【無料ひな形付き】解約合意書とは?書き方・例文・収入印紙の要否を弁護士が解説

取引先との契約を途中で終わらせることになり、次のような点で迷っていませんか。
- 口頭で合意すれば十分なのか
- 書面には何を書けばよいのか
- 収入印紙は必要なのか
契約を解約する際には「解約合意書」などの書面を締結するのが一般的です。契約を解約する旨や解約日、解約の効力、契約終了後の処理などを明確化して、当事者間のトラブルの防止を図りましょう。
本記事では解約合意書について、主な記載事項や作成時の注意点などを弁護士が解説します。また、弁護士監修の「解約合意書」ひな形(無料)もダウンロードいただけますので、今すぐ使えるひな形を探している方はぜひご入手ください。
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目次
解約合意書とは
「解約合意書」とは、契約を解約する際に当事者が作成・締結する書面です。契約を解約する旨や解約日、解約の効力、契約終了後の処理などを定めます。
解約合意書を作成する目的
解約合意書を作成するのは、契約を解約した事実とその条件を明確化するためです。
口頭でも契約を解約することはできますが、後に当事者の一方が「解約していない」と主張したり、解約後の処理について当事者間で争いが生じたりするリスクがあります。解約合意書が適切に作成されていれば、その存在や内容が解約に関する証拠となるため、当事者間でのトラブルを防ぐことができます。
解約と解除の違い
解約と同じく、契約関係を終了させる手続きとしては「解除」が挙げられます。
「解除」が認められているケースの代表例は、相手方が契約に違反した場合です。この場合は原則として「債務不履行解除」が認められます(民法541条・542条)。相手方は受領済みの金銭や引き渡された目的物を返還するなど、原状回復を行わなければなりません。
債務不履行解除については「解除」と呼ぶのが正式で、「解約」と呼ぶのは一般的ではありません。
他方で、次に挙げるケースについては、「解約」「解除」のいずれも用いられることがあります。
| 種類 | 内容 |
| ①合意解約(解除) |
当事者の合意によって契約を終了させること |
| ②中途解約(解除) |
契約によって認められた中途解約権(中途解除権)に基づき、当事者の一方が期間の途中で契約を終了させること |
|
③解除(解約)条項に基づく解除(解約) |
契約上の解除(解約)事由に該当したことを理由に、当事者の一方が契約を終了させること |
※③については実務上、「解除」と呼ばれることが多いように思われます。
これらの解約・解除は当事者の合意に基づくため、その効果も当事者の合意内容およびその解釈に従います。
解約合意書と契約解除通知書の違い
解約合意書は、当事者が合意によって契約を終了させる際に作成する書面です。解約合意書の作成者は、当事者全員となります。
これに対し、当事者が一方的に契約を終了させる際には、相手方に対して「契約解除通知書」などの書面を送付します。契約解除通知書については、下記の記事で解説しているのでご参照ください。
【例文あり】解約合意書の主な記載事項
解約合意書には、主に次の事項を記載します。
- 契約を解約する旨・解約日・解約の効力
- 契約終了後の処理
- 合意管轄
各事項につき、条文例を示しながら解説します。
契約を解約する旨・解約日・解約の効力
(例)
株式会社○○(以下「甲」という。)及び株式会社××(以下「乙」という。)は、甲乙間の〇年〇月〇日付「○○契約書」(その後の変更等を含み、以下「原契約」という。)の解約について、以下のとおり解約合意(以下「本合意」という。)を締結する。
第1条 (原契約の解約)
- 甲及び乙は、本合意の締結をもって、原契約を解約する。
- 前項に基づく解約の効力は、将来に向かってのみ生じるものとし、解約前に原契約に基づいて既に発生した債権債務その他の権利義務には何らの影響を及ぼさない。
まず、対象となる契約(=原契約)を解約する旨を明記します(1項)。原契約については、当事者・契約締結日・名称などによって特定しましょう(前文)。
解約日も明確に記載しましょう。上記の条文例では、本合意の締結をもって(つまり、解約合意書の締結日と同日付で)原契約を解約するものとしています(1項)。
解約の効力は、過去に契約に従って行われた行為に影響を及ぼさないようにするため、将来に向かってのみ生じると定めるのが一般的です(2項)。
契約終了後の処理
(例)
第2条 (原契約終了後の処理)
前条に基づく解約によって原契約が終了した後の処理は、原契約の定めに従う。原契約に定めがない事項については、甲乙間の合意によって別途定めるものとする。
解約によって原契約が終了した後の処理について定めます。
原契約において契約終了後の処理が適切に定められていれば、その定めに従うとすれば足ります。上記の条文例でも、原則として原契約の定めに従う旨を定めています。
ただし、契約終了後の処理が原契約で全く定められていない場合や、原契約に規定がない事項について処理が必要となる場合もあります。これらの場合には、当事者間において契約終了後の処理につき必要な事項を合意しなければなりません。
上記の条文例では、原契約に定めがない事項について具体的に定めず、甲乙間の合意によって別途定めるものとしています(後段)。これに対し、解約合意書において具体的な処理の内容を定めることも考えられます。
合意管轄
(例)
第3条 (合意管轄)
本合意に関連して紛争が発生し、訴訟の必要が生じた場合には、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
解約合意に関して当事者間で紛争が生じた場合に、訴訟を提起する裁判所を定めます。特段の事情がない限り、原契約に定められている専属的合意管轄裁判所と同じ裁判所を指定するのがよいでしょう。
【弁護士監修】解約合意書のひな形ダウンロード(無料)
解約合意書のひな形は、下記のリンクからダウンロードできます。原契約の定めや解約後に想定する処理の具体的内容などを踏まえて、適宜調整したうえでご利用ください。
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解約合意書を締結する際の2つのチェックポイント
解約合意書を締結する際には、特に次の各点についてよく確認してください。
- 解約日と解約前の権利義務の取扱いを明確に定める
- 解約後の未処理事項の取扱いを明確化する
解約日と解約前の権利義務の取扱いを明確に定める
契約がいつまで有効で、いつからその効力を失うのかを明確化することは、解約合意書を締結する際に最も重要な事項の一つです。「本合意の締結をもって」「●年●月●日の経過をもって」などと、解約日を明記しましょう。
また、解約前の段階ですでに発生している権利義務の取扱いも明確化しましょう。
混乱を防ぐため、すでに発生している権利義務については、解約によって影響が生じないものと定めるのが一般的です。特段の事情により、過去にさかのぼって権利義務を消滅または変更する場合は、その旨を具体的かつ明確な文言で定めましょう。
解約後の未処理事項の取扱いを明確化する
契約を解約した後も、商品の返還、代金の精算、貸与物の返却、秘密情報の廃棄など、対応を要する事項が残ることがあります。こうした未処理事項については、解約合意書の中で処理方法を明記するか、または別途当事者間で明確に合意しておくことが大切です。
解約合意書に収入印紙は必要?
解約合意書が契約の消滅の事実のみを証明するものであれば、収入印紙を貼る必要はありません。
ただし、解約に伴って原契約の内容を変更・補充したり、新たな権利義務を設定したりする場合には注意が必要です。
たとえば、解約に伴う金銭の精算によって実質的に契約金額が変更されるなど、単なる契約終了の確認にとどまらない内容を定めた場合であって、原契約が印紙税法上の課税文書(不動産売買契約書・金銭消費貸借契約書・工事請負契約書など)に当たるときは、印紙税法上の課税文書に該当する可能性があります。
収入印紙の貼付の要否は、原契約の種類や解約合意書の具体的な内容を踏まえて検討しなければなりません。
なお、解約合意書を電子契約によって締結する場合は、原契約の種類や解約合意の内容を問わず、収入印紙の貼付は不要です。
解約合意書は電子契約で締結できる?
解約合意書は、電子契約によって締結することもできます。「クラウドサイン」などの電子契約サービスを利用すると、合意締結をオンラインで完結でき、スピーディーに進行できるメリットがあります。
紙で解約合意書を締結する場合は、内容により収入印紙の貼付を要する場合がありますが、電子契約なら収入印紙の貼付は不要です。収入印紙との関係で解約合意書の内容を精査する手間が減るため、法務部門などの負担が小さくなります。
また、電子契約は検索がしやすく、システム上でスペースをとることなく管理できるなどのメリットもあります。契約業務の効率化を目指すなら、電子契約の導入は大きな効果を発揮するでしょう。
近年では電子契約を導入する企業が増えており、今後もその流れは続くと思われます。未導入の企業は、積極的に電子契約の導入をご検討ください。
解約合意書に関するよくある質問
Q1. 口頭やメールのやり取りだけでも解約の合意は成立しますか?
口頭やメールなどの方法によっても、当事者が合意すれば契約を解約することはできます。
ただし、口頭で解約を合意しただけでは、その合意が本当になされたのかどうかや、解約の条件などが不明確になりがちです。契約終了後の処理についても、口頭では必要な事項を適切に定めるのが難しいでしょう。
メールであれば記録が残るので、口頭のみで解約合意をするよりは良いと思われます。しかし、正式な解約合意書を締結する場合に比べると、解約の条件がきちんと話し合われないケースが多く見られるほか、メールを紛失してしまうなどのリスクも否定できません。
基本的には、契約を解約する際にはきちんと解約合意書を作成することをお勧めします。
Q2. 解約合意書に違約金の定めがある場合、収入印紙は必要ですか?
原契約に違約金の定めがあり、その内容を変更せずに解約合意書において確認するだけであれば、その記載によって解約合意書が印紙税法上の課税文書になることはありません。
これに対し、原契約が印紙税法上の課税文書であり、かつ原契約に定めがない違約金を解約合意書によって新たに定める場合は、重要な事項を変更するものとして解約合意書も課税文書に該当する可能性があります。
したがって、収入印紙の要否を判断するためには、原契約の種類や原契約における違約金条項の有無などを具体的に検討しなければなりません。
Q3. 電子契約で締結した解約合意書は、裁判(訴訟)になった際の証拠として有効ですか?
電子契約で締結した解約合意書も、訴訟において裁判所へ証拠として提出することができます。特に、当事者全員の電子署名が付された解約合意書は真正に成立したものと推定されるため(電子署名及び認証業務に関する法律3条)、訴訟においても高い証明力を有します。
まとめ
解約合意書は、当事者の合意によって契約を終了させる際に締結する書面です。契約を解約する旨、解約日、解約の効力、契約終了後の処理などを明確化し、当事者間の後日のトラブルを防ぐことを目的としています。
解約合意は口頭やメールによっても行うことができますが、合意の有無や内容などについて、当事者間で認識の齟齬が生じてしまうおそれがあります。契約を解約する際には、正式に解約合意書を作成することが望ましいです。
解約合意書は、電子契約によって作成・締結することもできます。特に当事者全員の電子署名が付された解約合意書は、署名・押印がなされた書面と同じく真正に成立したものと推定されるため、訴訟などにおいても高い証明力を有します。
内容を問わず収入印紙の貼付を要しない点や、契約ファイルの管理がしやすく業務の効率化に繋がる点なども、電子契約のメリットといえます。未導入の企業は、電子契約の導入を積極的にご検討ください。
なお、クラウドサインは、法的な信頼性を保ちながら契約業務を電子化できる電子契約サービスです。資料のダウンロードや無料相談から、お気軽にご検討ください。
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ダウンロードする(無料)この記事を書いたライター
阿部 由羅
弁護士
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。
