電子契約のメリットとデメリット|導入前に知っておきたいポイントや注意点も解説

業務効率化の手段として普及が進む「電子契約」。導入を検討する際、経営層や関係部署を説得するためには、「便利になる」という抽象的な説明だけでは不十分です。「具体的にいくらコストが下がるのか」「業務フローはどう変わるのか」「リスクはどう回避するのか」といった、定量的なメリットと具体的な解決策を提示する必要があります。
本記事では、電子契約の導入メリットをコスト試算例とともに解説し、よくある懸念点(デメリット)への解決策まで網羅的に説明します。
なお、電子契約の仕組みについて知りたい方へ「電子署名とは何か」「法的効力はあるのか」といった基礎知識については、「電子契約とは?仕組みと導入のメリットや注意点をわかりやすく解説」の記事で詳しく解説しています。より簡単に電子契約について知りたい方は以下の資料をダウンロードしてご活用ください。
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電子契約導入で得られる「定量的」な3つのメリット
電子契約のメリットとしてよく挙げられる「ペーパーレス化」や「業務効率化」を、より具体的な数値や削減効果として分解すると、主に以下の3点に集約されます。

1. 印紙税・郵送代のコスト削減(事例付き)
最大の定量的メリットは、「収入印紙代」と「郵送コスト」の削減です。
印紙税法では、「紙の書面に契約内容を記載して相手方に交付した時」に納税義務が発生すると規定されています(印紙税法第2条および第3条)。電子データとして締結される電子契約は課税文書に該当しないため、印紙税は不要になります。
【コスト削減の試算例】
たとえば、毎月100件の工事請負契約(1契約あたり300万円〜500万円)を締結している企業の場合は以下のように試算ができます。
- 収入印紙代: 2,000円 × 100件 = 200,000円
- 郵送代(往復): 約1,000円(レターパック等) × 100件 = 100,000円
- 合計削減額: 月間30万円(年間360万円)
実際に、クラウドサインを導入したタマホーム株式会社様では、年間約8,000万〜9,000万円もの収入印紙代の削減効果を見込んで導入を決定されています。
2. 契約締結リードタイムの短縮
紙の契約書の場合、製本・押印・郵送・返送待ちといった物理的なプロセスが発生するため、締結完了までに通常1週間〜2週間程度を要します。
電子契約では、クラウド上で契約書をアップロードし、相手方がクリックして同意するだけで締結が完了します。郵送のタイムラグがなくなるため、早ければ「送信から数分後」に契約締結も可能です。
【リードタイム短縮のビジネスメリット】
- 売上の早期計上
契約締結の遅れによる案件開始の遅延を防げます。 - 採用競争力の強化
雇用契約書を即日送付・締結できるため、内定辞退のリスクを減らせます。 - フリーランス・委託先との連携
スムーズに業務を開始でき、月末の契約処理に追われることがなくなります。
3. 検索・監査対応の効率化と保管スペースの削減
電子契約で締結されたデータは、クラウド上で一元管理されます。電子帳簿保存法の検索要件である「契約相手の社名」「契約締結日」「金額」などの項目で瞬時に検索・閲覧が可能になります。
【管理面のメリット】
- 倉庫コストの削減
7年〜10年の保管義務がある契約書を物理的に保管するためのキャビネットや、外部倉庫の保管料が不要になります。 - 監査対応の迅速化
税務調査や会計監査の際、必要な契約書をダンボールや倉庫から探し出す必要がなく、画面上ですぐに提示できます。 - 更新漏れの防止
契約終了日のアラート設定などにより、意図しない契約終了や自動更新を防ぐ管理体制が構築できます。
電子契約の導入効果シミュレーション
前述した3つのメリット(印紙・郵送代削減、リードタイム短縮、保管コスト削減)が、実際に自社の数字に置き換えるとどの程度のインパクトになるのか、モデルケースを用いて試算してみましょう。
「見えるコスト」の削減効果(印紙・郵送代)
まずは、直接的な経費として計上される「印紙代」と「郵送代」の削減額です。月間の紙書類による契約締結数に応じた削減目安は以下の通りです。
| 月間契約締結数 | 印紙代削減額 (A) ※平均2,000円/件と仮定 |
郵送・作業費削減額 (B) ※平均1,000円/件と仮定 |
月間削減効果 (A+B) |
年間削減効果 |
| 50件 | 100,000円 | 50,000円 | 150,000円 | 180万円 |
| 100件 | 200,000円 | 100,000円 | 300,000円 | 360万円 |
| 500件 | 1,000,000円 | 500,000円 | 1,500,000円 | 1,800万円 |
なお、契約数が少ない企業で「うちは月に10件ほどしか契約書がない」という小規模なケースでも、電子契約導入によるメリットは十分に見込めます。
たとえば月10件の場合、印紙代と郵送費だけで「月間約3万円(年間36万円)」の削減になります。これは一般的な電子契約サービスの月額利用料(1万円〜)を差し引いても、年間で20万円以上のプラスになる計算です。 契約数が少なくても、しっかりと「コスト削減による黒字化」を達成できるのが電子契約の特徴です。
隠れコスト(人件費・管理費)の削減効果
金銭的なコスト以上にインパクトが大きいのが、印刷・製本・郵送手配・ファイリングといった「アナログ作業にかかる隠れコスト(人件費)」の削減です。
紙と電子では1件あたりの作業時間に以下の差が生まれます。
※当社試算モデルによる目安(時給2,000円換算の場合、1件あたり約1,000円以上の人件費削減に相当)
| アナログ作業の工程 | 紙の契約書(想定) | 電子契約(想定) | 1件あたりの削減時間 |
| 締結準備
(印刷・製本・押印・封入・投函) |
25分 / 件 | 3分 / 件
(アップロード・送信) |
▲ 22分 |
| 管理・保管
(台帳記入・ファイリング・検索) |
10分 / 件 | 0分 / 件
(自動保存・検索) |
▲ 10分 |
| 合計 | 35分 / 件 | 3分 / 件 | ▲ 32分 |
試算のまとめ
月間100件の契約業務がある企業の場合、電子化によって「月間30万円の経費削減」に加え、「月間約53時間(約6.5営業日分)の業務時間削減」が実現可能です。
これだけのコストと時間を削減できる一方で、導入にはいくつかの「乗り越えるべきハードル(デメリット)」も存在します。次章では、そのデメリットと具体的な解決策について解説します。
導入前に知っておくべきデメリットと「解決策」
電子契約には多くのメリットがある一方で、導入時にハードルとなる「デメリット」も存在します。しかし、これらは適切なツール選びや運用フローの構築によって解決可能です。
1. 取引先の理解・同意が必要(※法改正により緩和傾向)
かつては、契約書や発注書を電子化する際に「相手方の事前承諾」が厳格に求められていました。しかし、2026年施行の「取引適正化法(取適法)」により、発注書(4条書面 ※旧3条書面)などの交付については、以前のような厳格な承諾取得が不要となる(または一定条件下で電子交付が可能になる)など、デジタル化のハードルは大きく下がっています。
とはいえ、双方が署名を行う「契約書」においては、相手方にもクラウドサイン上で同意ボタンを押してもらう必要があるため、「相手方が電子契約での締結を嫌がるのではないか」「電子契約を問題なく操作できるか」といった懸念や、相手方が拒否する場合は紙での運用が必要になるといった課題は依然として残ります。
【解決策:認知度の高いサービスを選ぶ】
取引先の理解を得るための解決策として、導入企業数が多い「デファクトスタンダード(事実上の業界標準)」なサービスを選ぶことで、説明コストを大幅に下げられます。
たとえば、国内売上シェアNo.1(※1)のクラウドサインであれば、「クラウドサインですね、使ったことがあります」とスムーズに受け入れられるケースが増えています。
※1:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2025年版」(電子契約ツールベンダーシェア、2024年度実績)
2. 社内業務フローの変更が必要
これまでの「印刷→製本→上長承認(ハンコ)→郵送」というフローがなくなるため、社内の承認ルールや規定を変更する必要があります。特に、「ハンコをなくすこと」への抵抗感が社内に根強い場合、調整に時間がかかることがあります。
【解決策:既存の承認ルートをシステムで再現する】
電子契約サービスの多くは、社内の承認ワークフロー機能を備えています。
社内調整の際には「部長→法務部長→社長」といった既存の決裁ルートをそのままシステム上で再現することになるので、「ハンコという道具が電子署名に変わるだけで、承認プロセス自体は変わらない」と説明すれば、社内の理解を得やすくなります。
また、社内規程の改定については、「電子署名管理規程」のひな形などを参考に整備を進めるのが近道です。
3. 電子化できない契約書がある
法改正によりほとんどの契約書が電子化可能になりましたが、「農地の賃貸借契約(農地法)」では現在も書面での作成が義務付けられています。
また、「事業用定期借地権設定契約」などの公正証書化が義務付けられている契約については、2025年10月の法改正により電子的な作成(電子公正証書)が可能になりましたが、クラウドサイン等の民間サービスだけで完結せず、公証役場との連携手続きが必要になる点に注意が必要です。
【解決策:電子化可能な範囲を把握する】
「全ての契約を一気に電子化する」のではなく、「まずは秘密保持契約書(NDA)や注文書から始める」といったスモールスタートが推奨されます。以下の記事も参考にしながら、対象範囲を明確にしておきましょう。
クラウドサインならではのメリット
数ある電子契約サービスの中で、なぜ多くの企業がクラウドサインを選ぶのでしょうか。他社サービスと比較した際の、独自のメリットを解説します。
弁護士ドットコムが運営する安心感と適法性
クラウドサインは、弁護士が創業した弁護士ドットコム株式会社が運営しており、日本の法律に特化した事業展開を行っています 。サービスは弁護士の監修のもと設計されており、電子署名法や電子帳簿保存法などの関連法令に準拠しています 。
また、産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」を利用し、日本の電子契約サービスとして初めて、主務官庁(総務省・法務省・経済産業省)より「電子署名法上の電子署名に該当する」との公式見解を取得しています 。
このように法的な裏付けが明確であるため、コンプライアンスを重視する大手企業や官公庁・自治体にも多数導入されています。
売上シェアNo.1(※1)の実績による「相手方の受け入れやすさ」
電子契約は「相手がいる」仕組みである以上、相手方が使いやすいかどうかが重要です。
クラウドサインは、売上シェアNo.1(※1)、市場認知度No.1(※2)の実績を持つ電子契約サービスです。 導入社数は250万社以上、累計送信件数は3000万件超に達しており、多くの企業が既にクラウドサインのアカウントを持っている、あるいは受信経験があるでしょう。
また、導入自治体数もNo.1(※3)であり、民間企業だけでなく官公庁・自治体でも標準的に利用されています。そのため、取引先に「クラウドサインで送ります」と伝えるだけで手続きがスムーズに進みます。
※1:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2025年版」(電子契約ツールベンダーシェア、2024年度実績)、※2:株式会社マクロミル(委託調査)、電子契約サービスを利用している20~59歳の男女1,034名を対象にインターネット調査を実施(調査期間:2024年1月26日~1月28日)、※3:全国の自治体が公開している公募・入札・プロポーザル情報から有償契約後導入が決定している自治体数を自社調査で比較。2025年8月1日時点調べ。
まとめ:メリットを最大化し、スムーズに導入するために
電子契約の導入は、印紙税や郵送代といった「目に見えるコスト」だけでなく、契約スピードの向上や管理業務の効率化といった「ビジネススピードの加速」にも大きく貢献します。
導入に際しては、社内ルールの変更や取引先への説明といったハードルもありますが、「認知度の高いサービスを選ぶ」「既存フローを再現できる機能を使う」ことで、スムーズな移行が可能です。
まずは、自社で最も頻繁に締結している契約書(NDA、発注書、雇用契約書など)から、試験的に電子化を始めてみてはいかがでしょうか。
なお、「具体的な料金プランを知りたい」「セキュリティ体制について社内で確認したい」「他社サービスと比較したい」とお考えの方に向けて、Webサイトだけではお伝えしきれない詳細情報をまとめた「クラウドサイン サービス説明資料」をご用意しました。
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ダウンロードする(無料)この記事を書いたライター
弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部
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