電子署名を無料で利用するには?無料ツールの比較と法的リスク・注意点を解説

契約書や各種手続きのペーパーレス化が進む中、「コストをかけずに無料で電子署名を行いたい」と考える企業や個人事業主は少なくありません。
本記事では、最新情報に基づき、無料で電子署名を行う具体的な方法や手順、主要ツールの比較、ビジネスで利用する際のリスクや注意点について事実に基づき客観的に解説します。
【本記事のまとめ】
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目次
電子署名を無料で行う3つの方法と「無料の範囲」
無料で電子署名を行うには、クラウド型サービス、Adobe Acrobat Reader、Microsoft Officeの3つの手段があります。
電子署名を無料で付与するアプローチは、システムの仕組みや使用するツールによって大きく3つに分類されます。それぞれの特徴と、無料で利用できる範囲について解説します。
電子署名の仕組みについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
① クラウド型の電子契約サービス(業務利用に向いているもの)
クラウド型の電子契約サービスはインターネットブラウザ上で契約書のアップロードから電子署名、保管までを完結できるのが特徴です。事業者側が署名鍵や電子証明書などのシステムを担保しているため、送信側だけでなく、受信側(取引先)も事前に特別なソフトをインストールしたりデジタルIDを取得したりする必要がありません。業務における契約締結の効率化を目的とする場合、最も一般的に普及している手法です。
業務利用、特に契約などの重要な書類に電子署名を行うのであれば、クラウドサインをはじめとした「クラウド型の電子契約サービス」が提供している無料プラン(フリープラン)を利用する方法が向いています。
その理由は、法的な証拠力を担保しやすい点にあります。事業者署名型の電子契約は、2020年に政府(総務省・法務省・経済産業省)が公表したQ&Aで、一定の要件を満たせば紙の押印と同等の法的効力(真正成立の推定)が認められることが確認されています。
さらに、サービスによっては無料プランでも認定タイムスタンプや合意締結証明書が付与され、「いつ・誰が・どの書類に合意したか」を客観的に記録として残せるため、改ざんや契約の成立を後から争われた場合の備えにもなります。手書きサインの画像を貼り付けるだけの方法(電子サイン)と比べて、本人性・非改ざん性を客観的に示しやすいことが、契約などの重要書類に向いている理由です。
たえばクラウドサインの場合、無料のフリープランでも、送信したすべての書類に総務大臣認定のタイムスタンプが標準で付与され、契約締結時には「いつ・誰が・どの書類に合意したか」を記録した「合意締結証明書」が自動で発行されます。無料の範囲でも、本人性・非改ざん性を客観的に示せる点が特徴です。
② Adobe Acrobat Reader(PDFソフト)
Adobe社が無料で提供しているPDF閲覧ソフト「Adobe Acrobat Reader」の「入力と署名」機能を利用する方法です。手元にあるPDFファイルに対して、手書きサインや氏名のテキストを画像として配置し、自分の署名を付与できます。
日常的にPDFの閲覧に利用している端末であれば、新たなシステムを導入することなく署名プロセスを完結できる点がメリットです。ただし、無料版で利用できるのは原則として「自分で署名する」機能に限られ、取引先など相手方に署名を依頼する機能(電子サインの依頼)は、有料のAdobe Acrobat Standard/Proで提供されています。
また注意点として、「入力と署名」で付与されるのはサイン画像の貼り付け(いわゆる電子サイン)であり、電子証明書や暗号技術を用いて本人性・非改ざん性を担保する「電子署名(電子署名法第2条に定義されるもの)」とは技術的に異なります。社内確認や簡易な同意には便利ですが、契約の証拠力を重視する場面には向きません。
③ Microsoft Word / Excel(Office製品)
Microsoft WordやExcelなどのOffice製品に標準搭載されている「デジタル署名」機能を利用する方法です。作成した文書ファイル(.docxや.xlsxなど)の改ざんを防止するために、文書内に署名欄の形でデジタル署名を付与できます。
主に社内の決裁文書や、特定の取引先との間でOfficeファイルのまま文書をやり取りする際に活用されます。利用には別途、本人を証明するための「デジタルID(電子証明書)」が必要となる場合があります。
主要な無料電子署名方法の比較一覧
| ① 電子契約サービスのフリープラン | ② Adobe Acrobat Reader | ③ Microsoft Word / Excel | |
| 主な用途 | 外部取引先と締結する電子契約 | PDFへの自己署名(電子サイン) | Officeファイルの改ざん防止・承認 |
| 相手方の準備 | 不要(メールとブラウザのみ) | 署名依頼機能は有料版が必要 | 同一ソフトおよび対応環境が必要 |
| タイムスタンプ | サービスにより標準対応(※) | 無料機能では付与されない | 標準設定では付与されない |
| 電子帳簿保存法 | 真実性の確保には対応可能。 検索要件は別途運用が必要な場合が多い |
原則として単体での要件充足は困難 | 原則として単体での要件充足は困難 |
(※クラウドサインのフリープランなど、一部の信頼性の高いサービスでは無料プランでもタイムスタンプが付与されます。電子帳簿保存法への対応範囲はサービス・プランごとに異なるため、後述の注意点もあわせてご確認ください。)
無料(フリープラン)で電子署名を始める流れ
無料で電子署名を始める方法のうち、ビジネスで最も手間が少ないのは、クラウドサインをはじめとした「クラウド型電子契約サービス」のフリープランです。ブラウザ上で完結し、相手側にアカウント登録やソフトの準備を求めないため、無料の範囲でも取引先との契約締結までを試せます。ここでは、フリープランで書類を送信する一般的な流れを紹介します。
クラウドサインフリープランのお申し込みはこちら
【フリープランで送信する流れ】
1. 契約を締結したいPDFファイルを、サービス上にアップロードする
2. 書類上に署名欄・押印欄を配置する
3. 相手のメールアドレスを入力して送信する(相手に確認依頼のメールが届きます)
4. 相手がメール内のリンクから内容を確認し、同意手続きを完了すると締結が完了する
クラウド型サービスでは、送信した書類に相手が同意した時点で、サービス側が自動で電子署名を付与し、契約が締結されます(事業者署名型)。そのため、利用者自身が署名鍵を用意して署名操作を行う必要はなく、負担も少なく利用できます。手元で署名操作を行うAdobe・Officeとは、この点が大きく異なります。
なお、Adobe AcrobatやWord・Excelといったツールを使って電子署名を付与する具体的な操作手順(画面付き)は、ツールごとに手順が異なります。詳しくは以下の記事で解説していますので、操作方法を知りたい方はあわせてご確認ください。
無料の電子署名ツール・フリープランの比較
主要サービスの無料プランを比較すると、月間の送信件数制限や付随する証明機能の有無に違いがあります。
「電子署名 無料」のニーズに応える主要なシステムやツールの提供条件を比較します。各提供元は、自社の有料プランを検討してもらうための評価(トライアル)目的、または小規模利用向けとして無料の範囲を定めています。
主要電子契約サービス・ツールの無料プラン比較表
| 月間送信件数 | ユーザー数制限 | タイムスタンプ | 特徴・法的証拠力の補完 | |
| クラウドサイン (フリープラン) |
月2件まで | 1名 | 標準対応 | 弁護士ドットコム発行の「合意締結証明書」が付属 |
| Adobe Acrobat (無料機能) |
自己署名のみ (署名依頼は有料) |
1名 (自身のみ) |
付与されない | 主に個人のPDF確認や簡易サイン向け |
| 他社クラウド電子契約A | 月数件程度の上限 が一般的 |
1名〜数名 | サービスによる | 送信上限を超えると自動的に制限または移行案内 |
(※Adobe Acrobat Readerの無料機能の対応範囲は変更される場合があります。最新情報はAdobe公式サイトをご確認ください。)
客観的に比較すると、クラウド型のフリープランは「月に送信できる件数」に明確な上限が設けられていることが一般的です。その中で、署名の信頼性を担保する技術であるタイムスタンプが無料で含まれているかどうかが、選定における重要な事実上の分岐点となります。
ビジネスで「無料の電子署名」を使う際の法的リスクと注意点
無料ツールを業務に使う際は、件数制限、タイムスタンプの有無、電帳法対応、取引先への信頼性に注意が必要です。
個人間の同意や社内のメモ書き程度であれば無料ツールで十分なケースも多いですが、外部の取引先と交わす商取引や契約業務においては、無料ツール特有の制約がビジネス上のリスクにつながる場合があります。
① 月間の送信件数や利用人数に制限がある
多くのクラウド型電子契約サービスのフリープランでは、1か月に送信できる書類の件数が月数件までと、非常に少なく制限されています。突発的に契約件数が増えた場合に対応できなくなったり、翌月まで送信を待たなければならなくなったりするなど、ビジネス上の機会損失リスクがあります。また、利用できるアカウント(ユーザー数)が1名に限られることが多く、不正防止のための組織内でのダブルチェックや上長承認といったワークフローをシステム上で組むことが困難です。
② タイムスタンプ未対応による「改ざんリスク」
無料のPDF編集ソフトや一部の海外製ツールの中には、標準の無料機能だけでは「認定タイムスタンプ」が付与されないものがあります。タイムスタンプは、「その時刻にその文書が存在していたこと」および「それ以降に文書が改ざんされていないこと」を技術的に証明するものです。これが付与されない場合、後から契約内容の改ざんを疑われた際に、その文書が真正なものであることを客観的に証明することが難しくなります。
③ 電子帳簿保存法(電帳法)の要件を満たせないリスク
税務関係の書類や契約書を電子データとして保存する場合、電子帳簿保存法に定められた要件を満たす必要があります。
要件は大きく2つに分かれます。1つめは「真実性の確保」で、タイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残るシステムでの保存、あるいは改ざん防止のための事務処理規程の運用などの措置が必要です。2つめは「検索機能の確保」で、税務調査時に「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できる状態にしておくことが求められます。
単にPDFに無料機能でサインをしてローカルのフォルダに保存するだけの手法では、これらの法的要件を単体でクリアすることが難しく、ファイル名の規則化(例:「20260605_110000_株式会社〇〇」のように日付・金額・取引先を入れる)や、Excel等での索引簿(台帳)作成といった手作業での運用が別途必要になります。
④ 契約相手(取引先)に負担や不安を与える可能性
法的な信頼性を確認できないフリーソフトを使用して契約締結を求めると、受け取った取引先側が「このリンクを開いても安全か」「この署名方法で自社の法務基準をクリアできるか」と不安を抱く原因になります。
また、相手側にも特定のソフトウェアのインストールや設定を要求する仕組みの場合、相手方に対応の負担をかけることになり、企業としての信用や取引の円滑さに影響を及ぼす可能性があります。
法的証拠力(タイムスタンプ)を備えたクラウドサイン「フリープラン」の活用法
ビジネス利用におけるリスクを抑えつつ、コストをかけずに電子署名を利用したい場合、国内シェアNo.1(※1)のクラウド型電子契約サービスである「クラウドサイン」のフリープランを選択肢に入れてみてください。
クラウドサインのフリープランが選ばれる理由
- 認定タイムスタンプを標準装備:
クラウドサインでは、無料のフリープランであっても、送信されるすべての書類に総務大臣認定のタイムスタンプ事業者による認定タイムスタンプが標準で付与されます。これにより、改ざん防止とデータの真正性が担保されます。 - 「合意締結証明書」の発行:
契約が締結されると、弁護士ドットコム株式会社名義で、いつ、誰が、どの書類に合意したのかを客観的に記録した「合意締結証明書」がPDFとともに自動発行されます。 - 相手方の負担がゼロ:
契約の受信者は、アカウント登録やソフトのダウンロードを一切行う必要がありません。届いたメールのURLをクリックし、ブラウザ上で内容を確認して同意ボタンを押すだけで手続きが完了します。
詳細な機能やセキュリティ体制については、クラウドサイン公式の料金・プランをご確認ください。
電子帳簿保存法への対応に関する注意点
クラウドサインのフリープランは、タイムスタンプの付与により電子帳簿保存法の「真実性の確保」に対応していますが、同法が求める「検索機能の確保」(取引年月日・取引金額・取引先による検索)をクラウドサインのシステム内で満たすには、有料プランで提供される書類情報の詳細検索機能が必要です。
フリープランで電子帳簿保存法に対応する場合は、ファイル名への情報入力や別途Excel等での索引簿作成といった運用上の対応が必要となります。詳しく知りたい方は下記ヘルプページもご確認ください。
クラウドサイン受信時の書類の保存に関して(電子帳簿保存法改正への対応)
有料プランとの違いと移行の検討をするべきタイミング
クラウドサインのフリープランは、初期費用・月額費用ともに完全無料で利用を継続できますが、以下の制限があります。
- 送信件数:月2件まで
- ユーザー数:1名のみ
【有料プランへ移行を検討するべき目安】
- 契約件数が上限を超える場合:
毎月の契約書や発注書の送信件数が3件以上になる見込みが立ったとき。 - 組織での運用を検討する場合:
メンバーが送受信した書類の内容や進捗を法務スタッフや上長で確認できるようにしたいとき。 - 高度な管理の必要性を感じた場合:
過去の契約書を「取引先ごと」「有効期限ごと」にシステム上で自動アラート管理したり、社内システムとAPI連携させたりしたいとき。 - 電帳法対応の自動化・効率化を行いたい場合:
フリープランでは金額や日付による詳細検索が制限されているため、電帳法の検索要件を満たすには別途Excel等での台帳管理が必要です。有料プランを利用することで、手作業を排除し、システム内だけでスムーズに電帳法に対応した管理を行いたいとき。 - あらゆる書類(他社製・機密書類など)の一元管理を行いたい場合:
自社で送信した書類だけでなく、他社から受信した「機密書類(一部の低価格プラン等では検索・閲覧対象外となる書類)」や、過去に紙で締結した契約書なども含めてクラウドサイン上で一元管理・検索できるようにしたいとき。
有料プランへの移行後は、送信件数やユーザー数の制限がなくなり、ビジネスの拡大に合わせた本格的な内部統制が可能になります。プランやサービスにより、機能や対応できる範囲は異なりますので、お気軽にお問い合わせください。
フリープラン利用中は最低限のクラウドサインの動作を確認する「お試し期間」としてご利用いただき、電子契約の活用イメージがついてきたタイミングで有料プランをご検討ください。
【Q&A】無料の電子署名に関するよくある質問
ここでは無料の電子署名に関してよくある質問として、裁判での有効性、有料プラン移行後のデータ閲覧、署名の保管方法について解説します。
Q. 無料の電子署名ツールで結んだ契約は、裁判で証拠になりますか?
A. 使用するツールの技術的仕様によります。 日本の法律上、原則として契約は口頭でも成立するため無料ツールでも契約自体は有効ですが、裁判で争いになった際の「証拠力」には差が出ます。
単にPDFに手書き風の画像を貼り付けただけの簡易的な無料署名では、「本当に本人がその意思で署名したか(本人性)」や「後から書き換えられていないか(非改ざん性)」を客観的に証明することが難しく、成立の真正を立証するハードルが高くなるリスクがあります。裁判での証拠力を担保するには、無料であってもタイムスタンプや第三者機関による認証ログが残るサービスを選ぶ必要があります。
Q. 無料プランで締結した契約書は、有料プランに移行した後も閲覧できますか?
A. クラウドサインでは、そのまま引き継がれて閲覧可能です。フリープランのアカウントをそのまま有料プランへアップグレードする形をとれば、過去に無料で締結・保管していた書類データが消えることはありません。有料プラン移行後も、過去のデータをそのままシステム上で検索・管理することができます。(他社サービスの仕様は各社の公式情報をご確認ください。)
Q. 電子署名が付与されたPDFはどのようにその有効性を確認できますか?
A. 電子署名は契約書の見えるところではなく、デジタルデータ(暗号化されたメタデータ)としてPDFファイル自体に埋め込まれています。 電子署名は、紙の契約書におけるハンコや手書きの名前(サイン)など目に見える印影そのものに意味があるのではなく、PDFの内部にいつ、誰が、何を契約したのかをデータとして記録されていること(簡単に改ざんができないこと)に意味があるものです。
電子署名された内容を確認したい、有効性を確認したい場合は、締結済みのPDFを「Adobe Acrobat Reader」などで開き、「署名パネル」を確認することで、署名が有効であるか、認証局がどこであるか、タイムスタンプがいつ押されたかといった詳細な情報をいつでも検証することができます。クラウドサイン上での確認方法はこちらをご確認ください。
まとめ
無料で電子署名を行うことは十分に可能であり、個人利用やビジネスの立ち上げ初期における試験導入(トライアル)としては非常に有効な手段です。無料のPDFソフトやOfficeの標準機能、クラウド型サービスのフリープランなど、用途に合わせて適切な方法を選ぶことができます。
しかし、商業取引や企業間の契約として利用する場合には、送信件数の上限だけでなく、「タイムスタンプによる改ざん防止がなされているか」「電子帳簿保存法の要件をクリアできるか」というコンプライアンスの視点が重要です。
自社のビジネス規模や取引先との関係性を考慮し、まずは安全性が担保されたクラウドサインのフリープランなどの無料プランからスタートし、件数や管理コストの増加に合わせて有料プランへと段階的にステップアップしていく運用を検討してみてください。
クラウドサインのサービスについて詳しく知りたい方はこちらからダウンロードしてご活用ください。
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