【無料ひな形付き】催告書とは?主な記載事項や作成時の注意点を弁護士が解説

取引の相手方に対して、債務の履行を請求する際には「催告書」を送付することがあります。催告書には、履行を請求する債務の内容や発生原因、支払期限などを明記します。
催告書を送付する際には、請求の根拠と内容を明確に記載することが大切です。また、どのような方針で対応するかを踏まえて、文面の言葉遣いなどをよく検討しましょう。
本記事では催告書について、主な記載事項や作成時の注意点などを弁護士が解説します。また、弁護士監修の催告書のひな形(無料)もダウンロードいただけますので、今すぐ使えるひな形を探している方はぜひご入手ください。
無料ダウンロード
目次
催告書とは
「催告書」とは、作成者が相手方に対して債務の履行を催告する文書です。たとえば、貸しているお金の返済期限が過ぎていて、速やかに支払うよう求める場合などには催告書を送付します。
催告書と督促状はほぼ同じ意味を持つ文書ですが、実務上は使い分けられることがあります。
催告書を作成するケース
催告書を作成するのは、相手方に対して債務の履行(支払いなど)を求める場合です。たとえば、次のようなケースが挙げられます。
・貸したお金の返済を請求するとき
・契約違反による損害賠償を請求するとき
・滞納賃料の支払いを請求するとき
など
基本的には、すでに期限を経過している債務の支払いを請求するときに催告書を送付します。
催告書と督促状の違い
催告書と同じく、相手方に対して債務の履行を求める文書として「督促状」が挙げられます。
税務署長や地方公共団体の長が、税金について滞納処分(財産の差押えなど)を行う際には、あらかじめ「督促状」を発するものとされています。督促状の発送から一定期間が経過すると、滞納処分ができるようになります。
そのほか、民間事業者が相手方に対して債務の履行(支払いなど)を請求する際にも、督促状と称する文書を送付するケースがあります。この場合の督促状は、催告書とほぼ同じ意味を有します。
ただし実務上は、催告書と督促状を使い分けるケースもあります。たとえば貸金業者(消費者金融など)が取り立てを行う際には、先に督促状を発送し、滞納が続く場合にはさらに催告書を送付する例がよく見られます。
催告書を送ることで生じる法的効力
催告書が相手方に到達すると、履行を請求した債務の消滅時効の完成が6か月間猶予されます(民法150条1項)。
時効完成が迫っている債務があるときは、内容証明郵便などによって催告書を送付し、一時的に時効完成を阻止することが有力な手段です。猶予期間の6か月のうちに訴訟を提起すれば、有効に請求を行うことができます。
ただし、時効の完成が猶予されている間に再度催告書を送付しても、時効の完成猶予期間が延長されることはありません(同条2項)。
【例文あり】催告書の主な記載事項
催告書には、主に次の事項などを記載します。
②債務の履行を請求する旨・振込先口座・支払期限
③相手方に対する念押し・警告など
各事項につき、条文例を示しながら解説します。
未払債務の内容・発生原因(契約など)
貴社は当社に対し、○年○月○日付「○○契約書」に基づき、金○○万円の支払義務(以下「本債務」といいます。)を負っています。しかしながら、支払期日である○年○月○日を経過した現在も、本件債務の支払がなされておりません。
まずは、催告書によって請求する債務に関する情報を明記しましょう。たとえば、債務の金額や契約などの発生原因、すでに支払期限を過ぎている旨などを記載します。
債務に関する情報は、相手方が請求の当否を検討する際の手がかりになります。スムーズに支払いを受けるためには、債務に関する情報を正しく記載することが重要です。
債務の履行を請求する旨・振込先口座・支払期限
当社は貴社に対し、本書面をもって、本債務の履行として金○○万円及びこれに対する本書到達日から支払済みまで年〇%の割合による遅延損害金を、本書到達後○日以内に、下記口座へ支払うよう催告します。……【振込先口座】
金融機関名・支店名:〇〇銀行○○支店
口座種別:普通
口座番号:○○○○○○○
口座名義人:○○○○
金額などを明記したうえで、相手方に対して債務の履行を請求する旨を記載します。また、相手方が応じる場合にスムーズに支払いを受ける目的で、振込先口座や支払期限を記載するケースもよく見られます。
相手方に対する念押し・警告など
早期解決のため、速やかに本債務をお支払いくださいますようお願い申し上げます。
最後に、相手方に対して念押しや警告などを記載するのが一般的です。
念押しや警告をどのようなトーンで記載するかは、どのような対応方針で臨むかによって決めましょう。上記の例では、交渉による穏便な解決を期待するため、それほど強い言葉は用いていません。
これに対し、支払わなければ訴訟などの法的措置を講ずるといった文言を記載する例もよく見られるところです。相手方にプレッシャーを与える効果を狙ったものですが、かえって相手方の反発や警戒を招くこともあり得るので注意を要します。
【弁護士監修】催告書のひな形ダウンロード(無料)
催告書のひな形は、下記のリンクからダウンロードできます。必要な情報を補充するなど、適宜調整を行ったうえでご利用ください。
無料ダウンロード
催告書を作成・送付する際のチェックポイント
催告書を作成・送付する際には、特に次のポイントにつきよく確認・検討を行ってください。
②いつ相手方に到達したかを証明できるようにする(配達証明など)
③対応方針に合わせて、文面の言葉遣いなどを調整する
請求の内容と根拠を明確に記載する
催告書には、内容と根拠を明確に記載することが大切です。たとえば貸金の返還を請求する場合は、請求額やその根拠となる契約の情報、支払期限や支払方法などを明記します。
請求の内容や根拠を明確に示せば、相手方から自発的な支払いを受けられる可能性が高まります。相手方が支払いに応じなかったときは、訴訟などの手続きにおいて催告書が提出されるケースもあるので、それに備える観点からも請求の内容や根拠を明確に記載しましょう。
いつ相手方に到達したかを証明できるようにする(配達証明など)
催告書によって消滅時効の完成猶予の効果を得るためには、催告書が相手方に到達する必要があります。もし相手方が債権の時効消滅を主張した場合は、時効期間内に催告書が到達したことを証明しなければなりません。
そのため催告書を送付する際には、いつ相手方に到達したかを証明できる方法を用いましょう。実務上は、配達証明付きの内容証明郵便がよく用いられています。
対応方針に合わせて、文面の言葉遣いなどを調整する
催告書は、相手方に対して単に請求内容を伝えるだけでなく、その後の交渉や法的手続きなどを見据えて作成することが望ましいです。
話し合いによって早期に解決したいと考えているなら、相手方に協力を求める穏やかな表現を用いるのが適切でしょう。これに対し、訴訟なども辞さず毅然と対応したい場合は、厳しい表現を用いて速やかな支払いを求めることも考えられます。
どのような対応方針で臨むかに応じて、催告書における言葉遣いなどを調整しましょう。
催告書を受け取ったらどうすべき?
催告書を受け取ったときは、すぐにその内容を確認し、記載されている請求の当否を検討しましょう。請求について身に覚えがあるか、示されている法的根拠は妥当かどうかなどを検討します。
相手方の請求が正当である場合は、すぐに債務を履行するか、履行できない場合は交渉により穏便な解決を目指しましょう。
相手方の請求が不当である場合は、状況に応じて対応を検討する必要があります。
明らかな架空請求であれば、無視しても構わないケースが多いでしょう。
これに対し、過去に取引のあった相手方から催告書が送られてきている場合は、無視していると訴訟を提起される可能性が高いと思われます。
早期解決を目指す観点からは、相手方に文書を送付して請求に応じることができない旨を伝えるなど、何らかの対応をとった方がいいかもしれません。弁護士へ相談するなどして、対応の方針を適切に定めることをお勧めします。
催告書に収入印紙は必要?
催告書は通常、作成者が相手方に対して一方的に債務の履行を求める文書であるところ、そのような文書は印紙税法上の課税文書に当たりません。したがって、単に債務の履行を求めるために催告書を作成・送付するのであれば、収入印紙を貼る必要はないと考えられます。
もっとも、相手方が催告書に応じて債務を支払う場合に、紙(書面)で合意文書を作成するときは、その合意文書につき収入印紙の要否を別途検討する必要があります。
たとえば、金銭消費貸借契約や請負契約などの課税文書につき、契約金額や支払方法などの重要な事項を変更する合意文書を作成する場合は、その合意文書も課税文書となり収入印紙の貼付を要するので注意してください。
なお、合意文書を電子契約によって作成・締結する場合は、内容を問わず収入印紙の貼付は不要です。
催告書は電子的に送付できる?
催告書は、郵便局のe内容証明(電子内容証明)を利用する他に、クラウドサインのような電子契約サービスを使って送付することも可能です。電子契約サービスとは、書面への押印に代えて、インターネット上で契約書や通知文書のやり取り・保管を行えるサービスです。送信日時や開封状況の記録が残るため、催告書の送付履歴を管理しやすいというメリットがあります。
電子契約とはどのようなサービスで、導入によりどんなメリットがあるのかを知りたい方は下記の資料も参考にしてみてください。
無料ダウンロード
催告書に関するよくある質問
Q1. 催告書を送ると、消滅時効の完成猶予の効果は必ず得られますか?
催告書を送っても、消滅時効の完成が必ず猶予されるとは限りません。たとえば次のような場合には、消滅時効の完成猶予の効果が得られません。
①単なる問い合わせなどを内容とする場合
時効の完成猶予の効果が生じる「催告」とは、相手方に対して債務の履行を請求する意思の通知を意味します。したがって、債権行使の意思を示すことなく、単なる問い合わせなどを行う内容の催告書を送付しても、時効の完成猶予の効果は生じません。
②催告書が相手方に到達しなかった場合
催告書が相手方に到達しなければ、時効の完成猶予の効果は生じません。配達証明付き内容証明郵便など、相手方に到達したことを証明できる方法で催告書を送付することをお勧めします。
③催告をした時点ですでに消滅時効が完成している場合
時効期間の経過後に催告書が相手方に到達した場合は、時効の完成猶予の効果は生じません。
④同一の債権につき、再度の催告を行った場合
催告によって消滅時効の完成が6か月間猶予されるのは1度のみです。2度目以降の催告を行っても、消滅時効の完成は猶予されません。
Q2. 催告書は内容証明郵便で送らなければ法的効力がありませんか?
方法の如何を問わず、債務の履行を請求する意思の通知(=催告)が相手方に到達すれば、消滅時効の完成を6か月間猶予する効果が生じます。内容証明郵便のほか、普通郵便・メール・口頭などによる催告も法的には有効です。
ただし、相手方が催告の有無や有効性などを争ってくることも想定されます。そのような事態に備える観点から、郵便局に差出人・宛先・内容・配達日時を証明してもらえる配達証明付き内容証明郵便が、確実性の高い方法として実務上よく用いられています。
Q3. 身に覚えのない催告書が届いた場合、どう対応すればよいですか?
明らかな架空請求なら無視することも考えられますが、過去の取引先などから催告書が送られてきている場合は、早期解決を目指す観点から何らかの対応をとった方がよいと思われます。
たとえば、相手方に文書を送付して請求に応じることができない旨を伝えるなどの対応が考えられます。必要に応じて、顧問弁護士などに相談してください。
まとめ
催告書は、相手方に対して債務の履行(支払いなど)を請求する文書です。催告書の作成に当たっては、請求の内容と根拠を明確に記載することや、その後の交渉・法的手続きなどを見据えて言葉遣いをよく検討することが重要になります。
催告書の送付後は、相手方との間で和解交渉を行って解決を目指すケースが多いです。合意が得られた際に文書を作成するときは、電子契約サービスの利用をご検討ください。
なお、クラウドサインは、法的な信頼性を保ちながら契約業務を電子化できる電子契約サービスです。資料のダウンロードや無料相談から、お気軽にご検討ください。
無料ダウンロード

クラウドサインではこれから電子契約サービスを検討する方に向けた「クラウドサイン サービス説明資料」をご用意しました。クラウドサインの特徴や使い方を詳しく解説していますので、ダウンロードしてご活用ください。
ダウンロードする(無料)この記事を書いたライター
阿部 由羅
弁護士
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。
