株式会社メディカルシステムネットワーク
管理本部 総務部 担当部長 小倉応胤様
管理本部 総務部 村上和壽様
北海道に本拠を置き、「なの花薬局」などの名称で全国に400店舗以上の薬局を運営しているメディカルシステムネットワーク。「業務が効率化されること」「コストが削減されること」「経営に役立つノウハウを得られること」がメリットであるサービスを提供している医薬品ネットワーク事業では、全国の薬局の経営支援に力を入れているほか、グループ会社では処方箋をLINEで送ることで薬局での待ち時間をなくすICTサービスを展開するなど、デジタルへの取り組みにも積極的です。そんな同社では、医薬品ネットワークの加盟店が急激に伸び続けていることから契約の電子化を検討。クラウドサインを選択し、今では他の事業やグループ会社の業務にも活用を広げています。
拡大し続ける事業にアナログな押印対応が限界、管理を容易にするため電子契約を活用したデジタル化へ
電子契約サービスの導入を検討することになったきっかけ、経緯を教えてください。
小倉様
私が所属する総務部では、医薬品ネットワーク事業における加盟店が日々増え続け、契約書の管理業務が増えていくなかで、課題を感じ始めていました。最初は、管理業務を効率的に行えるシステムが何かないか、という目線で考えていました。しかし、新しいシステムを入れるとしても、あらかじめ関係部署との調整が必要になるのでシステム導入までに時間がかかりそうだなと二の足を踏んでいたんです。
一方、営業部からは紙の契約書だと締結完了まで2~3週間はかかるので、できるだけ短縮したいという声が上がり始めていました。全国の拠点から契約書を本社がある札幌にいったん郵送し、押印などしてからまた各地の拠点に送り返す、という手間もかかっていましたし、月に100件以上対応する必要がありましたから、押印の作業も大変です。締結済みの契約書類は片手間では整理しきれず、机に書類が山になるような状況でした。また、契約更新時などに以前の契約を確認する場合があるのですが、表計算ソフトで作成したリストを参照しながら原本を探すのも一苦労でした。
契約締結までのリードタイムを短縮したい営業部と、契約書類の管理をデジタル化して効率化したい総務部のニーズを両方解決できそうなシステムを調べていたところ、クラウドサインが目に留まりました。また、印紙代も大きなコストになっていましたので、電子化でそれを削減できるだろうという目論見もありました。
クラウドサインを選ぶ際には何が決め手になりましたか。
小倉様
営業部と総務部がお互いクラウドサインを同時に検討していたこと、また、一番は操作がわかりやすかったことですね。導入の2~3カ月前に一度デモを見せていただいたのですが、こんな簡単に、しかも直感的に操作して契約書をやりとりできるんだ、と驚きました。新しいシステムを導入するとき起こる心理的な抵抗が、あまり感じられないツールだと感じました。
それと、単に電子契約ができるだけでなく、締結済みの契約書を保管・検索できる管理機能を備えていて、既存の紙の契約書をインポート機能で取り込んで一元管理できる点も、業務効率に関わるのでありがたかったですね。契約期限が近づいたときにアラートメールで気付けるなど便利な機能もあり、法令対応についてもリスクがなく、さらに一般に認知度の高いツールであることも決め手になりました。
正直、これだけできても、管理機能という一点のみで見ると書類管理に特化した他のシステムのほうが優れている点はありました。でも、クラウドサインは機能開発が速く、どんどん便利に進化していますので、クラウドサインなら今できないこともすぐにできるようになるだろうと思いました。契約締結と管理を1サービスで対応できることと、サービスの発展性への高い期待も、クラウドサインを選んだ理由のひとつです。
事前に契約業務フローを見直し、社内普及のためにクラウドサイン活用デモを繰り返す
現在はどのような用途で利用していますか。
小倉様
2020年4月に導入してから2年半ほどたちましたが、現在のところ最も多いのは、加盟店登録時に交わす基本取引契約書や秘密保持契約書、覚書です。次に多いのが人事関連の書類で、雇用契約書、誓約書、もしくはグループ拠点への出向契約に関わる書類となります。さらにグループ会社では取締役会議事録にもクラウドサインを活用しています。
加盟店との契約書から導入を始めたのは、基本的に相手によって内容が変わることがないですし、数も多いので電子化しやすかったということが理由です。通常は電子契約とし、加盟店によっては紙の契約書を希望されることもあるので、そのときは紙書類で契約締結後、書類インポート機能でクラウドサインに取り込んで一元管理しています。そのようにして社内で使っていくうちに他の書類の電子化ニーズが高まり、グループ会社も含めて徐々に用途を広げ、現在に至るという感じです。
運用を決めるうえで工夫した点は何かありますか。
小倉様
導入にあたってはこれまでの契約業務フローを見直すところから始めました。クラウドサインを導入することで従来から何が変わるのか、その洗い出しをまず行い、変わるところについては規程や運用ルールに落とし込んでいきました。ルールをあらかじめきちんと作っておかないと、運用が始まったときに混乱してしまいますので。
特に重要だったのは承認の部分です。紙の契約書は全国各地の拠点からいったん札幌の本社に届き、決裁印を押してから各地に返送していました。これが電子化され押印が不要になったときに誰が承認するのか、というのは大事なポイントです。結果的にクラウドサインを利用する各部門の部門長が電子署名の権限をもつことにして承認する形にしたのですが、そういったルールをしっかり固めました。また、無理に導入を広げても運用が滞ってしまうのではいけません。利便性だけを追求するのではなく、各部門の納得感も重視して進めていきました。
全社にすぐに拡大していったのでしょうか、それとも一部から導入を始めましたか。
小倉様
できればすぐに全社展開したかったのですが、必ずしも全ての部署で電子契約を行うわけではないため、開始当初はスモールスタートとしました。まずは契約書などを管理するチームとして我々総務部が導入し、次に契約業務の多い営業部で利用を開始しました。さらに賃貸借契約などを締結する不動産事業部と、入居者様との契約が必要なサービス付き高齢者向け住宅を運営している部門に導入していった、という流れです。
社内普及を進めていくところで大変だったことはあるでしょうか。
小倉様
各部門・各社で電子契約を行うような契約が常にある訳ではないため、各部門・各社の使用例や効率化体験を総務部から発信し、各社が進んで導入したくなるような気付きを得てもらうことを重視しました。たとえば「クラウドサインを使えば業務がこんな風に楽になる」といったような気付きがあると導入に向け話が早くなります。強要するのではなく、「クラウドサインを使ったらきっと便利になるよ」くらいの軽いスタンスです。ただ、グループで統一するためにも、電子契約サービスを使うならクラウドサインで、というところは念押ししていました。
村上様
社内で説明をするときは、実際の画面を見せながら、どう使えて、どのように効率化できるのかを実演しました。「保管している紙の書類を検索しやすくしたい」という部署に対しては、クラウドサイン上で簡単に検索して書類を見つけられることを画面で見せたり、あるいは他のうまく運用しているチームの使い方を具体的に紹介したりもしました。
そういう地道なデモを繰り返し、当時はテレビCMなどでクラウドサインの知名度が全国的に高まってきたこともあって、少しずつクラウドサインの利便性が社内に浸透し始めました。あとは、コロナ禍の在宅勤務が推奨されていた時期ということで、紙の契約書のままでは出社しないと処理できないことから、電子化の重要性に改めて気付いた人も多くいたように思います。
また、クラウドサインに親展機能が追加されたことで、他の部署から人事部が扱う人事関連書類が見えないように権限設定できるようになり、これが入社関連書類でのクラウドサイン利用が大きく広がるきっかけにもなりました。
加盟店との契約書は7割が電子化、より業務効率が上がる運用方法を探る余裕も
契約書の電子化率はいかがですか。また電子化の効果として実感するところはあるでしょうか。
小倉様
実は、グループ全体で見ればまだまだ紙を使っているところが多いのですが、当社メディカルシステムネットワークが扱っている契約書でいうと、全体のおよそ6割が電子化できています。加盟店契約に絞れば7割ですね。今後、不動産や高齢者向け住宅の事業でも電子化が進めば電子化率はさらに伸びるだろうと思います。
当初大きな課題だったリードタイムは大幅に改善しています。以前は社内手続きに3~4日、その後の郵送や返送に1週間はかかるので、締結完了まで2~3週間ほど必要になることも珍しくありませんでした。それがクラウドサイン導入後はトータル3~4日以内にまで短縮しましたので、3倍以上の締結スピードが実現できています。月単位の契約が、事務手続き待ちで翌月に持ち越されるのを回避しやすくなったことで、収益に対して大きな影響が出ているとも思います。以前は郵送した契約書が相手に届いているのか、返送されたのか、といった進捗がはっきりしませんでしたが、クラウドサインを導入してからは書類の状況がリアルタイムでわかり、期限が近づいている契約書もアラートメールで気付けます。過去の契約書を閲覧したい時も簡単で、利便性は明らかに向上していますね。
村上様
今はクラウドサインをもっと効率よく運用できる方法がないか探っているところです。たとえばクラウドサインに登録する書類の題名は、最初は「秘密保持契約書」などの契約書名だけだったのですが、検索して一覧で見たときに区別がつきにくくなってしまうので、件名に担当部署名や相手先の企業名も付けてみてはどうか、などと試行錯誤しています。事務作業にかかる工数が減ったことで、運用の改善に時間を使えるので、さらに効率化を進められるようになってきています。
電子化に対して社内からはどんな反応がありましたか。
小倉様
導入直前には営業部に向けて説明会を行い、契約書を管理する他部署にも別で説明会を開きました。そのときの印象では、営業部は契約にかかるリードタイムを短くしたいという要望が強く、むしろ電子化は待ってましたという感じでした。テレワークもしやすくなるということで好意的でした。契約書を作成・やりとりするところも、操作マニュアルを完備したうえで、ルールを事前に固めていたこともあって、ネガティブな反応は特にありませんでした。他部署ではクラウドサインを利用した場合の業務フローの変更点を気にする反応が多かったです。
村上様
営業部のなかには、新しいツールや手続きの方法を覚えることに苦手意識を感じていた人もいたようです。それでもコロナ禍に在宅勤務が推奨されたこともあって、部門長が「クラウドサインで契約を」という号令を出したことで利用が広がっていきました。おかげで社内から質問もたくさん寄せられたのですが、クラウドサインの使い方はシンプルでしたから、ある程度教えれば問題なく使いこなせるようになり、使いにくい、難しい、といったような声はほとんどあがりませんでした。
当社のサポートについてはいかがでしたか。
村上様
社内の利用者から問い合わせを受ける立場だったこともあり、当時はサポート窓口にチャットで気軽に相談できて、細かいところまでフォローしてもらえたのは非常に助かりました。ヘルプセンターのページにあるQ&Aも充実していて、検索すると困りごと解決につながる情報にほぼヒットしますし、その説明自体もわかりやすい。ノウハウ集のブログも充実していて、いつも役に立っています。
社員からは時々「こういうことはできないの?」などという要望を受けることもあります。しかし、「いつまでにこんな機能が実装予定です」といった内容も公式ホームページに記載があるので、それを参考にすぐに伝えられるのもありがたいですね。
グループ全社での積極活用、社内システムとの連携も視野に
今後のクラウドサインの活用方針についてはどのようにお考えですか。
小倉様
グループ会社のうちまだ数社はクラウドサインを導入していないのですが、2023年3月末までにはほぼ全てのグループ会社でクラウドサインの導入が完了する予定です。将来的にはグループ全体の契約書を一括管理することになるので、それが問題なく実現できるよう進めていきたいと考えています。
とはいえ、今はまだようやくスタートラインに立ったところで、他にもまだまだクラウドサインを活用できる場面があるはずです。クラウドサインで何がどれくらい効率化され、どこに課題が残っているのかを見極めながら、少しずつ活用していければと思っています。
村上様
入社関連書類での利用もさらに広げたいですね。現在のところ一番入社人数が多いのは薬剤師で、毎年新卒だけでも100人以上入社します。すでに一部の人事関連書類は電子化できているので、その経験をもとに各部署やグループ各社に伝えつつ電子化を導入し、さらなる業務効率化につなげていければと思います。また、契約書を作成し、管理するという流れを考えると、他の業務システムとの連携も非常に大事です。今後はすでに利用している他の業務システムとのAPI連携をいかに実現するかも検討していきたいと思っています。