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士業

訴訟委任状もクラウドサインで締結・提出 民事訴訟手続きのIT化によって広がる電子契約の活用

  • 2026年6月11日(木)

大明法律事務所
石田 直也弁護士

 

導入後の効果

・これまで押印・書面提出が必須だった「訴訟委任状」について、改正民事訴訟法の全面施行によってクラウドサインで締結したものが裁判所で受理されるようになった
・電子契約の活用により、レターパックで往復数日〜1週間ほどかかっていた郵送の手間が省け、余裕を持って訴訟手続きに対応できるようになった

企業のバックオフィスを中心に浸透しつつある電子契約ですが、弁護士事務所での活用も広がっています。直近では、2026年5月21日にスタートした民事訴訟手続きのデジタル化(IT化)により、新たに「訴訟委任状」(※)に関わる業務での活用も見えてきています。

今回は、電子契約サービス「クラウドサイン」を利用している大明法律事務所の石田直也弁護士に実務でどのように電子契約を活用できるようになったのか、お話を伺いました。 現場のリアルな声や今後の電子契約普及への期待、そしてインターネットを通じて、裁判所への書類提出や受け取りができる新システム「mints」の課題とそれを補完するツールについてご紹介します。

※編注…訴訟委任状とは、裁判の手続きを弁護士などの代理人に任せることを証明する公式な書類のことです。締結することによって代理人は依頼者に代わって訴状の提出や法廷での弁論などができるようになります。

クラウドサインで締結した訴訟委任状が受理された

早速ですが、裁判所への書類提出に関して新たな動きがあったと伺いました。 

5月下旬のことなのですが、当法律事務所とクライアントがクラウドサインで締結した「訴訟委任状」を、大阪高等裁判所が受け取ってくれました。(※)

訴訟委任状はこれまで原則として紙と印鑑が必須だったので、それは大きな変化ですね。どのような経緯で提出に至ったのでしょうか?

「2026年5月下旬に民事訴訟手続きのIT化が解禁されたので、訴訟委任状も電子契約で提出できるはずだ」と思い、当事務所の事務員から大阪高等裁判所に問い合わせてもらったんです。その結果、大阪高裁の担当者の方から「クラウドサインなど電子契約サービスで締結した訴訟委任状を受け付けます」と言っていただけました。

その回答を聞いた時はどのように感じられましたか? 

これから裁判所もどんどんデジタル化していく波があると思うので「まあ、そうだろうな」という感じでしたね。我々としては、クラウドサインで締結した訴訟委任状を裁判所に提出できれば業務負担も減るので助かるなと思いました。

※編注…民事訴訟規則の改正によって、訴訟代理人の権限証明方法として書面のほか電磁的記録も認められるようになり、法令上は「クラウドサイン」のような電子契約サービスによって電子署名が付与された訴訟委任状も提出可能と考えられますが、実際の運用は各裁判所によるため、提出可否については各裁判所に問い合わせていただくことを推奨します。

郵送の手間が省け、圧倒的なスピードアップを実現

これまで、訴訟委任状をクラウドサインで締結することはなかったのでしょうか? 

当事務所では、示談書や同意書などの締結は以前からすべてクラウドサインで行ない、電子化していました。ただし唯一、訴訟委任状については電子化できず、クライアントの印鑑を押した紙の書類を裁判所に提出する必要がありました。

裁判所に提出するためだけに、わざわざクライアントから印鑑をもらっていたということですか? 

そうです。これまでは訴訟委任状をレターパックでクライアントへ郵送し、印鑑を押してもらい、返送されてから裁判所に提出するという手間がかかっていました。おそらく多くの法律事務所がそうしていたのではないかと思います。

クラウドサインを利用できるようになると、業務の負担はかなり減りそうですね。

そうですね、手続きのスピード感が変わってきます。

たとえば控訴する時は、判決書の送達を受けてから14日以内に控訴状を提出しなければならないルールがあります。今まではレターパックが往復するだけで2〜3日、土日を挟むと1週間は絶対にかかってしまい、依頼者が控訴するかどうか迷っている場合や、第一審の判決がどのような内容になるか予測が難しい場合などは、大慌てでやらなければならないケースもありました。

電子契約を利用すればレターパックの往復1週間分が省けるので、余裕を持って対応できるようになります。

民事訴訟のIT化が電子契約普及の追い風に

今回の民事訴訟手続きのデジタル化は、弁護士業界における電子契約サービスの普及の追い風になると思われますか? 

なると思います。これまでは訴訟委任状だけは紙で取り交わさなければならなかったので、電子契約を使わず、その他の契約書と合わせて全て紙でやり取りする事務所も多かったように思います。

しかし、そもそもクライアントの印鑑がいらないとなれば、最初から契約書も委任状もすべて電子契約で締結する方が効率的だと考える事務所は増えるのではないでしょうか。

場所に縛られずにどこでも仕事ができるようになりますし、事務スタッフがいない「一人事務所」の弁護士の方なども事務負担が軽くなるメリットがあります。多くのシーンで役立つだろうなと思います。

民事訴訟手続きのデジタル化がスタートして、弁護士仲間からの反響や、逆に課題に感じている点はありますか? 

さまざまな書類をデータで提出できるので、「楽になった」という声を多く聞きますよ。ただし、課題としては「mints(民事裁判手続IT化システム)」に使いにくさを感じる部分があります。

提出用のファイル名なども、専用の名前をつけてアップロードしなければならなかったりして面倒なんです。

当社で運営するデジタル事件記録ツール「弁護革命」では、AIエージェントが提出時の思わぬ事故を防止し、提出前の確認をスムーズに行う「提出準備ツール」を提供しています。今後さらに裁判所のシステムとスムーズに連携できるようになれば、先生方のストレスを大きく軽減できそうです。本日は貴重なお話をありがとうございました。

※導入事例内に記載の機能やお客様情報等は取材当時のものであり、最新情報とは限りません。閲覧いただいている時点では内容が異なっている場合がありますので、ご了承ください。

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