請負契約書に収入印紙は必要?課税文書の判断基準や必要金額を解説
請負(うけおい)契約とは、業務委託契約の一種で、請負人は何らかの成果物の完成などを目的として、依頼人は納品された成果物に問題がなければ報酬を支払うという契約のことです。
請負契約書は、法律上で「課税文書」として分類されており、収入印紙が必要とされる文書のひとつです。必要な収入印紙の金額は内容によって異なるため、いくらの収入印紙が必要なのか判断が難しい場合もあります。
当記事では、請負契約で収入印紙が必要な理由や法的根拠、金額の決定方法について詳しく解説します。収入印紙に関する不安を解消し、スムーズに契約手続きを進めましょう。
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結論から述べると、契約金額が1万円を超える請負契約書には収入印紙を貼る必要があります。請負契約書は、印紙税法で収入印紙が必要な「課税文書」として分類されており、収入印紙が必要とされる文書のひとつであるためです。
国税庁の公式サイト「No.7102 請負に関する契約書」にも記載がある通り、請負についての契約書は、印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」に該当します。
請負とは当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約をいいます。請負には建設工事のように有形的なもののほか、警備、機械保守、清掃などの役務の提供のように無形的な結果を目的とするものも含まれます。

請負契約の代表例としては工事請負契約書が挙げられる
請負契約書について詳しく知りたい方は下記記事も参考にしてみてください。
収入印紙が必要な請負契約書の判断基準
請負契約書に収入印紙が必要かどうかの判断基準は、契約書に記載された契約金額にあります。
契約金額が1万円を超える場合には、請負契約書は印紙税の課税対象となるため、収入印紙が必要です。具体的には、金額の大小に応じて異なる額面の収入印紙を貼付することが求められます。
例えば、小額の契約では200円の印紙が必要になることが多いですが、高額の契約においては何千円もの印紙代が課されることもあります。
一方で、収入印紙が不要な請負契約書も存在します。代表的なものとしては、契約金額が1万円以下のものが挙げられます。
また、契約内容が業務委託に近しいものである場合、請負ではなく委任契約(または準委任契約)として扱われることがあり、この場合は収入印紙は不要です。
ただし、委任契約でも次の場合は印紙税法上の課税文書に該当する可能性があるため、その場合には収入印紙を貼り付ける必要があります。
- 知的財産権などの無体財産権の譲渡に関する内容が含まれている場合(印紙税法上の第1号文書)
- 継続的な委任関係を定める契約書(印紙税法上の第7号文書)に該当する場合
収入印紙が必要かどうかの判断に迷った場合は、弁護士や税理士、または国税庁の「税についての相談窓口」から電話相談やメール相談、チャットボットなどの希望の方法を選び、各窓口に問い合わせるのがよいでしょう。
請負契約書に貼る収入印紙の金額表
請負契約における収入印紙の金額は国税庁の公式サイトにある「印紙税額の一覧表(第1号文書から第20号文書まで)」から確認できます。
請負契約書はこの一覧表の「第2号文書」に該当し、契約書の例としては工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書などが挙げられます。
収入印紙の金額(印紙税額)は請負契約書に記載された契約金額に応じて金額が変わります。具体的には下表の通りです。
記載された契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え 200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え 300万円以下のもの | 1千円 |
300万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
出典:「印紙税額一覧表|国税庁」
たとえば、契約金額が1万円以上100万円未満の請負契約書には200円の収入印紙を貼り付ける必要があります。100万円以上500万円未満になると、1000円の収入印紙を求められるなど、段階的に税額が設定されています。
なお、請負契約書に契約金額の記載のないものの印紙税額は200円となります。
また、建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成される契約書で、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成されたものの場合には、記載された契約金額に応じ、下表のとおり印紙税額が軽減される措置が講じられています。
記載された契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
200万円以下のもの | 200円 |
200万円を超え 300万円以下のもの | 500円 |
300万円を超え 500万円以下のもの | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下のもの | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 16万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 32万円 |
50億円を超えるもの | 48万円 |
出典:「印紙税額一覧表|国税庁」
正確な収入印紙の金額を知るためには、現在の法令に基づく印紙税額を確認する必要があるため、最新の情報を知りたい場合には国税庁のサイトにある「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」を確認するのがよいでしょう。
請負契約書への収入印紙の貼り方
収入印紙は、契約書の表紙左上または署名欄が記載されているページの隅に貼るのが一般的です。契約書が閉じられた際にも印紙が確認しやすく、かつ印紙税の納付が視覚的に明確であることが求められるからです。

収入印紙が必要な場合は貼り方も確認しておく
注意点として、収入印紙を貼った後は、必ず消印を行なう必要があります。消印は、収入印紙と契約書の両方にまたがるように判子で押印するか、ボールペンで線を引くことで行ないます。これにより、印紙が再利用されることを防ぐだけでなく、印紙税が既に納付された事実を証明することができます。
収入印紙を適切に貼ることで、契約者間のトラブル防止や法令遵守につながります。貼り方ひとつで契約書全体の信頼性が左右されるため、契約書に収入印紙を貼り付ける際には慎重に対応しましょう。
請負契約書に収入印紙を貼り忘れた場合の罰則と対処法
収入印紙を請負契約書に貼り忘れた場合、法的に定められた罰則が課されます。主な罰則として、通常の印紙税に加え、未納税額の倍額が「過怠税」として追徴されることがあります(参考:「印紙を貼り付けなかった場合の過怠税|国税庁」)。
一般的には、納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち印紙税額の3倍)に相当する過怠税を徴収されることになります。
また、貼り付けた印紙を所定の方法によって消さなかった場合には、消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収されることになります。貼り忘れが発覚した場合には、できるだけ早く税務署に連絡し、所定の手続きに従って申告と納付を行なうことが重要です。
収入印紙の貼り忘れを防ぐために、契約書を作成する際には、収入印紙の要否を確認するためのチェックリストを用意するのがよいでしょう。
チェックリストには、契約の金額や内容に応じて適切な印紙税額を確認するステップを含めると効果的です。契約書を作成したら、署名捺印前に必ず印紙の貼付を確認する手順を設けることで、貼り忘れを未然に防ぐことができます。
電子契約サービスで締結した場合は収入印紙が不要になる
契約締結業務をオンライン上で完結できる「電子契約サービス」を利用する場合には、収入印紙の貼付は不要になります。印紙税において課税文書の作成は用紙への記載によるものと定義されており、電子契約書に対しては印紙税はかからないためです。
電子契約サービスとは、インターネットなどの情報通信技術を利用し、電子ファイルに対して電子データ(電子署名・タイムスタンプなど)を記録して締結する契約を可能にするサービスのことです。

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弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部
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