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契約実務

準委任契約と請負契約の違いとは?委任・業務委託との違いや見分け方も解説

準委任契約と請負契約は、どちらも業務委託契約の一種ですが、契約の目的と責任の範囲が異なります。準委任契約は業務の遂行そのものを目的とし、請負契約は仕事の完成(成果物の納品)を目的とします。

この違いを取り違えると、責任範囲の不一致や報酬・解除をめぐるトラブルにつながります

本記事では、準委任契約と請負契約の違いを6つの観点で比較し、両者の見分け方、さらに業務委託契約における準委任・請負・委任の違いまでをわかりやすく解説します。

なお、「準委任業務委託契約書」ひな形を以下より無料でダウンロードが可能です。Word形式ですぐに使えます。記載事項や書き方は「準委任契約書の書き方と記載事項を解説」記事で詳しく解説しています。

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準委任契約とは?請負契約とは?

まず、それぞれの契約がどのようなものかを整理します。準委任契約・請負契約・委任契約は、いずれも「業務委託契約」と呼ばれる契約の一種です。その関係は次のとおりです。

業務委託契約と請負契約・委任契約・準委任契約の関係

目的 代表例
請負契約 仕事の完成・成果物の納品 建築工事、ソフトウェア開発
委任契約 法律行為の委託 弁護士・税理士など専門家への委託
準委任契約 法律行為以外の事務の遂行 運用保守、コンサルティング

準委任契約とは

準委任契約は法律行為以外の業務(事務)の遂行を委託する契約です。民法656条で定められ、委任契約(民法643条以下)の規定が準用されます。成果物の完成は求められず、受託者は善管注意義務(民法644条)を負って業務を遂行します。システムの運用・保守、コンサルティング、業務の一部委託などで使われます。

請負契約とは

請負契約は仕事の完成を目的とする契約です(民法632条)。受託者(請負人)は成果物を完成・納品する義務を負い、完成物に不備があれば契約不適合責任を負います。建築工事、ソフトウェア開発、製品製造などが典型です。

委任契約と準委任契約の違いを詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

準委任契約と請負契約の違い【一覧表】

準委任契約と請負契約の違いを、6つの観点で整理すると次のとおりです。

準委任契約 請負契約
目的 業務の遂行 仕事の完成・成果物の納品
成果物の有無 不要(業務の遂行を重視) 必要(完成が契約の中心)
責任範囲 善管注意義務を負う(完成責任なし) 完成責任+契約不適合責任を負う
報酬の支払時期 業務の遂行に応じて(履行割合型)
/成果に対して(成果完成型)
成果物の完成・引渡し後
契約解除 各当事者がいつでも可
(不利な時期は損害賠償)
注文者は完成前ならいつでも可(要損害賠償)
/請負人からは原則不可
再委託 原則として委託者の許諾が必要 原則として可能
収入印紙 原則不要
(第7号文書に該当する場合は必要)
必要(第2号文書)

以下、主要な観点を補足します。

成果物の有無

準委任契約では、業務そのものが重視され、形に残る成果がなくても契約は履行されたと見なされます。請負契約では、成果物の完成が契約履行の証明となります。

責任範囲

準委任契約の受託者は善管注意義務(必要な注意を払って業務を行う義務)を負いますが、成果物への責任は負いません。請負契約では、完成物に不備があれば請負人が契約不適合責任を負います

報酬の支払時期

準委任契約は、業務の遂行に応じて支払う「履行割合型」と、成果に対して支払う「成果完成型」があります(2020年の民法改正で第648条の2として明文化)。請負契約は、成果物の完成・引渡し後に支払うのが原則です。

契約解除

準委任契約は各当事者がいつでも解除できます民法651条)。ただし相手方に不利な時期の解除などでは損害賠償が必要になる場合があります。請負契約では、注文者は仕事が完成する前であれば、いつでも損害を賠償して契約を解除できます。なお、既に完了した部分が注文者に利益をもたらす場合は、その割合に応じた報酬を支払う必要があります。一方で、請負人(受託者)側からの勝手な解除は原則として認められていません。

再委託

準委任契約は信頼関係に基づくため、原則として委託者の許諾を得なければ再委託できません(民法644条の2)。請負契約は仕事の完成が目的のため、原則として再委託が可能です。

収入印紙

請負契約書は印紙税法の第2号文書にあたり、収入印紙が必要です。一方、準委任契約書は原則として課税文書に該当せず、収入印紙は不要です。ただし、営業者間で3ヶ月以上にわたり継続して業務を委託する際の「基本契約書」に該当する場合は、印紙税法の第7号文書として4,000円の収入印紙が必要になることがあります。

参考:No.7104 継続的取引の基本となる契約書

なお、電子契約で締結した場合は、どちらも収入印紙はかかりません詳しくは以下の記事をご覧ください。

準委任と請負の見分け方

実務で迷ったときの判断軸はシンプルで、「成果物の完成を求める契約かどうか」です。

  • 成果物の完成・納品を目的とし、その品質に責任を負わせたい
    請負契約
  • 業務の遂行そのものを目的とし、成果物の完成までは求めない
    準委任契約

たとえば「Webサイトを完成させて納品する」なら請負、「サイトの運用・保守を継続的に行う」なら準委任が適しています。同じプロジェクトでも、開発フェーズは請負、運用フェーズは準委任、と分けて契約することもあります。

ただし、契約書のタイトルが「業務委託契約書」でも、実態がどちらかは条項で決まります。報酬を成果物の完成に紐づけているか、善管注意義務をベースにしているかを確認し、不安な場合は専門家に確認しましょう。

業務委託契約における準委任・請負・委任の違い

「業務委託契約」は法律上の正式な契約類型ではなく、請負・委任・準委任の総称として使われる言葉です。実際の契約は、このいずれか(またはその組み合わせ)に分類されます。

3つの契約類型の違い

内容 完成義務 主な責任
請負契約 仕事の完成を約束する あり 完成責任・契約不適合責任
委任契約 法律行為を委託する なし 善管注意義務
準委任契約 法律行為以外の事務を委託する なし 善管注意義務

「業務委託契約書」そのものの書き方を整理したい方は、以下の記事もご覧ください。

業務委託でよく使われる「準委任契約」と「請負契約」

実務の業務委託では、準委任と請負のいずれかであることがほとんどです。両者の違いは前述の一覧表のとおりで、判断軸は「成果物の完成を求めるか」です

委任契約と準委任契約の違い

委任契約は弁護士・税理士など法律に関わる業務の委託、準委任契約は法律に関わらない業務の委託という違いがあります。詳しくは以下の記事で解説しています。

準委任契約・請負契約のメリット・デメリット

どちらが自社に適しているかを判断するために、メリット・デメリットを整理します。

メリット デメリット
準委任契約 業務遂行の柔軟性が高い
/契約解除が比較的容易
成果が不明確になりやすい
請負契約 成果物と責任範囲が明確 柔軟性が低い
/請負人が完成責任を負う

準委任契約は、成果物を必須としないため、業務内容が変わりやすいプロジェクトや、継続的な運用・コンサルティングに向いています。一方で、業務範囲が曖昧だと成果が不明確になりやすいため、事前に業務範囲と進捗確認の方法を取り決めることが重要です。

請負契約は、達成すべき成果物が契約書に明確に定められるため、完成基準のあるプロジェクトに適しています。一方で、途中での仕様変更には再交渉が必要になりやすく、完成物の不備は請負人の責任となります。

契約を結ぶときの注意点

準委任契約では、次の点を契約書で明確にしておくとトラブルを防げます。

準委任契約・請負契約共通の注意点 →偽装請負・偽装準委任にしないこと

業務委託契約において最も注意すべきなのが偽装請負・偽装準委任のリスクです。請負契約だけでなく準委任契約(SESやシステム運用保守など)であっても、発注者が受託者の従業員に直接指揮命令を行うと、実質的に労働者派遣・雇用と見なされ、法令違反となるおそれがあります。指揮命令権は必ず受託事業者側に保つ必要があります。

フリーランス新法・取適法(旧下請法)への対応

業務委託を行う際、相手が個人事業主(フリーランス)の場合は、2024年施行の「フリーランス新法」が優先して適用されます。一方で、相手が法人であっても資本金や従業員数の要件を満たす場合は、2026年1月施行の「取適法(中小受託取引適正化法)」の対象となりますどちらの法律が適用される場合でも、発注時に業務内容や代金の額、支払期日などの取引条件を明示(書面や電子データ)することが義務付けられています。不要なトラブルや法令違反を防ぐためにも、最新の法令に準拠した契約書を作成し、適切に交付・保存してください

参考:公正取引委員会「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」「中小受託取引適正化法ガイドブック

準委任契約を結ぶときの独自の注意点

  1. 業務の範囲を具体的に書く:
    「運用管理業務」のような広い表現だけにせず、対象作業を具体的に記載する。
  2. 報酬の条件を決める:
    算定基準(時間単位・成果単位など)と支払時期・回数を明記する。
  3. 解除の条件を決める:
    解除できる場合・手続き、解除時の費用精算や業務引き継ぎを定める。
  4. 善管注意義務の範囲を示す:
    受託者に求める注意の内容や、不備が生じた場合の責任の所在を明確にする。

なお、これらの抜け漏れは、契約前に契約書をAIでチェックすることでも発見しやすくなります。AIの力で契約書のレビューを誰でも行うことができる、契約書チェック支援サービス「クラウドサイン レビュー」については後述します。

請負契約を結ぶときの独自の注意点

  1. 成果物を具体的に定義する:
    完成基準・仕様・品質を契約書に明記し、納品時の認識違いを防ぐ。
  2. 納期と遅延時の対応を決める:
    納期に加え、遅延時の損害賠償や納期延長の条件を取り決める。
  3. 契約不適合責任の範囲を定める:
    引渡し後に不備があった場合の対応や期間を明確にする。

請負契約の記載事項や書き方をさらに詳しく知りたい方は、請負契約の解説記事もあわせてご確認ください。

契約書の作成に不安がある方は「クラウドサイン レビュー」の活用を

準委任契約と請負契約の違いは、前者が業務遂行を目的とし、成果物に責任を負わないのに対し、後者は成果物の完成を目的とし、その品質に責任を負う点です。

契約形態を取り違えると、責任範囲の不一致や法的トラブルのリスクがあります。取り違えを防ぐには、契約前に業務の目的や成果物の有無、責任範囲を明確化し、契約書に具体的に記載することが重要です。契約内容に不安がある場合は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けるとよいでしょう。

なお、クラウドサインでは契約書チェックを支援するAIアシスタントサービス「クラウドサイン レビュー」を提供しております。

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契約形態が決まったら、電子契約で締結する

準委任・請負のいずれを選ぶ場合も、紙で締結すると収入印紙の確認、製本、郵送、原本の保管といった事務が発生します。とくに請負契約書は収入印紙(第2号文書)が必要で、継続的な取引ではこの負担が積み重なります

電子契約サービス「クラウドサイン」で締結すると、これらをまとめて削減できます。

  • 収入印紙がかからない(電子データは印紙税の課税対象とならないため)
  • 製本・郵送が不要で、その場で締結できる
  • 締結済みの契約書をクラウド上で一元管理できる

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準委任契約書の書き方は、「準委任契約書の書き方と記載事項を解説」にて詳しく解説をしています。

よくある質問

Q. 準委任契約と請負契約の違いを一言でいうと?

A. 成果物の完成義務の有無です。準委任契約は業務の遂行が目的で完成義務を負わず、請負契約は仕事の完成が目的で完成義務と契約不適合責任を負います。

Q. 業務委託契約と準委任契約は何が違う?

A. 業務委託契約は請負・委任・準委任の総称で、準委任契約はそのうちの一つです。業務委託契約書の中身が準委任型か請負型かは、成果物の完成を条件にしているかで決まります。

Q. 準委任か請負か、どう見分ければよい?

A. 「成果物の完成を求める契約か」で判断します。完成・納品が目的なら請負、業務の遂行が目的なら準委任です。

Q. 収入印紙はどちらに必要?

A. 請負契約書は必要(第2号文書)、準委任契約書は原則不要です。電子契約で締結すればどちらも不要になります。

Q. 準委任契約書のひな形はある?

A. クラウドサインでは「準委任業務委託契約書」のWord形式ひな形をご用意しております。ひな形(テンプレート)をお探しの方は以下より無料でダウンロードしてご活用ください。

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まとめ

準委任契約と請負契約の最大の違いは、成果物の完成義務の有無です。準委任契約は業務の遂行を目的に善管注意義務を負い、請負契約は仕事の完成を目的に完成責任・契約不適合責任を負います。報酬の支払時期、契約解除、再委託、収入印紙の扱いもこの違いから派生します。

契約形態を取り違えると責任範囲のずれや法的トラブルにつながるため、業務の目的と成果物の有無を整理したうえで、適切な形態を選びましょう。

適切な形態が決まったら、電子契約サービス「クラウドサイン」での締結がおすすめです。クラウドサインを導入すれば、紙の契約で発生していた印紙代や郵送費、製本の手間を一掃し、契約業務の大幅なスピードアップとコスト削減を実現できます。

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弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部

電子契約サービス「クラウドサイン」を運営する、弁護士ドットコム株式会社の編集部です。電子契約・電子署名法・電子帳簿保存法のほか、契約管理、契約審査・レビュー、AIを活用した法務業務の効率化について解説しています。法令の解釈にかかわる記事で弁護士等の専門家による監修を受けている記事には、記事末に監修者名を表示しています。

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