JAいちかわ(市川市農業協同組合)
企画部 部長 五木田淳様
企画部 企画課 課長 桃井豊様
企画部 DX推進課 山本空斗様

導入後の効果
・既存のシステムとクラウドサインを連携させることで、組合加入申し込み手続きを電子化
・丸1ヶ月程度かかっていた組合加入申込書の手続き期間が、最短1〜2週間に短縮
流通、金融、保険に福祉など、さまざまな側面から日本の農業を裏から支えているJAグループ。2022年からは日本農業新聞などとともに「JA-DX推進研究会」の活動を開始し、業務のDXを図っています。
そんななか、千葉県でいち早くDXを実践し、成果を上げているのがJAいちかわ。職員が使い慣れた既存のシステムとクラウドサインと連携させることで、シームレスに組合員加入申込書を電子化するフローを構築し、他地域のJAにとってモデルケースとなるような仕組みを作り上げました。
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農業と農家を支えるため、准組合員の拡大を図る
クラウドサインの導入以前、どのような状況にあったのか教えてください。
五木田様
私たちJA、農業協同組合は、農業を営んでいる方に「正組合員」として加入していただき、出資していただくことで成り立っています。ですが、近年は農業従事者の後継者不足などを背景として、全国的にその数が徐々に減少傾向にありました。

農家のみなさんをなんとか支えたい思いもありつつ、一方でJAいちかわという組織を維持できないと、そもそも農家の方々のお力にもなれなくなってしまいます。
そこで今野組合長が中心となって組織基盤の拡大に向けた機運が高まり、農家ではない「准組合員」を増やしていくことを2022年からの重点目標の1つとして掲げました。
なぜ准組合員に注目されたのでしょうか。
五木田様
准組合員は農家ではない一般の方向けの仕組みで、私たちは「農業振興応援団」とも呼んでいます。一定額以上の出資金とあわせて准組合員に申し込んでいただくと、JAの金融・保険商品や口座開設・貯金といったサービスが利用できるほか、いくつかの特典も用意しています。
JAいちかわの管内は市川市、船橋市、浦安市、柏市の一部が含まれ、人口は計100万人を超えます。比較的規模の大きい地域であるにも関わらず、それまで准組合員は2万人ほどしかいませんでした。人口が多いのに准組合員が少ないということは、まだまだ拡大の余地があるのではないか、と考えたのが一番の理由です。
「攻めのDX」を目指しシステム連携前提でクラウドサイン導入へ
クラウドサイン導入以前、准組合員の加入申込書はどのようなフローで締結され、どのような課題がありましたか。
五木田様
まず申込者様に各支店へ出向いていただき、紙の加入申込書に必要事項を記入していただきます。加入申込書は職員が定期的に全支店を巡回して集め、それを本店に持ち込んで審査します。社内審査・稟議が完了し、出資金の口座引き落としが完了した後、紙の「加入承諾書」を申込者へ手渡ししたり、郵送したりしていました。
書類のやり取りは基本的に郵送でした。このため、申し込みから准組合員として登録されるまで、およそ1か月はかかっていました。その結果、たとえば住宅ローンを申し込みたいのに准組合員になれないからお金も借りられない、というような弊害も発生していました。
また、現場では紙の申込書の中身をチェックし、複数の基幹システムに手入力することによる業務負荷や人為的ミスの発生が大きな課題となっていました。
そこで組合加入申込書の電子化を検討されたわけですね。
五木田様
そうです。加入申し込みの手続き自体はシンプルではあるのですが、件数が非常に多く手間がかかります。ですので、申し込み完了までのスピードを早めるのはもちろんのこと、手続きの負荷も軽くしたいと思いました。
主に対応している総務部では、他にも退会や相続による譲渡など、複雑で書類が多くなりがちな手続きも扱っています。加入申し込み手続きの電子化で処理負担を軽くしつつ、より慎重な対応が必要な他の仕事に時間を割けるように、との考えもありました。
今回、組合加入申込書の電子化に向けては、すでに導入されていた「kintone」や「コラボフロー」といったシステムを活かす形でクラウドサインを導入していただきました。

桃井様
最初はシステム連携のことまでは考えていなくて、なんとなく「クラウドサインだけで完結できるんじゃないかな」という淡いイメージがありました。ですが、弁護士ドットコムの方に相談するとやはりシステム連携しないといけないな、と感じたんです。
五木田様
クラウドサインを単独で導入するだけだと「守りのDX」だけれど、kintoneとコラボフロー、そしてクラウドサインの3つを連携することで「攻めのDX」ができる。であれば「攻め」一択ですよね、という話になったんです。

複数のシステムを別々に使うのでは効率化は望めません。連携しないことでどこかに紙のフローが残ってしまう恐れもあり、そうなると電子化の意味がなくなるのではないかと思いました。
准組合員を年間2,000人増やす、という目標も立てていました。その紙書類を全ての組合長に郵送で回覧していったのでは処理が間に合わないでしょうし、さすがに現実的ではありません。電子契約に統一したうえで、デジタルのままワークフローに乗せることも必要なので、システム連携は必須でした。
また、「新しく莫大な投資をしてシステムをゼロから作り直す」のではなく、「現場が慣れ親しんだ既存システムを活かす」こともポイントでした。どれほど最先端のデジタルツールであっても、JAの既存の仕組みやルールと乖離していては現場が混乱してしまいます。すでに使っているシステムとシームレスに連携しながらスムーズに電子化へ移行できる現実的な進め方であることは魅力的でした。
単なる会員増に留まらない、他の業務へのプラスの影響も期待
クラウドサインを選んだ決定的な要因はありましたか。また、システムを新しくすることについて職員の方々に戸惑いはなかったでしょうか。
五木田様
クラウドサインに決めた理由としては、日本農業新聞さんのJA-DX推進研究会においてサポーター企業として登録されていて、イベントでご登壇されていたのがやはり大きかったです。
実際、単なるツールの提供にとどまらず、JAいちかわの既存の仕組みやルールを徹底的にヒアリングし、課題の洗い出しから一緒に取り組んでくださいました。「API・システム連携支援サービス」や「導入支援コンサルティング」、「kintone連携支援」といった手厚いサポート体制があり、「信頼できるパートナー」としての存在感が大きな決め手になりました。
桃井様
弁護士ドットコムが運営しているという安心感もありました。稟議を上げるときにも説明しやすいですし、安心して導入できると思いました。
導入を進めていくなかで、実際の現場はどんな感じだったのでしょう。
山本様
実際の運用が始まってみると、支店の職員の方から改善要望が届いており、今は同じDX推進課のもうひとりのメンバーと一緒に作り込んで対応しています。
そこはちょっと大変でしたが、基本的にはマイナスな意見などは届いていないので「便りがないのは良い便り」だと捉えています。
お客様は紙に手書きする必要がなくなり、以前はゆうに1か月はかかっていた准組合員の加入手続きが、今では早ければ1〜2週間で完了するようになりました。ペーパーレスになって本当に良かった、と感じています。

周囲も巻き込みつつ、全国のJAがDXを進めやすくする環境を目指す
組合加入申込書以外にも紙書類はあると思いますが、全体の電子化率の目標など、今後の方針を教えてください。
五木田様
JAグループが守るべきルールもありますので、全てをすぐに電子化する、というわけにはいきませんが、可能な限り電子化率は高めていくつもりです。
准組合員の申込みについては、現在は法律上いったん来店して手続きする必要があるのですが、将来的にはお客様ご自身のスマホでどこからでも加入手続きを完結できるようにし、若年層をはじめとする准組合員の拡大という目的を達成したいと思っています。「デジタル組合員証」もアプリで提供できればと考えています。
これからDXを推進していきたいと考えている方に向けてメッセージをいただければ。
五木田様
まずはどんどん外へ出て情報収集することだと思います。私たちがこうしてひとつの事例としてお話しさせていただけるのも、JAグループの外へ出たことがきっかけでした。他業界や県外企業さんの先行事例を聞くことができたのは大きかったと思います。
また、DXの実際のところをできるだけ広くJAグループのみなさんに知ってもらうためにも、こういった事例やセミナーイベントなどを通じて積極的に情報共有していければと思っています。
とはいえ、まだまだ私たちにもアナログな業務が多く残っていて改善は必要ですし、市川という市単位の農協だけでは力が及ばないことも多々あります。自分たちが先陣を切って、周りもそれに巻き込むことができれば、より大きな動きも生み出せるかもしれない。そんな期待を抱きつつ、今後も頑張っていければと思います。
※導入事例内に記載の機能やお客様情報等は取材当時のものであり、最新情報とは限りません。閲覧いただいている時点では内容が異なっている場合がありますので、ご了承ください。