【2026年最新】電子契約にできない契約書とは?できる契約書との違いと見分け方

電子署名法、IT書面一括法およびデジタル社会形成整備法等の施行に加え、2025年10月の改正公証人法施行により、これまで電子化が難しかった公正証書に関連する契約についてもデジタル化への道が開かれました。
これにより、ほとんどの契約書について電子化できるようになりましたが、ごく一部の契約類型で電子化できない契約書が残っています。
本記事では、2026年現在の最新法令に基づき、電子化できない契約書とできる契約書の違い、および公正証書のデジタル化に伴う注意点についてまとめました。
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法改正によりほとんどの契約書が電子契約化できるようになったが、できない契約書も一部残っている
かつては押印が原則であった日本でも、電子署名を押印と同等に通用させる電子署名法が2001年に施行されて以降、IT書面一括法(2001年施行)、e-文書法(2005年施行)、電子帳簿保存法(1998年施行、2005、2015、2016、2020、2022年改正)そしてデジタル社会形成整備法(2021年施行)が施行され、現在では以下のような、企業が取り交わす文書・契約書のほとんどが電子契約で締結可能です。
これらに加え、長らく電子化が認められてこなかった不動産売買・賃貸借等に関する契約書や重要事項説明書についても、宅地建物取引業法・借地借家法等の改正により、2022年5月18日以降は電子契約による完全電子化が可能となりました。
しかしながら、ごく一部の文書について、書面が必須、または電子化に相手の承諾や希望が必要となる類型が存在するのも事実です。以下では、そのような例外的な契約書をリストアップしたうえで解説します。
電子契約にできない契約書
2026年3月時点で、法令上明確に「書面(紙)」での作成が義務付けられており、電子化できない契約書は以下の1類型のみです。
電子化できない契約書リスト(2026年現在)
法律により書面化が必須の義務とされ、電子化できない契約書は次のとおりです。
| 文書名 | 根拠法令 | 改正法施行予定 |
| 農地の賃貸借契約 | 農地法第21条 | 未定 |
電子化できない理由
農地の賃貸借契約については、農地法第21条において書面による契約が義務付けられています。
2025年の公証人法改正等のデジタル化の流れの中でも、農地法に関しては現時点で書面要件撤廃の改正は行われていないため、引き続き紙の書面での締結が必要です。
【条件付き】電子化が可能となったが、公正証書作成手続きが必要な契約書
2025年9月以前は「電子化できない書類」として扱われていた以下の3つの契約については、2025年10月1日施行の改正公証人法により、公正証書を原則として電子データで作成することとなった結果、電子データ(電子公正証書)での作成が可能となりました。
これにより、法的には「電子化可能な書類」となりましたが、クラウドサイン等の任意の民間電子契約サービスで締結できるわけではない(利用者側で電子契約サービスを選択できるものではない)ため注意が必要です。
対象となる契約書
- 事業用定期借地契約(借地借家法23条)
- 企業担保権の設定又は変更を目的とする契約(企業担保法3条)
- 任意後見契約書(任意後見契約に関する法律3条)
電子化の手法と注意点
これらの契約は法律上「公正証書」で作成する義務があります。法改正により、公正証書そのものを電子データ(PDF等)で作成することは可能になりましたが、その作成プロセスは厳格に定められています。
(注意)上記の契約書作成には公証人との手続きが必要です
電子公正証書の作成には、以下のような対応が必要です。
- 指定ツールの利用: 公証役場が指定するツールによる電子サインの実施。
- 公証人の関与: 公証人の面前(またはWeb会議システムを通じた面前)で、公証人の確認を受けながら電子サインを行うこと。
したがって、クラウドサイン等の民間サービスは、契約締結前の「契約書案の共有・検討」や「ドラフトの合意」のプロセスで活用し、最終的な本締結は公証役場のフローに従って行う形となります。
※詳細な手続きについては、日本公証人連合会のWebサイト等をご確認ください。
電子化できるが、契約相手方の承諾等が必要な契約書
電子化は可能なものの、契約相手方の承諾・希望・請求が必要な契約書についても、主なものをまとめて紹介します。
電子化に承諾・希望・請求が必要な文書・契約書リスト
| 文書名 | 根拠法令 | 必要な手続き |
| 事業者が交付する申込書面、契約書面、概要書面 | 改正特商法第4条第2項、第13条第2項、第18条第2項、第20条第2項など | 承諾 |
| 建設工事の請負契約書 | 建設業法19条3項 | 承諾 |
| 設計受託契約・工事監理受託契約の重要事項説明書 | 建築士法24条の7第3項 | 承諾 |
| 設計受託契約・工事監理受託契約成立後の契約等書面 | 建築士法24条の8第2項 | 承諾 |
| 定期建物賃貸借契約の際の説明書面 | 借地借家法38条3項、同4項 | 承諾 |
| 宅地建物の売買・交換の媒介契約書 | 宅建業法34条の2第11項、同12項 | 承諾 |
| 宅地建物の売買・交換の代理契約書 | 宅建業法34条の3 | 承諾 |
| 宅地建物の売買・交換・賃借の際の重要事項説明書 | 宅建業法35条8項、同9項 | 承諾 |
| 宅地建物取引業者の交付書面 | 宅建業法37条4項、同5項 | 承諾 |
| 不動産特定共同事業契約書面 | 不動産特定共同事業法24条3項、25条3項 | 承諾 |
| 投資信託契約約款 | 投資信託及び投資法人に関する法律5条2項 | 承諾 |
| 貸金業法の契約締結前交付書面 | 貸金業法16条の2第4項 | 承諾 |
| 貸金業法の生命保険契約等に係る同意前の交付書面 | 貸金業法16条の3第2項 | 承諾 |
| 貸金業法の契約締結時交付書面 | 貸金業法17条7項 | 承諾 |
| 貸金業法の受取証書 | 貸金業法18条4項 | 承諾 |
| 割賦販売法の契約等書面 | 割賦販売法4条の2、割賦販売法35条の3の8・同条の3の9第1項、同3項 | 承諾 |
| 旅行契約の説明書面 | 旅行業法12条の4、12条の5、施行令1条等 | 承諾 |
| 労働条件通知書面 | 労働基準法15条1項、施行規則5条4項 | 希望 |
| 派遣労働者への就業条件明示書面 | 派遣法34条、施行規則26条1項2号 | 希望 |
【2026年施行】取適法(旧下請法)により、電子化の「相手方承諾」が不要に
これまで「下請法(現:取適法)」に基づく発注書面(旧3条書面)を電子化するには、法律上、あらかじめ受注側(中小受託事業者)の「承諾」を得る必要がありました。
しかし、2026年1月1日に施行された「取適法(中小受託取引適正化法)」により、このルールが抜本的に見直されました。 現在は、相手方の承諾がなくても、クラウドサイン等の電子契約サービス等で発注内容を通知(4条明示)することが原則として認められています。
- 変更点: 事前の承諾取得が不要に(※ただし、相手方が紙での交付を請求した場合は対応が必要)
- メリット: 面倒な承諾フローが消滅し、スピーディに「全件電子化」へ移行可能に
これにより、発注業務における電子契約の導入ハードルは大きく下がりました。コンプライアンス強化と業務効率化を同時に実現するチャンスといえるでしょう。
電子化のハードルが下がる一方で、対象となる取引や事業者は広がっています。紙の書類や口頭ベースのアナログな管理を続けていては、改正法への対応漏れなどコンプライアンス違反のリスクが高まります。「契約・発注業務の電子化(クラウドサイン)」で体制を整えることが、リスクヘッジと業務効率化を同時に実現する最善の解決策です。
なお、取適法による「書面電子化ルールの変更(事前承認が不要に)」や「契約の巻き直し作業」について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
電子化に相手方の「承諾」が必要なもの
建設業法が適用される「建設工事の請負契約」などを電子化する際は、現在も法律上、相手方の事前の承諾が必要です。これらの契約は締結件数も多く、電子化によって印紙税が非課税となるコスト削減メリットが非常に大きいため、相手方の承諾を得てでも積極的に電子契約を活用すべき領域です。
【※混同に注意】「取適法」の対象となる受発注は承諾不要です
一方で、前段で解説した「取適法(旧下請法)」が適用される取引(製造委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託など)における中小受託事業者への発注書面(4条明示)については、2026年の法改正により事前の承諾は原則不要となっています。
「建設業法の対象(承諾必要)」と「取適法の対象(承諾不要)」は混同しやすいため、自社の契約・発注業務がどの法律の適用を受けるのか、正しく切り分けて運用することがコンプライアンス上不可欠です。
特商法改正により特定商取引でも電子化可能に
2023年6月以前の特商法では、以下の特定商取引については消費者保護のため、事業者には紙媒体の契約書面等を交付する義務が課せられていたため、電磁的方法で交付することはできませんでした。
- 訪問販売
- 電話勧誘販売
- 連鎖販売取引
- 特定継続的役務提供
- 業務提供誘引販売取引
- 訪問購入
しかし、特商法の改正により、2023年6月1日からは事業者が消費者に対して交付すべき契約書面等について「消費者から事前の承諾を得ること」を前提に電磁的方法による交付が可能になりました。この電磁的方法の具体例としては、電子メールのほかクラウドサインのような電子契約サービスも含まれます。
また、消費者によるクーリングオフ通知書面に関しても電磁的方法によることが可能になりました(根拠法令:改正特商法9条1項など)。消費者庁の運営する「特定商取引法ガイド」の「Q&A」によれば、電磁的方法によるクーリングオフの代表的な例として、電子メールのほか、USBメモリ等の記録媒体や事業者が自社のウェブサイトに設けるクーリング・オフ専用フォーム等により通知を行う場合が挙げられます。
特定商取引法についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
電子化に相手方の「希望」が必要なもの
労働条件通知書や派遣社員に対する条件明示書面 については、電子化について「承諾」ではなく「希望」を確認するというプロセスが必要とされています。
なお、クラウドサインでは、労働条件通知書の交付時に労働者へ電子化についての希望を確認できるひな形をご用意しています。ぜひダウンロードの上、ご活用ください。
電子契約にできない契約書・できる契約書の見分け方
以上をまとめると、電子契約にできる契約書とできない契約書を見分けるポイントは、契約当事者の力関係・パワーバランス・情報格差に著しい有利不利が生じがちな契約締結の場面かどうかにある、といえます。
具体的には、契約当事者が
- 賃貸人と賃借人
- 委託事業者と中小受託事業者
- 企業と消費者
- 雇用主と労働者
といった関係性にある場合、電子契約の利用ができない、または相手方の承諾が必要などの制限が設けられています。
ただし「委託事業者と中小受託事業者」の関係においては、取適法の施行により原則として承諾不要で電子化が可能となるなど、時代に合わせた規制緩和が進んでいます。
逆に言えば、一般的な対等関係で結ばれる契約については、電子契約が問題なく利用できるということでもあります。上記表も参考に関連法令をご確認の上、電子契約のご利用をご検討ください。
電子契約を導入してコスト削減や業務効率化の実現を
電子契約サービスの導入により、印紙代や郵送費などのコスト削減や、締結完了までにかかるリードタイムの削減といったさまざまなメリットが得られます。
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この記事を書いたライター
弁護士ドットコム クラウドサインブログ編集部

