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契約実務

【無料ひな形付き】念書とは?契約書などとの違い・主な記載事項・法的効力などを弁護士が解説

借入金の返済債務など、既存の債務の存在を確認する際には「念書」が作成されることがあります。念書には、債務の内容や履行の方法、債務不履行が生じた場合の取扱いなどを明確に記載しましょう。

本記事では念書について、契約書などとの違いや主な記載事項、作成時のチェックポイントなどを弁護士が解説します。

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念書とは?どのような場合に作成する?

「念書」とは、債務(義務)の存在などの事実の確認や、一定の事項の約束を目的として作成される書面です。当事者の一方が作成し、相手方に対して提出します。

たとえば、お金を借りている側が「今○○円の返済義務を負っており、〇年○月〇日までに返済します」といった内容の念書を作成し、お金を貸している側に提出するケースがあります。

このような念書を作成すれば、現在の債務の内容と今後の返済ルールを明確化することができます。

念書と契約書などの違い

念書は、当事者間における権利義務を確認・設定する法律文書です。

法律文書には、念書のほかに契約書・合意書・覚書・同意書・誓約書などがあります。それぞれの概要と、念書との違いは次のとおりです。

法律文書の種類 概要 念書との違い
契約書
合意書
覚書
当事者間の合意内容を定める文書 当事者が共同で作成し、相互に
その内容に拘束される
(念書は提出者が単独で作成し、
提出者がその内容に拘束される)
同意書 一定の事項に対する同意を表明する文書 同意の表明を目的としている
(念書は事実の確認や約束を目的としている)
誓約書 一定の事項を誓約する文書 内容次第
※念書は現状の事実の確認も目的とすることが多いのに対し、
誓約書は将来の約束に主眼があることが多い

契約書・合意書・覚書は、複数の当事者が共同で作成する合意文書です。作成者が単独で作成する念書とは異なり、当事者全員を法的に拘束します。

同意書・誓約書は、念書と同じく、一方当事者が相手方に対して提出するために単独で作成する文書です。内容に応じて「同意書」「誓約書」「念書」の名称が使い分けられますが、文書のタイトルだけに着目するのではなく、その内容を確認することが重要です。

念書に法的効力はある?

念書の内容が「確定性」「実現可能性」「適法性」「社会的妥当性」を満たし、かつ作成者の意思に従って作成された場合は法的効力を有します。

念書が法的効力を持つための要件

念書が法的効力を有するためには、次の4つの要件を満たす必要があります。

①確定性
念書に記載されている権利・義務の重要な部分が確定していること②適法性
念書の内容が法律上の強行規定に反していないこと③社会的妥当性
念書の内容が公序良俗に反しないこと

また、念書が作成者の意思に従って作成されたことも必要です。作成者の意思によらずに作成された場合や、意思表示の過程に不適切な点がある場合には、念書の無効や取消しが問題になり得ます。

念書があっても無効・取消しなどの争いになるケース

念書による意思表示に次の問題があった場合は、念書が無効となり、または作成者が念書を取り消すことができます。

①作成者に意思能力がない場合
認知症や幼少などの理由により、自分の行為の結果を判断できる能力を有しない人が作成した念書は無効です(民法3条の2)。②無権代理に当たる場合
本人から代理権を授与されていないにもかかわらず、本人の代理人として念書を作成した場合は、原則として本人が追認しない限り、その念書の効力は本人に帰属しません(民法113条)。③本人に錯誤があった場合
念書の作成に当たり、本人が重要な勘違い(錯誤)をしていた場合は、念書を取り消すことができます。ただし本人に重大な過失があった場合には、原則として取消しが認められません(民法95条)。④本人が詐欺・強迫を受けた場合
本人が騙されたり、脅されたり、暴力を振るわれたりして念書を作成した場合は、念書を取り消すことができます(民法96条)。

【例文あり】念書の主な記載事項

念書に記載する事項としては、次の例が挙げられます。

①確認事項(債務の内容など)
②誓約事項(債務の履行方法など)
③誓約事項に違反した場合の取扱い(遅延損害金の支払いなど)

各事項につき、記載例を示しながら解説します。

確認事項(債務の内容など)

当社は貴社に対し、次に掲げる事項を確認及び誓約します。(例1)当社は貴社に対し、〇年〇月〇日付「金銭消費貸借契約書」に基づく借入金の返済として、金○○円の支払義務(以下「本債務」といいます。)を負っていることを確認します。

(例2)当社は貴社に対し、〇年〇月〇日付「業務委託契約書」に基づく未払業務委託料として、金○○円の支払義務(以下「本債務」といいます。)を負っていることを確認します。

念書の作成者が提出先に対して負っている債務の内容など、念書によって確認すべき事項を記載します。

上記の例1では借入金、例2では未払業務委託料の支払義務を確認しています。債務の発生原因(契約の締結日・名称など)や金額を明記しましょう。

誓約事項(債務の履行方法など)

(例1)当社は貴社に対し、〇年〇月〇日までに、本債務の全額を、貴社が別途指定する銀行口座に振り込む方法により支払います。(例2)当社は貴社に対し、本債務を次に掲げる期限までに、貴社が別途指定する銀行口座に振り込む方法により支払います。
×年×月×日まで:××円
△年△月△日まで:△△円
□年□月□日まで:□□円
……

念書の作成者が提出先に対して約束(誓約)する事項を記載します。

上記の例では、念書によって存在を確認した債務の支払方法を定めています。例1は一括払い、例2は分割払いの記載例です。

誓約事項に違反した場合の取扱い(遅延損害金の支払いなど)

(例1)当社が本債務の支払いを怠ったときは、貴社に対し、未払額に対して年14.6%の割合による遅延損害金を支払います。(例2)当社が本債務の支払いを怠ったときは、未払いの本債務全額について期限の利益を失い、貴社に対してその全額を直ちに支払います。

念書の作成者が誓約事項に違反した場合のペナルティなどを定めます。上記の例1では遅延損害金、例2では期限の利益の喪失について定めています。

【弁護士監修】念書のひな形ダウンロード(無料)

念書のひな形は、下記のリンクからダウンロードできます。

汎用的なひな形であるため、合意事項の具体的な内容は記載されていません。ひな形を使用する際には、当事者間の合意事項を適切な文言で記載してください。必要に応じて、弁護士などの専門家に依頼することをお勧めします。

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念書を作成する際のチェックポイント

念書を作成する際には、特に次に挙げるポイントに注意してください。

①義務の内容などを明確な文言で記載する
②トラブルのリスクを具体的に想定し、対応方法を明記する

義務の内容などを明確な文言で記載する

念書の文言は、疑義の生じない明確な文言で記載することが大切です。特に債務(義務)については、その発生原因や金額、履行(支払い)の方法などを具体的に記載しましょう。

トラブルのリスクを具体的に想定し、対応方法を明記する

念書に記載された債務が不払いになるなど、トラブルのリスクを具体的に想定したうえで、その対応方法を明記しましょう。たとえば遅延損害金や違約金、期限の利益の喪失などを定めておけば、義務違反が生じた際の対応を明確化でき、リスクの軽減に繋がります。

念書に収入印紙は必要?

念書を紙(書面)で作成する場合、その内容によっては収入印紙を貼るべきケースがあります。電子書面で念書を作成する場合は、内容を問わず収入印紙の貼付は不要です。

念書に収入印紙を貼るべきケース

念書に収入印紙を貼る必要があるのは、原本を紙(書面)で作成し、かつ印紙税法上の課税文書に該当する場合です。

当事者の一方のみが作成する念書や請書も、内容によっては印紙税法上の課税文書に該当します。必要に応じて税理士や弁護士に確認しましょう。

具体的には、念書の内容が次のいずれかに該当する場合は課税文書に該当し、原本に収入印紙を貼る必要があります。

課税文書の種類 念書の内容 印紙税額
第1号文書 ・不動産の売買、交換
・地上権または土地賃借権の設定、譲渡
・消費貸借(お金の貸し借りなど)
・運送
200円~60万円
※契約金額に従って決定
※契約金額が1万円未満の場合は非課税
※契約金額の記載がない場合は200円
第2号文書 ・請負 200円~60万円
※契約金額に従って決定
※契約金額が1万円未満の場合は非課税
※契約金額の記載がない場合は200円
第7号文書 ・売買、売買の委託、運送、運送取扱い
または
請負に関する継続的取引の基本となる合意
4000円
※契約期間が3か月以内で、
かつ更新の定めのないものは非課税
第12号文書 ・信託 200円
第13号文書 ・債務の保証 200円
第14号文書 ・金銭または有価証券の寄託 200円
第15号文書 ・債権譲渡
・債務引受け
200円
※契約金額が1万円未満の場合は非課税
第17号文書 ・金銭または有価証券の受取書 【売上に係るもの】
200円~20万円
※受取金額に従って決定
※受取金額が5万円未満の場合は非課税
※受取金額の記載がない場合は200円【それ以外のもの】
200円
※受取金額が5万円未満の場合は非課税

ただし念書は、既存の債務を確認するために作成されるケースも多いところです。その場合は、その債務について契約書が作成されているか、および既存の債務の金額を変更するかどうかにより、収入印紙の金額の取扱いが次のとおり異なります。

①既存の債務について契約書が作成されていることが明らかな場合
(a)念書によって既存の債務を増加させる場合
増加金額が契約金額となります。
たとえば、過去に締結した契約書に基づく借入金の返済債務が100万円残っているところ、念書によってその債務を120万円に増加させる場合は、差額である20万円が契約金額となるため、印紙税額は400円となります(第1号文書、契約金額が10万円を超え50万円以下)。(b)念書によって契約金額を変更しないか、または減少させる場合
契約金額の記載がないものとして取り扱われます。
たとえば、過去に締結した契約書に基づく借入金の返済債務が100万円残っており、念書ではその債務の存在を確認するだけなら、印紙税額は200円となります(第1号文書、契約金額の記載がない場合)。念書によってその債務の一部を免除する場合も、同様に印紙税額は200円となります。②既存の債務について契約書が作成されていることが明らかでない場合
(a)念書に債務の総額を記載する場合
その総額が契約金額となります。
たとえば、口頭での金銭の貸し借りによって100万円の返済債務を負っていて、念書に「100万円を返済する義務を負う」と記載した場合は、印紙税額は1000円となります(第1号文書、契約金額が50万円を超え100万円以下)。

(b)念書に変更金額のみが記載されている場合
増額・減額のいずれであっても、変更金額が契約金額となります。
たとえば、口頭での金銭の貸し借りによって100万円の返済債務を負っていて、念書に「返済額を20万円上乗せする」あるいは「返済額を20万円免除する」と記載した場合は、印紙税額は400円となります(第1号文書、契約金額が10万円を超え50万円以下)。

電子書面で念書を作成すれば、収入印紙の貼付は不要

電子書面で作成された念書は、印紙税法上の課税文書に当たらないため、収入印紙を貼る必要はありません。たとえば、口頭の合意によって借りた100万円の返済債務を確認する念書を紙で作成すると1000円の印紙税がかかりますが、電子書面であればこの負担が生じません。

そのため、念書を電子書面で作成する際には、電子契約サービスを利用するのが便利です。印紙税を節約できるほか、文書の管理がしやすく契約業務の効率化に繋がります。

念書を電子的に作成・提出する方法・メリット

念書は、作成者が単独で作成し、相手方に提出する文書です。紙で作成する場合は、作成者が署名・押印した書面を郵送または持参して提出することになり、提出が完了するまでに日数がかかります。

この工程は、電子契約サービスを使えばオンラインで完結できます。念書の文面をアップロードし、作成者がメール上で内容を確認して同意すれば提出が完了するため、押印や郵送の手間がかかりません。支払期日が迫っている場面でも、当日中に提出できます。

また、電子で作成した念書はサービス上に保管されます。もとの契約書と紐づけて管理でき、後から検索して内容を確認することも可能です。

まとめ

念書には、作成者と提出先の間で確認すべき事項や、作成者が提出先に対して負う債務の履行方法などを記載します。疑義の生じない文言で条文を記載し、解釈・認識のずれによるトラブルを防ぐとともに、作成者が負う義務の内容を明確化しましょう。

念書を紙で作成する場合、内容によっては収入印紙を貼る必要があります。

これに対して、念書を電子書面で作成する場合は、内容を問わず収入印紙の貼付が不要です。電子書面は管理や検索がしやすいため、契約業務の効率化にも繋がります。未導入の企業は、電子契約サービスの導入をご検討ください。

クラウドサインは、法的な信頼性を保ちながら契約業務を電子化できる電子契約サービスです。資料のダウンロードや無料相談から、お気軽にご検討ください。

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この記事を書いたライター

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阿部 由羅

弁護士

ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。

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