りそなデジタルハブ株式会社
企画室 マネージャー 伊勢野将太様
企画室 矢澤幸宗様
急速に変化するビジネス環境に追従し、新たなビジネスチャンスを獲得するため、さまざまな企業が従来のアナログ業務から脱却するべくデジタル化やDXを進めています。しかし、DXしたくても何から手をつければいいのかわからない、という企業も少なくありません。
そんな企業のDXを支援しているのが、りそなデジタルハブ。単なるSaaSの導入サポートに止まらず、伴走して企業が抱える真の課題を深掘りし、それを解決するための提案力に強みをもつ同社は、自らも紙書類をなくしてデジタル化を目指すため、クラウドサインを導入しました。
一般企業より手間のかかるアナログ業務の効率化を目指す
電子契約サービスの導入を検討することになったきっかけを教えてください。
矢澤様
子会社に銀行をもつりそなグループということで、当社にも銀行の文化が残っているところがあります。紙書類がメインで、お客様と対面してサインを自署でいただくことに慣れている銀行ですが、一般の企業ではそういった紙書類やサインを電子化する動きが高まっています。我々がお取引させていただいている企業のお客様や、出向社員など人材関連で関わっている協業企業からも、やはりそういったニーズが多くなってきていました。
また、当社はお客様のDX支援を事業としており、さまざまなSaaSの販売代理店としても活動しています。我々自身がデジタル化のためのサービスをしっかり活用していかないとお客様にも説得力のある形でご提案できませんので、紙書類を電子化するサービスも積極的に導入することにしました。外部企業からの出向や業務委託など、人材絡みで多くの契約が発生していますので、電子化を広げていったときの効果は高いだろうとも考えました。
伊勢野様
たとえば紙書類でお客様とやりとりする場合には、銀行の用語で「預かりを切る」というのがあるんですけれども、何らかの書類を受け取るときに領収証のようなものを発行するのが銀行では一般的です。しかしこれではどうしても手間が増えますし、書類を送付することになれば郵送コストもかかる。電子化すれば、そうした手間・コストの削減を図ることができます。
数ある電子契約サービスのなかからクラウドサインを選択したのはなぜでしょうか。
矢澤様
契約に関わることですので、セキュリティの高さはもちろんのこと、使いやすさも重要です。社内ではSalesforceを基盤に、業務に関するさまざまなアプリケーションを連携させていますので、電子契約サービスにSalesforceと連携する仕組みがあるかどうかもポイントになりました。
その点、クラウドサインは運営元が弁護士ドットコムということで、日本の法律にもしっかり対応しているという信頼感があります。電子契約サービスの市場におけるシェアも大きいですから、我々のお客様や提携先の企業でも同じようにクラウドサインを使用している率も高いでしょう。使い勝手についても、実際に文書データをアップロードするなど細かな操作をしてみたところでは大変使いやすいと思いました。
伊勢野様
当社内には独立した情報システム部門があるわけではないので、システムの導入・構築が容易なこと、実業務で使用するユーザーが使いやすいものであることは、非常に重要なことです。クラウドサインはSalesforceと連携させて利便性の高い業務システムを構築できますし、情シス部門のない我々でも内製できるくらい簡単に組み込めるのもいいところです。
契約書の電子化を目指して、扱いやすい同意書から取り組んだ
現在はクラウドサインをどういった用途で活用されているのでしょうか。
矢澤様
現時点では契約書ではなく同意書に利用しています。お客様にDX支援のご提案をさせていただくにあたり、提携パートナー様などにお客様の情報を共有するための同意書をお渡しし、そこに署名していただくところにクラウドサインを活用しています。
導入や活用していくにあたって難しかったこと、戸惑うようなことはありませんでしたか。
矢澤様
弁護士ドットコムからは専任の担当者をアサインしてもらい、定期的にミーティングを開いて相談できる環境を整えていただきました。今も継続してサポートしていただけていますし、気軽に相談できるのはありがたく思っています。クラウドサインはヘルプページの情報も充実していますから、そもそも導入・運用するなかで困りごとにぶつかっても、自力ですぐに解決できることも多いですね。
ただ、導入初期段階で全社に周知していくときは少し大変なこともありました。紙で同意書をもらうことに慣れた元銀行員のスタッフが多く在籍していますから、電子化したときにどうやってお客様にお願いし、データをやりとりしたときに何がどこに格納され、どうすれば確認できるのかなど、しっかり理解してもらわなければなりません。そのために社内勉強会を開催して一連の流れをデモして見せたり、マニュアルを作って配布したりしました。
伊勢野様
とはいえ、実はクラウドサインは何度か使ってみれば、操作に戸惑うような難しいところは一切ないと気づくんですよね。ですので、受注したときにしか締結する機会のない契約書類ではなく、商談発生時点で必ず必要になる「同意書」から電子契約化することで、クラウドサインを使う機会を得られない人が出ないようにしました。通常業務の運用フロー上、絶対にクラウドサインを使わざるを得ないようにして、全員が利用体験できるようにしたのは、工夫のひとつです。
同意書は電子化のハードルも低かったのでしょうか?
矢澤様
同意書はもともと社印が必要になるような書類ではなく、担当者のサインをいただければOKなので、電子化にあたって社内でもお客様の方でもそこまでハードルの高い書類ではない、というのもありました。クラウドサイン導入の当初の目的は注文書や契約書の電子化でしたが、同意書は最初に手がけるものとしてはとても扱いやすい書類だったと思います。
伊勢野様
同意書でしたら、その内容やデータに万一何らかの問題が発生しても、当社やお客様、提携先企業の不利益につながる恐れは少ない、というのもありました。また、契約書となると正式に受注した商談でしか使わず、数もそう多くはありませんが、同意書ならそれ以前の段階で必要になるので数をこなすことになり、業務効率向上の観点でも効果が得られやすくなります。
運用面で工夫されたところはありますか。
矢澤様
Salesforceとの連携ですね。お客様からアンケートにご回答いただいてSalesforceに登録されたリード情報を元に、それにひも付いた連絡先にSalesforce上の操作で、クラウドサインを通じて同意書をすぐに送れるようにしました。こうすることで、宛先の入力ミスによる誤送信を防げますし、ミス防止のために他の人がチェックするような体制をとる必要もありません。ここは実際に使用する営業部門のスタッフの作業効率アップにつながっている部分だと思います。
また、同意書のPDFファイルはSalesforceに自動で保存されますから、確認のためにあちこちのツール画面に移動する煩わしさも皆無です。同意が得られたかどうかの進捗確認をいつでも行えるのもいいですよね。
半年で1000件をほぼ100%電子化、紛失リスクもない
同意書にクラウドサインを利用したことで実感している効果はありますか。
伊勢野様
導入からの半年間でざっと1000件の同意書をいただきましたが、そのほぼ100%がクラウドサインを活用したものです。これを紙書類でやりとりするとなると、印刷するのはもちろんのこと、我々の方で「預かりを切る」手間もありますし、書類が相手方から戻ってきたらPDF化してSalesforceに取り込んで、最後にファイルに綴じる、というような作業も必要です。
それを考えると、電子化したことでおそらく1件あたり30分は短縮できていると思います。営業スタッフとしても、事務作業に余計な時間をかけなくて済む分、本来の営業活動に集中できているはずです。
それに、クラウドサインであれば紙書類のように紛失することもありません。銀行の規程では、1つでも書類を紛失すると本当に大変なんです。紛失に気付いた瞬間に、全員が今やっている仕事を一時中断して、みんなで見つかるまで探します。そういったリスクが発生しえないのはすごく大きいですね。
クラウドサインの導入について、社内の反応はいかがでしたか。
矢澤様
最初は「データをやりとりする際の手順などに不安を感じる」という声がありましたが、紙書類と違ってメールで素早く、簡単にやりとりできるので、かなり楽になったようです。いちいちアポを取って相手方に時間を割いてもらう必要もありませんから、業務効率は明らかに向上しています。
私が銀行員をしていた時は、同意書を受け取り忘れたせいでもう一度アポを取って、後日訪問して……みたいな面倒なことをしていましたが、そういうことはもう一切なくなりました。
伊勢野様
最近は「注文書や契約書も早くクラウドサインにしてほしい」という声が上がってくるほどです。注文書・契約書だと、ちょっとした表現の違いなどがあれば作り直して郵送するか、直接持っていってまた押印してもらわなければなりません。2023年の夏頃までにはそれらの書類も電子化する計画ですが、できるだけ早く対応して手間を減らせるようにしたいですね。
取引先など社外からは何か反応はありましたか。
伊勢野様
営業部門からは「同意書をいただくときお客様に『電子(契約)で』と伝えると『さすがだね』と言われることが少なくない」と聞いています。グループの銀行との取引でつながりがあるお客様が多いですから、「手続きは紙書類が当たり前」と感じているところもあると思います。しかし、ちゃんと同意書がデジタル化されているとわかると、DX支援という我々の事業の性質上、安心感や信頼感が得られるのではないでしょうか。
時間がかかることによる案件失注を電子化で防げる可能性も
まだクラウドサインを導入してない企業、もしくは導入を検討している企業に向けてメッセージをいただければ。
矢澤様
コロナ禍で働き方が大きく変わり、対面での商談を求めにくい状況ではありますが、そうであってもクラウドサインはスムーズに商談や契約手続きを進められるようにしてくれるツールだと思います。紙や印刷、印紙が不要になることでコスト削減でき、紙書類にありがちな紛失のリスクも減らせます。
電子化によって契約締結までの時間が短くなれば、我々とお客様の双方で事務作業の負担を低減できます。ひょっとすると、これまで契約締結に時間がかかったせいで失注していたような案件も、クラウドサインで迅速に処理することで受注につなげられる可能性があるのではないでしょうか。
当社としても、今後は注文書や契約書に加え、取締役会議事録など、他の多くの紙書類の電子化に向けて活用を広げていきたいと考えています。