株式会社クラウドワークス
コーポレート本部 経営管理部 総務・法務グループ 山口栄貴様
コーポレート本部 経営管理部 総務・法務グループ 山川真莉加様
日本企業の働き方改革や副業解禁の動きを支えるクラウドソーシング大手のクラウドワークス。企業とフリーランスが直接受発注できるプラットフォーム「クラウドワークス」に加え、同社が企業などにプロフェッショナル人材を提案する「クラウドテック」や、豊富な人材データベースから企業が求める最適な人材を提案する「ビズアシスタントオンライン」など、多くの「働き方を柔軟にするサービス」を提供しています。
登録ユーザー数は500万人に迫り、クライアント企業も80万社近く。こうした大規模なプラットフォームを運営していくなかでは、当然のことながら受発注書類の受け渡しや契約業務などが膨大な数に上るため、効率化は不可欠でした。そこで同社は、書類の電子化ツールとしていち早くクラウドサインに着目。現在では社内・社外との書類のやり取りのほとんどをクラウドサインで電子化しています。
1事業部のペーパーレス化から、契約の電子化へ
電子契約サービスの導入を検討することになったきっかけを教えてください。
山口様
電子契約を導入したのは、2016年です。当時は、運営しているサービスの受発注書類を紙面で手配していました。書類の紙出し、押印、郵送の他、原本の管理などの様々な作業に工数がかかっていたので、効率化したいという思いがあったんです。
山川様
当時は、電子契約というサービスがまだそれほど普及していなかったため、電子契約の導入を検討していたというよりはペーパーレス化する手段を探していました。その過程で、法的に有効性がある電子契約というサービス、クラウドサインが目に留まり、導入に至りました。
受発注書類の電子化から始められたのですね。その後、活用の範囲は広げられたのでしょうか。
山口様
クラウドサインを導入したときは、受発注書類の電子化による業務効率化が目的でしたが、コロナ対策のためにリモートワーク環境を整える必要があったことをきっかけに、クラウドサインを全社展開することになりました。
クラウドサインの活用状況はいかがでしょうか?
山口様
当社のサービスを利用されるクライアント企業様や個人事業主・フリーランスの方との契約書から、雇用契約をはじめとする従業員との契約書類、取締役会議事録などの社内文書まで、押印が必要な書類のうち電子化できる書類はすべて電子化しています。
電子化率は9割を超えており、毎月1,000~2,000件をクラウドサインで締結しています。残りの1割は、相手方がどうしても紙をご要望される場合です。
密なコミュニケーションと詳細なマニュアルで社内浸透
導入していくところで工夫されたことはありますか。
山口様
紙書類のときは当然ながら押印前提の社内フローになっていましたので、それをクラウドサインによる電子化を踏まえて業務フローを再構築したところです。他のクラウドサービスで社内決裁のワークフローはすでに電子化していましたので、そこにクラウドサインによる電子契約のフローをどう組み合わせていくか、というところにまず頭を悩ませました。これについては、ワークフロー上での契約締結の申請ルートと、クラウドサイン上での承認ルートを同一にするなど、流れを統一することでわかりやすくなるようにしました。
運用にあたって苦労したようなことはあるでしょうか。
山口様
社内に周知していくところは1つの大きな山だったかなと思います。社内では紙に対する執着はほとんどなかったようで、電子化を受け入れてもらうこと自体は非常にスムーズではありました。社員だけでなく役員にも比較的若い人間が多いですし、コロナ禍で紙書類における課題感も共有していたこともあると思います。ただ、電子化後の社内手続の方法を浸透させていくところでは少し苦労しました。新しい手続の仕方を社員全員がきちんと理解して、その通りにやってもらうところですね。
山川様
私たち法務部門からクラウドサインで契約書を送ることもありますが、各事業部の社員の方で送れるものは事業部側からも送ってもらうようにしています。それもあって、具体的にどのような契約書について、どのような手順・方法でクラウドサインを使って送るのか、という疑問が各部署から寄せられることがあります。そういうときはミーティングをもち、密にコミュニケーションしながら理解を深めてもらいました。
そのうえで、契約書の作成・送付方法の具体的な手順、活用パターンなどをまとめて、イントラネット上で全員が見られるマニュアルも用意しました。ステップごとに説明するような内容の、かなり詳細な資料にしています。
郵送作業と紙書類の電子化作業が不要になったことで効果を実感
クラウドサイン導入による効果を最も実感するところはどのあたりですか。
山川様
書類の郵送作業がなくなったことは大きいです。紙書類を郵送する場合だと今どこにあるのかがわからず、互いに受け取った、受け取っていない、みたいなすれ違いも発生しがちです。事業部側としても契約が終わったのかそうでないのか、あるいはまだ処理の途中なのか、ということもわかりません。クラウドサインだとWeb上でどこまで承認されているのかがひと目で確認できますし、契約が完了したときにはしっかり通知してくれるので、本当に助かります。
それと、紙の契約書の場合はスキャンしてデータ化するのですが、クラウドサインだとその手間がかからない点もありがたいです。製本されている契約書を開き、スキャンしてデータ化したものをダウンロード、名前をつけて保管という作業は本当に手間がかかる作業です。大量にあるので、一気に対応しきれず、未対応の紙の契約書が積み上がっている状況もよくありました。しかし、結局はやっておかないと、いざ契約書の確認が必要な時に、キャビネットに保管された大量の紙の契約書の中から探すことになってしまい、大変です。ですので、積み上がった紙の契約書をデータ化する作業に担当者が一斉に取り掛かる時間を作り、対応するようなこともありました。
山口様
事業が成長していくにつれて契約件数も増えてきたわけですが、そうすると我々法務部門のメインの仕事である契約書の審査件数ももちろん増えます。契約書の状況確認やデータ化作業などに時間を取られてしまうと、契約内容の審査に着手するタイミングが遅くなり、事業部に回答するまでにかかる時間が長くなってしまいます。それは、事業スピードにブレーキをかけてしまうようなことに繋がります。しかし、電子化で本来優先すべき業務以外の作業を効率化でき、件数がさらに増えていっても対応可能なほどにキャパシティに余裕ができました。
テレワーク推進も、クラウドサイン活用の理由の1つでしたが、その効果は出ているのでしょうか。
山口様
もちろんテレワークにもしっかり対応できています。紙契約ときは押印のために日々出社しなければなりませんでしたが、今では紙で残っている書類はほとんどなくなっているので、週1回だけ「押印日」を設定して、社内ではその日に向けて押印が必要な申請をしておき、役員がタイミングを合わせて出社して押印する、という形にしています。それ以外はすべてリモートで対応できていますね。
お客様の反応はいかがですか。
山口様
最近はこのご時世もあって電子契約の認知が広がり、利用されている企業様が増えてきていますよね。クラウドサインで契約させてください、とお願いしたときに難色を示されるようなことは、まずありません。他の電子契約サービスを利用されているところもありますが、相手方も本当にほとんどがクラウドサインを導入されていて、電子契約用のメールアドレスを用意して使ってらっしゃる企業様も見受けられますし、特に説明なしにすぐ対応していただける慣れた企業様も多く、会話がすごくスムーズになってきている印象です。
ワークフローとクラウドサインのAPI連携により、さらなる社内手続き簡素化を目指す
今後のクラウドサインの活用方針を教えてください。
山口様
1つは利用しているワークフローとのAPI連携を実現して、事業部側での社内手続のフローをさらに短縮、簡素化したいと思っています。
最後に、これからクラウドサインを活用される企業にメッセージがありましたら。
山口様
紙文化が根強く、電子化に抵抗のある企業様では導入しにくいところもあるとは思いますが、電子契約は業務の効率化やペーパーレスによる働き方改革など、いろいろな面でメリットを享受できるものです。
当社の場合、1事業部の受発注書類という限定された部分から電子化をスタートしたことで、その後の利用拡大につなげられました。ですので、1部署から、あるいは特定の書類からなど、最初はスモールスタートでもいいのではないかと思います。小さなところから実際に使ってみて、これは便利だぞと肌で感じてもらえるようになれば、社内での理解も得られやすくなるはずです。
山川様
今の話にあったように、私たちは全社でいきなり使い始めたわけではありませんでした。事業部で使い始めた後は、労務関連の書類や新しい事業部で使うなど、利用範囲を徐々に広げていきました。そうやって契約書以外の細かい書類などで少しずつ使っていって、いいなと思ったらどんどん応用していけばいいと思います。もちろん印紙や郵送が不要になることによるコスト削減の効果も少なくないので、まずは触れてクラウドサインの便利さを実感してみてほしいですね。