人材紹介業における電子契約の導入メリットを解説

「鉄は熱いうちに打て」という言葉通り、人材ビジネスはスピードが命です。 特に近年、リモートワークの普及やDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れを受け、人材業界でも契約業務の「電子化」が急加速しています。
本記事では、人材紹介業(および人材派遣業)における電子契約の導入メリット、具体的な活用シーン、導入時に必須となる「契約条項の修正ポイント」や法的注意点について、成功事例を交えて徹底解説します。
なお、クラウドサインでは契約書の電子化を検討している方に向けた資料「電子契約の始め方完全ガイド」も用意しています。電子契約を社内導入するための手順やよくある質問をまとめていますので、電子契約サービスの導入を検討している方は以下のリンクからダウンロードしてご活用ください。
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なぜ今、人材業界で「電子契約」が注目されているのか?
これまで、人材ビジネスの契約業務は「紙」が常識でした。しかし、2021年の法改正を機に、その常識は過去のものとなりつつあります。
2021年の法改正による電子化解禁
2021年以前は、労働者派遣法などの規定により、特定の重要書類は「書面(紙)」での交付が義務付けられていました。しかし、2021年1月の労働者派遣法施行規則の改正等により、これまで紙が必須だった書類の多くが、電磁的記録(電子データ)で認められるようになりました。
この規制緩和は、人材派遣だけでなく、人材紹介(職業紹介)を行う企業にとっても大きな追い風となっています。
「法律が変わった」ということは、国としてもデジタル化を後押ししている証拠です。これを受けて、大手人材会社を中心に一気に電子化への移行が進んでいます。今や電子契約は「単なる効率化ツール」ではなく、「選ばれるエージェントになるための必須インフラ」になりつつあるのです。
なお、労働者派遣契約書の電子化解禁の経緯をより詳しく知りたい方は下記記事もご一読ください。
人材紹介業で電子契約を導入する3つのメリット
紙の契約書から電子契約に切り替えることで、現場には次の3つのメリットがあります。
- 契約締結のスピードアップで機会損失を削減
- 郵送費・印紙代・人件費の削減
- コンプライアンス強化とリスク回避
ここでは単なるペーパーレス化にとどまらない、経営上のインパクトをもたらす3つのメリットを解説します。
1. 契約締結のスピードアップで機会損失を削減
ひとつ目のメリットは、契約締結までのリードタイム(所要時間)を大幅に短縮できることです。
【従来の紙フロー】
- 契約書の作成・印刷・製本(袋とじ)
- 上長承認・社判の押印
- 封入・宛名書き・ポスト投函
- 配送(1〜3日)
- 取引先側での開封・回覧・押印
- 返送(1〜3日)
- 受領・ファイリング
このように、紙の契約では完了までに早くて数日、長ければ1週間以上かかることが一般的でした。
【電子契約のフロー】
- 契約書データをアップロード
- メールで送信
- 取引先が同意して完了
電子契約なら、物理的な移動時間はゼロです。早ければ即日、送信から数分〜1時間以内に契約を締結することも可能です。
「急募案件ですぐに人を紹介してほしい」「明日からプロジェクトに入ってほしい」というクライアントの切実なニーズに対し、即座に契約を完了させて業務を開始できるスピード感は、競合他社との差別化要因になります。
>シューペルブリアン株式会社のクラウドサイン導入事例インタビューを読む
2. 郵送費・印紙代・人件費の削減
電子化は、目に見えるコスト(直接経費)と、見えにくいコスト(人件費)の両方を削減します。
- 印紙税の削減: 基本契約書などの「課税文書」を紙で作成すると収入印紙が必要ですが、電子データは課税対象外です。契約件数が多い人材会社にとって、この積み重ねは年間で大きな金額になります。
- 物理コストの削減: 紙代、インク代、封筒代、切手代がすべて不要になります。
- 業務工数(人件費)の削減: 「印刷して、製本テープを貼って、封筒に入れて、切手を貼る」という単純作業がなくなります。また、「契約書が返ってこない」といって電話で催促する管理コストも削減できます。
実際に、電子契約サービス「クラウドサイン」を導入したシューペルブリアン株式会社では、紙契約1件あたり約730円のコスト削減につながったという試算を出しています。これを月間100件の契約がある企業に当てはめると、単純計算でも毎月7万円以上の利益改善に直結します。
3. コンプライアンス強化とリスク回避
「電子データだと、ハッキングや改ざんが怖い」 そう思われる方もいるかもしれません。しかし現代の技術においては、むしろ紙よりも電子の方が安全性・証拠能力が高いと言えます。
- 改ざん防止(真正性の担保): 電子契約サービスでは、「電子署名」と「タイムスタンプ」という技術が使われます。これにより、「誰が」「いつ」その書類を作成・承認したかが記録され、データが改ざんされれば検知できる仕組みになっています。
- 紛失・災害リスクの排除: 紙の契約書は、オフィス移転時の紛失や、火災・水害による焼失リスクがあります。クラウド上に保存される電子契約なら、物理的な消失リスクはありません。
- 検索性の向上: 「3年前のあの企業との契約書、条件はどうなっていたっけ?」という時、紙のバインダーをひっくり返す必要はありません。企業名や日付、契約タイプですぐに検索・閲覧が可能です。これは後述する「電子帳簿保存法」の要件を満たす上でも重要です。
電子契約のメリット・デメリットについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
人材紹介業で電子化できる主な書類一覧
人材業では多種多様な書類を扱いますが、基本的には、企業間取引の契約書はすべて電子化可能です。具体的にどの書類を電子化できるのか、確認しておきましょう。
企業間(BtoB)の契約書類
人材紹介会社と紹介先の企業との間で交わす以下の書類は、電子化によるメリットが大きい領域です。具体的には、大幅なコスト削減が見込めます。
- 人材紹介基本契約書: 紹介手数料の料率や返金規定などを定める基本契約。
- 秘密保持契約書(NDA): 求人情報や候補者情報の取り扱いに関する契約。
- 覚書: 基本契約の内容を一部変更したり、特約を定めたりする場合の書類。
これらの書類は、扱う種類が多いうえに、一定期間ごとに定期的な契約更新の手続きが発生します。これらを紙で運用し続けると、その都度「印刷・製本・郵送・押印・返送待ち」といった一連の煩雑な事務作業が繰り返され、膨大な工数と郵送コストがかかります。
また、企業間で交わす基本契約書などは課税文書にあたるため、紙の書類の場合には収入印紙が必要ですが、電子契約に切り替えることでこれらの印紙代も不要となります。
現状、紙の書類で契約締結しているという企業の方は、この機会に電子契約を導入し、「事務工数」と「金銭的コスト」の両方を削減してみてはいかがでしょうか。

なお、弁護士監修の人材紹介契約書のひな形は、以下のリンクからダウンロードできます。適宜調整したうえでご利用ください。
求職者(BtoC)との書類
候補者(求職者)との間でやり取りする以下の書類も電子化が進んでいます。
- 登録時の同意書: 個人情報の取り扱いやサービス利用規約への同意。
- 労働条件通知書: 仕事の内容や給与条件を伝える書類。
なお、労働条件通知書は法改正により電子メールやSNS等での明示が可能になりましたが、「求職者が希望した場合」に限るというルールがあります。そのため、実務上は事前に求職者に対して「電子交付で良いですか?」という同意を得るフローが必要です。
労働条件通知書の電子化について詳しく知りたい方は下記記事も参考にしてみてください。
人材業における電子契約の成功事例
当社の提供する電子契約サービス「クラウドサイン」を例に、実際に電子契約を導入し、業務変革に成功した企業の事例をご紹介します。 「紙文化」が根強い業界であっても、導入は十分に可能です。
契約締結の迅速化で、スピード重視の顧客ニーズに対応(ランスタッド株式会社)

世界的な総合人材サービス企業であるランスタッド株式会社では、「紹介予定派遣にかかわる基本契約書」や「機密保持契約書」などで電子契約(クラウドサイン)を導入しています。
- 課題: 「すぐに人を派遣・紹介して業務を開始してほしい」という企業のニーズに対し、紙の契約書の往復にかかる時間がボトルネックになっていた。
- 導入効果: 契約締結までの時間が劇的に短縮され、早ければ1時間以内に完了することも。これにより、クライアントのスピード要望に応えつつ、コンプライアンス面でも「契約締結後に業務開始」という原則を徹底できるようになった。 また、在宅勤務中でも契約処理が可能になり、社員の柔軟な働き方にも貢献しています。
▼ランスタッド株式会社の詳しいインタビュー内容はこちら
部署ごとのニーズを見極め効果的な導入。創業60年以上の老舗総合人材サービス企業が電子契約を推進
Salesforce連携で、営業担当者の事務負担を激減(シューペルブリアン株式会社)
人材派遣・紹介を行うシューペルブリアン株式会社では、顧客管理システム(Salesforce)と連携した電子契約を導入しました。
- 課題: 営業担当者が外出先から帰社して契約書を作成・製本・投函しており、本来の営業活動の時間を圧迫していた。また、契約完了まで1週間〜10日かかることもザラだった。
- 導入効果: Salesforce上のボタン一つで契約書を送信できる仕組みを構築。契約完了までの期間が最短で1日未満に短縮されました。 コスト面でも、半年間で約1,300件の送信を行い、郵送費や人件費を含めて月間約15万円の削減効果を見込んでいます。「事務作業が減ったことで、営業担当者の心理的負担が軽くなった」という現場の声も上がっています。
▼シューペルブリアン株式会社の詳しいインタビュー内容はこちら
人材派遣業でも進む契約の電子化。法改正に合わせてクラウドサイン Salesforce版を導入
【実務ガイド】電子契約導入時の注意点と契約書の修正
ここからは、導入に向けて実務担当者が押さえておくべき具体的なステップと注意点を解説します。
1. 契約書の「条項(後文)」を電子契約用に変更する
これが最も実務的なポイントです。 従来の紙の契約書には、末尾(後文)に以下のような文言が入っていたはずです。
× 従来の文言 「本契約の成立を証するため、本書を2通作成し、甲及び乙記名押印の上、各1通を保有する。」
電子契約では紙書類で必要だった「印鑑」を押さないため、この文言そのままだと実態と矛盾してしまいます。そこで、以下のような電子契約用の条項に変更します。
◎ 推奨される変更文言 「本契約の成立を証するため、本書の電磁的記録を作成し、甲及び乙が合意の後、電子署名を施し、各自その電磁的記録を保管する。」
このように「電子署名を施す」「電磁的記録を保管する」という表現に変えることで、法的な整合性が取れ、スムーズに運用できます。
2. 取引先(クライアント)への事前確認と配慮
電子契約は相手(クライアント企業)があって初めて成立します。いきなり送るのではなく、電子契約の利用に関して事前の確認が重要です。
- STEP 1:対応可否の確認 「弊社では契約業務の迅速化のため、電子契約サービス(○○など)を利用しております。電子契約での締結は可能でしょうか?」と確認します。
- STEP 2:電子契約未経験の取引先へのフォロー 相手が電子契約を使ったことがない場合は、サービスの説明資料を送ったり、「メールが届いたらURLをクリックして承認するだけです」と手順を説明したりします。 多くの電子契約サービスは、受信側(クライアント側)はアカウント登録や料金が不要なケースが多いため、その点を伝えると安心してもらえます。
- STEP 3:紙対応の余地を残す どうしても社内規定で「紙とハンコでなければダメ」という企業も存在します。その場合は無理強いせず、柔軟に紙の書類で対応しましょう。
3. 電子帳簿保存法などの法令要件を満たすサービスを選ぶ
電子契約で作成したデータは、「国税関係書類」として保存義務があります。この保存方法には「電子帳簿保存法」という法律で厳しいルールが定められています。
主な保存要件は以下の3つです。
- システム関係書類の備え付け: マニュアル等が常にあること。
- 見読性の確保: ディスプレイ等ですぐに読める状態で保存すること。
- 検索機能の確保: 「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できること。
無料のPDFツール等でただ契約書を作るだけでは、これらの「検索機能」等の要件を満たせず、税務調査の際に問題になるリスクがあります。導入する際は、電子帳簿保存法へ対応しているかどうかを確認し、信頼できる専門サービスを選びましょう。
人材紹介のDXは「契約書の電子化」から始めてみませんか
人材紹介業において、契約業務の遅れは致命的な機会損失になりかねません。 これまで当たり前だと思っていた「印刷・製本・郵送」の手間をなくすだけで、円滑にビジネスが進むようになります。
【本記事のポイント】
- 電子契約はスピード成約、コスト削減、コンプライアンス強化の「三方よし」を実現する。
- 基本契約書やNDAなど、人材ビジネスの主要書類は電子化可能。
- 導入時は、契約書の「後文」を電子契約用に書き換える。
まずは、社内の定型的な契約書(NDAなど)や、電子化に理解のあるクライアントからスモールスタートしてみてはいかがでしょうか。 契約という「守り」を電子化で固めることが、結果として「攻め」の営業活動を加速させるはずです。
なお、クラウドサインは導入社数250万社以上、累計送信件数4000万件超の実績を持つ売上シェアNo.1(※1)の電子契約サービスです。「どのように導入するのが良いかわからない」「社内で承認を得るためにどうしたらいいかわからない」といった導入時によくいただくお悩みを解決するサポートも充実しています。
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ダウンロードする(無料)この記事を書いたライター
弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部
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