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契約実務

ひな形(雛形)とは?ビジネスにおける意味やメリットを一覧表付きで解説

急いで契約書などの書類を作成しなければならないのに、適切な書類の形式を作成するのに時間がかかったり、何をお手本にすれば良いか分からず頭を抱えたりすることはありませんか?そんなときに頼りになるのがひな形(雛形)です。

ひな形はビジネスの現場で求められるスピードと正確性を担保してくれる強力なツールです。適切に活用することで業務効率化にも繋がるため、日頃から準備しておくのがよいでしょう。

本記事では、「ひな形とは何か」という基礎知識から、実務で使う際の注意点、効率的な作成方法までを詳しく解説します。総務や経理などバックオフィス業務に従事している方は改めて確認しておきましょう。

ひな形とは

「ひな形」とは、特定の文書を作成する際の「お手本」や「テンプレート」となる定型的な書式のことです。 ビジネス実務、特に契約実務においては、交渉の「たたき台(ドラフト)」として用いられます。

法務実務においては、メインとなる契約を補完する「覚書(おぼえがき)」や、一方的な約束を記す「誓約書」などもひな形の一種として扱われます。 これらは比較的簡潔な合意や、既存の契約内容の一部変更、あるいは入社時の服務規程遵守などのために作成されます。

ひな形があることで、ビジネスパーソンはゼロから条文を考える必要がなくなります。土台となる形式が決まっているため、あとは個別の案件に応じて数量や納期などの変動要素を調整するだけで、法的に有効な文書を整えることが可能になります。

つまり、ひな形はビジネスの安定性とスピードを支える、極めて重要なツールと言えるのです。

「ひな形」の類語と使い分け

一般的に「ひな形」と同じ意味、あるいは近い意味で使われる言葉には、以下のようなものがあります。

  •  テンプレート(Template): 「ひな形」とほぼ同義で、最も頻繁に使われるカタカナ語です。特にWordやExcelなどの電子ファイル形式で提供される、入力前のベースとなるファイルを指す際によく使われます。
  • フォーマット(Format) :文書の「構成」や「書式」そのものを指すことが多い言葉です。「契約書のフォーマット」といった場合、条項の並び順やレイアウトといった「型」を指すニュアンスが強くなります。
  • 書式(しょしき)・様式(ようしき) :より公的、または事務的な場面で使われる言葉です。「労働条件通知書」のように法律で記載事項が決まっている文書や、社内規定で定められた申請書などに対して「所定の様式(書式)を使う」といった形で用いられます。
  • 叩き台(たたきだい)・ドラフト(Draft) :これらは「ひな形」そのものではなく、ひな形を元に作成した「草案」や「下書き」を指します。契約交渉においては、ひな形に自社の希望条件を入力したものを「叩き台(ドラフト)」として相手に提示し、そこから修正を加えて完成版を目指します。

業務としては、ひな形をダウンロードし、それをベースに「叩き台(ドラフト)」を作成して相手と交渉するのが一般的な流れです。

ビジネスでひな形を活用する3つのメリット

ビジネスにおいてひな形を導入・活用することには、主に以下の3つの大きなメリットがあります。

業務の効率化とスピードアップ

ゼロから条文を作成する手間を大幅に省けます。 数量、単価、納期といった案件ごとに変わる具体的な条件(変動要素)を調整するだけで文書が完成するため、契約締結までのリードタイムを短縮できます。 優秀な人材が事務作業に忙殺されるのを防ぎ、メインの実務に集中できる環境を作れます。

トラブル防止とリスク管理の強化

重要な基本ルールや責任の所在があらかじめ明文化されているため、口約束による「言った・言わない」のトラブルを未然に防げます。 例えば、秘密保持義務や損害賠償の範囲、解約のルールなどを標準化しておくことで、法的リスクを一定水準以下に抑え、自社の権利を確実に守ることが可能になります。

契約品質の平準化(クオリティの維持)

社内で統一されたひな形を使用すれば、誰が担当しても一定の法的有効性を備えた文書を作成できます。 これにより、担当者ごとの知識の差によるリスクのバラつきがなくなり、法務部門によるチェックの負担も軽減されます。

このように、ひな形は単なる「時短ツール」ではなく、企業のガバナンス(統治)を強化し、健全な取引関係を築くための基盤となります。

【カテゴリ別】よく使われるビジネス文書のひな形一覧表

ビジネスシーンで頻繁に利用される主なひな形をカテゴリごとに一覧表にまとめました。各文書の役割を正しく理解し、適切なテンプレートを選択しましょう。

なお、一覧表には当社の運営するクラウドサインブログの関連記事も記載しています。あわせて関連記事をご一読いただければ、各ひな形を作成するポイントや注意点も確認できます。

また、各記事内にひな形のダウンロードフォーム(無料)の紹介も含まれているため、ひな形を探している方はぜひダウンロードしてみてください。

【ビジネス文書のひな形一覧表】

カテゴリ 文書名 主な役割・特徴 参考記事(クラウドサインブログ)
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販売店契約とは異なり、代理店は売買の当事者になりません。
代理店契約とは?販売店契約との違いや主な記載事項などを解説
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株主総会議事録とは?記載事項・作成手順・閲覧謄写請求への対応を解説
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競業避止義務なども定めます。
事業譲渡契約書とは?記載項目や契約締結時の注意点を解説
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受け入れたことを証明する書類です。
検収書とは?発行目的や書き方を解説
覚書・誓約書 契約の補完や変更、一方的な約束(入社時の服務規程遵守など)に用います。 覚書テンプレート完全ガイド / 誓約書とは?

ひな形の書式や項目は、特定の法律(民法、取適法、建設業法、労働基準法など)の規制を受ける場合があるため、適切なひな形を選ぶことが重要です。そもそも契約を締結することの意味や重要なポイントを確認したい方は下記記事もご一読ください。

ひな形をそのまま使うリスクと作成時の注意点

ビジネスシーンですぐに使うことができるひな形ですが、インターネット上で入手したものを内容の検討なしにそのまま流用することには大きなリスクが伴います。主なリスクとして次の3点が挙げられるため、それぞれ詳しく確認しておきましょう。

  • 取引実態との不一致
  • 法改正への対応漏れ
  • 法的効力への誤解

取引実態との不一致

ひな形はあくまで「標準的」な最大公約数的な内容です。 実際の案件ごとに、知的財産の帰属先や特約事項、損害賠償の制限など、個別のリスクは異なります。 案件に合わせて適切に調整(カスタマイズ)しなければ、自社に不当に不利益な条件で契約を結んでしまう恐れがあります。

法改正への対応漏れ

法令は頻繁にアップデートされます。例えば、2024年4月には「労働条件明示ルール」が改正され、就業場所や業務の変更範囲などの明示が新たに追加されました。 古いひな形を使い続けると、現在の法律に適合せず、罰則を受けたり企業の信用を損なったりするリスクがあります。

法的効力への誤解

「覚書」や「誓約書」というタイトルであっても、内容が当事者間の合意であれば、法的には「契約書」と同じ効力を持ちます。

軽い気持ちで署名・押印せず、義務の内容が具体的で明確か、公序良俗に反していないかを慎重に確認しましょう。 取引金額が大きい場合などは、弁護士等の専門家に相談し、ひな形をレビューしてもらうのが最も安全です。

ひな形作成後の締結・管理業務は電子契約利用がおすすめ

「苦労して適切なひな形を選び、契約書を作成した後、それを印刷して製本し、収入印紙を貼ってポストへ投函する…」といったアナログな作業に時間を取られていませんか?

作成したひな形を最大限に活かすなら、締結・管理業務には「電子契約」の利用が強く推奨されます。その理由は、コスト、スピード、管理のすべての面で従来の紙の契約の非効率から解放されるメリットがあるからです。

収入印紙代や郵送費を「0円」にできる

最大のメリットはコスト削減です。紙の契約書の場合、契約金額に応じて「収入印紙」を貼る必要がありますが、電子契約で作成されたデータは印紙税法上の課税文書に該当しないため、収入印紙が一切不要になります。

特に、建設工事請負契約や不動産売買契約、金銭消費貸借契約など、金額が大きくなりがちな契約では、印紙代だけで数万円〜数十万円の節約になることも珍しくありません,。もちろん、印刷代、封筒代、郵送費もゼロになります。

契約締結までのスピードが劇的に向上する

電子契約なら、ひな形に入力してアップロードし、相手方のメールアドレスに送信するだけで手続きが完了します。 紙の契約書で必須だった「印刷・製本・押印・郵送」という物理的な作業がすべてなくなるため、これまで1〜2週間かかっていた契約締結が、最短数分〜即日で完了します。急ぎの案件や、月末の処理でも焦る必要がなくなります。

また、インターネット環境があればどこでも対応できるため、リモートワークとの相性も抜群です。

保管・管理が容易でコンプライアンスも強化

締結後の契約書はクラウド上で一元管理されます。紙の契約書のように物理的な保管スペース(キャビネットや倉庫)を確保する必要はありません。

また、「契約書名」「取引先名」「締結日」などのキーワードで検索すれば、必要な書類を瞬時に取り出せます。

さらに、電子署名とタイムスタンプにより「いつ・誰が・何を契約したか」が改ざん不可能な状態で記録されるため、コンプライアンス(法令遵守)やセキュリティの観点でも紙より安全性が高いと言えます。

ひな形を使って効率的に文書を作成した後は、ぜひ電子契約でスマートに締結まで完了させましょう。

なお、クラウドサインではこれから電子契約サービスを比較検討する方に向けて「電子契約の始め方完全ガイド」をご用意しています。「電子契約を社内導入するための手順」や「クラウドサインの利用手順」「よくあるご質問」など、導入前に知っておきたい情報を網羅して解説しているため、導入検討時に抱いている疑問や不安を解消することが可能です。下記リンクから無料でご入手できますので、ぜひご活用ください。

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まとめ:ひな形を賢く活用しビジネス文書業務を最適化しよう

ビジネスにおいて「ひな形(テンプレート)」は、契約書に限らず、議事録や通知書、発注書といったあらゆる文書作成のスピードを加速させ、法的なミスを防ぐための強力な武器です。 ゼロから文面を考える労力を削減できるだけでなく、文書の品質を一定に保ち、企業としての信頼性やガバナンスを強化する役割も果たします。
ただし、ひな形はあくまで「標準的なモデル」です。以下のポイントを意識して活用することが重要です。

  • 常に最新版を利用する: 法改正(民法、労働基準法、建設業法など)に対応した、信頼できるソースのひな形を選びましょう。
  • 実態に合わせてカスタマイズする: 取引の具体的な内容や個別のリスクに合わせて、条文や記載項目を調整することを恐れないでください。
  • 専門家の力を借りる: 重要な契約や複雑な案件では、弁護士などの専門家に最終チェックを依頼するのが安全です。

電子契約サービス「クラウドサイン」では「契約書公式テンプレート(ひな形)一覧」で、弁護士監修の契約書をはじめ、議事録や通知書など実務ですぐに使えるひな形を無料で公開しています。ぜひこれらをダウンロードして、ビジネスの効率化とリスク管理にお役立てください。

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この記事の監修者

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阿部 由羅

弁護士

ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。

この記事を書いたライター

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弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部

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