卸売業・小売業

工事請負契約の9割を電子化し、年間2200時間以上の業務削減。業務システムとのAPI連携も効果大

  • 2022年9月26日(月)

キヤノンシステムアンドサポート株式会社
バリューアドサービス推進本部 バリューアドサービス推進部
ファシリティ推進課 福崎和彦様
ITソリューション推進本部 ビジネスアプリケーション推進部
ビジネスアプリケーション推進課 西田紀子様

 

キヤノングループの一員として、自社製品の複合機、プリンターをはじめとするビジネス機器や、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークインフラ構築などのITソリューションの販売とその運用・保守サービスの事業を展開するキヤノンシステムアンドサポート。電子契約導入の先駆けとなったのは、販売する機器や什器の設置に伴うオフィスの内装や配線の工事、オフィス移転サポートなどを手掛ける部署でした。同社においては、数多ある部署のうちの一部署で締結する「工事請負契約」というたったひとつの契約類型の電子化というスモールスタートと言えますが、効果は絶大。社内システムとも連携させることで、年間2200時間分もの業務工数の削減を実現しました。

契約の大幅増に向け、手作業から電子化へ

電子契約サービスの導入を検討することになったきっかけを教えてください。

福崎様

一番のきっかけは、当社内で工事請負契約書を作成するときの社内ルールが変わったことです。当社が作業を請け負う際、施主であるお客様と実際に作業を行う下請け企業との間で、一定の基準をもとに工事に該当するか否かの判断を行い工事請負契約の締結をしていたのですが、その判断基準をより厳しく変更したことにより、契約業務が大幅に増えることになったんです。

もともとは紙で契約書を作成していたため、手間と時間がかかる上、情報の転記ミスなども少なくありませんでした。作成する契約書の数が増えると印紙代などのコストもかさみます。また、契約書は営業スタッフが担当するお客様を訪問して手渡しするのが基本でしたから、お客様先に持って行き、必要事項のご記入とご押印をいただいたら再び受け取りに行く、というところで往復の移動時間も交通費もかかります。地域によっては移動だけで半日かかることもあり、目に見えにくい莫大な人件費がかかっていました。そこでさらに契約件数が増えることを考えると、アナログな手作業でやっていては間に合わず、電子契約サービスを導入せざるを得ないと考えました。

西田様

契約件数が増えると、当然ながら紙の契約書を保管するための場所やキャビネットもさらに増やさなければならず、その分コストアップになります。また、工事請負契約は建設業法によって書面または一定の要件を満たした電子契約で締結することが義務付けられており、工事着工前の契約締結が不可欠です。電子契約なら着工前に素早く確実に締結できるので、効果は大きいだろうと思いました。

ITソリューション推進本部 ビジネスアプリケーション推進部 ビジネスアプリケーション推進課 西田紀子様

電子契約サービスにクラウドサインを選んだポイントはどこにありましたか。

西田様

国内の法律事情に精通している弁護士ドットコムが運営していて、導入当時、すでに国土交通省のお墨付きがあったという信頼性の高さが1つです。他社サービスとも比較しましたが、そのなかでもクラウドサインは視覚的にわかりやすく、操作・運用が簡単であることが決め手になりました。

業務システムとのAPI連携で契約業務がスムーズに

クラウドサインは現在工事請負契約で利用されているようですが、どのようなフローで運用されていますか。

福崎様

工事が必要な案件が発生したときは、まず営業スタッフが業務システムに受注した内容を入力し、工事案件を受け持つファシリティ推進課の担当者に共有します。共有を受けたファシリティ推進課の担当者は、入力された情報をもとに工事請負契約書を作成し、営業担当者に内容の最終確認を行います。お客様にはあらかじめ当社が作成した電子契約についての説明資料をお送りしていますので、契約内容に問題がなければクラウドサインでお客様に送信して締結する流れです。契約の締結が完了した際は、担当営業を含め関係者各位に通知が飛ぶよう設定しています。改めて連絡し合う手間もなくスムーズに次のステップに移ることができます。

そうした運用を決めるうえで工夫した点、社内普及を進めていくなかで苦労したことはあるでしょうか。

福崎様

営業スタッフへの周知、徹底が難しかったですね。1人の担当者が工事案件に携わることは年に数件程です。その数件しかない契約業務を電子化するために、これまでとは異なる手順を覚えてもらうことが必要になりますが、まずは電子契約の存在を認知してもらうことに苦戦しました。

そのため、社内で勉強会を開催しましたし、eラーニングにもカリキュラムとして追加して学んでもらえるようにしました。いろいろと工夫しながら社内普及に努めてきましたが、電子契約ではなく紙のままがいい、というようなネガティブな意見はありませんでした。むしろお客様へ訪問するときの移動時間がなくなるのでありがたい、という声の方が多かったと思います。

業務削減の効果は年間2240時間、契約件数3倍も人員は変わらず

現在の電子化率はどのくらいでしょう。

福崎様

工事請負契約の電子化率は、すでに90%に上っています。工事を委託する協力会社は数十社にのぼりますが、そのほぼすべてにクラウドサインで締結いただいています。最初はもちろん数%からのスタートでしたが、2022年になってから大幅に電子化率が上がりました。

ここまで電子化率を向上できたのは、説明資料を協力会社の方にもお渡しするようにしたことで電子契約についての理解が進んだことが大きかったのではないかと思います。また、当社の営業スタッフにおいても電子契約の理解が深まり、自分の言葉でお客様にしっかり説明できるようになったことも理由の一つと考えます。

導入の効果を実感するところはありますか。

福崎様

報告書によりますと、契約書作成に関連する業務を年間540時間削減できました。また、営業スタッフにおいては、紙の契約書を持参・回収するための移動時間を含め、年間1700時間削減できたとのことです。合わせると年間で2240時間分もの効率化を実現したことになります。

クラウドサインの導入前や導入直後は、業務システムに入力された情報を手作業で転記して契約書を作成していたのでミスも多かったのですが、クラウドサインとAPI連携して転記を自動化してからはミスがなくなりましたし、契約書作成にかかる時間は10分の1ほどに短縮されました。ですので、基準が変わった影響で契約件数が一気に2.5倍ほどまで増えたにもかかわらず、現在も以前と変わらない人員数でその件数をこなせています。また、作成者にとっては転記ミス、契約遅れがあってはならないという精神的なプレッシャーから開放されたのも、クラウドサイン導入の大きな効果だと思います。

バリューアドサービス推進部 ファシリティ推進課 福崎和彦様

今後、クラウドサインの活用をどのように広げていきたいと考えていますか。

福崎様

工事請負契約については大部分が電子化できたので達成感はあるのですが、さらに他の部署が担当している保守契約やメンテナンスに関わる契約、確認書などでもクラウドサインの利用検討が進んでいると聞いています。当社は中小企業のお客様を中心に直販していることもあり顧客の数としては多いですから、業務効率化を図ることが出来る電子化のメリットを最大限に活かせるのではないかと考えています。

最後に、これからクラウドサインを活用していこうと考えている企業に向けてメッセージをいただければ。

西田様

クラウドサインは作りがシンプルなので、とても操作が簡単だと思います。社内の業務効率化に向けて、まずは試してみてはいかがでしょうか。

福崎様

当社では導入した後で不満を言う社員はいませんでしたし、今後は電子契約がメインになるのは間違いないかと思います。業務効率化のために、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

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