医療法人善心会グループ
株式会社アスワイ 施設統括部 部長 有吉美幸様
ほのぼの荘 熊谷 施設長 森みずほ様
医療法人社団六扇会などを擁する医療法人善心会グループの中で、高齢者向け住宅を提供する株式会社アスワイ。高齢者にとって必要な医療・看護・介護・住宅の4つのサービスを一気通貫で提供するケアミックススタイルの施設を運営する同社は、入居者様との間で大量の契約書を締結する必要があり、高齢の方に長時間かけて何度も手書きサインしてもらう負担を強いていることにジレンマを抱えていました。
課題解決の方法を模索するなか、白羽の矢が立ったのが「クラウドサイン for 介護DX」。紙の契約書では複数箇所に何度も手書きしなければならないところ、iPadで1箇所に手書きするだけで済むのがメリットのサービスです。電子化の際に戸惑いはなかったのか、クラウドサインの導入によってどんな効果が得られたのかなど、担当者に伺いました。
高齢者への体力的な負担が大きい契約業務の効率化が課題に
サービス導入以前は契約業務においてどういった課題がありましたか。
森様
私たち善心会グループには不動産事業のアスワイに加えて医療法人もあり、両方を合わせると取り扱う契約書の件数は膨大です。
入居者様との契約1件あたりについても、アスワイとしては賃貸借契約書と重要事項説明書、金銭管理に関する契約書や施設に関する説明書があり、さらに必要な方には医療行為と介護サービス等の契約書や説明書など医療法人としての書面も複数あります。それら1つ1つが両面印刷で約15ページ分ある上、それぞれに正副2部ずつ必要なので、印刷するにしても相当なボリュームでした。
入居者様と契約を交わすときには、それらのあらゆる箇所に直筆でサインしていただく必要がありました。ご本人やご家族の方に手書きしていただくのに、それだけで2時間近くかかってしまうほどです。特に入居者様ご本人は高齢ということもあって体力的な負担が大きく、一度に全部終わらせることができずに2、3日かけて少しずつサインしていただくこともありました。
また、私たちとしてはその膨大な量の契約書の保管・管理も課題でした。入居されている方全員分の書類を各拠点で保管しますので、拠点ごとにその場所をどう確保するかも悩みの1つだったのです。
有吉様
スピードも課題でした。入居前にはご家族とも契約書類をやり取りする必要があり、入居予定日に間に合わせるためには「いつまでに書類送付しなければいけない」といった期限も気にしなければなりませんのでスピード感がとても大事でした。
現場の職員が日常業務をこなしながら契約業務も行うので、時間に追われることによる焦りがミスにもつながりかねず、職員の精神的な面でも負荷がかかっていました。あとは印刷にかかる紙代やインク代、書類の郵送代なども積み重なると決して小さくなく、そういったコストをどう削減していくかも課題でした。
価格、使い勝手、フォロー体制の3つの観点からクラウドサインを選択
数ある電子契約サービスのなかから「クラウドサイン for 介護DX」を選んだ理由を教えてください。
有吉様
課題に対してどうすれば改善していけるかは、社長も含めみんなで常々考えていました。その解決策のひとつとして挙がったのが電子契約だったのですが、一般の賃貸借契約ではなく高齢者向け住宅の賃貸借契約ということで、それを電子契約にすることが可能なのかが明確ではありませんでした
そのために詳しく調べ始めたとき、当時インターネットやテレビCMなどで目に入ったのがクラウドサインでした。もともとタブレットなどに直に手書きして契約締結できるようなものを探していましたから、iPadにペンや指でサインできる「クラウドサイン for 介護DX」はしっくりきました。
最近はスマホ購入の契約時にも店頭でiPadのようなタブレットを使っているところが多いですし、同じようなスタイルなら高齢者の方でも無理なくできるのではないかとも思いました。
特に決め手になったのはどんなところですか。
有吉様
他のサービスとも比較したのですが、タブレットで手書きできそうなサービスでもよく調べてみると実際にはそうではないものもありました。それに対して「クラウドサイン for 介護DX」はタブレットの画面で契約できるだけでなく、他と比べても料金が安価で使い勝手も良さそうでしたし、顧問弁護士に相談して法的な面でもクリアになっていました。導入時には弁護士ドットコムの担当の方から現場の職員に使い方を直接教えていただいたりして、そういったフォロー体制が充実していたのもありがたかったなと思います。
高齢者にとっても「今どき」なタブレット契約で自然に受け入れ
運用していくところで工夫された部分はありますか。
有吉様
私たちは各地に複数の拠点をもっていますが、「クラウドサイン for 介護DX」はクラウドサービスということで、各拠点にいる職員全員がそれぞれログインした後には基本的に同じ画面を見ることになります。
そのなかでも「相談担当者」と呼ばれるスタッフから、入居後スムーズにサポートするために、新たに入居される方の契約が締結済なのかそうでないのかをいち早く知りたいという要望があったので、締結済のものは一覧に表示されるタイトルにわかりやすく「★」のマークを入れるようにしました。こうした運用上の工夫は各拠点の職員同士が意見を出し合って決めたものです。
タブレットを使って契約することに対して、利用者や職員の方から抵抗などはありませんでしたか。
森様
特に抵抗はなかったですね。先ほどもお話しした通り、スマートフォンの契約も今やiPadを使っていたりしますから、「賃貸の契約もiPadなのは今どきだね」みたいな感じで、拒否感や不安感はなさそうでした。導入後は例外なく、みなさん全員クラウドサインで契約締結していただいています。
職員は導入したばかりの頃だと操作に迷うこともありましたが、慣れれば難しいものではないですし、問題なく受け入れてもらえましたね。行政からも「契約が早くなって良かった」という声をいただいています。
有吉様
一方で、iPadの画面上で契約内容などを入居者様に説明するときは、紙よりわかりにくい場合もあります。ですので、特に入居者の多い拠点では説明用として同じ内容を印刷したものも用意しています。とはいえiPadだと文字の拡大も自由にできますから、画面の方が人によっては見やすいと思っていただけることもあるようです。
1件あたり30分〜1時間かかっていた作業が10分ほどで済むように
導入の効果はいかがですか。
森様
紙契約のときは印刷して製本して、それを何部も作って郵送して……という作業があり、さらに期日に間に合わせるために速達で送ったり、すぐに返送してもらえるように返信用封筒を入れたりと、多くの手間がかかっていました。クラウドサインにしたことで、それがなくなったのが大きいですね。1件あたり30分から1時間はかかっていた作業が、今や正味10分ほどで済むようになっています。
他に歴然とした違いが出たのが、使用するコピー用紙の量ですね。電子化によるペーパーレス化で1カ月あたり500枚分の紙束を節約できるようになりました。それに合わせてインク代の消費も減っていますし、いいことばかりです。各拠点のキャビネットに保管する契約書もこれからは少なくなりますから、場所の問題もいずれは解消すると思います。
有吉様
もちろんクラウドサインの利用料がかかっていますので、紙代とインク代が削減したことでコストとしてはトントン、という感じです。ただし、業務における省力化や保管スペースのことを考えればプラスですし、社長も「導入して良かった」と言っています。
円滑な電子契約導入のためには行政への確認・相談が肝に
最後に「クラウドサイン for 介護DX」の導入を検討している方に向けてメッセージをいただけましたら。
有吉様
介護業界では、高齢の方と電子契約で締結するということについて抵抗感のある方がいらっしゃるでしょうし、地域によって独自のアナログなルールが根強く残っているところもあります。ですので、電子化する前にあらかじめ行政に電子契約が可能かどうか確認していただくことが、まずスタート段階のハードルの1つかと思います。
私たちも行政からの指示で、介護サービス利用希望者様とは事前に電子契約を交わすことについての同意を書面で取得して、それから電子契約しています。正直に言えばこの点はあまりスマートではないな、という思いもありますが、「クラウドサイン for 介護DX」で効果的なデジタル化を実現するためにも、導入にあたっては行政や弁護士ドットコムに相談しながら進めていくのがおすすめです。
※掲載内容は取材当時のものです。