力団排除条例(暴排)」の枠組みの中で、暴力団・暴力団関係者を中心とした整理を行っています。一方、各都道府県の暴排条例では、条例ごとに「暴力団員」「暴力団関係者」などの用語や範囲が定められており、自治体によって表現にばらつきがあります。
企業として押さえておくべきなのは、どの定義を採用するにせよ、暴力団そのものだけでなく、その周辺にいる個人・企業も対象に含まれるという点です。次章で、その具体的な種類を見ていきます。
反社会的勢力の種類
反社会的勢力というと「暴力団」をイメージする方が多いかもしれませんが、実際に企業が排除すべき対象はそれだけではありません。代表的な分類は以下のとおりです。
暴力団
暴力団対策法上の「指定暴力団」をはじめ、集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがある団体を指します。反社会的勢力の中核的な存在です。
暴力団準構成員
暴力団の構成員ではないものの、暴力団と関係を持ちながら暴力団の維持・運営に協力したり、資金や武器を提供したりする者を指します。名刺上は一般の会社員や自営業者であるケースも多く、外見だけでは判別が困難です。
暴力団関係企業(フロント企業)
暴力団が経営に関与し、資金獲得活動の拠点となっている企業です。一見すると通常の事業会社に見えるため、取引先としてもっとも見抜きにくい類型の一つとされています。
総会屋・社会運動標ぼうゴロ・政治活動標ぼうゴロ
株主総会での不当な発言や妨害を行う「総会屋」、社会運動や政治活動を装いながら不当な要求を行う「社会運動標ぼうゴロ」「政治活動標ぼうゴロ」も反社会的勢力に含まれます。
特殊知能暴力集団
暴力団の威力を背景としながら、企業活動を装って経済取引に介入し、不正な利益を得る集団です。近年問題となっている特殊詐欺やマネー・ローンダリングに関与するケースもあり、手口の巧妙化が指摘されています。
半グレ集団
暴力団に所属しない、しかし集団的に違法行為や不当な要求を行う準暴力団的な集団です。組織性が薄く暴力団対策法の直接的な規制対象になりにくいため、近年特に警戒が強まっている類型です。
匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)
SNS上の闇バイト募集等で結びついたメンバー同士が役割を細分化させ、その都度、メンバーを入れ替えながら、特殊詐欺をはじめとする犯罪を敢行している犯罪グループです。従来の暴力団のようなピラミッド型の組織とは異なり、流動的な組織として、近年社会問題化しています。
なぜ今、企業に反社対応が求められているのか
反社対応は目新しいテーマではありませんが、対応を怠った際のリスクは近年むしろ高まっています。その背景には、反社会的勢力側の変化と、企業に求められる社会的要請の両方があります。
巧妙化・偽装工作が進んでいる実態があるため
反社会的勢力は、暴力団を名乗って接近してくるとは限りません。一般の事業会社や個人を装い、素性を隠して取引を持ちかけてくるケースが増えているとされます。取引開始時点では反社と気づかず契約してしまい、後になって疑いが生じるという事例も少なくありません。
暴排条例による事業者の努力義務を求められているため
各都道府県の暴排条例(暴力団排除条例)は、事業者に対して「暴力団を利するような取引を行わないこと」「契約書に反社会的勢力を排除するための条項(反社条項)を定めること」などを努力義務として求めています(参考:東京都暴力団排除条例の概要)。
たとえば、警視庁の公式サイトにある「東京都暴力団排除条例 Q&A」のページでは、事業者が契約を締結する際に「契約の相手方が暴力団員であるか否かを必ず確認しなければならないのか?」という質問に対して、下記の回答を掲載しています。
条例では、事業者が事業に関して締結する契約が「暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認められる場合」に、契約の相手方が暴力団関係者でないかを確認するよう努める旨を定めています(第18条第1項)。
この規定については、努力義務規定であり、例えば、スーパーやコンビニで日用品を売買するなど、通常、一般的に取引の相手方について身分を確認しないような場合についてまで、あえて相手方の確認をするよう求めるものではありません。
※出典:「東京都暴力団排除条例 Q&A」
「暴力団排除条例(暴排条例)」は各都道府県で制定されているため、事業所の所在地で定められた条例を確認しておくとよいでしょう。
取引後に発覚した場合のレピュテーションリスクがあるため
反社会的勢力との取引が発覚した場合、直接的な罰則がなくても、報道等を通じて企業の信用が大きく損なわれるリスクがあります。「知らなかった」では済まされない社会的な要請がある以上、契約締結前後を通じた継続的な対応が必要です。
実務で陥りがちな「段階的解消」によるリスクがあるため
取引開始後に、相手方が反社会的勢力である、あるいはその濃厚な疑いがあると判明した際、実務上で特に犯しがちなのが「急に取引を切ると自社の事業や操業が一時的にストップしてしまうため、代替の取引先が見つかるまで数ヶ月間かけて段階的に取引を減らしていく」という妥協的判断です。
しかし、多くの都道府県の暴力団排除条例において、事業者が相手方の素性を知りながら(あるいは知り得る状況で)取引を継続し、商品やサービスの対価を支払う行為は、一律に利益供与として禁止されています。
代替先が見つかるまでの一時的な猶予期間のつもりであっても、その期間中の資金提供は暴排条例違反に該当し得ます。これが警察や行政に把握された場合、関係遮断の意思がない不健全な企業と判断され、指導や勧告、さらには企業名や代表者名の公表という深刻なペナルティを受けることになります。
関係の遮断は、疑義が発覚した瞬間に、即座かつ一括で行うのが実務上の原則です。そのためにも、不適切な関係が疑われた時点で無催告かつ直ちに解除を行える法的根拠を、契約書に落とし込んでおく必要があります。
採用候補者の反社チェックについて
新規取引先や株主と同様に、企業のガバナンスを守る上で、採用候補者の属性確認(雇用調査・バックグラウンドチェック)を行う企業が増えています。
しかし、採用活動における調査は、労働者の権利やプライバシーを保護するための個人情報保護法や職業安定法の規制を最も密接に受ける領域です。以下の適法な手順を遵守しなければ、かえって企業側が法令違反を問われるリスクがあります。
候補者本人から書面での同意を事前に取得する
本人の明確な同意がないまま、前職への照会(リファレンスチェック)を行ったり、外部の調査機関にバックグラウンド調査を依頼したりすることは、個人情報保護法第27条(第三者提供の制限)に抵触するおそれがあります。
無断での調査は、候補者との労働トラブルだけでなく、損害賠償請求やSNSでの炎上といったレピュテーションリスクを招きます。採用のエントリー時や選考の適切な段階で、調査を行う目的、範囲、委託先などを明記した書面で候補者本人の明確な同意を得る運用を徹底しましょう。
調査範囲は業務の目的達成に必要な範囲に限定する
職業安定法第5条の5に基づき、採用選考において収集する情報は「業務の目的達成に必要な範囲内」に厳しく制限されています。
厚生労働省の「公正な採用選考の基本」では、社会的差別の原因となるおそれのある事項(本籍地・出生地、家族の職業や資産状況、宗教、支持政党、思想信条など)について、情報を収集することを原則として禁止しています。
また、犯罪歴(犯罪の経歴)は個人情報保護法上の「要配慮個人情報」に該当し、本人の事前同意が法律上厳格に義務付けられています。これらプライバシーに関わるデリケートな項目を不当に調査することは避け、業務上必要な範囲に留めておく必要があります。
必ず内定を出す前に調査を完了させる
バックグラウンドチェックや反社チェックは、必ず「内定を出す前」に完了させなければなりません。
法務上、内定を出した時点で始期付解約権留保付の労働契約が成立したものとみなされます。内定を出した後に調査を行い、その結果のみを理由に内定を取り消す行為は、労働契約法第16条に基づく「解雇権濫用法理」の適用を受け、客観的に合理的な理由がない限り不当解雇として無効となる可能性が極めて高いためです。トラブルを未然に防ぐため、選考の最終段階(内定通知の前)までに確認を終えるスケジュールで設計しましょう。
反社会的勢力の見分け方・調べ方
取引先や契約相手が反社会的勢力に該当しないかを確認する「反社チェック」は、契約締結前に行うべき基本対応のひとつです。代表的な手法を整理すると、以下のとおりです。
| 手法 | 概要 | 向いている場面 |
| 新聞記事データベース の確認 |
過去の報道歴を検索し、事件・ 行政処分等の履歴がないかを 確認する |
新規取引先の基本的な スクリーニング |
| 登記情報の確認 | 商業登記簿・不動産登記簿から 役員構成や所在地の実態を確認 する |
実体のない企業(フロント企業) の見極め |
| 反社チェック専門データ ベース・調査会社の活用 |
調査会社が保有する独自の反社 情報データベースを用いて照会 する |
与信の重要度が高い取引、 株主・M&A候補先の調査 |
| 反社チェックツールの 活用 |
SaaS型の反社チェックツールに 企業名・代表者名を入力し、 複数の公開情報源を横断的かつ 自動でスクリーニングする |
日常的な取引先登録・ 与信申請時の一次 スクリーニング |
| 業種専門の団体や協会へ の確認 |
建設業・不動産業・金融業など、 業界ごとの団体や協会が保有する 情報・注意喚起リストを確認する |
業界特有のリスク (暴力団関係企業の参入等) が懸念される取引 |
| 行政処分・指名停止情報 の確認 |
官公庁が公表する指名停止措置や 行政処分の情報を確認する |
公共調達に関わる取引先、 入札参加事業者の確認 |
それぞれの手法について、もう少し詳しく見ていきます。
新聞記事データベースの確認
新聞・雑誌記事のデータベースサービスを使い、取引先の社名や役員名で過去の報道歴を検索します。事件性のある報道や行政処分歴が見つかった場合、取引の可否を慎重に判断する材料になります。ただし、報道されていない、あるいは社名を変更しているケースでは検知できない点に注意が必要です。
登記情報の確認
商業登記簿で役員構成や本店所在地、不動産登記簿で不動産の所有・担保設定状況を確認します。事業実態のないペーパーカンパニーや、頻繁に役員が入れ替わっている企業は、フロント企業の兆候として注意すべきポイントです。
反社チェック専門データベース・調査会社の活用
調査会社や信用調査機関が独自に収集・蓄積している反社情報データベースを利用する方法です。一般に公開されていない情報を含むため精度は高い一方、費用や調査期間がかかる点に注意が必要です。
反社チェックツールの活用
近年普及が進んでいるのが、SaaS型の反社チェックツールです。企業名や代表者名を入力するだけで、新聞記事・行政処分情報・インターネット上の公開情報などを横断的かつ自動でスクリーニングし、結果を記録として残せる点が特徴です。契約実務のフローに組み込みやすく、確認履歴を証跡として残せることも導入メリットのひとつです。
業種専門の団体や協会への確認
建設業、不動産業、金融業など、業界によっては業界団体や協会が独自に注意喚起情報や排除対象事業者に関する情報を会員向けに提供している場合があります。業界特有の手口や関係企業の実態を把握している場合があるため、汎用的なデータベースでは拾いきれない業界特有のリスクを補完する手段として有効です。
行政処分・指名停止情報の確認
官公庁や地方自治体が公表している指名停止措置や行政処分の情報を確認する方法です。特に公共調達に関わる取引先を確認する際には、必須の確認事項のひとつとされています。ただし、個人名・生年月日・住所を証明書等で本人に確認する必要や、会社の委任状をもってセンターを訪問して初めて情報開示が受けられるなどのハードルがある点に留意してください。
このように、反社チェック(コンプライアンスチェック)の方法は多岐に渡りますが、ひとつの手法だけに頼るのではなく、取引の重要度やリスクの大きさ、かけられる予算に応じて複数の手法を組み合わせるのが一般的です。
なお、反社チェックのより詳細な実務を知りたい方は、下記記事も参考にしてみてください。
反社チェックは一度で終わらせず、定期的に実施する
反社チェックは、契約締結前に一度実施すれば終わり、というものではありません。継続的な取引がある相手先については、定期的に情報を更新し、再チェックを行うことが望まれます。その理由は、主に次の3点です。
- 相手方の属性は後から変化し得るため:契約締結時点では問題がなくても、その後に経営陣が交代し、暴力団関係者が役員に就任するなど、属性が変化するケースがあります。
- 調査時点では判明していなかった情報が、後から明らかになることがあるため:報道や行政処分の情報は事後的に公表されることも多く、締結時のチェックでは検知できなかった事実が、時間の経過とともに明らかになる場合があります。
- 暴排条例が「関係を持ち続けないこと」も対象としているため:多くの暴排条例は、取引開始時点の確認だけでなく、取引開始後に相手方が反社会的勢力であると判明した場合に、速やかに関係を解消することも事業者に求めています。定期的な確認を行っていなければ、そもそも「判明」する機会自体を逃してしまいます。
再チェックの頻度は、取引先のリスクの大きさに応じて設定するのが現実的です。継続的な取引先については年1回程度の定期チェックを行う、あるいは反社チェックツールを用いて情報更新をリアルタイムに近い形で自動的に検知する、といった運用が考えられます。
反社チェックツールの導入を検討中の方は下記記事もご一読ください。
自社調査の限界を補う必要もある
反社会的勢力は素性を隠す手法が巧妙化しており、社内の調査だけでは限界があるのが実情です。取引規模や重要度に応じて、外部の反社チェックサービスや調査会社を併用する企業も増えています。
また、どれだけ入念に調査しても、取引開始後に相手方が反社会的勢力であると判明する可能性はゼロにはできません。だからこそ、次章で解説する「契約書における反社会的勢力への対策」が重要になります。
契約書における反社会的勢力への対策
事前の調査だけで反社会的勢力との取引を完全に防ぐことはできません。だからこそ、契約書の中に「万が一判明した場合の備え」を組み込んでおくことが重要になります。ここでは、その具体的な方法である反社条項(反社会的勢力排除条項)について解説します。
反社条項(暴排条項)とは
「反社会的勢力排除条項」、略して反社条項(暴排条項)とは、契約締結時に両当事者が「自らが反社会的勢力ではないこと」「暴力的な要求を行わないこと」などを相互に確約する条項です。
具体的には、契約書の「表明保証」や「解除」に関する条項の中に反社条項を設け、契約当事者双方が「自社(および役員)が暴力団等に該当しないこと」を表明・保証する形で規定するのが一般的です。
あわせて、この表明に反する事実が判明した場合には、相手方に催告することなく直ちに契約を解除できる旨を定めておきます。こうして条項を明文化しておくことで、契約締結後に取引先の反社該当性が疑われる事態が生じても、解除の可否をめぐって交渉が長引くリスクを抑えられ、取引関係を速やかに解消するための根拠として機能します。
反社条項がないことで生じるリスク
反社条項がなくとも、反社会的勢力からの不当要求に対しては警察への相談などの対処は可能です。しかし、取引開始後に相手方が反社会的勢力であると判明した場合、反社条項がなければ、債務不履行等を理由とした契約解除は簡単ではありません。反社条項を定めておくことで、相手方の属性が判明した時点で、催告なしに契約を解除できるようにしておくことが重要です。
反社条項に盛り込むべき基本項目
一般的な反社条項は、大きく分けて次の2つの要件で構成されます。
- 属性要件:契約当事者(および役員)が暴力団、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等のいずれにも該当しないことの確約
- 行為要件:暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求、取引に関して脅迫的な言動を行わないことの確約
これらのいずれかに反する事実が判明した場合に、無催告で契約を解除できる旨をあわせて定めるのが一般的です。
電子契約の活用から始める反社対策
反社会的勢力への対策は、「調べる」だけでなく「契約書に落とし込み、抜け漏れなく運用する」ところまでを含めてはじめて機能します。しかし実務では、以下のような課題が起こりがちです。
- 現場の担当者が法務のチェックを通さず、反社条項(暴排条項)の入っていない古いフォーマットや、独自にWord等で編集したひな形を勝手に使って契約を締結してしまう。
- 紙の契約書が社内のキャビネットや複数の拠点・部署に分散しているため、どの取引先と適切な反社条項(暴排条項)を結んでいるか、過去の契約状況を横断的に検索して確認することが困難。
そこで、電子契約を活用し、反社条項を含む契約書テンプレートをあらかじめ用意しておけば、担当者による差異が生まれにくくなります。また、契約書管理をシステム上でデジタル化・一元化することで、これらのガバナンス上の課題をスムーズに解決できます。
電子契約とは、紙の契約書と印鑑の代わりに、電子データ化した契約書に電子署名やタイムスタンプを付与して締結する方法です。電子契約サービスは、こうした契約書の作成・送信・署名・保管までを、クラウド上で一貫して行えるツールを指します。
クラウドサインを利用することで反社対策における以下のメリットがあります。
「テンプレート機能」による契約ひな形の統制が可能
電子契約サービス「クラウドサイン」に、最新の反社条項(属性要件・行為要件および無催告解除条項)が完備された契約書ひな形をテンプレートとして登録し、社内で共有します。これにより、担当者による「暴排条項の入れ忘れ」や「古いバージョンの使用」といったガバナンス上の見落としを防ぐことができます。
取引先管理や反社チェックツールとの外部連携(API連携)による効率化と体制の強化が可能
クラウドサインは、名刺情報管理の「Sansan」をはじめとする顧客管理・取引先管理システムや各種の反社チェックツールと柔軟にAPI連携が可能です。
これにより、「新規の取引先登録・名刺交換時の反社チェック」から「契約書の自動送付・締結、そして保管」にいたる一連のコンプライアンスプロセスを、同一のワークフローに乗せることができ、営業のスピードを損なうことなく反社チェック体制を構築できます。
契約書の作成から締結、保管までを一貫して電子化しておくことは、反社チェックを「その場限りの確認」で終わらせず、契約実務の中に組み込むための土台になります。
さらに、契約書は電子データとして一元管理されるため、必要な条項が入っているかどうかを後から検索・確認することも容易になります。
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企業のコンプライアンス対応において反社会的勢力(反社)への対策は欠かせません。反社には法律上の明確な定義がなく、暴力団だけでなくフロント企業や半グレ集団、トクリュウなど対象は多岐にわたります。また、手口も巧妙化しているため、事前の調査だけでリスクを完全にゼロにすることは困難です。
そのため、万が一取引開始後に相手方が反社であると判明した場合に備え、契約書に「反社条項(反社会的勢力排除条項)」を盛り込んでおくことが極めて重要です。これにより、不適切な関係が発覚した際、催告なしで速やかに契約を解除できる法的根拠を確保できます。
多数の取引先との契約において反社条項を網羅し、抜け漏れなく管理する場面では、「クラウドサイン」などの電子契約サービスを活用することで、契約書のフォーマット統一や一元管理を効率的に進められます。
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弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部
