株式会社ベイシア
法務部 部長 中山晃範様
法務部 マネージャー 矢端雅久様
オペレーション本部 販売事業部 販売部 業務グループ グループマネージャー 塚越正秀様
1都14県に130店舗以上を展開するショッピングセンターチェーンのベイシア。ワークマンやカインズ、ハンズなど、多様な業態のチェーン店もグループに抱える同社では、店舗数だけでなく取り扱う商品数も多いことなどから、契約件数は膨大な数に上っています。とりわけ課題になっていたのは印紙税の負担の大きさと契約件数の多さ。コスト削減を主眼にクラウドサインの導入を決めましたが、同時に生産性向上や業務効率化といった視点からの活用の重要性にも気付きました。
印紙税の削減ができ、個人でも簡単に使えるツール
電子契約サービスの導入を検討することになったきっかけを教えてください。
矢端様
業務効率化とコスト削減の方法を探っていたとき、一番やりやすいのが契約の電子化ではないかという話になり、どんな電子契約サービスが使いやすいかを検討することになったのが始まりです。
そのときは特に印紙税が課題になっていました。取引先とはシステム開発の請負契約や、新規出店時の工事請負契約を結ぶことが多く、1店舗あたり最大で32万円という金額の印紙が必要になることもあります。年間で200万円以上のコストになっていましたので、電子契約サービスの導入でそれを削減できるという期待がありました。
数ある電子契約サービスのなかからクラウドサインを選んだ決め手はなんだったのでしょうか。
矢端様
当初はクラウドサインを含む3つの電子契約サービスを比較していましたが、他のサービスのなかには互いに自前の電子証明書を使う「当事者型」もあり、そうすると取引先の負担にもなって、契約の電子化がなかなか進まないのではないかと思いました。一方でクラウドサインは自前の電子証明書が必要のない「立会人型」で、かつ高いセキュリティを実現しています。
また、地権者様、個人納入者様、テナントとして入居するお医者様など、個人と契約するケースも多々ありますので、個人の方が簡単に使えるサービスであることも不可欠です。その点、クラウドサインは操作が簡単で個人の方でもメールアドレスがあれば契約締結できますし、企業の導入実績も豊富で、継続的に契約の電子化を広げていくうえでも有利だと考えました。
ベイシア様にはエンタープライズプランを選択していただきました。
矢端様
当社法務部では30以上あるグループ会社のうち14社の契約についても関わっています。こうした場合にエンタープライズプランだと「複数部署管理機能」で細かくグループ分けして管理できます。営業部門や管理部門などでフォルダ分けができ、締結された契約書が自動振り分けされて保存されるため、各部門にとって検索が非常に楽になります。また、アクセス制限などのセキュリティをさらに強化できることもポイントでした。
▼複数部署管理機能の概要
電子化後も紙書類のフローと同様、複数人が承認する流れに
導入・運用していくにあたって、御社ならではの工夫があったと聞いています。その点についてお聞かせください。
矢端様
今のところ、商品を仕入れるときの商品基本取引契約や、商品などの製造委託契約、業務委託契約などの一部でクラウドサインを利用していますが、導入時に慎重に検討したのは「誰を承認者とするのか」というところです。
本来なら承認者を1名のみとするのがフロー上ではシンプルだと思うのですが、当社独自のフローとして「何人が承認したか」というのも重要なファクターになっています。クラウドサインでは複数人を承認者として設定できるようになっていますので、基本的には紙書類の承認フローと同じように、クラウドサインでも担当者から上長、法務部長などと、複数人の承認を経てから相手方に契約書が送信される、という流れにしました。
このように承認者が誰であるかを明確にし、複数人の承認者をしっかり経由するようにしたことで、社内のコンセンサスをうまくとれるようになった、という副次的な効果もあったように思います。
▼承認者設定ルールの説明スライド
社内利用を広げていくところで大切なポイントはどのようなことだとお考えでしょうか。
矢端様
当社には新卒で入社した人だけでなく、中途採用の方もいます。こうした中途採用の、当社以外の会社のことを知っている人たちの意見も取り入れつつクラウドサインでの電子契約を社内推進していくようにしました。
年間数千件の紙の契約書の締結/及び印紙が不要となったことで、金銭的コストだけでなく確認作業と発送の手間が大幅削減
クラウドサインの導入後、効果を実感しているところはありますか。
塚越様
紙で契約書を作成するのは本当に大変です。私の場合は店舗回りなどで頻繁に外出していることもあって、紙の契約書だと処理するために外出先からその都度オフィスに戻らなければなりません。印紙がいくらかになるかの確認も必要で、場合によっては何週間分の紙の契約書を溜め込んでしまうこともありました。
それがクラウドサインの導入によりノートパソコンやスマートフォンで締結ができるようになり、楽になりました。印紙が不要になるので金額確認がそもそも不要になったのも利点です。
また過去の契約書を確認する際も、クラウドサインであればインターネット経由ですぐに見られることもメリットです。
以前の契約を確認することは多々あります。たとえば新規に出店するときに、他の店舗での過去の契約がどうだったか確認します。紙の契約書だと保管場所に行かなければならず、大量にある契約書のなかから探し出すのにも時間がかかります。しかしクラウドサインならキーワード検索で探せるので、過去の契約を確認するのも楽ですよね。
矢端様
新型コロナウイルスの蔓延により、当社でも在宅勤務が増えてきましたので、契約書の印紙の貼付や押印、承認を受けるためにわざわざ出社することなく、クラウドサインで対応できるようになったのはありがたいことです。印紙税のコスト削減だけでなく業務の効率化という意味でも、クラウドサインは大きな役割を果たしてくれていると思います。
また業務フロー上、契約締結時の印紙の妥当性確認は意外に手間なんです。しかし電子契約で印紙が不要になると、契約締結時の確認作業が減らせるだけでなく、監査を受けたときの対応が簡易で済む場合がありますから、その意味でもメリットは大きいですね。
さらに紙の契約書は保管場所を考えなければならず、破棄するときも問題になります。年間数千件の契約があるので保管場所の確保が課題になりますし、破棄するにも保管義務期間の確認が必要で、廃棄処分のコストもかかってしまう。そういう観点でも、クラウド上で契約書を管理できるクラウドサインは利点が多く、お取引先様にとっても同じように利便性の高いツールですよね。
業務を効率化できたことによる副次的な効果はありますか。
矢端様
契約締結が進まず業務が止まってしまうことにより大きな損失が発生する場合があります。そこをクラウドサインでスピーディにカバーできるのは大事ですし、それによって業務の効率化につながります。また良い商品を安く仕入れられるようにするための契約は、できるだけ早く締結した方がいいと思います。スピーディに契約できることのメリットを社内でも訴えて、活用をもっと広げていきたいですね。
▼利用促進に向けた周知施策の例
クラウドサインのサポート体制についてはどのような印象ですか。
中山様
サポート体制は本当にすばらしいですよね。チャットで聞けばすぐに返事がありますし、当社はコンサルティングサービスも利用しています。弁護士ドットコムの担当の方には社内普及拡大に向けて当社をさまざまな角度から分析したうえで方策を考えていただくなど、非常に柔軟に対応してもらえていると感じます。
▼分析レポートの一例(データは一部マスキング加工しています)
矢端様
使い方のマニュアルを提供していただいたり、Webセミナーなどで社員にレクチャーしていただいたりしていますし、電子契約の割合が上がりにくい部署に対してはピンポイントで対策を提案していただいているので、本当に助かっています。
またお取引先様によっては、電子契約に対応できないと言われることがあります。そういうときにどうやって電子契約を受け入れてもらえるようにするかが課題です。しかし、その点についても弁護士ドットコムから他社の取り組みを教えてもらうなどして、いろいろ助けていただいています。
▼個別支援の様子(データは一部マスキング加工しています)
契約をスピーディに完結させるのはコンプライアンス上も大切
今後クラウドサインの活用をどのように広げていきたいとお考えでしょうか。
矢端様
工事請負契約は特に印紙税が高額なので、クラウドサインをどんどん活用していきたい部分です。ページ数が多く、郵送も大変で保管スペースも広くとりますから、そこはできるだけ100%電子化を目指したいですね。電子化する契約が増えて省力化できれば、その分他の案件に丁寧に対応できます。
これからクラウドサインを導入・活用していきたいと考えている企業に向けてメッセージを頂けますでしょうか。
矢端様
電子契約の導入目的を費用対効果だけで検討してしまうと、印紙代や郵送コストは微々たるものだから導入の必要は薄い、という結論になりがちです。しかし、今や新型コロナウイルスの影響など社会情勢に適応することも重要ですし、契約業務を正しくスピーディに完結できることは、企業のコンプライアンス向上にも貢献するのではないでしょうか。
中山様
電子契約サービス導入の目的は、多くの場合はコスト削減や生産性向上だろうと思います。その点についてクラウドサインはしっかり後押ししてくれますから、安心して導入してほしいですよね。しかもAPI連携で他のワークフローシステムや人事システムなどとの連携も可能です。当社が利用しているシステムともなじみやすいので、業務の効率化をさらに進められる可能性があります。そういった連携のしやすさなども合わせて考えつつ導入を検討してほしいですね。
塚越様
紙からデジタルになるというだけで抵抗感をもつ人もいるとは思います。でも、わざわざ紙を引っ張り出して見るよりクラウド上にあるものを検索して探す方が楽で早いですし、業務は必ずスピーディになります。クラウドサインを利用した方が、会社としていい方向に向かっていくことは間違いありません。相手方に電子契約を受け入れてもらえるかどうか、というのは課題ではあるものの、コスト削減の効果が大きい契約など、取引先にとって効果を実感しやすい契約から導入していく、というのも1つの手段だと思います。