情報・通信業

クラウドサインの導入支援により、セキュリティ基準を守りながら電子契約の利便性を損なわない運用を実現した事例

  • 2023年9月6日(水)

東日本電信電話株式会社 ビジネス開発本部 CXビジネス部 
業務DXサービス担当 担当課長 篠田諭様
業務DXサービス担当 チーフ 横塚浩章様
業務DXサービス担当 松尾彩香様

 

東日本地域の通信インフラを担うNTT東日本。言わずと知れた日本を代表する企業においても、ここ数年のコロナ禍における業務のデジタル化は急務でした。全社でテレワークを推奨する流れから、課題のひとつとして挙がったのは紙のままだった「契約書」。年間数万件にも及ぶ大量の契約業務をいかに効率化するかも悩みでした。

電子化にあたっては「契約相手となる取引先の負担が少ないこと」「高い社内セキュリティ基準を満たしていること」といった条件も不可欠。結果的に選択したクラウドサインは、同社の業務にどのような影響をもたらしたのでしょうか。

時間と場所にとらわれない働き方を目指し、相手方の負担が少ないクラウドサインを選択

電子契約サービスの導入を検討することになったきっかけを教えてください。

篠田様
コロナ禍になり、NTTグループ全体で新たな経営スタイルへの変革に向けて、社員の働き方はリモートワークを基本とし、時間と場所にとらわれない働き方を目指すことになったことが、一番の大きなきっかけです。この取り組みの中で、オフィスワーカーのリモートワーク率50%を目標に設定し、全社的にリモートワークを推進していくことになりました。紙の契約書ですと製本や押印、相手方への送付や受領の必要があるので、契約業務のためだけに出社が必要になり目標を達成できません。

そこでクラウドサインを選択された決め手は何でしたか。

篠田様
以前から当事者型の電子契約サービスは一部で利用していましたが、相手側に事前に情報登録していただいたり、電子証明書を用意していただいたりする必要があって社内浸透は十分に進んでいませんでした。そこで、改めてNTT東日本として「最適な電子契約サービスは何か」という観点で選定基準を設け、各社の立会人型(事業者署名型)のサービスを比較しました。

そのなかでもクラウドサインは「国内シェアが大きく利用者が多いこと」「取引先側にてユーザー登録が必須ではなく費用も発生しないなど負担が少ないこと」「セキュリティが高くタイムスタンプなどによる文書の真正性もしっかり担保されていること」といった点がメリットでした。また、導入にあたって手厚くサポートいただけるところも大きな決め手の1つでした。

たとえば導入時にはどんなサポートがありましたか。

篠田様
既存業務のなかに電子契約をどう組み込むのか、というところから支援してもらえました。運用方法においても、承認ルートの決め方のほか、社外で利用するときに契約内容を第三者に閲覧されないようにするセキュリティ対策なども検討してもらいました。

NTTグループの高いセキュリティ基準を守りつつも、利便性を損なわずに使える方法をアドバイスしてもらえたことで、無事業務に電子契約のフローを乗せることができて助かりました。

また、社内向けのマニュアルを用意する際には、本社・支店を含め全国に大勢いる社員にわかりやすい内容になるよう支援してもらえたことで、しっかり運用をスタートして軌道に乗せることができたと思います。

最初の一歩を踏み出したことで、電子契約の利便性が自然発生的に広まった

社内にはどのように活用を推進していったのでしょうか。

篠田様
全社周知を行うとともに、各県域や部署ごとに説明会も何度か実施しました。本社が「感染防止のためにも出社を控え、積極的に電子契約を使いましょう」という旗振りをしたこともあり、オフィスワークが中心の部署では一時は出社率が最大で1割になり、他の9割がテレワークしているというような状況にもなりました。

当初は従来の紙の契約書への慣れと、「本当に電子契約にして大丈夫なのか、先方にも対応してもらえるのか」といった不安があったためか、電子契約の利用は伸び悩んでいました。特に最初の一歩を踏み出しにくいところがあったようです。

ただ、一部の社員がその第一歩を踏み出して、思っていたよりずっと簡単に使えることが部署内に伝わると、そこから他の人にも口コミといいますか、自然発生的に広がっていきました。

松尾様
契約業務を担当する私は、クラウドサインを使わない限りちょっとしたことでも出社しなければいけないなど、効率面でデメリットが大きいことが利用し始めるきっかけになりました。

紙の契約書を扱うことで余計にかかる手間や時間を考えると、電子契約サービスの使い方を学ぶことが業務の効率化にもつながると思い、ぜひとも活用しなければという気持ちになりました。

御社は全国にたくさんの拠点があります。周知していくのは大変だったのではないかと思うのですが。

横塚様
実は今回の電子契約に限らず、弊社にはコロナ以前から全国の拠点に新しいルールやシステムを導入する際に、電話会議などで周知する文化がありました。

そのため、まずは全国の各県域の担当者にオンラインで周知し、そこからさらに各県域の中で広めてもらうというようにすることできました。実務上のメリットも大きかったことから今までと同じような流れでも、かなり早期に展開していくことができました。

篠田様
また、当社では弁護士ドットコム社とパートナーシップを組み「クラウドサイン for おまかせ はたラクサポート」という企業様・自治体様向けに導入・運用支援を強化した電子契約サービスも提供しています。

当然ながら、全国の支店の人たちも含め自分たちで実際にクラウドサインを使ってみないと、お客様に提案するときにもサービスの良さを伝えられません。お客様により良い提案ができるように自分たちでも使っていこうという気持ちから利用が広がっていったところもあると考えています。

契約締結のスピードアップでビジネスのスタートが迅速に

クラウドサインはどのような用途で利用していますか

横塚様
業務委託契約や秘密保持契約などで利用しており、現在のところNTT東日本全体で月間1,000件超を電子契約で締結しています。最近は取締役会議事録でも活用しているところです。

篠田様
少なくとも我々のいる本社では紙の契約書を製本しているのを見かけることはほとんどなくなっています。支店などの現場組織ではまだ「第一歩」を踏み出せていないところもありますが、肌感では契約書の電子化率は相当程度の割合になっているかと思います。

電子化による目に見える効果はありましたか。

篠田様
現在、1年間の電子契約の件数はおよそ1万5,000件ありますので、郵送費用や社員の稼働時間などから考えて、年間数百万円程度のコスト削減や業務効率化の効果があるものと見ています。

また、以前は契約締結に平均10日間はかかっていたところ、クラウドサインの導入により1~2日で完了するというリードタイムのスピードアップにもつながっています。

締結を急ぐことが多い秘密保持契約には特に効果を実感しますね。秘密保持契約を締結してから初めて具体的なビジネスの話ができるようになりますから、その前段階のリードタイムが短くなって「ありがたい」という声をお客様からいただいたこともあります。

松尾様
もう時間がなくて紙契約だと間に合わないけれど、電子契約ならギリギリ間に合う、というケースもあって、そういった時には電子契約が使える環境があって良かったなと思います。私自身、以前はわざわざ契約書を紙で印刷するために出社していましたが、クラウドサインでその作業がなくなり、社内の業務効率向上や在宅勤務が一気に進んだことを実感しているところです。

導入後、社内からはどんな反応がありましたか。

篠田様
お子様をもつ社員や体調に不安がある社員が、出社を控えることができ、リモート対応しやすくなったということで好評です。一度クラウドサインの便利さを経験してしまうと、従来の紙の契約書に戻りたいと考える人はいませんね。

横塚様
当社は全国にたくさんの拠点がありますが、契約書への押印が可能な拠点は限られています。電子化によって押印が不要になり、押印のために別の拠点に行くという物理的な移動が省けるようになった、という社員の話も聞いています。

法人だけでなく個人との契約でも電子契約の利用を検討

今後クラウドサインの活用をどのように広げていこうと考えていますか。

篠田様
社内からは、法人だけでなく個人のお客様と契約書や証書を交わすときにもクラウドサインを使えないか、という相談がきています。我々としても、企業様との間でクラウドサインを活用したことで、その効果は非常に大きいものだと感じていますので、検討を進めていきたいと思います。NTTグループ各社での利用はもちろん、お客様との間での利用もますます活発化させながら、広く波及効果を生み出していきたいですね。

横塚様
クラウドサインの導入は、場所に縛られることなく仕事できる環境の実現に向けた大きな1歩になったと思っています。今後は社内システムとAPI連携することによって、契約書に加え請求書など他の書類も含めて電子化することが考えられますし、そうなれば自社と相手方の双方の業務効率向上とスピードアップに極めて大きな効果が得られるはずです。

すでに当社では契約以外の業務でも紙は原則廃止し、すべての業務をデジタルで対応できるようにしています。ただ、既存業務をデジタルに置き換えるだけでは業務効率の向上には結びつきません。そのためにも、一度デジタルを前提とした業務に見直したうえで各種ツールを導入し、本当の意味でのDXを実現していきたいと考えています。

最後に、これからクラウドサインを活用したいと考えている企業に向けてメッセージをお願いします。

篠田様
クラウドサインは一度経験すれば、以前の紙を使った業務に戻れなくなるほどメリットや効果を実感できます。ただ、いきなり全社に展開するのはハードルが高く感じられることもあるでしょうから、まずは身近にある小さな書類から試してみることをおすすめします。

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