【無料ひな形付き】共同研究契約とは?主な記載事項や注意点を弁護士が解説

複数の企業などが共同で研究を行う際には「共同研究契約」を締結します。契約書を作成し、共同研究に関する条件などを明記しましょう。
本記事では共同研究契約について、主な記載事項や注意点などを弁護士が解説します。
また、弁護士監修による共同研究契約書のひな形は下記のリンクからダウンロード可能です。当事者間で合意した契約条件などを反映したうえでご利用ください。
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目次
共同研究契約とは
「共同研究契約」とは、複数の企業などが共同で研究を行うに当たり、研究内容や費用の分担などの基本事項を定めるために締結する契約です。「共同研究契約書」は、共同研究契約の内容を記載した書面に当たります。
共同研究者間におけるトラブルのリスクを防ぐためには、適切な内容の共同研究契約書を作成・締結することが大切です。
共同研究と委託研究(受託研究)の違い
「共同研究」とは、当事者が共同して研究を行うことをいいます。
これに対して、一方当事者が研究テーマを設定し、他方当事者がそのテーマに沿って研究を行うことは「委託研究」または「受託研究」と呼ばれています。
一般的に、研究に役立つ知見や強みを当事者双方が有している場合は共同研究、当事者のうちいずれか一方が研究に長けている場合は委託研究(受託研究)が選択される傾向にあります。
共同研究契約書の主な記載事項|例文も紹介
共同研究契約書には、主に次の事項などを定めます。
②共同研究の内容等|題目・担当者・実施場所・期間など
③進捗状況・成果の報告
④研究費の分担・管理
⑤施設・設備・物品
⑥知的財産権の帰属
⑦その他
各事項につき、例文を示しながら解説します。
契約の目的(共同研究をする旨)
第1条 (目的)
本契約は、甲乙間の共同研究(以下「本共同研究」という。)に係る基本事項を定めることを目的とする。
契約の目的として、共同研究に係る基本事項を定める旨を宣言します。具体的な合意事項は、これ以降に続く条文で定めます。
共同研究の内容等|題目・担当者・実施場所・期間など
(例)
第2条 (共同研究の内容等)
1. 本共同研究の題目、目的及び内容は、次に掲げるとおりとする。
① 題目
○○○○に係る研究
② 目的及び内容
……のため、……を行う。
2. 甲及び乙は、本共同研究の担当者(以下「研究担当者」という。)として、別紙1(研究担当者)に掲げる者を従事させるものとする。
3. 甲及び乙は、相手方に対して事前に書面又は電磁的方法で通知することにより、研究担当者を変更又は追加することができる。ただし、別紙1(研究担当者)において別段の定めがある場合は、その定めに従う。
4. 本共同研究は、原則として甲乙各自の事業場において行うものとする。ただし、甲乙が共同して作業等を行う必要がある場合は、甲乙の協議によって当該作業等を実施する場所を定める。
5. 本共同研究の期間(以下「研究期間」という。)は、有効期間(第7条第1項で定める。)と同じとする。
別紙1(共同研究者)
【甲の研究担当者】
○○ ○○
○○ ○○
……
※○○ ○○を別の者に変更する際には、乙の事前の書面又は電磁的方法による承諾を要する。
【乙の研究担当者】
○○ ○○
○○ ○○
……
共同研究の内容・担当者・実施場所・期間などを定めます。相手方の研究担当者のうち、外れては困るキーパーソンがいる場合には、その人の変更を制限しておきましょう。
進捗状況・成果の報告
第3条 (進捗状況及び成果の報告)
1. 甲及び乙は、研究期間中、本共同研究の進捗状況について情報交換を行い、研究課題、スケジュールその他の必要な事項について協議によって決定する。当該情報交換及び協議の具体的な方法は、甲乙の協議によって別途定める。
2. 甲及び乙は、研究期間が満了するまでに、本共同研究の成果報告書を共同で作成するものとする。成果報告書に係る活用方法、公表の有無その他の事項は、甲乙の協議によって別途定める。
共同研究に関する進捗状況や成果の報告について定めます。上記の例では概括的な合意のみ定めていますが、報告の頻度や方法などを具体的に記載することも考えられます。
研究費の分担・管理
(例)
第4条 (研究費の分担及び管理等)
1. 甲及び乙は、本共同研究の実施に必要な経費(以下「研究費」という。)を、別紙2(研究費の分担)に定める要領により分担する。ただし、相手方が負担すべき費用を自ら支出することを妨げず、その場合は第3項から第5項までの定めに従って精算を行う。
2. 研究費の経理は、乙が行う。
3. 甲は乙に対し、研究期間中の暦月ごとに、甲が支出した研究費の内訳を、対象月の翌月10日までに、甲が負担すべき費用と乙が負担すべき費用に区分して報告しなければならない。
4. 甲及び乙は、研究期間の満了後に研究費を支出しようとするときは、事前に相手方の書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。当該承諾を得ることなく支出した研究費は、研究費の経理に反映しないものとする。なお、甲が事前に乙の書面又は電磁的方法による承諾を得て、研究期間の満了後に支出した研究費については、前項の規定を準用する。
5. 乙は、前二項に基づく甲の報告の内容を踏まえて、研究費に係る精算の内容を、対象月の翌月末日までに甲へ通知するものとする。当該精算は、対象月の翌々月末日までに完了するものとし、その具体的な方法は甲乙の協議によって別途定める。
6. 乙は、研究費の経理に係る証憑として実務上合理的に十分な資料(以下「経理資料」という。)を作成し、研究期間中及び研究期間の満了後3年間(以下「保存期間」という。)保存しなければならない。
7. 甲は乙に対し、保存期間中、経理資料の閲覧を請求することができる。乙は、甲から当該閲覧請求を受けたときは、遅滞なくこれに応じなければならない。
別紙2(研究費の分担)
【甲が負担すべき費用】
……
……
【乙が負担すべき費用】
……
……
共同研究に要する経費(研究費)の分担について定めます。上記の例では、乙が研究費の経理を担当し、甲からの報告等を踏まえたうえで月ごとに精算を行うこととしています(1項~5項)。
経理を担当しない側(上記の例では甲)は、相手方による経理が適切であるかどうかを検証できるようにしておくことが大切です。経理資料の作成・保存や閲覧請求について定めておきましょう(6項・7項)。
施設・設備・物品
第5条 (施設、設備及び物品)
1. 乙は、本共同研究のために必要があるときは、乙が管理する施設又は設備(以下「乙の施設等」という。)を本共同研究の用に供し、当該乙の施設等を甲に利用させるものとする。
2. 前項に基づき、甲が乙の施設等を利用するときは、乙が定める規則等に従わなければならない。
3. 研究費により取得した施設、設備又は物品は、当該研究費を甲が負担すべきであるときは甲、乙が負担すべきであるときは乙に帰属する。当該研究費が甲乙いずれの負担に属するか明らかでないときは、当該施設、設備又は物品の帰属は、甲乙の協議によって定める。
共同研究に用いる施設・設備・物品につき、利用や帰属に関するルールを定めます。
本記事の条文例では、原則として甲乙各自の事業場において作業を行うこととしつつ(2条4項)、必要がある場合は乙の施設・設備を利用することとしています(5条1項)。
研究費によって取得した施設・設備・物品が誰に帰属するのかも、できる限り具体的に定めておくことが望ましいです。ただし、すべてのパターンを想定したルールを設けるのは難しいので、上記の例では甲乙間の協議の余地を残しています(5条2項)。
知的財産権の帰属
第6条 (知的財産権の帰属等)
1. 本共同研究に関し、甲又は乙が単独で創出した発明、考案、著作物その他一切の成果物(以下「成果物」という。)に係る知的財産権(知的財産権を受ける権利を含む。著作権については、著作権法第27条及び第28条に掲げる権利を含む。以下同じ。)は、当該創出をした者に帰属する。
2. 本共同研究に関し、甲及び乙が共同で創出した成果物に係る知的財産権は、乙に帰属する。甲は、当該知的財産権の取得、維持及び行使に必要な手続きにつき、実務上合理的な範囲内で協力しなければならない。
3. 甲及び乙は、相手方に対し、前二項に基づき取得した知的財産権につき、本契約の目的の範囲内で無償かつ非独占的に使用することができる通常使用権を許諾する。
共同研究に関して発生した知的財産権が誰に帰属するのかを定めます。
上記の例では、成果物を単独で創出した場合は各自、共同で創出した場合は乙に知的財産権が帰属するものとしています(1項・2項)。
また、共同研究の過程で相手方の知的財産権を使用する必要が生じることを想定し、相互に無償で非独占的通常使用権を許諾する旨を定めています(3項)。
その他
共同研究契約書には上記のほか、次の事項などを定めます。
・有効期間
→契約の有効期間や、有効期間の満了後も存続する条項などを定めます。
・契約の解除
→契約を解除できる場合や、解除の手続きを定めます。
・損害賠償
→契約違反が生じた場合における損害賠償責任の範囲を定めます。
・反社会的勢力の排除
→暴力団員等に該当しない旨、および暴力的な要求行為などをしない旨の表明・確約を定めます。
・準拠法
→契約の解釈に用いる法を定めます。特に当事者の国籍が異なる場合は、準拠法を明確化することが大切です。
・合意管轄
→契約トラブルが生じた場合に、訴訟を提起する裁判所を指定します。
【弁護士監修】共同研究契約書のひな形ダウンロード(無料)
共同研究契約書のひな形は、次のリンクからダウンロードできます。当事者間で合意した契約条件などを反映したうえでご利用ください。
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なお、実際に吸収分割契約書を作成する際には、ひな形をそのまま用いるのではなく、取引条件の反映などの調整を行ってください。必要な事項の抜け漏れや、不適切な条項の混入などを防ぐためにも、弁護士などの専門家に確認してもらうことをおすすめします。
共同研究契約書を締結する際のチェックポイント
共同研究契約書を締結する際には、特に次の事項に注意してください。
②情報共有の機会を確保する
権利の帰属を明確化する|物品や知的財産権など
共同研究の過程で取得した物品や知的財産権などについては、当事者のうちどちらに帰属するのかを決めるルールを明確化しておきましょう。
すべてのパターンを網羅するのは困難ですが、協議しつつできる限り幅広くシミュレーションを行うことが、共同研究者間のトラブルの防止に繋がります。
情報共有の機会を確保する
共同研究者間で適切に情報共有が行われなければ、共同研究を行う意味がありません。
共同研究契約書において詳しくルールを定めるのか、それとも別途協議して合意するのかはともかく、いずれにしても定期的な情報共有の機会を確保することが大切です。
共同研究契約書に収入印紙は必要?
共同研究契約書には、原則として収入印紙を貼る必要がありません。共同研究を内容とする契約書は、印紙税法上の課税文書に当たらないためです。
ただし、実質的な契約内容が工事やサービスなどの請負である場合には、紙で作成する契約書は「第2号文書」に当たり、次の金額の収入印紙の貼付を要します。
| 契約金額 | 印紙税額 |
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 1000円 |
| 300万円超500万円以下 | 2000円 |
| 500万円超1000万円以下 | 1万円 |
| 1000万円超5000万円以下 | 2万円 |
| 5000万円超1億円以下 | 6万円 |
| 1億円超5億円以下 | 10万円 |
| 5億円超10億円以下 | 20万円 |
| 10億円超50億円以下 | 40万円 |
| 50億円超 | 60万円 |
| 契約金額の記載のないもの | 200円 |
なお契約内容にかかわらず、電子契約によって共同研究契約を締結する場合は、収入印紙の貼付は不要です。
共同研究を「即座に」開始するなら電子契約がおすすめ
共同研究のプロジェクトを進行するにあたり、課題となりやすいのが「契約締結までに要する期間」です。
研究開発部門やビジネス部門では、速やかなプロジェクトの開始やデータの共有が求められる一方で、契約書の文面が合意に至った後、双方の押印が完了するまでに2週間程度の期間を要するケースは少なくありません。
特に共同研究契約では、紙ベースの契約実務において以下のような構造的な要因がタイムロスの原因となります。
- 遠隔地の共同研究パートナーや大学(産学連携)との郵送往復にかかる日数
- 複数社が関与するコンソーシアム形式における、順次の押印作業(回覧)によるタイムラグ
- 製本、割印、印紙の貼付といった物理的な手続に伴う工数
市場における競争優位性を保つ上で、契約締結の遅延によるプロジェクトの停滞は避けるべきリスクです。研究開発を遅滞なくスタートさせるための手段として、電子契約の導入が挙げられます。
クラウド型の電子契約サービスを活用すれば、インターネット環境を通じて、場所を問わずオンライン上で契約の確認と署名が完了します。研究開発のスピードを維持しつつ、法務としてのガバナンスや適切な契約管理を両立させるインフラとして、電子契約の活用を検討する価値は十分にありますので、紙の契約書をお使いの方はぜひ電子契約の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、当社の提供する電子契約サービス「クラウドサイン」は、契約書はもちろんのこと、発注書・発注請書や申込書等の電子化が可能なクラウド型の電子契約サービスです。クラウドサインを導入することで、「紙と印鑑」を「クラウド」に置き換え、契約作業をオンラインだけで完結できます。
当社では電子契約の導入から運用までを網羅した「電子契約の始め方完全ガイド」をご用意しております。「導入の具体的なステップがわからない」「法的に有効な契約方法を知りたい」といった疑問をお持ちの方は、以下のリンクから無料でダウンロードが可能ですので、ご活用ください。
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吸収分割契約書には、会社法上の法定記載事項を漏れなく定めることに加えて、実行前提条件や表明保証などを適切に定めることが重要です。金額の大きな取引であることも踏まえて、締結する前によく内容を確認してください。
吸収分割契約書は、電子契約によって締結することも可能です。電子契約は収入印紙が不要で、業務の効率化にも繋がるので、積極的に導入をご検討ください。
この記事を書いたライター
阿部 由羅
弁護士
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。
